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めちゃくちゃ好きでした…この二人のキレッキレの夫婦漫才をもっと読みたい、永遠に読んでいられるかもと思いました。ユーモアとエロとハードボイルドがいい感じに混在している極上のエンタメでありながら、人間の業や愛についても描かれているところがとても素晴らしいです。英田先生の描くアウトローって人間臭くて温かいですよね。むしろ、人間臭さにつながるところの義理人情を大切にしてしまうと、アウトローになってしまうのかもしれないとすら思えてしまうのでした。。
美人ヤクザに振り回されるおっさん探偵が最高にキュート!!いい!超高級マンションに住んでるくせに、古ぼけたアパートの汚い寝床に通いつめる天海も負けず劣らずかわいいんですけど、この物騒で厄介な恋人に対して、陣内が捨て身で発動する包容力や優しさから、愛するものをなんとしても守るという覚悟が伝わってきて胸が熱くなってしまいました。普段は圧倒的に優勢な天海が弱くなるときは、二人が出会ったときの立場(刑事と高校生)に戻ってる感じがして、なんだかキュンとしました。結局、陣内って天海の恋人以上に、過去捨てたはずの”良心”そのものなんだなと。
あと、今回脇キャラも魅力的だったんですよね〜〜。我那覇!!!顔がいいど変態ヤクザ、ナイス!!性癖含めてめちゃくちゃ好みのタイプでした〜。もっと活躍が見たかったです。
”いつかその日がくるとしても”、天海視点で語られる年末のふたりの掌編がめちゃジワるんです。”なんでこんなおっさんがいいのか…”って惚れた弱み全開の惚気話。天海がちょっとしおらしいだけでご機嫌になってるおっさんの平凡さすら愛おしい。んでもって、読後のカタルシスを連れてきてくれる最後の一文が、さすがのかっこよさなのです。”ー惚れた男につけられる傷なら、それすらも愛おしく思えるだろう。”
最高。
前作で天海と陣内はまとまったんですが、今回は、二人を取り巻く環境での事件が起こります。
ジョークで陣内にやらせろ!という天海はカワイイ。
メインのお話は天海の母が病床でもう時間がない状態。お見舞いに顔を出してほしいという弟から頼まれた訳ですが、過去の色々から天海は拒否します。。。さらには追い打ちをかけるような母の言葉。
天海が母親のことでかなりダメージを受けていることで陣内は支えになりたいと思うわけですが、天海は自分を痛めつけることを選びます。そして我那覇の元へ行ってしまうんですよね。
そこで言葉にできないようなプレイをされてボロボロになった天海を陣内は怒りを持ちながらも、愛を持って包み込みます。我那覇から、天海がどんな風に乱れていたか、陣内はどんな気持ちで聞いたんだろう。それでも、寄り添える陣内の想いは強いんですね。
いやぁ、英田さんの小説って、芯があるんですよね。愛情が深いのもそうだけど、単なる好きとか愛してるじゃない何か、が描かれていると思うんです。だから、読んでいてグッとくるし、心に刺さっちゃう。
さよならを言う気はないからの続編~天海の弟、泰智が、音信不通の兄(天海)捜しのために陣内の探偵事務所に訪れる。ここから天海の過去の話に遡ります。
前編で、漸く恋人同士になった二人の心の距離が縮まることもなく、しっくりいかない様子、陣内は天海が心配で同棲したいようですが、天海は首を縦には振らない。”ありがとう”という言葉の裏には愛情深い陣内に対する感謝の気持ちと同時に、自分には幸せになる資格はないと言っているように感じました。
泰智の件で、我那覇の所へ話しをつけに行った天海でしたが、我那覇の策略で同伴していた陣内が天海の身代わりに・・・我那覇に暴行を受けている陣内を静観するしかない天海と陣内の心の内、とくに陣内の心中が、私は痛くて、痛くて・・・陣内は天海が強くて一人で生きていけると思っているようだけど、そうじゃない。陣内がいるから何とか踏ん張って生きていられるんだよって、言ってやりたい衝動に駆られました。そして、陣内の”殴られていた俺より、お前(目の前で殴られていた陣内を見ていることしかできなかった天海)の方が(胸が)痛かっただろう”の言葉に胸が詰まり、涙が止まりませんでした。
”傷の痛みから気をそらすためにわざと別の傷をこしらえる”自分への戒め、もはや自分を痛めつけるための罰のようなセックス、一方でセックスでしか自分を解放できない天海が不憫で可哀想でした。愛する人、陣内のためにももっと自分を大切にしてほしいと思う反面、自身の"弱さ"と向き合うことは天海には難しいのかもしれないと。天海の場合、弱さというより、常に自分の罪と向き合って生きているのですが、行き着く先には孤独と刹那な生き方しかない。やはり、その根底にあるのは天海と母親との関係性からの因果で、一生、この呪縛から逃れられそうもない天海がとても切ないのです。
