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好きな人と一緒にいられたらそれだけで幸せ
上巻では、高嶺の花である浅桐部長の汚部屋を毎週末掃除しながら、少しずつお互いが居心地のよさを感じ、親しくなっていく様子がじっくりじっくり描かれていました。
上巻最後のアクシデントのような急展開から下巻はスタートし、穏やかだった上巻とはだいぶ趣が異なって、不安になったり避けたり逃げたり落ち込んだり、色々なネガティブな展開になっていきます。
この下巻のネガティブ展開については、二人とも自己肯定感が低いという共通点があるために、どうしても後ろ向きになってしまうんだなとの発見がありました。
巻末書き下ろしの「憂いの王子様」が顕著で、浅桐部長がこのような生い立ちであることに納得できる面もあり、傷の深さを余計に思い知った感じです。
その堂々巡りのネガティブな展開から脱却したのが、部長が青柳くんと向き合おうとして、自分の言葉で気持ちを伝えたことで、それは良かったのですが、青柳くんのお兄さんの唐突な登場が果たして効果的だったのか、もしくはそうではなかったのか、よく分からなくもあります。親孝行という外濠を埋める意味では必要な設定かも知れませんが、そのことで逆に都合が良いという風に思えてしまい。それなら青柳くんが自らの意思でお母さん達と話ができたらよかったのかも。(ただ、この家族問題は無くてもよかったかもしれないです。個人の感想です)
上巻の和やかな二人の空気感をどうやって取り戻すのか注目していたので、少し肩透かし感を覚えたのが残念でした。
離れているとき、青柳くんがずっとめそめそしながらも、あのベランダはどうにかしたかったと悔やんでいたことにちょっと笑ってしまいました。描かれませんでしたが、リビングの片付けのあとはすぐにベランダに手を付けることでしょう。
気になったのは作画で、下巻はところどころ、下書き線のようなコマが散見されたのが残念でした。第6話の浅桐部長のアップのコマとかです(首、シャツの線)。それから上巻では気になりませんでしたが、顔の真ん中を横断する線も多用されていて、おそらく陰だと思うのですが、顔だけに横一線が無造作に書かれていると目立つなあと思いました。
各話のとびらページのイラストはすごく可愛らしくて気に入っています。
読んでいて感情のジェットコースターでした。作品の世界に没頭できる至福の時間に巡り合えた良作です。
こんなにも「神様どうか2人をただ出会えただけで終わらせないで」と、そわそわしたのはいつぶりだろう。青柳君は前世で徳を積んだのではなくて、ちゃんといままでがあったからいまの自分があるのだと思えました。自分とちゃんと向き合あえたからこそ、浅桐とも向き合えたのだと思います。大人になると誰しも過去にトラウマや忘れたくても忘れられないことってあるよね。忘れるとこは出来なくても、半分こにはできます、2人が一緒ならば。出合えて本当に良かったねっていうBLの神髄をしっかり抑えています。心揺さぶられる傑作です。
もっと評価されるべき作品ですし、心に明かりが灯る作品です。だからこそ1つだけ言わせていただきたいのは、商業BLなのでエチ描写をもう少し濃厚にしっかり描いてほしかったな、です。エチが少なくても満足出来る作品はありますが、この作品に関して言えば過去を乗り越えるって意味でもしっかりと描いて欲しい。同性同士ってやはりそこが出来るかどうかが鍵になると思うので、これはもう安心!とカプとして推せるくらいがっつり見せて欲しいし、あわよくばそこから得られる背徳感という萌えがあったらもっと良かったです。
上下巻まとめて読みました。
同性愛者であることを会社に隠し、親にも隠し、自分の恋が報われることはないと諦めている青柳くん。
そんな青柳くんの王子様、浅桐さんにも人に言えない秘密があります。
秘密をお互いに打ち明けあったことから始まった関係は、時に可愛くて、でも切なくて、胸が何度もギュッとギューーーっとなりました。
青柳くんは過去に出会った男性の影響で恋愛に積極的になることができません。
自分を低く見るあまりに、浅桐さんと酔った勢いで身体の関係を持つもなかなかその先に進めないどころか思いもよらぬ展開に発展してしまいます。
浅桐さんも過去の恋愛、自分のことでうまく思いを伝えることができません。
2人とも不器用過ぎて!
2人が気持ちを伝えあったシーンは涙がこぼれました。青柳くんのお兄ちゃんが下巻では登場するのですが、ナイスキャラでした。
青柳くんは全編通してとっても可愛いです。
浅桐さんはどこから見ても王子様、でも中身はすごく可愛いかったり繊細な部分もあって、それがとても良いー!
ここまでなかなか幸せに辿り着けなかった青柳くんが幸せになれたことが本当に嬉しかったです。
巣箱の王子様のタイトルもなるほど、完璧な人が見せる完璧じゃない一面、自分だけが知ってる一面、いいなーと思いました。
ずっと一緒に幸せでいてほしいです。
同性愛者である事を隠しセフレにお金を払って欲求を満たしている青柳。憧れの王子である部長にゲイバレし退職しようとしたら、浅桐部長にも自宅がゴミ屋敷という秘密があって…。誰にも愛される事はないと諦めていた青柳と、もう誰かと愛し合う事はないと諦めていた浅桐。
2人の傷つく事を恐れる気持ちと、それでも更に強く芽生える相手への想い。すれ違いそうになりながらも結ばれて本当に良かった。
それぞれが色んなものを抱えていて、その痛みを癒やし包み合える人の存在は唯一無二。王子の作ってくれたシロツメクサの指輪も、それをドライフラワーにしちゃう青柳君もとにかく可愛くて尊い!
読みながらその優しさにこちらもすっかり包まれてしまった。温かさの余韻。めちゃめちゃ良い作品だ〜!!!
下巻は後半まですれ違っていて、秋平先生の絵のおかげで大分中和されてはいましたが、なかなか辛い展開でしたね。普段相手から好意をたくさんもらっているのに自分では釣り合わないと身を引くキャラが得意ではないのですが、今回の青柳は酔った相手に手を出したという事実があるわけですから、ただの卑屈とは異なります。しかも相手はノンケだし、子供ができずに悩んだ過去を持つ人だし、素面の時にきちんと気持ちを聞いたわけでもなければ、酔っていた時ですら何も言ってもらっていない。青柳からすれば浅桐の気持ちはずっと見えないまま。本当に大好きな人だからこそ、一番勢いで関係を持ちたくなかったでしょう。自らの過ちだと責め続ける青柳に心底同情しました。
一方、せっかく青柳とのことを真剣に考え始めたタイミングで亀裂が入ってしまい、戸惑うばかりの浅桐。彼も気の毒でしたが、やはりこういう時は優しいだけでは進まないし、ノンケの方から気持ちを伝えるしかない。同性愛者の方から伝えたら、まあいっかとその場の雰囲気で流されてしまうノンケもいるでしょうから。今まで何事もふわりと受け止めていた浅桐が、青柳の家を訪ねる行動力を見せ、第三者に青柳を大切な人だと言えるくらい、青柳への強い気持ちを露わにできたその変化が尊いなぁと。浅桐も青柳も、これからは恋人としたいこと、一緒にたくさんの時間を過ごすことに貪欲になってほしいですね。浅桐が初めてコンプレックスを感じずに飾らない自分を晒け出せる相手を見つけられたこと、青柳が初めて好きな人と気持ちが通じる歓びを知れたことが嬉しいです。