イラスト収録
他の方も投稿しているように、一般作品だったら評価がもっと高いんじゃないかと思います。
本編で受け攻めがハッピーエンドになり、読み手の私の気持ちも最高潮になりました。
その後のSSの「セルフィッシュ・コンフェッション」では受けの元彼について、「レット・イット・ゴー」では攻めとその元彼についての補完の話が書かれています。
このSSは本編では語られなかった隙間を埋めているもので、キャラの解像度を上げることができたのは良かったですが、BL作品としてはSS 2作は読むべきではなかったなと思いました。
理由としては、本編のハッピーエンドを読み終えて気持ちが良くなっている時に、他CPの死別の話と、攻めが元彼とどんな恋愛をしてきたか、という話を読んでも私は楽しめないからです。
「レット・イット・ゴー」の最後2行ほどで受けと攻めのやりとりがありますが、下がった気分の回復には不十分でした。
せめてこのお話が本編内にあったら、また印象も違ったのだと思います。
または、受けと攻めが幸せにしている描写がもう少し最後にあれば良かったです。
主要キャラ以外の詳細な設定や過去のあれこれが読めるという点では、SS 2作は評価できます。が、本編内で語られているものでも十分想像できますし、個人的には「語られなかった部分を想像する」のも読書の楽しみです。
その点も踏まえて、一般作品だったらキャラクターの成長物語として、評価が上がるのかなと感じました。
気になっていた作品、とても良かったです。
遺品整理の仕事でバディとして組んでいる静秋と久野。お互いに過去の恋愛で傷を負っているもの同士。
悲しみや憎しみ、様々な気持ちをを整理するモーニングワーク。
生きている人同士もモーニングワークをして前に進んでいくんですね。
後半は色んな人の視点で物語が語られるのもこの作品の魅力だと思います。気になっていた部分がしっかり回収されていきます。
素敵なお話でした。
遺品整理でバディを組む、それぞれ喪失を抱えた正反対なゲイの2人のお仕事BL。
そうそう!まりあげは、こういうBL小説読みたかったのよ! っていう内容でした。(雑な説明ですみません 汗)
ただ、二人の恋愛面に対してのやり取りにはちょっと思うところもありつつでしたが。
でもそれを差し引いてもお仕事BLとしては、面白かったです。
SS2作も、本編からもっと掘り下げてそこのエピソード読みたかったんだよねえ! と思ってた内容がきちんと描かれていてとても満足な1冊でした。
遺品整理というお仕事ですが、グロい描写はほぼなく(そこは作家様もあとがきで触れられていた)、トラウマ持ちの受けの葛藤やもう一度相手を信じようとする過程がとてもよかったです。
今どきあまり見かけないお仕事BL、お好きな方にはぜひぜひオススメする1冊です!!
なかなか寺崎昴先生の最近の作品に嵌ることがないです。それでも過去の評価を確認して今度こそはと予約をするんですが、今回も嵌りませんでした。
筆力もあるしストーリー自体は凄く面白いとは思いました。これBLじゃなくて一般小説の方が評価が高いかも知れないとも思いました。
なのでBL小説としての感想を書きたいと思います。
まず個人的に静秋という人物が好きになれずに、読むのにかなり手こずりました。途中で違う作品を一気読みしてます。表題作の終盤になって漸く面白いと思ったのですが、なんせ死ネタで泣かせて来るのに閉口しました。ゲイ専門の遺品整理なのでしょうがないと言えばそうなんですけど、久野と静秋のお話で感動ではないのに引っ掛かりを覚えてしまったんです。
そして表題作の最後から続くような静秋の元カレの同時収録作の「セルフィッシュ・コンフェッション」ですが、これも中途半端感が強くてここで神崎の三好との関係が語られてるんですが静秋と再会するまでがサラッとあるだけで、私には補足に終始してしまってるように思われました。
更に最後の久野と元カレのお話である「レット・イット・ゴー」ですが、元カレと何があったのか知れたのは良かったけどもっと違う攻めかたは出来なかったのかなと思うほどサラッとしてました。
むしろ作中の遺品整理の客のエピの印象が強過ぎて、メインCPの印象や萌が皆無でした。
先生がとても書きたいお話だったらしいですが、BL小説という枠の中では不自由だったのではないかと思ってしまいました。
特殊清掃を含む遺品整理会社のバディものという、あまり多くは見かけない設定に惹かれました。
寺崎先生のシリアスで読ませるお話が好きです。
メインとなる久野×静秋CPの他に、彼らに関連する2CPの短編も収録されています。
3編ともやや好みが分かれそうなお話かなあと思いますが、どれも文章力が高くしっかり読ませてくれるお話でした。
ものすごく正直に言うと、萌えた萌えないで分類するのならどのお話にも萌えはそこまで感じなかったのです。
遺品整理業者として彼らが日々接する、今は亡き依頼人の生の痕跡の数々をふるいにかけながら、性格も考え方も正反対だというのに「似ている」と言われる久野と静秋の心の歩み寄りや、今まで自分の中になかった物事への気付き。
そして、依頼人の数だけある人生の背景を遺品整理を通して知る…等、BL的な萌え以外のところが興味深くて面白かった印象です。主人公たちに感情移入も肩入れもあまり出来なかった。
けれど、物語自体が非常に面白く、読了後はなぜかほんのちょっとだけ心地良くも感じる。そんな作品でした。
欲を言えば特殊清掃の辺りももう少し読みたかった。
表題作・モーニングワークは受けの静秋視点。
短編となるセルフィッシュ・コンフェッションは静秋の元彼でクズだった神崎のお話。
レット・イット・ゴーは久野視点の現在と過去のお話。
表題作読了後、これは続きに後日談の話が入っているのかなと思いきや神崎のお話だったのですが…表題作よりもこちらのお話の方が印象深くてですね。
最低すぎるどクズによるどクズのお話なんです。
同情する余地もないようなクズです。後味だって決して良くはない。でもなんだか妙に惹かれるものがある。
本編との繋がりがまた良い味を出しているんですよ。
こちらも好みが分かれそうな短編だと思います。
個人的にはこういうトーンのお話は好みでしたし、寺崎先生の上手さに唸りました。
表題作の萌度的には萌かな…と思いつつ、セルフィッシュ・コンフェッションが良かったので、トータルでこちらの評価になりました。