Renta!限定描き下ろし付き
「ロング・ディスタンス・ロマンス」こちらの下巻に収録されていました。
地続きで二人の話が読めてよかった。
彼女がいてもしっくり来てなくて、彼女の望む付き合いをしてあげようとするも結局関係を進められずに別れることになった寛太。
一番落ち着けるのが同じ性癖を持っていると分かっている清でした。
周囲の反応や悪気なく傷つけてしまう言葉かけ、親の反応など、それぞれがリアルで寛太と一緒に胸が苦しくなるようでした。
普通にできない自分、期待に応えられない自分への悩み、そして閉塞感…
絶妙に描かれている田舎の風景や人間関係と相まって居場所のない辛さが胸に突き刺さりました。
清と寛太が正式に付き合うまでは描かれておらず、その余白を残した描き方も素晴らしいのですが、寛太の成長や二人の得た結末など、そこまで見届けたかった気がします。
下巻、ノンちゃんと寛太が別れてようやく物語が動き出した感じ。
周囲はゲイへの偏見で無神経なことを言い、主人公たちを傷つけますが、こういうことってあるよねと他人事には思えず。気をつけなければとなりました。
寛太はいい子でいなければと我慢してきた。清もか。これもセクシャリティに関係なくたいていの人は思ってきたことではないかと。
親が思ういい子と自分自身…この折り合いが難しい。そこを丁寧に描かれていました。
むしろそれが主題ではと思うほどです。
寛太が唯一心を許せる相手となった清に懐くのがかわいらしく。
父親に初めて反抗した寛太を庇う清がやっとかっこよく見えました。
終盤、相手に認められ、自身を認めることかでき、2人ともいい顔になっていました。
ここに辿り着くまでのお話。
認めてもらい受け入れてもらえることの大切さですね。
『ロング・ディスタンス・ロマンス』過去編。
読んでいる途中も、読み終わった直後も、「読まないほうがよかった」と感じていました。
それは、この作品があまりに精細に"生きづらさ"を描写しているからです。
私自身の記憶、頭の隅に佇んでいたもの.....
そんなあれこれが、読めば読むほどにリンクして掘り返されるような感じでした。
でも、読み終わってしばらく経ってくると「読めてよかったな」と思い始めていました。
これは本当に不思議で、小骨の存在を思い出してしまったはずなのに、ただ痛みを感じるだけではなくなっていたんです。
物語の力、というものなのだと思います。
「ロング・ディスタンス・ロマンス」大好きだったので、この2人のお話が読めて嬉しいです。
2人の葛藤や家族、取り巻く環境等を上下巻でたっぷりゆったりと堪能しました。
寛太の覚悟にて終了でしたが、清の覚悟も見たい…もう少し2人の物語が読みたいなぁ…と思いました。
下巻の最後に「ロング・ディスタンス・ロマンス」が収録されていますので、未読の方にも嬉しい今作品です。
未読の方(いるのか分かりませんが…)は、どちらからが…と考えましたが、私的には「ロング・ディスタンス・ロマンス」の方を先に読む事をオススメしたいかな…うわぁ〜この2人イイなっ!!て思うので。
そこから、今作を一気に読める幸せがあります。
上巻から引き続き。
自分の恋愛対象が同性であることを自覚しながらも
彼女のために必死に耐え続ける寛太が息苦しい…。
にもかかわらず、いざ寛太に誘いを拒まれてしまうとあっさりと
寛太の友人に乗り換えた彼女と寛太よりも彼女をとってしまう友人たち、
周囲の薄情さに反吐が出た。
さらに清と一緒にいるところを見られた寛太は学内でゲイであると噂され、
父親からは“男らしく”あることを望まれ、寛太の置かれた境遇が
しんどすぎて胸が押しつぶされそうになりました。
そんな寛太にとって地元の誰よりも付き合いは短いのに寛太の気持ちを理解し、
同性愛者であることを打ち明けても持ち前の明るさと適当さで肯定してくれた
清の存在は唯一の救いでした。
だからこそ、家でも学校でもどんどん居場所がなくなってゆく寛太が
清に惹かれることは必然だったのだと思います。
後半では学校と家での重圧に耐えきれず、家を飛び出した寛太でしたが、
そんな寛太を庇って連れ出してくれた清が思わず男前でした。
今まで泥酔しては吐き散らかすばかりのダメな大人だったくせに、
このギャップはずるい…。
まだこの時点では恋人でもないし、(清側は)恋心も芽生えていないし、
だけど、寛太を連れ出してくれる清との初ドライブは愛の逃避行みたいで
ぐっときちゃいました。
そして、ラストで明かされた清の秘密。
冒頭を振り返って、ああ、そうだったんだ…と。
全てを知った上で寛太が清に懐いていたのだったら、
清が寛太を救ってくれたように、寛太もまた清を救っていたんだな、と。
「お前は全然間違ってないよ」と言ってありがとうと微笑む清に
なんだか涙腺がぶるぶるしてしまいそうでした。
「俺が清を幸せにしてやんないと」と恋に意気込む寛太に対して、
清が寛太に対しての恋心が芽生えるのはまだもう少し先のお話かな?
本編完結後は時系列的には後日談だけど、
本来のオリジナルともいえる
『ロング・ディスタンス・ロマンス』が収録されています。
元々はこの単話に一読み惚れして読み始めた過去編でしたが、
今回単行本に収録されたことで過去と未来の物語を
一つのストーリーとして読むことができてよかったです。
いつか『ロング・ディスタンス・ロマンス』後の二人のお話も読んでみたいなぁ。
