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表題作小夜時雨の宿

南方修司
大学生,死別した恋人の弟
飯島佳史
高校教師,ぼんやり系でお人好し先生

あらすじ

長年付き合っていた恋人に一方的に別れを告げられて一年が経った。ある日飯島佳史は、元恋人の病死を彼の弟・南方修司から聞かされる。悲しみと後悔に暮れる佳史。そのあげく追い討ちをかけるように「病気だと聞かされて兄貴の元から逃げたんだろう?」と鋭く責め立てられ、憎しみの余りか陵辱されてしまう。何も知らされていなかった佳史は修司の誤解に戸惑いを隠せず…?
出版社より

作品情報

作品名
小夜時雨の宿
著者
水原とほる 
イラスト
夏珂 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784877249120
3.2

(24)

(2)

萌々

(8)

(9)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
73
評価数
24
平均
3.2 / 5
神率
8.3%

レビュー投稿数9

兄の面影がある弟

佳史は、6年間愛し合って付き合っていた恋人・雄司に一方的に別れを告げられた。一年後に恋人の弟・修司が突然現れ、雄司が病死したを伝えられました。
強引な肉体関係から、どんどん修司という存在は自分の孤独を満たされる存在に気がついてた佳史が、修司に愛という感情が生まれました。

受けの佳史に感情移入し過ぎて、読み始めたら止まらなかった。
恋人の雄司への想い、修司への戸惑い、佳史自分自身の孤独、憂鬱な心境、悲しみ、痛み、葛藤、全編にわたって溢れました。

修司は昔から佳史が好きだから、強引な行動より最初から素直に自分の気持ちを伝えればいいじゃない?と思ったが、傲慢、強引な攻め、それに痛いHシーンは、より健気な受けを浮き上がらせる効果もあるし、水原とほる先生の雰囲気には不可欠だ。
かなり萌えました。良かったと思います。

雄司も修司も愛している佳史。
雄司には温かく穏やかな恋をに対して、修司には熱く麻薬のように激しい恋、2つの感情が違ったが、
「修司を愛していこう。きっと雄司以上に愛していけるはず。なぜなら、修司の胸の中にはいつも雄司がいるから。その存在も含めて佳史は修司を愛していこうと思う。」(本文より)
結局、佳史はこの2つ感情を混ぜて、雄司と修司の愛情を一身に受けていた。
雄司との望みだった幸せは、きっと修司と共に叶います。

0

弟の心情が丸わかりなのだが…

2008年刊。
生涯添い遂げようと思っていた相手からの一方的な別れを受け入れてしまい、くよくよした日々を過ごしている佳史。
しかしその相手、修司が余命幾ばくもないのを隠して別れを切り出したという真相を知ったのは、既に彼が亡くなってからとなる。
真実を知り悲しむ佳史に、佳史から勝手に別れたと誤解している弟・雄司は彼を責め立てた末に強引に組み敷くのだった。

今回の話は攻めキャラとなる佳史の亡き恋人の弟・雄司の心境が丸わかりだったので彼に感情移入気味となった。
恐らく兄の生前から佳史の事が好きだったのだろう事は早々に気がつく。

佳史の中では、元恋人・修司ってのは別れた真相も相まって余計に美化されているのだろう。
遺された佳史も、雄司からみて未亡人のような年上の優しい美人ときたら、さぞかしクラリときそうな色香があるんだろうな。
好きな相手は目の前にいるのに、兄の心情を汲み取って彼の家族に秘密にしたまま、”一生の恋人”と心を決められるとなると切ないだろう…

…と、察する気持ちは多々あるが、兄の遺言を盾にストーカーのように迫って強引に身体の関係に持ち込んでいい訳がない!!
兄ちゃんも『佳史を頼む』なんて遺言を遺して絶対に後悔しているだろーな…なんて思ってしまった。
雄司も大いに葛藤しているのだなと汲み取れるのだが、そこに至るまでは身勝手な男としか映らない。

佳史もなぁ、自身の生徒にまで告白されても毅然と出来ない様子を読んで、拒めない優しい性格が裏目に出ているのが歯痒かった。

終盤は少し強引に綺麗な方向に持っていったなという気もするが、すれでも穏やかな方向に話が収まったのは水原さんの力量なのだろうね。
読み終えると改めて、小説タイトルの絶妙さに感じ入った。

