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表題作薔薇色じゃない

阿久津慧一
大学生→大手食品会社勤務、20歳〜35歳
水野光流
大学生→フードスタイリスト、20歳〜35歳

同時収録作品薔薇色じゃない

早坂
カメラマン
水野光流
フードスタイリスト

その他の収録作品

  • 16年目
  • 17年目
  • あとがき

あらすじ

二十歳で出会い、同棲から始まった平凡で満ち足りた関係は、社会に出てもずっと続くと思っていた──
25歳になり、念願のフードスタイリストのアシスタントとして修業の日々を送っていた水野。恋人の阿久津の誕生日を手料理で祝うはずが、すれ違いから喧嘩になり、一方的に別れを告げられてしまう。「二度とあんな恋はしたくない」──ところが一年後、偶然の再会をきっかけに、再び友人同士として恋愛とも友情ともつかない関係をつづけることに…!?
人生の分岐点で一度は別れを選んだ男たちが、15年の時を重ねて辿り着いた愛の最終形‼

作品情報

作品名
薔薇色じゃない
著者
凪良ゆう 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011610

ちるちる評価ランキング

6

4.5

(38)

(27)

萌々

(8)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
172
評価数
38
平均
4.5 / 5
神率
71.1%

レビュー投稿数11

巧みな心理描写が素晴らしい

作者様買いです。
先生の作品は、発狂してしまうくらいの恋愛の苦しさ、揺れ、迷い、毎回読みながら、その心情の描写が素晴らしくて、大好きです。

以下、盛大なネタバレ含みます。


本作品、攻めの阿久津の別れ方があまりにもひどすぎて、最初はどうにも許せなかったのですが、そのひどい別れを告げられた時の水野の絶望感があまりにもリアルで、息が詰まるように苦しくて、ほんとに切なかった。
味覚がおかしくなるほど精神的に打ちのめされた水野がかわいそうだった。

そこから9年、偶然の再会などありつかず離れずの関係を続けていた2人。
勝手知ったる間柄であるが故の居心地の良さ、未練、友人関係。
いつバランスを失ってもおかしくない、ギリギリバランスを保っている関係。
終わったことは受け入れているはずなのに、出てくる未練。
人生には白黒はっきり色付けできない部分がつきもので。

紆余曲折を経て、阿久津に復縁を求められた際に、断る水野。
自分のことを許せなかった?と阿久津に聞かれた水野が、ずっと好きだったと言うところがもうもう、猛烈に切なくて。
同時に、別れた時の水野の心の痛みの大きさも、再認識した。
9年も引きずっていたと自覚し、その事実にまた絶望。

阿久津の評価が自分の中では最低でしたが、最後にやっと盛り返してくれました。

料理は愛だと思います。水野の作る料理はとても美味しそうです。
その愛に報いるように、料理を頑張ってみた阿久津。
阿久津の作る暴走気味で、遊び心が加味され過ぎて、どんどんおかしな方向にいっている料理に笑ってしまった。
また阿久津の水野に対する愛情と、決意を形にして、残そうとした阿久津、頑張りました。
水野が幸せでよかったです。

素晴らしい心理描写、心に沁みました。

2

タイミングが良いのか悪いのか

凪良ゆう先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
擦れ違い 4
不器用 3
エロ 1
な感じだと思います。

阿久津さん×水野さんのカプです。

20歳の時に出会った阿久津さんと水野さん。相性の良さから自然と惹かれ合い、同棲も始まり、2人の関係はずっと続くと思われたが…。

今作は新装版とのことですが、旧版の方は未読となります。

攻めの阿久津さんと受けの水野さん、年齢を重ねながら、それぞれの視点で物語りが書かれていき、最初の出会いは20歳。それから同棲し、阿久津は会社員、水野さんはフードスタイリストのアシスタントとなり、時には喧嘩もするけど、それでも上手くやっていた。それでも色々な思いや擦れ違いが重なり、阿久津さんの25歳の誕生日の時に別れてしまいます。

しかし、その後も再会し、お互いに秘めた思いを抱きながらも相手のパートナーの存在などから、表面上は友人関係を続けていきます。でもやっぱりお互いの言動に意識してしまう。そんな2人の15年の歳月を経ての復縁ものなのですが、やっぱり物語り終盤でやっと復縁するので、それまでの間のやり取りは阿久津さんに奥さんがいたり、水野さんも新しい恋人が出来たりと、色々とモダモダモヤモヤしてしまいました。

阿久津さんも水野さんも、良くも悪くもタイミングが重なって、別れてしまったり、再会しても相手にパートナーがいたり、相性の良さだけではどうしようもない、もどかしさに終始萌えを感じることは出来なかったですね。阿久津さんと水野さんの擦れ違いもですが、阿久津さんと奥さんの擦れ違い描写などもあるので、読んでいて少ししんどくなってしまいました。

阿久津さんと水野さんはゲイでしたが、女性同士でも異性愛者でも、恋愛というものはタイミングの良し悪しに左右されてしまうのかな、と色々と考えさせられるリアルな心理描写や人間関係、恋愛模様など、読んでみては如何ですか。

3

余韻に浸ってます

新装版になった事を機に初めて読みました。
良かった。
良かった…
15年かかってたどり着く、阿久津と水野の恋愛のお話。
読みながら、過去の自分とリンクするところも合って苦しくなったりしましたが。

