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小説
貫井ひつじ先生が描く不憫受け作品は、もうすっかりお馴染みとなったものですが、ここにきてまさかの不憫攻めとカップリングさせてしまうとは。
主人公2人の身に置かれた境遇に、思わず涙がホロリ…。涙なしに読むことができませんでした。
この主人公2人ですが、攻めのヴァレンティレは第二王子、受けのミルカは公爵家次男。やんごとなき出自としては貴族会でも花形中の花形で、通常なら煌びやかな世界で生きる立場の存在です、
それがどうでしょう。
ヴァレンティレは魔力が強すぎて、長い間側に人を置くことが出来ない最強の騎士。膨大な魔力のせいで母である王妃を殺したと噂されている孤独な王子です。
ミルカの方は、逆に魔力がありません。そのことで家族にも愛されず、使用人からも蔑まれて独りぼっちで生きてきた苦労人。物語冒頭から、公爵家を絶縁されて追い出されてしまうなど、これでもかとミルカを不幸に追いやる描写は落ち込みどころ満載ですが、貫井ひつじ先生のこれまでの作品を読んできた私からすると、よしよし始まったぞ、と逆にフフフ…( ̄∀ ̄) 主人公の不幸の始まりが2人の幸せの始まりの予兆になるのが、貫井先生のスタイルなのです。
ドン底まで落とし切ったところから、幸せへの階段を駆け上がっていくのが、このストーリーの醍醐味。ミルカやヴァレンティレの傷ついた心がどれだけ癒されていくのか、愛を知った彼らがどう心を通わせていくのか、そんことを頭の中で妄想しながら読むのが本当に楽しかったです。
貫井先生はネガティブな生い立ちや状況に対してちゃんとそれ相応の、いや。それ以上の幸せエッセンスを用意してくれているので、可哀想なシーンがあったとしても安心して作品に身を委ねられるのが良いですね^ ^
しかも今作品は攻め側まで孤独な環境で生きてきたとあってか、2人に向ける応援の気持ちもいつもより気合い入りました(笑)
魔力の有無に対しては、片や0で片や100で対極にあるスペックの2人だけど、孤独感を抱えながら生きてきたところはすごくよく似ており、惹かれるべくして惹かれ合ったことをすごく実感できることでしょう。
ミルカが魔力がゼロならヴァレンティレが分け与えればいい。
0と100を足して2人で半分こすれば50なわけで、お互いそれぞれの力を補い合って丁度いいバランスを保っていけるのが理想の関係だと思います。魔力放出で暴走しがちなヴァレンティレを嗜める役回りとしてミルカ以上の適任者はいないですし、生い立ち的にも理解し合えるところの相性の良さは唯一無二だと思います。
少し気性の荒いヴァレンティレにはミルカの癒しパワーでクールダウンしてもらわねばなりませんしね(笑)
周囲の人たちから敬遠されてきたせいか、どちらも対面でのやりとりが苦手で、恋愛的にはウブ同士なのが何気にホッコリ。不器用なヴァレンティレも、天然で無垢なミルカも、どちらも恋に向き合い始めた辿々しさにキュンときてしまいました。
ミルカの兄の悪態にはウゲェ…でしたが、最後はバッサリとご退場頂く成敗劇も楽しいのでぜひ最後までお見届け下さい^ ^
2人の恋愛の話だけのストーリーじゃなく、家族とは何かに気付かされるメッセージがたくさん含まれていた作品だったと思います。
私としては電子おまけのストーリーをぜひ読んで欲しい。これをなぜ本編に入れないのかが不思議で仕方ありません。
ヴァレンティレの気持ちを代弁したミルカの気丈な態度がカッコよく、その1つ1つのセリフが素晴らしくて、大感動でした!
