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小説
この作品ね、すごく面白いんです。
でも残念なことに、設定の良さを生かしきれていない。いや、作者さん自身がこの作品の魅力自体に気付いていないだけなのかも知れない。
だからこそすごく惜しいと思ったのが読後の感想です。
ストーリーとしては、サクッとふんわりとです。
そこのところ突き詰めて話を広げた方が面白いのにな、あそこの部分もっと詳しく言及したら物語が深まるのにな。ツッコミどころがある箇所もいくつかあって、なぜそこを放置するんだろうかと意味不明なシーンもありました。
トンズラこいた兄のアレックス所在をそのままにしたのは何故なんでしょう。クリスはジェームズの親族側にずっとアレックスだと認識されたままで幸せだと言えるのでしょうか?
アレックスとてどこぞやの王族のせがれと駆け落ちもどきで一緒になっているのだから、クリスがアレックスの名を語ったまま王妃として結婚生活を送っていると、いつかどこかの時点で整合性がとれなくなってボロが出ると思うのですが……。
ハッピーエンドのような、ハッピーエンドじゃないような、正直微妙でした。
クリスの実父には少々イラッとくるものがあるし、クリスも何だかんだで物分かりが良すぎて話がストレートに上手くいきすぎです。
兄の身代わりとして第三王子に嫁ぐのだ→分かりました
……いやいや、そうじゃないでしょ。
これまでの生活が一転するんだから、そこは戸惑いや葛藤があったりして、ちょっとは迷うところでしょう。
悪名高い兄の代わりに嫁いで、夫のジェームズや後宮の使用人たちに嫌われてまくるクリス。持ち前の我慢張り屋さんと、聡明さで、アレックスの悪評を塗り替えていくところはワクワクしました。ですが、足りません!
クリスに冷たい態度をとっていたジェームズや、周囲の皆に対する見返し展開はもっとあっても良いと思いました。
夫のジェームズに対してはですが、最初の頃の最悪な態度が軟化していくのは王道ルートでめっちゃ面白かったです。
しかし、あまりにも急すぎてちょっと置いてけぼりくらった感じかな。束縛野郎になった変わり身の早さには、もう少し段階を踏んで欲しかったです。でもまあ、派手に束縛執着やっちゃってくれてエンタメ性は抜群でした(笑)
とりあえずトンズラ兄への制裁と、クリスが身代わりであったことの真相暴露はマストだったと思います。クリスがこれからも兄の尻拭いをしなきゃならないなんて、不憫すぎませんか。
兄は迷惑しかかけてないのに、何も痛手を負ってないのがわたし的にモヤッとでした。
ジェームズの溺愛執着束縛男っぷりにもイマイチ萌えきれなかったし、もう少しクリスに対する好意が徐々に高まっていく心理描写を丁寧に描いて欲しかったです。
おそらく、これで完結だと思われますが、後日談…または未来の絵姿としての続きの構想が作者さんの頭の中にあれば、ぜひ。
スッキリとした読後感を味わって、2人の幸せな姿を見届けたいです^ ^