2人の二十代から四十代に至るまでの、生きていく思い、いろんな選択肢を決めなきゃならない辛さ。
私もまあまあな年頃になった今に、この作品に出会って良かったと思いました。
阿久津の心情にたびたび登場する、標識のイメージがなんともつらい。自分自身を見えない何かが俯瞰して、問いかけするのは過去の行動を審査する自分自身でも有り…
観念的な謎なぞみたいな事を書いてしまいましたが、誰しもあるよなぁ。あの時の選択を違ったものにしていたら、と思う事はありますもんね。
とはいっても、過去の選択肢の結果で、今の自分が成立してるんですが。

読み終わって、美味しい料理と、作る人、食べる人、食べるものを調えること大事にしなきゃなあと、ちょっと反省しました。
水野と「才」の大将の作る料理の、とてもとても美味しそうな事ときたら…
阿久津のお母さんが、亡くなって、阿久津の実家の団地の台所で、しっかり出汁をとって丁寧に料理を作る水野。2人で美味しく食べて、ただ団地の部屋に布団を敷いて、話しながら眠る。
ここ、泣きました。
たくさん、印象的な場面は有って、じっくり読んで良かったなぁとしみじみ感じています。余韻に浸りたい。

そして、やっぱり私は現代に生きる人の話が、好きなんだなあと再確認しました。
また読み返します。
円陣闇丸先生のイラストも、めちゃくちゃ素敵でした。
マカダミアナッツのアイスクリームが食べたくなる衝動に駆られますね!

4

恋の成就はいつも簡単ではなくて

今回は大手食品会社の会社員とフードスタイリストのお話です。

大学在学中に出会て同棲から破局した2人が
紆余曲折を経て再び相手のものとなる顛末と番外編2話を収録。

受様が攻様と出会ったのは
大学2年で参加したゲイが多く集まるクラブイベントで
先に声をかけてきたのも攻様でした。

大学4年の初秋、
攻様は大手食品会社の内定をもらいますが
フードスタイリストを目指す受様は狙っていた
プロのアシスタント募集に全落しまいます。

内定をもらった友人達は
夢を追いかけた青春の終わりを愚痴りつつも
堅実な就職を勧められますが

攻様だけは今からの方向転換では良い内定は取れないし
学生のうちの同棲は言い出せなかったけれど
就職が決まったから一緒に住んで諸々折半できるから
やりたいようにやってみろよと言ってくれるのです。

受様の料理の才能を信じるという攻様を頼り
大学卒業を機に同棲生活をスタートさせ
受様はバイトをしながらアシスタントの空きを
待つことにします。

就職した攻様は忙しく
バイトで次巻的に融通がきく受様は家事を引き受け
攻様が生活費を多く負担する生活は順調でしたが

受様が念願のフードスタイリストのアシスタントになり
師匠について定時や定休のない日々を送り始めると
2人の生活はすれ違っていき

攻様の誕生日に受様が約束を守れなかった事で
起こった喧嘩が発端で攻様は別れを切り出し
受様の恋は終焉を迎えるのです。

しかも2年後に仕事の依頼で再会した攻様は
結婚していて・・・

フードコーディネーターとして活躍する受様と
食品会社に就職した攻様の恋物語です♪

初出の新書も再録された特典類もGETしていて
全て改めての読み直しになりましたが

2人の悩みやすれ違いは
平成から令和と年号が変わった今でも
身近で起こりうる出来事ですよね。

本作は受視点、攻視点で展開する事で
それぞれの言動の理由は本人と読者とは明白ですが

相手にはその真意も真相も見えないままで進むために
必ずしもベストではない選択しとなり
"薔薇色じゃない"展開にハラハラさせられ

恋仲から始まる2人が選んで進む未来は
恋仲になっていく顛末を目指す恋バナとは
また違った面白さ、楽しさを感じさせてくれる物語です。

同棲していた時には
アシスタントして働き始めた受様が
降り積もっていく不満を口にしていたら
母子家庭で育った攻様が
母を安心させたいと結婚を選ばなかったら

たらればの世界の奇跡は起こらず
受様も攻様もお互い以外の人と恋をしようとしても
上手くいきません。

それでも積み重ねてきた日々は忘れられない人が
傍にいてくれる未来を取り戻すための経験となり
布石となっていく展開になり

2人がまたともにいる未来を選択するまで
大変楽しく読ませて頂きました (^-^)/

主出の奈良先生のイラストもとても素敵でしたが
円陣先生のイラストもとても素敵で大満足な1冊でした♡

3

No Title

大好きな作家さんの作品です。
旧版も読んでいますが、新版も読みました。

大学生だった二十歳で出会い、同棲から始まった平凡で満ち足りた関係をおくってきた、大手食品会社勤務の阿久津慧一と、フードスタイリストの水野光流との物語です。

学生だったときと、生活はかわってきているものの、じっくりと愛を育んできたふたりが、しっかりと描かれてるのが、よかったです。

人生の分岐点で一度は別れを選んだ男たちが、15年の時を重ねてだした結末が描かれていて、興味深くよむことができました。

人々の心理描写が、しっかりと描かれていて、とても読みごたえがありました。

また、こういうBL作品をかいてほしい作家さんです。

1

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