電子限定描き下ろし付き
天才肌の彫刻学科の大学生×繊細なグラフィック学科の大学生が鮮やかに彩る、青春ラブストーリー。
2023年11月に読んだ珠玉の群像劇。すごく良かった!
見てくださいこの美しい表紙…数あるBL作品の中で一番好きな表紙を挙げてと言われたら、真っ先に本作が浮かびます。
著作では「秘め婿」は文句なしの神評価にしたのですが、「グレープ~」と「雪の妖精」がびっくりするほどハマらなかったため、本作もずっと気にはなってたものの、読むのは躊躇していました。
ところが当時「ホワイトライアー」が大ヒットしてたので、そちらの表紙を眺めてたら急にこちらが読みたくなって(焼肉の話したら焼肉の口になるアレ)まずは本作を。
美大を舞台にした以下3組の話が収録されていて、①②③全部つながった世界。続編「カラー・コレクション-PARADE-」も出てます。
①表紙の「天才陽キャx陰キャ」。
キスが唐突な感じがしたので、これだけはブロマンスでも良い気がしました。
前述の2著作がハマらなかった理由にも通ずるものがあります。
描き下ろしでえr有り。
②逆体格差で、これはいわゆるよくある「逆だったらなぁ…」。
でもリアルダビデ像、すごかった…!画力&ロシア人の肉体美!Siriが特にすごい。えrかった!
ちなみに白人さんの顔触ったことあるんですが、ほんっとーーーに作中の描写のとおりだったので、すごくリアルでした。
③これが一番好み…イケオジー!正装!しかもヒゲ剃ってくれてありがとう!
そして見事なタイトル回収。えrは朝チュン程度。
レビュー見ると、どの作品にも根強いファンがいて、ここまで好みの作品が割れるのも珍しいのでは?
つまり、3つのうちのどれかはあなたにハマるかもしれないし、そう願ってます。
(どれもハマらなかったらゴメンナサイ)
常時試し読みで(なんと46ページ)1話丸々読めるので、ぜひ試し読みだけでもしてみてください。
すっごいオススメです。
(ちなみにその後「ホワイトライアー」も読み、そちらは☆3にしました)
<注意点>
・計3CPも入ってるので、感じ方によってはそれぞれが急ぎ足の展開と思えてしまうかも?
1CPをじっくり読みたい方には不向きです。
・ゴツめの(筋肉)受けや、おじ受けが苦手な方にはキツいかも?
美大のグラフィック科に通う彩輝は思うように結果を出せず悩む中、彫刻学科の先輩天野に可愛いねと声をかけられる。天才肌で既に世間に認められているアーティストの天音は、独自の世界を持ってるマイペースな人。自由奔放な天音と繊細な彩輝の惹かれ合っていく様子が胸キュン。
他に彫刻科の後輩利人と元バレエダンサーでヌードモデルのミハイル、脱サラで再び美大を目指した大地と彫刻科の教授大竹カプの話が続くのだけど、それぞれが持つ芸術への想いと愛と人生がどれも素晴らしい!
3カプ別々で一作ずつにして貰いたい程の濃密感。どのカプも好きなんだけど、特に利人&ミハイルのダビデ様ミハイルの美しさが凄まじい〜。
芸術家同士の共鳴やライバル心、お互いを認め合えて安らぎにもなれる関係が良い。美大の空気感も憧れる。森美祭楽しい!
表紙のカプとは別に他2カプのストーリーが収録されているオムニバス作品。
どのカプも同じ美大生に通う学生という共通点があり、専攻は違うけど横の繋がりがあることによって話の広がりを楽しめるのも味な一冊でした。
表紙を飾っていた天野と彩輝のお話は1話、高木とミハイル、兼弘と大竹の話は2話ずつで構成されています。
彼らが学ぶ美術大学が舞台背景というのが実に面白いですね。出会いも違えば恋の始まり方も違う、色んなストーリーへの導きに酔いしれました。
芸術分野に秀でた彼らだからこその、理屈ではないビビビッときた感覚もちゃんと恋愛感情に落とし込まれていて、理屈というよりも本能でもって惹かれていく恋愛模様にドキドキが最高潮でした。
それに。
恋愛とは違うベクトルの部分も物語への引き込みに重要で、彼らの制作意欲だったり、作品への愛情のかけ方だったりの創作活動に対するアオハル感も恋愛ムーブをグッと盛り上げていたように感じました。
この一冊に3カプのお話というのは、なんだか勿体無いと感じてしまうくらいどのお話も素敵なものばかり。サラッと読めてしまう手軽さはいいけど、もっと掘り下げて読み込みたい物足りなさを同時に感じるところでした。
出会いから恋愛へと発展、恋人へとステップアップしていく流れとしては3ストーリーとも少々集約しすぎな印象だったかな。特に天野・彩輝は1話の短編ボリュームなので、最後の結びに行き着くまで展開が早かったように思いました。
実は前から気になってましたよの描写だけでは少々心許ないかなと思いましたし、これだけ魅力的なストーリーとキャラと舞台が揃っているのですから、あまりせかせかせずにじっくりと2人のストーリーに浸りたかったです。
美大出身ではない私には、この作品の世界観自体がすごく異世界のことのように思えてならなかったです。もちろん羨ましい意味で^ ^
作者さんは美大出身なのでしょうか。でなければ、取材力の賜物でしょうか。
実際の美大の現場を私は知らないですが、臨場感と躍動感、それに情熱がすごいなぁと興奮しきりで最後まで読み惚れました。
表紙のふたり、蒼大と彩輝のお話は『プシュケの恋』ですが、私はこのオムニバスのお話の中で『目覚めのワルツ』が気になりました。
彫刻科の高木は、実技モデルのダビデさんこと、ミハイルに目を奪われ、急に創作意欲がかき立てられます。高木は夏休みに先生のバイトで、ミハイルに個人的なデッサンの相手をしてもらいます。ミハイルとの交流の中で、ミハイルがかつてはバレエダンサーで、栄光の中にいたのに挫折を経験していたことを知ります。
ミハイルの表現者としての生き方、美しさに妥協をしないストイックなところ、一瞬の美しさを彫刻にぶつけ、後世に残そうとする高木のその一瞬一瞬の濃さ、美しさに胸がいっぱいになります。
芸大を舞台に、美術に関わる学生や教師達の恋愛模様が描かれる。
3CPとも芸術に対する悩みを持っていて、それを相手との関わりの中で消化し、解決していく。
どのCPの作品も良かったが、特に好きだったものを紹介したい。
3CP目にでてくる、かつてゲームを作る事を夢見ていたが諦めて普通のサラリーマンになった兼広と芸大教授の大竹。
かつての夢を実現するため、仕事をやめバイトして芸大に入り直す、というバイタリティに驚かされるが、好きな事をやろうとする姿が眩しい。
そして好きなものに対しては年齢や年の差など関係ないのだと思わせてくれる友人関係にも共感をおぼえる。
バイト時代に惹かれていた大竹との再会によって、恋心が再発するが、大竹には忘れられない人がいるようで……!?
という、切ない要素も盛り込まれている。
兼広の持ってうまれた何事にも前向きな姿勢が読んでいて心地よかった。
3CPともガッツリ絡むわけではないが、同じ芸大内で接点もあり、その関係を見るのも面白かった。
Hシーンは多くはないがそれぞれ描かれています。
ストーリーがどのCPも良く、CPごとに単独の話で読めるのが気楽に読めてよかったです。
続編もあるようなので楽しみにしています。
