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物語は不規則に受視点と攻視点で語られますが、どちらかと言うと攻視点が多く、それがちょっと珍しくて面白かったです。
BLって受視点が大半だし、攻視点は続編とか番外編なら見かけますが。
ここまで攻視点が多い作品は珍しいのではないかと。
特にこの作品は、攻・タールグのキャラクターが結構面白いので、読んでいて楽しかったです。
けしてバカにしている訳じゃありません。
タールグは超美形で政治手腕に長け戦にも強く、最初こそ傲慢な部分もチラッと見えたりしますが、受・レオナに恋してからはそういった傲慢さも消え、もはやワンコ状態の溺愛攻。
題名に『冷酷な覇王』と書かれており、実際政治的な面では冷酷な手段も厭わなかったのでしょう。
でもそれは、自分の国のためであり民のため。
ものすごく優れた治世者です。
そしてレオナは、きっと第六感というか、色んな物事において、普通の人が気づかず通り過ぎてしまう美しさや、逆に歪さに、すぐ気づく青年なのだと思います。
その考え方も少し独特というか、正しいけれどそこに考えが至るまでのプロセスが普通の人とは違って、ぐるぐる回り回るのに、突然ピョンッと飛んで辿り着いちゃう感じ(あくまで私の感想です)。
なので、レオナ視点で最初から最後まで書かれていたら、展開の速さとか状況のわかりやすさが少し違っていたのでは…と思うので、タールグ視点が多かったのはこの作品に合っていると思います。
タールグ視点で語られる場面を読んで、タールグ頭良いな~と感心することが多かったのに、ラスト&番外編よ。
大丈夫か?タールグ!( ゚∀゚)
レオナが人の心情を読むのに直感的に長けているのかと思いきや、単にタールグが心の声漏れてたんかい!笑(無意識に小声で言う)
もうほんと、レオナにメロメロなんだなー。
猜疑心の鎧みたいなのを常に身に着けていたタールグが、レオナに出会えて、心の声が漏れるほど無防備になれて、本当に良かったよ。
レオナの母国での待遇とか、途中あるレオナの母国のいざこざとか、シリアスなシーンが多いものの、ラストはタールグのメロメロ具合に
( ゚∀゚)←こんな顔で読めますので、安心です(褒めてます)。
健気受け視点だけじゃなく、攻めの気持ちがどう揺れ動いているのか知りたいっていう、ワガママな欲を満たしてくれる両視点!いいですねー。
覇王タールグは両親に愛された記憶がなく父親に捨てられた過去があり、自分を裏切る人間を絶対に許さない性格です。
若くして政治的かけ引きに長けた優秀で非情な戦略家な王です。
人質として隣国からやってきた王子レオナ。ぽわーっとした優しい性格で幼い頃から周りにバカにされているのが当たり前でした。
タールグがレオナをスパイと疑いますが、彼は全くそんなことが出来るタイプではありません。
自分をだましたり見下している相手を憎めないお人好しな性格で貧乏くじを引くタイプです。
レオナは争いが嫌いで静かに暮らしたいだけ。
農産物を育て収穫し、料理を作って周りの護衛達と一緒にテーブルを囲む。
穏やかなスローライフを好む清い心の持ち主です。
タールグは過去に女性としたことはありますが、あくまでも体だけ。なんでも完璧な彼が恋愛初心者すぎて、気づかないうちに思ったことが声に出てしまっていたり。
自分に惚れさせてレオナの企みを暴こうと考えながら一緒に過ごすうちに、とてもレオナを好きになっていることに気付いたり。
勝手に舞い上がったり、怒ったりしている様子はファンタジーよりコメディ感が多く楽しく読めました。
帝国の皇帝タールグと、人質として送られた王子レオナのお話。国同士のあれこれが複雑で、策略だなんだと皇帝は大変そう。両視点で、疑心暗鬼になるタールグと平和に過ごすレオナが交互に描写され、二人のすれ違いを楽しめて良かった。
レオナは文字が読めない、片付けができない、コミュニケーションに問題があるなどなど、発達障害の特徴が多数。教育を受けておらず、年齢の割に中身が幼い。良く言えばピュアなのかな。
タールグは前半は笑えるキャラになっていた。自信家に実績と権力を与えたらこうなるのか、と興味深く見てしまう。レオナの卑屈さをはっきり注意するところがとても良かった。卑下してウジウジするのは嫌いなので、すっきりした。
わりと早い段階から両片思いに見える二人。態度でバレバレなのに隠そうとするレオナと、相手が自分に落ちたと信じてレオナに惹かれる自分の気持ちに無自覚なタールグ。
恋愛に関しては、タールグの方に問題がいっぱい。レオナに理想像を押し付けたりと、恋に不慣れで不器用な感じ。ただこうしたところも、良くないと気付いてしっかり自分で考えて答えを出してるので、安心感がある。
レオナに出会って癒され変わっていく様子とか、成長したように感じるところなど、見ていて微笑ましかった。
