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愛おしい相手を抱きしめてキスをする。
ただそれだけの描写でこんなにもときめかせてくれるのかと惚れ惚れとしてしまいました。
はー…とため息が出るほどに良かった。
映画をエンドロールまで観終えた時のような、じんわりあとを引く読後感はどちらも同じなのだけれど、先に同時発売の同著者作を読んでいたので印象ががらりと変わり驚きました。
ユニークさは嘘つきギズモ。入りやすさはこちらの作品かなと思います。
カバーイラスト全体の色味も、フォントも少しレトロな映画風で素敵ですよね。
オメガバースにプラスして、見知らぬ誰かの過去が見える不思議なカメラが登場する今作。
この2つの設定が大きく主張をし過ぎず、あくまでも2人の恋とその背後に見える過去のなにかに焦点が当たる、非常に良い塩梅のなくてはならない脇役・添えものとなっているのが上手かったです。
バース性関係なしに2人は流れるように惹かれ合いますが、北川は望月を見ているようで、その奥にある誰かの面影も見ているわけで…
どう見ても想い合っているのに、あと少しで交わりそうなのにと焦らされるもくどくはなく、自分と相手に正直になって真っ直ぐに伝え合う2人の姿がとても好ましかったですね。
前世の切ない恋も、今世のもどかしい恋も、じわじわと色合いを変えながら心地良い萌えを運んできてくれます。
いやあ、素敵な作品でした。好きです。
タモツがあれからどう暮らしたのかももっと読んでみたかったけれど、それだとちょっとページ数が足りないでしょうか。
直接的な性描写がほぼ無い状態で、純粋に好意を伝え合う恋愛の基本の部分に良質な萌えが詰まっています。
読後に見るカバー下イラストもまた良しでした。
試し読みをして、独特の絵柄にちょっと驚きながらも気になって購入。
オメガバースに二人の前世が絡んでくる物語です。
喫茶店で働く青年、望月(Ω)。彼は年季の入った壊れたカメラを時々覗き込むのですが、そこには自分そっくりの男性と、恋心を寄せるカフェ常連客の北川(β)の姿が見えてー
と続くお話。
前世では違いの環境と戦争によって引き裂かれてしまった二人の恋。
それをやり直し、今度こそ幸せにしたいと願う北川と、「(今の自分ではなく)前世の恋の相手を幸せにしたいのでは」と考える望月の間にすれ違いがあったりもするのですが。
終盤、攻め視点の短い話の中で語られる「笑顔の違い」がね…!もう、グッときた。
惹かれたきっかけは前世の記憶からでも、あくまでも「今」の望月のことを愛してるんだなあ。。と。
エッチなシーンがなくとも、全く文句なんてない、自分にとって「神」作でした。
タイトルの回収もロマンチックでとても素敵だった・:*+.
タイトルは自己肯定感に満ち溢れた望月くんの先輩から。彼氏は三木くん。いいキャラだ。
今の自分を受け入れられるか、というテーマを感じました。合ってるかどうかはさておき、テーマを受け取りやすい作品は好きだな。描き下ろし部分もしかり。遠い過去の前世かもしれない人も、少し過去の自分の振る舞いも、そしてそれらが脈々と繋がって今生きる自分も、すべてを受け入れられるか、という。北川さんは「学があれば」を見事に昇華させてます。
保さんの「オレさ…捨てられるかも…」に見る狡さよ。そういう狡さがないから望月くんは幸せになれたのかな。望月がファインダーを覗きつつ憧れていたのが、静夫と保の2人ではないというのが面白い。
カメラと前世とオメガバースと、設定が渋滞気味である。オメガバース要素が使われていないとは言わないが、盛りすぎの感。
それはさておいて静かでありつつ情熱に溢れた良い作品だった。まさにマジックアワーという感じ。マジックアワーつながりで、漫画よりも映画の空気感を持っていたな。映画のポスターのような表紙、洒落たタイトルロゴにも好感。
萌2〜神
カフェ店員の望月と、彼が密かに想いを寄せている常連客の北川とのお話。
オメガバースだけれども第二の性にはあまり左右されないので、過去との不思議な繋がりとふたりの関係性にしっかり目を向けられる展開となっています。
お互いに惹かれ合っているので少しのキッカケですぐに距離は近付いて、何の障害も無く両想いになりそうな雰囲気だったけれどそう簡単にはくっつかず。
でもそこに焦れったさとかは無くて、それぞれ胸に抱えているモノを一緒に解いていく過程にこそ萌えがたくさん詰まっていた気がしました。
前世の記憶を持つ北川は過去の想い人と望月を重ねて見るあまりに"望月自身"に踏み込めず、そして母親の死から前に進めなくなっている望月には人を愛すること自体が大きな壁となっているので北川からの好意をすぐには受け入れられず…。
様々な思いの中で揺れるふたりに苦しくなってしまう部分はたくさんあったけれど、そこから目を逸らさずにしっかり彼らが向き合ったので
その先に待つ結末がより幸せなものに感じられたのでした。
読み終えたあとも静かな余韻に浸りたくなるような、とっても素敵な作品でした。
カフェで働くΩとそのカフェの常連で医師のβとのお話。
なのですが、実はこのお話は前世の2人の恋も関係してくる切ないお話なのです。
最初、Ωが亡くなった母の遺品を整理していたら古いカメラを見つけたのですが、その向こうに幸せそうな家族が見えてしまいます。
常連のβともあの2人のようにいつか寄り添えたら…などと思っていましたが、βと仲を深めていくうちに、そのβに「80年前のことを思い出したのか?? 」尋ねられてしまいます。
思い出せないΩ。
しかしその後、家でカメラを手にした瞬間、そこに見えた映像は、、、
とにかく切ない前世の記憶。
穏やかな家族の記憶は、Ωがβと一緒になれなかったあとで作った家族との記憶。
βだけはもうひとつの記憶を持ってこの世に生まれ変わってきたわけですが、Ωは過去の自分を今の自分と合わせて接してくるβに戸惑いを覚えます。
そしてちょうど、海外事業が決まったβ。
βは前世に囚われることなく、今のΩと始めたいと一言。
前世の影響が強すぎて切なかったけれど、最後には自分の意志でΩのことを好きで、告白するβに最上級のキュンを感じました。
そして実はラストで、Ωとカフェで出会った日、ずっと待ち焦がれていたΩとは笑顔が違っていたことに早々気がついていたオチに、なんともいえない温かさが心のなかに拡がったのは私だけではないはずです。
また、カバー下のイラストはカバーと違って切なくエモくなること間違いなしです!
いや、デビュー作でこれだけエモ作品を投下してくるって凄すぎます。
同時刊行のもう1冊も、随分雰囲気が違いそうですが非常に読むのが楽しみです。