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■二世の息子(表題作)
てっきり2年前の銃撃事件から発覚した宗教問題に着想を得たのだろうと思っていたら後書きでとある洋画が元となったと知り、宗教二世の問題はいろんな国で昔から問題なのだなと認識を改めました。熱烈な信者の息子と宗主の息子。閉鎖的な田舎で皆が1つの宗教を信じている中、信仰の自由を主張することは難しい。大人でも困難なのに、子供なら尚更。それでも運命的な出会いをした2人がすべてを擲つ覚悟で手を取り合って外の世界に行く選択をしたことは、自由を希求する人間の良い描き方だったと思います。天珠のその後も、彼が性行為に楽しみを見出す人間なら別に悲惨ではないし、学人もそれを否定しないなら2人にしか分からない関係を続けていけばいいと思いました。
■夜は未だ明かぬ
表題作は表題作で悪くなかったのですが、BL的に萌えたのはこちらの方でした。こちらも宗教色がありますが仏教で、坊主になりたての若衆が主人公。布施を弾む檀家と寺の腐敗した癒着がなんともやりきれない感情を味わわせてくれました。ひたむきに修行に励んでいるのに腐った環境に置かれている明水が哀れで憤りを感じる一方で、檀家の先生から激しく歪んだ愛情と執着を向けられる彼に萌えも感じました。
そう言えば最近、どこかのレーベルさんで宗教二世BL読んだなあと思いましたけど、こちらのほうが先に発売されてたんですよね。
こちらも教祖様の息子と、その信者の息子のお話。
本編でのえちはなし。
閉鎖的な環境で2人が密かに逢い引きし、惹かれあっていく。
けれど、偶然女子見られてしまい、お互い逢えなくなってしまい、、、
閉鎖的な空間だからこそ起こる特別な感情。
そして、コモトミ先生の繊細な絵が臨場感孕んでいて、最終的なLoveはどこへ着地するのだろうとドキドしました。
というか、まさかのオチにびっくりました。
そういうオチかあ!
個人的には、相川○瀬の「恋心」のPVを思い出しました。(古い世代を生きるまりあげは苦笑)
まあ、恋心のPVのラストとはまた全く違う、衝撃的なその後でしたが、、、
なにしろこの関係性が面白いですよね。
あと、「STAND BY ME」というアイドルグループのお話がすっっごく好きでした。
元気になっていた相手と同じアイドルグループ同士になるってシチュエーション、とてもいいですよね。
そしてえちなしストーリーで魅せる重厚さが、とても良きでした。
【これからは俺が君の味方、俺が君の居場所・・・それじゃダメ?(天珠)】
エロス度★★★★★
おやおや、めちゃくちゃ宗教に雁字搦めたストーリーに頭がパーンって弾けますね。
宗教にどっぷり浸かったり何も疑問に思わずに天珠を神の子として崇拝する村人たちのヤバさがホラーすぎます。
宗教家族の息子・学人が神の子である天珠と密かに逢瀬を重ねるスリル感、そして神の子に恋心を抱いてしまう禁忌や天珠の蠱惑魔的な誘いが素晴らしく、閉鎖的な村で2人の恋はどうなってしまうのかもうハラハラでしたね。
本編や同録作品を含め、モブ攻めがメインというのがまた癖に刺さり、本人たちが幸せであれば愛・・・全ては愛ですね。
読み終えて最初に出てきた感想は「すごいお話を読んでしまった…」という、感動とも恐怖とも違う大きな衝撃。
ド直球なタイトルからも攻めてる感はビッシビシ伝わってきますが、それを裏切らないストーリーでした。
神の子と崇められている天珠と学人が惹かれ合うことは、宗教に塗り固められた"普通ではない"生活の中では禁忌に触れること。
でもふたりを隔てているモノは村での歪んだしきたりだけではないことを知ってしまうと、どこに正しい答えがあるのかわからなくなって、なんとも言えない気持ちにさせられます。
でもそれはモヤモヤするとか腑に落ちないとかではなくて、ずーっと感情を揺さぶられ続けていることで思考が追いついていかない、そんな感覚でした。
妄信的な信者たちが父と呼ぶ教祖だって結局は欲まみれな"人間"でしかない。
神の子もきっと同じでどこにも正解なんてないような気さえしてくるのに、ふたりの恋だけはなぜか美しく映り脱出劇にも魅了されて。
その先にある未来には"普通"の幸せがあるものだと信じずにはいられないくらい、大きな決意に胸を打たれたのでした。
からの、あの結末。
正直ちょっと笑いました、あまりにも人間くさくて。
自由になった天珠の姿とそれを受け入れる学人の冷めた眼差しが忘れられない…。
予想外のラストではありましたが、それが彼らにとって望むモノであったのならば「ハッピーエンド」と言えるのかもしれません。
正しい道はふたりにさえわからない可能性もあったし、そんなストンと落ちるところに落ちない感じがめちゃくちゃ刺さりました。
純愛のようでもあり、歪みきった執着心のようでもあり。
名前を付けるのが難しいふたりの関係にグイグイ引き込まれてしまうような作品でした。本当にすごかった!
あらすじやレビュー、そしてこの作家様自体がずっと気になっていたのですがなかなか電子配信がなくていつ読めるかな~?と思っていた作品です
すごく独特な空気が流れる作品です
独特だし個性的ですが決して読みにくさや難解さは感じません
だからこそこの世界観にズブズブと足を絡め取られていくような感覚で読み進めていけてしまいます
コモトミ先生の絵もまた素敵です
美麗なのですが人間らしさを感じさせるデフォルメが強くないかっこよさと美しさが感じられます
この妙な人間臭さが伝えてくれる生ぬるい温度感が感じられるような表題作
ずっとドキドキしながら読み進めました
隠されている「何か」がずっと分からない感覚と脱出劇のようなドキドキ感が一緒になってクライマックスに向かって走っていく疾走感を感じます
そして最後の最後に走り抜いた先のゴールに度肝を抜かれました(>_<)‼
このゴールは絶対に忘れられない
本当に衝撃的でした
これをBLじゃないのでは?と思うかも知れない方が居てもおかしくない位の衝撃でした
私にはこの2人が自ら選んだ道で少なくとも画面での2人が至極満足そうなのでこの終わり方に感心する気持ちしかありません
読んでみたいなって思っている期間がそこそこ長かったので期待値も高まっていましたがそんな私の期待値を一瞬にして軽く飛び越えた作品でした!
そして同時収録作品にも満足です
過去作もだいぶ気になります!!
今回読んでみてとても良かった作品でした
ただし、ピンクの穏やかな表紙からイメージするような柔らかさは一切ない作品かな、とは思うので誰にでもおすすめは難しい作品ではあるかなとは思います
逆に「作品の持つ強い個性」を探されている方には読んでみて欲しい、そんな作品でした