ストーリーは展開の動きよりタールグの頭の中で進んでいた印象が強い。全体の盛り上がりはレオナが襲われたところなのかな。ここは許そうとするレオナと固まって動けないタールグにモヤモヤした。
レオナの障害に付けこみ、付き人を使って騙したり陥れたりするレオナ家族の醜悪さがあまりにも気持ち悪すぎてキツかった。
全体的には読みやすくて良かった。文章はとても好き。
面白かった〜!佐竹笙先生の作品、3作目。
どの作品も骨太で、広げた風呂敷をしっかり回収してくださる安定感があって。
もちろん萌え要素もいっぱいです(*´艸`*)
今作は、冷酷王 × 人質に送られた隣国の”愚鈍”王子のカップリング。
自分を見つめる王子の目に恋の色を確信して、「そうだ俺に惚れさせちまえばいいんだ!」とニヤリとし、ふふふん♪としてる皇帝、タールグ。
まさか自分が”落とされる”ことになるとも知らずにね…( ̄∀ ̄)
王子ですが、愚鈍なわけではなく、いわゆるディスレクシア、学習障害の一つなのでしょうね。
聞いて覚えることはできるけれど、文字や文章を正しく読むことができない。
でも特に農作物のことに詳しくて、砂糖大根の種を輿入れの贈り物として持ってきて、品種改良して皇帝の国でも育てたい、と。(皇帝の側近たちに失笑されるシーン、むかーっ!ですよ。(# ゚Д゚))
健気で勉強熱心で、素敵な心の持ち主です。
そんな王子、レオナと交流するうちに、少しずつ心を奪われていくタールグ。
恋に落ちたタールグがそれを自覚し、無意識に心の中の想いが口に出ちゃってるいくつかのシーン、笑った〜〜
自分の名前をレオナに呼ばせる発音練習シーンも、めちゃめちゃ笑ったし萌えました…❤︎
「タールグ(=”狼という意味)」って(レオナにとっては外国語だから)うまく発音できなくて、「タールク」=”餅”になっちゃうんです。
もち!って呼んでるの想像したら、なんかちょっとツボに入ってしまいぐふふふ…ってなりました笑
特にグッときたのは…
一つが、タールグが国を子どもに例え、自分の子どもを共に支えていってほしい、と乞うシーン。胸熱シーンでした✨
そして自分的にも一つ響いたのが、
「僕は役に立たない」と自分の無力さを嘆くレオナに、「人には向き不向きがある」とタールグが語りかけるシーンです。
自分も、あれがない、これがない、もしこういう才能があったなら…なんていまだに「ないものねだり」してしまうところがあるので、この台詞は刺さった。。
”ありのままの自分”を認めるって、なかなかできないけれど。
「そのままの君がいい」って言ってくれる人がいたら、心救われる✨
二人の心の距離がどうやって近づいていくのか!?というラブ面でのハラハラに、国家間の策略・陰謀が絡み、読み応えのある一冊でした・:*+.
作家様買いです。
帝国の若き皇帝と、その人質となった何も期待をされないまま育った他国の第二王子の組み合わせの今作。
ファンタジー作ですが、文章も話運びも本当にお上手なので混乱することもなく作品の世界観に入り込めるかなと思います。
人をあまり信用することが出来ず、愛を知らずに生きてきた若き皇帝・タールグ。
頭の回転が速く、冷静に物事を見聞きし判断をする…と、人々の上に立って一国を治める皇帝としてはかなり有能な人ではあるものの、心の奥底でやや孤独を抱えてもいるちょっぴり難しい人でもあります。
そんな彼が、他国から人質として帝国へとやって来た王子・レオナと出逢ってしまう。
とあることから自国内では「愚かな王子」と下に見られることに慣れてしまっていて、自然と卑屈な考えに陥りがちな自信のなさを持っているけれど、その一方で素直すぎるほど素直で嘘がつけないレオナ。
自分よりも他人のために一生懸命な人です。けれど決して鼻につくタイプではないんですよね。
なんだか2人ともが良い味付けのキャラクターでして…とっても良かった。
何がどうなってタイトルにもあるような予期せぬ溺愛になっていくのか?
それはもう、両視点で語られていく物語を追いながらぜひ!2人の関係と気持ちの変化をじっくりと楽しんでいただきたい…!焦れと萌えが交互にやって来ます。
不器用な2人と国を絡めたストーリー展開に、読みながらもだもだしたりムズムズしたり、ほのぼのとしたり、時にはハラハラしたりと、今作もとても面白い作品です。
甘すぎず辛すぎないちょうど良いバランスで読みやすいので、230Pがあっという間でした。
そして、佐竹先生ならではの独特の言葉選びと比喩表現が好きです。
読んでいて、これをそう表現するのか〜!と佐竹先生の語彙の豊富さに唸りました。素敵です。
欲を言うのなら後半部分をもう少しだけゆっくりと読みたかったなと思い、今回は神寄りのこちらの評価で。
特定書店限定の書き下ろしSSがどれも糖度が高くかわいらしいお話でしたので、もし機会があればそちらも一緒にぜひ。