0

反撃力乏しい柳腰の美人受

電子版。
挿絵入り
あとがき無し。

水原とほるさんの、初期作品はやくざから受ける凌辱ものが多いそう、
この作品は、華奢で健気で中性的な儚げ美人の飯島佳史が、兄弟から深く愛される話。

6年愛し合った恋人、雄司から、ある日突然離別を告げられる。
過去に異性と浮気があった彼、
きっと彼は言えない事情があるだろうと、理由も確認せず受け入れ、独りで泣き続ける。
一年後、突然恋人の弟、南方修司が来て、恋人の病死と最期の言葉を告げる。
その日から、恋人の弟から理不尽な凌辱が続く。

弟の耳元で告げた兄の最期の言葉は「佳史を頼む」・・兄は不器用な弟の気持ちを知っていた。
母の邪魔を乗り越えて、弟は相愛関係に漕ぎつける
長い間片思いをした人から新しい思い出を作ろうと言われて、落涙する弟。

普通ならストーカーとして通報して当たり前の凌辱の連続を何故耐え続けるのか
・・少し不自然な設定の恋物語だったけど、共依存ってそういうものかも。

この物語の隠れた主人公は、亡くなった兄だと思う。

0

碧雲

柳腰・・間違った使い方しています。修正できないので、恥ずかしい。

それぞれの想い

タイトルに惹かれて。Kindle版を購入。

恋人に突然別れを告げられた佳史とその元恋人の弟修司のおはなし。
かなり切ないお話です。後半涙が止まりませんでした(T_T)

約6年も付き合っていた恋人に突然別れを告げられ縋ることも出来ず1年経った今でもひきづっている佳史。
ある日その元恋人雄司の弟修司が訪ねてくる。そして修司が亡くなったと教えられ衝撃を受ける。
そんな佳史に修司はなぜ兄を見捨てたと言って責め立て、そして強引に佳史を抱いたのだった。
それ以降修司は佳史につきまとい…

想いのまだ断ち切れない元恋人の死を知らされその弟にはレイプされてしまうという衝撃。気持ちを傷つけられかなり読んでいて心が痛くなります。
でも読み進めていくうちに修司の気持ちも見え隠れして切ないです。

このふたりが一緒にいるのは禁忌に近いのかもしれませんが、でも雄司の死をふたりが乗り越えるには必要なことだったのかもしれません。
そしてその時間が佳史がまた新たに人を想うようになれた時間。修司が兄の死とそれまでの想いを浄化させる時間。

いろいろな問題を乗り越えてやっとふたりの想いかひとつになったかに思えたのに、佳史は修司の前から姿を消してしまいます。
雄司も修司も家族から奪えない。そう思って離れたのです。
ああやっとふたりの気持が一緒になったのにと切なくて切なくて。

でも修司は迎えに来ます。
自分が幸せになるのに悲しむ人がいるのは嫌だと言う佳史。だけれど、修司は何があっても守ると何もかも背負わないでと。

両親にしてみれば息子ふたりとも男性に取られてしまうというのは辛いでしょう。
だけれど、人の気持ちは止められないのです。

本当に親が願うのは子供が幸せになること。理解は出来なくともきっとそう願ってくれるからこのふたりは幸せになれるでしょう。
と、思いたいです。とても切なかったので。祈りを込めて。

ラスト、佳史と雄司との思い出の宿にまた行こうと言う修司に、あそこじゃない別のところへ行って修司との思い出を作りたいと言う佳史。
それを聞いて修司が涙をひとすじ流すところがとても印象的でした。

4

死別した恋人の弟と

佳史には付き合っている男・雄司がいました。
しかしいきなり別れを告げられ、その1年後、雄司の弟・修司が飯島のもとへやってきて雄司の死を伝えにきます。

最初は弟の修司の行動が謎でした。
佳史を兄を捨てた奴だと憎んでいるのかと思えば、兄に「佳史を頼む」と言われたからといって兄の代わりになろうとしたり。
最後にはちゃんとわかるんですけどね*
恋人の弟と関係を持つということで、兄に申し訳ないんじゃと思ったんですが、最後は綺麗にハッピーエンドに終わって良かったと思います。
タイトルの『小雨時雨の宿』は雄司と佳史の思い出の場所であって、佳史と修司の思い出の場所でもある、話のキーポイントとなる場所ですね。
とても切なかったです。

挿絵の夏珂先生のイラストがすごく合っていると思いました(^_^)
修司がすごいかっこよかったw

2

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