好きな作家さんの作品です。この作家さんは、「かわいそうな受」を描くのが上手だとおもいますが、この作品は、「攻」も、かわいそうなかんじでした。
「赤騎士」と呼ばれる第二王子と、魔法が使えない貴族令息とのお話ですが、どちらも、かわいそうな背景をもっていて、このふたりが、幸せになれるのか、ドキドキしながら、よみすすめました。
ふたりが、じっくりと、確実に恋を実らせる様子が、丁寧に描かれていて、とてもおもしろいとおもいました。
読後感のいいお話だとおもいます。
不憫な受と、不憫な攻なのですが、2人とも淡々と静かに穏やかに生きている感じなので悲壮感は少く、安心して読めました。
受のミルカが、父の死後遺言で縁切りを明言されたのがストーリーの始まり。縁切り後の処遇についても決められていて、攻であるヴァレンティレの元に嫁ぐ事になるのです。
ヴァレンティレは、王妃殺しの噂のある第二王子で、その魔力の強さから人と長時間過ごすことができないのです。ミルカは魔力がないために家族や使用人たちから冷遇されていたという、家族や身近な人に縁のなかった2人が、互いを大事にしあっていく様子が良かったです。2人が不憫であるからこそ、2人の恋の様子が尊い!幸せになってほしいと思えます。
あと、2人に欠かせないリィネという鳥さんが愛らしかった。こんな「先輩」羨ましい!
今回は第二王子と公爵家次男のお話です。
父の死で公爵家を除名された受様が王命にて
婚約した攻様の傍らで幸せになるまで。
古より人は魔力を使って暮らしを向上させてきたため
魔力とは神が人に与えた恩寵と言われ
貴族達は魔力の弱い者達を神の恩寵を受け損ねた者として
蔑んでいました。
受様は名門公爵家の次男ながら魔力無しで生まれ
父公爵は関心を向けられず、母は兄のみを溺愛し
親族には影口と軽蔑の視線を受けて生きてきます。
病を患った父公爵は死期を悟ると
死後の予定を緻密に指示して亡くなり
葬儀から10日後に遺言状が公開されます。
公開された遺言にて受様は貴族籍から除名され
放逐された身柄は国王預かりとされ
王城の離宮に連れていかれると
秘書官から第二王子の婚約者に任ずる旨の身分証と
第二王子のへ渡す紹介状を渡されて
北の地に向かわされてしまうのです Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
この第二王子が今回の攻様です♪
攻様は生まれつき膨大な魔力を持ち
隣国との戦いに12才から参戦し
成人を迎えると最北端の地ウェンラフィの
領主に任命されますが
髪色にちなんだ赤騎士という異名は
王都では王妃殺しの呪われた赤騎士という
蔑称として用いられていました。
攻様は長く領地で暮らしているため
受様は1月後には雪と氷覆われた北のちに着きますが
辿り着いた屋敷には火の気も人の気配もありません。
受様は勝手に屋敷内を歩き回る事もできず
受様は来客用らしき椅子に座って行儀は悪いながらも
長靴を脱いで膝を抱えて丸まります。
果たして受様は攻様に受け入れられるのか!?
強すぎる魔力で他者と長く接せない攻様と
魔力がない受様の王宮ファンタジーです♪
玄関に立派な暖炉があっても魔力のない受様には使えず
震えながら公爵家で何の役目も果たせなかったから
婚約者として精一杯の努力をしようと考えますが
小鳥の声と「死ぬつもりか」という怒鳴り声を聞きながら
受様の意識がふっつりと途切れてしまいます。
声の主である攻様はそんな受様に暖を取らせるものの
婚約者として頑張ると受様が行っても送り返そうとしますが
攻様の傍にいると呼吸困難に陥るはずな受様が
影響を受けなていない事で考えを変えるのです。
受視点が主軸ですが攻視点も入って進み
それぞれの思いが見えて展開するため
受様には見えない攻様の裏側が見えて楽しいです。
他人とは違う体質である事で不遇な人生を歩いてきた2人が
夫々に対して少しづつ心を寄せていく様子に加えて
受様側の実父の過去の恋や妻に対する復讐と
攻様側の国王や兄王子の思惑が複雑に絡まって進み
思わぬ展開が続いてハラハラ&ドキドキ
受様が攻様の唯一となるまで
たいへん楽しく読ませて頂きました。
イメージとしては高星先生の美麗なキャラよりも
かなりほわほわ系な雰囲気の受様でした (^-^)v
「狼殿下」シリーズが大好きな、貫井ひつじ先生の新刊!
発売日を心待ちにしていました☺︎
不遇な攻め・受けの運命やいかに…、と
ハラハラしながら見守るファンタジー、
謎解き部分など、ストーリーに読み応えあり。
…なのですが、ちょっと今回は萌え度的に
物足りなく思ってしまうところがあったかも、、
「萌2」か?「萌」か?
