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仮面を剥がされた怜史は!? “プライス”シリーズ番外編!
前作が非常に面白かったので、こちらの本を読む前にパラパラとめくってみた時点では「やっぱり前作の勝ちだな」とか思ってたのですが、読んでみたらこちらも非常に面白かったです。
前作でようやくくっついた怜史と威彦。
一応、恋人関係にはなったものの素直にそれを表現できなのが怜史の性格。
少しずつ少しずつこの恋に振り回されていくようになり、怜史はどうしたら平静を取り戻せるかと考え始め…。
個人的に、ラブストーリーはくっつくまでの過程が好きなんですよね。
くっついてからはイチャラブな日常とかのお話が多かったりするので。
ですが、この2人は違う。
というか、とりあえずは「恋人」という形におさまっていたけれど、その関係に身も心も全てを委ねてしまえていたか、といえば怜史は違っていて。
どこかでそうして威彦に傾き頼りすぎてしまうことに怯えているような。
そうして頼りすぎていつか呆れられるんじゃないか。
いつか見捨てられるんじゃないか。
そういう不安がぐるぐると渦巻いていきます。
しかし、そこでその不安を簡単に見せてしまえるような性格ではないのが怜史。
どうしても強がってしまう、上手く甘えられないような、男としてのプライドのようなものがあって。
そんな自分の性格さえ見捨てられる要因になりうるとわかっているのに、なかなか変わってはいけない。
そんな中で擦れ違いが重なってギクシャクして。
それでも素直になれなくてヒドイ言葉をぶつけて、距離を置いて。
そうして別れを告げる怜史の根幹にあるのが傷付けることしかできないから離れるという、威彦を想っての行動であることでどれだけ怜史が威彦を大切に想っているかが知れる。
そのどれほどに大切に怜史が想っているかというのはちゃんと威彦にもわかっていて。
大切なものから手離していく怜史の性格を理解してくれているのがなんだかとても嬉しく思えました。
ラストの方でも「わざと弱いところを見せる必要はない。ちゃんとわかってる」って言ってたのがとても印象的でした。
今回は読者のリクエストもあったそうで威彦視点の場面もあって。
そこではどれだけ威彦が怜史に夢中かというのも知れて。
互いが互いに本当は夢中で。
ただちょっと素直になれなかったりする怜史だったり。
大人の余裕を見せたかったりする威彦だったり。
威彦が嫉妬することを素直に喜ぶ怜史もかわいくて印象的でした。
そして。
普段はなかなか素直になれない怜史ですが。
ベッドの中ではちょっと勝手が違うようです(笑)
いや、最初は素直になれなかったりもするんだけど、普段に比べたら早い段階で素直になったり。
なかなか可愛く喘いでくれるのですよ。
自ら誘って見せたりね(←威彦の命令?ですが)
こういうの読んでるとホントCD化してー!!!と思わずにはいられません。
だって、怜史は神谷くんなんですからッ!
ものすっごく聞いてみたいです。
あとは。
今回2人のキューピッドになってくれたとも言える国領。
怜史との恋は叶いませんでしたが、イイ子なだけにこの子のスピンオフとかもあったらいいのになぁ。
和泉先生の百貨店をテーマにした「プライス」シリーズから派生した作品です。
「プライス」で主人公だった瀧口尚也の六歳年上の兄・怜史と、従兄弟の一宮威彦がカップルです。
怜史は百貨店もかかえる東都グループの次男。
容姿端麗・頭脳明晰な上に努力家で、弟の尚也をはじめ、後輩の國領誠一にも限りなく尊敬されています。
今までの婦人靴売り場から急に部署が変わり、紳士服売り場へと転属したのですが、そこでも持ち前の努力と分析能力とでめきめきと実力を発揮していきます。
一方の威彦は、前衛芸術家。ロンドンにアトリエを構える新進気鋭の彫刻家で、人気はうなぎのぼりです。
無精ひげが似合う、ちょっとワイルド風味のお兄さんで、口調もちょっと怖い感じ。
でも本当はとても純粋で純情なんです。
少年のころに出会った怜史の思い出を大切に心に温めています。
二人はいつしか一緒になったのですが、どちらかというと威彦が一方的。
怜史はいつも翻弄されていて、自分の体が目当てではないのかという疑念も抱いてしまいます。そしてもついに、しばらく距離を置こうといってしまいます。
ロンドンからのアトリエ移転が忙しく、なかなか連絡が取れない威彦。
同僚が麻薬疑惑で逮捕されたりというトラブルに見舞われます。
一方の怜史も急なアメリカ出張が入って、二人は離れ離れに!
なにかと忙しい二人の誤解は解けるのか?
そして、威彦と怜史の秘められた欲望は…?
オトナ味の楽しいストーリーになっています。
なかなか会えない恋人同士ってやっぱり切ないですよね。
同時収録は桐生・尚也のカップルの楽しい小品「あふれる愛のプライス」です。