そして、相手によって、場合によっては深愛、慈愛、親切、優しさは諸刃の剣になるときがある。最終的には、天海に進退を選ばせる器の大きい陣内、最初から最後まで男気のあるかっこいい陣内でした。
今作は、本当の意味での”優しさ”とは何かを考えさせられたお話のように感じました。
いつかその日がくるとしても・・・は、彫政ご夫婦や陣内とのほっこりしたお話で和みつつ、エンディングの天海のモノローグは名言、胸が熱くなりました。先生の作品は苦しいと思いながら読んでいても、所々、温かくて笑えるお話を挟んでくださって、とくに天海と那波や賀持との関係性ややりとりが微笑ましかったです。そして、小説を読んだことによって、二人の詳細な心情や描写が理解できて、この作品をより深く知ることができました。ドラマCD、小説とあわせてとても素敵な作品となっています。
重い、重すぎる、、、
キャストから気になり前作から読みましたが、前作でも軽い作品では無かったけれど、父親を殺めた罪を背負いながら、すれ違い、結ばれる、切ないながらもハッピーエンドだったと思います。
ですが今作は続編ですが甘い要素はほぼないと個人的には思いました。
母に捨てられた天海に対して、陣内と弟が綺麗事で向き合わせ、天海の心が固まっていくシーンから切なかったですが、そこからの母親のシーン、、、涙を流さずには要られませんでした、、
家族が出てくるBLは基本重いですが、これはもしかしたら天海に救いが、、と読み手側も思ってしまう分ダメージが大きかったです。
陣内の真っ直ぐさが問題になるのは作中でも大事な部分なのですが、あまりに真っ直ぐな事に苦しむ天海が切なくて、読んでるこっちが辛くなりました、、、
恋人同士のHシーンでの
陣内、言っておくが、俺が自分から望んで足を開く相手は、お前だけだ。そこんとこ、わかってくれよな
という台詞、天海の珍しく素直な可愛らしい本音が見える甘い台詞かと思えましたが、母親のシーンからの大嫌いな我那覇に連絡をするシーンから、、、この台詞を言った天海があの行動を取ってしまうまで天海は心がボロボロになってしまったんだな、と。
また罪を犯して這いつくばりながら上り詰めた兄と、辛いことはあったのかもしれませんが、金持ちの再婚相手にぬくぬくと育てられた弟の対比もなかなかでした、、、
最後も救いがあるのか、ハッピーエンドなのかと言われると、違う気がします。2人は結ばれる、そしてきっと互いを離さない、だが終わりに向かっていく、と、
きっと2人は幸せなんだけれども、幸せな未来は見えない、そんな捉え方をしてしまいました、、メリーバッドエンドですね。
私自身シリアスなBLが好きなこともありますが、御都合主義のハッピーエンドにはならない、どうか幸せになって欲しいと願ってしまう、
読んだ後に胸にジーンと余韻が残り、考えさせられる、名作でした。
個人的に加持と那波がめちゃくちゃ好きです笑
「さよならを言う気はない」がドストライクだったため、非常に楽しみにして読んだ本。期待が大きすぎたのか、読み終えて、あれ、もう終わったの?というやや物足りない印象が先に立ってしまいましたが。
前作、ラストで結ばれた後の続編ということもあって、最初からカップルな二人の、トラブルを乗り越えての甘々、といった流れ。
前作、せつな過ぎる関係がようやく実る、という最後にカタルシスな展開で、非常に印象深かっただけに、続編にもそういう心の動きを求めてしまいますが、こちらは別作品として読んだ方がよさそう。
二人の甘々、丁々発止、というでもなく、割とステレオタイプなストーリーでした。
今作は、天海の弟くんが登場。しかし事件の端緒をもたらしただけで、あまり活躍せず退場。
前作でいい味を出していたヤクザの息子くんも、ちらっと出てくるだけでストーリーには絡まず。
当て馬として出てきた我那覇は、意外に男らしく二人の関係を助けるお役目。
ヤクザと探偵という関係のジレンマで二人に危機が訪れますが、前作よりだいぶ若く幼い印象の天海が最後にデレて一件落着。
まあ、かわいいんですけどね、天海。そしてもっさりオヤジな陣内がいい味なのですが。今回は英田さんお得意のコミカルケンカっぷるな二人をとことん書いて欲しかったなー。
もちろんBL小説全体からすると面白い作品ではあるのですが、やはり二作目の難しさかな、という印象がぬぐえませんでした。