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『人魚姫』の一節が引用された印象的な始まり。お伽話のようなモノローグに、ノスタルジックな世界観。美味しいご飯とスローライフ。若く美しい二人の青年に絆が芽生えていく過程を、丁寧に綴った物語。
これだけでもう心を満たしてくれる素敵な作品でした。
が、早々に二人が伴侶となって、これから愛が生まれるという予告もしてくれてるけど、1巻の時点ではドキドキするような恋心は見られません。
BLレーベルではない作品なので当たり前ではあるけれど、BLで定評のある作家さんだし、可愛い恋のお話が見たいな〜という下心をどうしても抱いてしまうので……これからの二人に期待したいという意味を込めての、萌2評価としました。
舞台である「平らな国」のモデルはおそらくデンマーク。言わずと知れたアンデルセンの祖国だし、実際デンマークの国土って平坦なんだそうな。
原初の巨人ユミルの体から大地や海が作られたというのも、おおむね北欧神話のまま。
ただ、「ドロメ」というのは何が元ネタなのかわからず……いろいろ調べてみて、デンマーク語で“夢”とか“願う”という意味の“drømme”かなと勝手に推測しました。
神話とか伝説をもとにした作品って、元ネタを調べてみるのも楽しみのひとつです。
「人魚」はもちろんアンデルセンの『人魚姫』がモチーフ。
人魚姫も悲恋だけど、ヴァンの過去はさらに生々しく悲惨でした。
美しい田園風景とか美味しい食べものとか癒し要素たっぷりの中に、人の世の不条理をそっとくるんで描いているところも、この作品の好きなところです。
イェンスがヴァンに初めてチーズのせパンを振る舞うシーンがすごく良かった。
「泣きながらご飯を食べたことがある人は生きていけます」という某ドラマの名言を何となく思い出しました。
どんなに絶望していても、それでもまだ生きる力がどこかに残っているから食べられるし、食べたらまた生きていく力が生まれる。
そして孤独に生きていたイェンスもまた、誰かに料理を振る舞う幸せを思い出したり。
“生きる”という重いテーマを、やんわりと感じさせてくれるところが好きです。
元人魚のヴァンは声と家族を失い奴隷として働かされる日々。そんな中新月の日にだけやってくる、呪われた島の唯一の島人イェンスと出会い⋯。
これまでの地下先生の作品とは少し違う思いっきり素敵なファンタジーで、人魚姫を下敷きに魔法使いドロメによるイェンスの黄泉還りと島のその後のお話。
初めて2人が出会った時にイェンスが作ってくれたご飯がとても美味しそうなのだけど、その味と温かさが沁みたのは何よりも心が寂しくて冷たくなっていたからだと思う。体と共に胸も温まる。(初回のパンはハイジの山小屋を思い出した!)イェンスが作る料理を見るのも毎回楽しみ。
1人生き残ったイェンスと全てを失ったヴァン、孤独な2人が伴侶となり一緒に小さな幸せを見つけて過ごす毎日が、それはもう尊くてキラキラして眩しい。
人の醜さや愚かさの対極にある優しさと思いやりに溢れる2人は、幸せになるしかないじゃないか〜!まだエチ無しだけど大満足。
いくつか著作を高評価にさせていただいた作家さん。
非BLカテの女性マンガジャンルですが、BL要素はあります。
受け攻め未定で「事情アリの人間x人魚」。
アンデルセン童話の人魚姫をベースに、北欧っぽい設定で独自の世界観を織り交ぜてらっしゃるのは素晴らしいんですが、始祖の巨人がフツーに2度出てきたところで「進○?」と思ってしまったのは私だけではないはず。
(だって「始祖の巨人」でググってもその作品の情報しか出てこない… 元になった神話が知りたいのに… ちなみにそちらの作品も北欧神話をモチーフにされてるそうです)
イヤイヤ、北欧神話に巨人サンは いーーーっぱい出てきますので(wikiでもなんと63項目、つまり少なくとも63人いる)きっとその中の一人なんでしょう。
もしくは進○をご存じなくて、本郷さんの完全オリジナル設定なのかも。
個人的に面白いな~と思ったのが、まず惹かれ合って、その数個先の展開としていきなり二人が「伴侶になる」こと。
好きだのなんだのそういうのはすっとばしです。
もちろんあらすじにある通り、このスピード展開は物語上「必要性がある」ので きちんと理由付けもされているのですが、普段(非BLを含む)BLを読んでて こういう展開が本作ほどすんなり納得できたのは、個人的にかなり珍しいかもしれません。
この説得力というか技量を見せてくださるのは、さすが本郷さんですね。
BLとして、なんの違和感もなかったです。
今後この関係性が愛に変わっていく様子を、読者として共に楽しみませんか。
パンにチーズをのせてとろけさせるやつ、そういや今夜たまたま我が家の献立にドイツパン+チーズが含まれてたー!
えぇ、普段はやらないんですが とろけさせましたよ… ウマかった…
ファンタジー&北欧の要素を多く含むため、特に「夜明けの唄」がお好きな方はハマると思います。
<注意点>
・ふわっとした描写ですが、モブからの無理やり含みます
・BL的な進み具合は遅め
・人魚が男「とも違う」らしいので、ひょっとしたらQやISの可能性アリ?
(Q:魔力でなんかされた? or IS:生まれつき?(胸は真っ平です、ご安心を))
雌雄同体の魚もいますからひょっとして…?あくまで憶測です。
・素晴らしき飯テロ作品です
北欧神話でいうところの「原初の巨人」だそうです。
道理で「始祖の巨人」でググっても出てこないはずだ…
レビューで詳しく書いてくださった方、ありがとうございます~
非blではありますが、主人公ふたりはとある理由により伴侶の関係です。
清いです。
人魚のヴァン、ほんとうのほんとうにあの人魚でした。人魚姫のごとく声を失い愛しい人に会いに行き、そっこうで拒絶されるという悲しすぎる人魚。
もう海には戻れない、助かる方法もない、ただ人間の世界で消費されて生きている。哀れです。
そこに不思議な青年イェンスが現れます。
ヴァンも元人魚というビックリ設定ですがそれに輪をかけてイェンスもすごい。
イェンスの島も不思議だし、イェンス自身も不思議が過ぎます。
不思議に不思議が重なっていますが2人のお話は日常。作物を育てて、魚をつって料理をする。
料理のシーンがとても丁寧で料理お好きなんだろうなぁ…と思わずにはいられないです。
丁寧な暮らし、というよりは2人の生活を丁寧に描いている作品です。まだイェンスの気持ちは同情からくるものに見えますが、愛に変わっていくのは自然に思えます。
時間をかけて関係性を育む展開を期待します。
