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表題作中野家のはなし

サトル
兄,大学生
シューヘイ
高校生

同時収録作品中野家のはなし

井萩 右京
兄の友人
シューヘイ
高校生

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

中野シューヘイは少しやんちゃなところもあるが、いたって普通の男子高校生。ただ一つ、5つ年上の兄・サトルに恋心を抱いている以外は。 普通のどこにでもいる兄弟という関係に、段々と欲が出てきてしまう。どこにも吐き出せない気持ちを抱えたシューヘイは、隣で無防備に眠るサトルに「家族」の一線を超えた行動をしてしまいーー?

作品情報

作品名
中野家のはなし
著者
会川フゥ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ジーオーティー
レーベル
picn comics
発売日
電子発売日
ISBN
9784823604096
4.1

(39)

(17)

萌々

(15)

(4)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
160
評価数
39
平均
4.1 / 5
神率
43.6%

レビュー投稿数9

読者次第のエンディング

とある先生のツイを読んで、気になって購入ました。
レビューには「メリバ」と描かれているので覚悟を持って読んでみましたが、思いのほか辛い終わり方ではありませんでした。
ただ、主人公のシューヘイにとっては我が儘な兄弟同士の恋愛が叶った結果になりましたが、自分自身それが誰にも祝福されない・誰にも言えない、未来がない関係だと分かっています。シューヘイにとっては望んだ兄サトルとの恋人のような関係ですが、弟を大切に思っているサトルにとっての幸せかどうかは誰にもわかりません。
サトルもシューヘイも互いを、そして家族を大切に思っているから拒絶できない・離れられないのかもしれません。恋愛なのか家族愛なのか、タイトルの「中野家のはなし」が響いてきます。

サトルが最後にシューヘイに手を伸ばすことを決めてから、ふたりの無邪気な笑顔はありません。淡々と日々過ごしていくように描かれています。
名前がカタカナであることもなんだか記号のようで、なにか感情を抑えているふたりを象徴しているようにも感じました。

最後にスパっと切られたような決断だったので後に引きます。
ある意味、読者に委ねる終わり方でした。
続きを読みたい気もしますが、ここで終わった方がいいんだろうと思いました。この終わり方ならまだある意味「ハピエン」のままでいられるからです。だから「メリバ」なのかもしれませんね。わたしにはふたりの続きには破局しか感じられませんでした。
きっと読者次第でふたりの物語は続いていくんだと思います。
余韻が残る、考えさせられる終わり方でした。

2

中野家の兄弟

本当の兄弟もの。一貫して落ち着いたトーンのまま弟視点で話は進みます。
ごく一般的な4人家族で友達もいる高校生シューヘイは兄が好き。
過去に何か性的にされたトラウマがあるとかじゃなくて、気づけば兄が好きだったっていうのがリアルな感じがしてお話の世界にすんなり入っていけました。

シューヘイって可愛がられて育った子特有の
「言葉にしてお願いすればある程度自分の希望は叶う」って無意識に知っているような性格が、兄からしてみたら突き放せなくてつい構ってしまうんだろうなぁ。
サトルは弟想いの優しい兄だけど本気でシューヘイを好きなのか、兄として許しているのか?

ラスト2人は本当に幸せなのか
はっきりしない描き方が読み手によって捉え方が
変わり印象深い作品になっています。
初読み作家さんでしたが重すぎず暗すぎず
程よいバランスで面白かったです。

0

清々しいまでのメリバ作品

作者様買いです。
全体的に静かで淡々とした調子の物語だったのがメリバの雰囲気を引き立たせていてとても好きな作品でした。

兄のサトルがずっと好きだったシューヘイ。それをひた隠しにしたまま周囲に公認されるほど仲の良い兄弟を演じていた一方で、誰にも、もちろんサトルにもバレないようにこっそりキスをしたりする日々。
そんな中サトルに好きな子ができ、彼女ができそうになったことを皮切りに平凡な日常が崩れ出します。

全体を通してシューヘイの自分勝手さが印象的でした。間違いなく切なく辛い恋をしているのだろうけど、親へもわがままを通し心配をかけ、最終的には兄のこともレイプしてしまう、自分の思いが通じないことへの苛立ちや悲しみの行き場を人にぶつけてしまう幼さがかなり目につき、悲しい恋をしていることに対して同情的になりきれません。

でもだからこそ、そんな弟を見捨てることができず最終的に弟を選んだサトルとのこの結末がまさにメリバという感じですごく好みでした。ガーっとした盛り上がりも、最終的に本当に今後もこの2人が幸せになれるのかも、なんならシューヘイですら幸せになれるかもわからないこの不確かさな結末、好みが分かれるかもしれませんが、メリバが好きな方には一度は読んでほしい作品だと思います。

3

兄の本心は

行き過ぎた兄弟愛の延長なのか、恋という言葉があまりに似合わないこのお話。

物語の落としどころが、臭い物に蓋をする原理のように感じました。ただし、決して否定的な意味ではなく、この作品はこの結末が良い味を出していると思います。

泥沼にはまってしまった2人が今後どのような未来を進むのか。
中盤までは良い雰囲気だったはずなのに、綻んでしまった関係は、修復できたように見えても以前と全く同じものではない。
そういう絶妙な違いを、兄と弟の感情に感じます。

そして兄の気持ちが全く見えてこず、弟が感情豊かだったために、対比でうすらと怖く感じてしまいました。
兄は弟に対してどんな感情を抱いたのでしょうか。私が読み取れなかっただけだと思うのですが、この部分が非常に気になりました。

表紙から受けた印象そのままのお話だったので、幸せなハッピーエンドではありません。
答えの見えないもどかしい想いを感じられる物語を求めたときは、ぜひ読んでみてください。

1

じっくり読ませる兄弟もの

じっくり読ませて、考えさせられる兄弟ものでした。弟の気持ちが切なすぎて、なんだかラストはモヤるんですけど、このすっきりしないラストが最高に上手いと思うんです。

仲良し兄弟なんで日常がすでにイチャコラ…。家族間で気持ちの密度がバグるって、本当は割と自然なものなんじゃないのかなとか考えてしまいました。神話や古典には近親相姦ってあるあるなネタだったりするし、現代社会では不毛で背徳的な行為に見えるけど、そもそも恋愛って生産性が必要なものではないし、むしろ高純度なのでは!?苦しい弟くんの胸の内はどシリアスなんですが、友人関係や日常のわちゃっとした感じが丁寧に描かれていて、切ない気持ちばっかりになりすぎず読み易いと思います。

兄の友人(ゲイ)との交流は弟くんにとって、一時の避難場所であるとともに救済のようにも見えたんですよね。あ~、お兄さんじゃなければ、どこかで芽が出ることがありそうなのにね、っていう残念感が強まりました。

ずっと弟視点で兄の気持ちがわからないので、あれこれ考えをめぐらせてしまい…。優しい兄だからこそ、弟の気持ちを知ってからの彼の行為に疑問が生まれるってゆー巧妙な演出!これでいいのか?これが幸せなのかしら~?ってぐるぐるせずにはいられない、、なんともいえない余韻が残りました。

3

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