と、悩みに悩んで、、今回は「萌」で。
「狼殿下〜」のような、切なさの中にも糖度200%!なお話を
(勝手に)期待していたところ、
少しそのイメージとは違ったかな、、?と感じました。
というのも。
まず、物語的に割と暗め&シリアス(だと自分には感じられました)。
主役2人が愛し合う描写などは甘さが漂うのですが、
シリアスな雰囲気の配分が、ちょっと自分には
重かったかな..と;
また、不憫攻め×不憫受け、二人の愛が徐々に育まれていく様子を
もう少しじっくり読みたかったな、という思いもあり。
そして受け・ミルカを立場的にも精神的にも追い込んだ
実の父親への、怒り…!
これが自分の中で、最後までうまく昇華できませんでした、、;
「赤騎士」と呼ばれる第二王子×魔法が使えない貴族令息というカプ。
攻め・ヴァレンティレはその強すぎる魔力ゆえ、
人々は一定時間を超えて彼の周りにいると
呼吸ができなくなり、倒れてしまう。
そのため人々から恐れられ、遠巻きにされ、
王子でありながら雪深い地の領主として
孤独に暮らしている人物です。
一方の受け・ミルカ。
彼は貴族の中で唯一”魔力を持たない者”として生まれ、
そのことから公爵家の中でも誰にも愛されず、
父が亡くなった際にはなんと絶縁・貴族籍からも除名され、
ヴァレンティレの婚約者として彼の元へ赴くよう指示されます。
そうしてヴァレンティレの館へとやってきたミルカ。
今まで自分を訪ねてきた”婚約者希望”の面々のように、
自分のそばにいることで倒れてしまうだろうー
そんなヴァレンティレの予想に反し、
なんとミルカはまったく彼の影響を受けないことが判明しー!?
と続く、絆され愛ファンタジーです。
なぜ、ミルカにはヴァレンティレの魔力の影響が
出ないのか?
という点に関しては割とシンプルに
「こうかな?」と予想できたのですが、
その他のミステリー、謎解き部分は詳しく読むまで
事情が分からず、どういうことなんだろう?と
グイグイ引き込まれてページを捲りました。
ヴァレンティレの母・王妃にまつわる真相や
国王・王太子が揃ってミルカとの結婚”だけ”はだめだ、と
反対する理由など、後半〜終盤にかけて明かされていく事実には
そうか、なるほど!と納得。
ここから一体どうやって、
ミルカとの結婚を認めさせるんだろう?と
思っていたら。
ミルカが兄に襲われた際、怒りで暴走したヴァレンティレを
唯一止めることができたのがミルカだったー
このことが、二人を名実ともに”運命の伴侶”と認めさせる
鍵になるのですね。
このあたり、ミステリーやハラハラドキドキ展開が好きな自分には
グッとくる展開でした◎
二人のラブ面については、中盤以降、
愛に目覚めたヴァレンティレの「ミルカは俺が守る!」という
気概が特に顕著で、頬が緩むニヤけポイントだなあ、と。
その力ゆえ、誰とも近しい距離で触れ合えず、
孤独に苛まれてきたヴァレンティレに
初めて寄り添ってきた存在。
(眠る時に無意識に抱きついてくるミルカ、可愛いのです..)
そんな可愛い子、どうしたって好きにならずにはいられないよね...!
本人たちの預かり知らぬところから始まった
”婚約”関係から、互いに絆され唯一無二と思える関係になるまで。
この部分、甘い部分をもっともっとください〜!
と、恋が育ってゆく過程をたっぷり
見たかったなー..なんて、我儘ですが思ってしまったところでした;
そしてやっぱり、ミルカの父がなあ…
亡くなってしまった人物に何を言っても仕方ないのですが、
愛せなかったにしても、
全く大切に思っていなかったわけではない(と思われる)息子に対し
あの手紙の一文…
と、果たしてお家を断絶させるという
極端なことまでする必要はあったのか?
不貞を働いた妻と、その息子を追い出すだけでは
だめだったのか?
と、その点読後どうしても
モヤっとしたものが残ってしまいました;
大好きな先生の作品に、なんだか辛口ですみません、、
物語としての面白さと、「萌え」という部分を
総合的に自分の中で考えると、”星3つ”という意味合いで
こちらの評価となりました。