遺作撮ってよ 俺の

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表題作君を見送る

柳柊平
行方不明中の人気俳優
望月藍
29歳、塾講師

その他の収録作品

  • 柳柊平の強さの秘密

あらすじ

地方で塾講師をしながら地味に日々を過ごす望月藍の前に、
かつて同じ大学の映画部に所属していた柳柊平が現れた。
学生時代から周りを惹きつけ、今や人気俳優となった柊平。
だが、藍の前に現れた男は、都会で消費され尽くし、疲れ果てていた。
全ての仕事を投げ出してきた柊平は、
俳優の自分を葬るための遺作を藍に撮ってほしいと言い……

探しに行こう。
彷徨える魂の消失地点を──

作品情報

作品名
君を見送る
著者
緒川千世 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
発売日
電子発売日
ISBN
9784813034490
4.3

(41)

(23)

萌々

(11)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
176
評価数
41
平均
4.3 / 5
神率
56.1%

レビュー投稿数9

人の生き様としての物語として

映像のように綺麗な画面とモノローグ。
一本の映画を観たような感覚になる作品。
なんと言えばいいのだろう、うまく言えないけれど緒川先生の世界観、でした。

四季を辿り、旅の中で、
空っぽになった一人の男が徐々に生気を帯びてくる様子に胸を打たれました。
そして傍らで支える健気で一途な受けの愛情も。

片想いの切なさに満ちていて、途中まで二人の関係がどう行き着くのか読めず少しハラハラしました。

攻めの図太さや強さ、生命力が随所に感じられ、芸能界で成功する人って、こういう強靭な精神力があるんだろうなと思わされ、それでも消費し尽くされ人間として空っぽになってしまうのが怖い世界だなぁと。

受けは一匹狼でブレなくて不器用で…その内面は美しいけど、やはり映像の世界に進まなくて正解かもしれない。
一度は仕事を辞めて(!)攻めに付いていって、色々のち二人共に生き生きと過ごしていたし、周りとの人間関係も良好で彼自身とても魅力的だったけれど…
また"生きていく最低限の収入 程々の人間関係"の生活に戻ってしまい、攻めの帰りを待つ日々で大丈夫かな?

とても映画的で素敵な物語と構成だったと思うのですが、この二人のこれからの関係性が少し心配があるのと、出来上がった(出来上がってない)映画をどこにも出さないのが少し残念でした。
でも攻めの俳優人生としては発表してもメリットはないのかもな…。

BL的な萌えなどよりも、人の生き様としての物語として良かったと思います。(心配はあるけど。←しつこい)

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なんだか癒された

長年の自分でもそこまで意識していなかった片思いと、学生時代の夢。
夢と恋で揺れるというより、どちらも四季の流れとともに静かにけれど確実に実っていく様な優しい物語でした。

久々の緒川先生のお話、嬉しかったです。
最後に書かれていましたが先生自身も故郷で暮らす時間も今は多くなったらしく、このような自然や人生を見つめ直すような、優しい救済の物語を作られたのかなと思いました。

就職して塾講師をしている藍と人気俳優で現在失踪中の柊平。
二人は大学時代同じ映画部で藍が撮って、柊平が撮られる側だった過去があり、二人が偶然に出会うところから物語が始まります。

一本の映画を撮る過程で、恋愛というよりはお互いの傷や悩みを慰め合う関係から、日々を共にして知らなかった一面を見たり、今までのことを話してりして愛になっていくような少し大人な話でした。

そして、四季の風景がとても綺麗だし、出てくる人たちの温かさと距離感が心地よかったです。
二人の魂も徐々に息を吹き返し、柊平が現実に対しても目を背けずに進む姿も良かった。

受けの藍も可愛くて魅力的なキャラクターでした。


私は最近色々疲れていて、推しがテーマのものとか、所謂流行りのテーマを避けがちで。いつも読んでいたものが読めず、まあとにかく癒しを求めているような感じだったんです。
でもそんな中、こちらの作品を読んで、紅葉が始まっていることや、冬になり風が強いことなど、いつもの風景を見つめることがでいました。
何がそうさせたのかはわからないけれど、この作品に助けられたことは確かです。

年齢を重ねるにつれて、好みの作品が変わったり自分の考え方も変わって行ったりするけれど、まずはそんな自分の状態を受け入れられることが、心の健やかさであり、これからも趣味を楽しんでいけるポイントなのかもな〜などと、考えました。

話も、コンパクトだし、読む方それぞれがいろんなことを思える素晴らしい作品だと思いました。

おすすめです。

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先生ワールド全開

さすが先生
唯一無二の世界観をお持ちで…
まず印象に残ったセリフが
「俺の形を変えてくれ」
これ、攻めに言わせるのズルくないですか……
しかもエッッの最中に言うんですよ…???
セリフだけみたら受けに言わせてると思うのが普通の(???)腐女子だと思うんですけど、これは自分自身を見失った攻めの心の叫びなんですよ…
ここがあまりにも良くて、もうこの時点で先生最高ってなりました
世間の評価と裏腹に空っぽになってしまった攻めと、過去に置いてきた映像の世界にまた引きずり込まれた受け
互いの過去の精算の行方は…

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あぁ…好き…

春から冬、季節の移りと共にワンシーンごと切り取ってひとつの映画を作っていく。
今作は超人気俳優でありながら映画の撮影から逃げてきたSHU(柊平)と、大学の映画研究で一緒だった藍のお話。
1冊丸ごと使って、まるで映画の撮影シーンを傍で見せてもらっているような感覚になりました。

俳優という仕事で外側だけを見られる事に疲れて逃げてきた柊平は、藍の前に現れ自分の『遺作』を作って欲しいと頼みます。
誰も知らない東北で老夫婦が営む宿で住み込みで働くようになった2人。
時には身体を重ねるその様子は、穏やかなようでいて限られた時間の中での逃避行のように見え、切なさも感じます。
ラストシーンだけが2人の意見が合わないまま、マネージャーにも居場所が見つかり、最後のラストチャンスでの撮影。

舞台が東北、という事もあり藍が話す言葉の重さを感じます。
冒頭、振り返らない柊平に胸が苦しくなり、果たして2人がとる映画、そして2人の結末はどうなってしまうのか…とハラハラしましたが「ここからがスタート」と思わせてくれる明るい読後感で読んでいてほっとしました。いやぁ、こういうじんわりするお話好きだなぁ!!

緒川先生の描くエロシーン、接合部が見えるわけではないのですが表情ですごくえちえちに感じます!!

ほとんど見えませんが白塗り

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前作より好きだが、モヤモヤもあり

大学時代同じ映画部だった藍と柳。
柳は華やかで目立つ存在で、ポートフォリオを作って業界に売り込みたいので映画を撮ってくれないかと藍に頼む。
その映画は小さな賞を獲り柳はスカウトされ、大学を辞めて芸能界へ。
その後10年音信不通。
華々しく羽ばたいた柳は人気を得て活躍したのだが、消費され尽くして疲れ果て、空っぽになって藍の元に帰ってきた。
目に光はなく、あの頃の拙いながらの輝きも失ってしまった柳は、俺をまた撮ってくれと言う───。
帯に「遺作撮ってよ俺の」「終わりのための逃避行」とあったので、余命が近いのかな?と思っていたんですが、なるほどそういうことかと思いました。

『青葉杜の幽霊』の撮影の合間のワンシーンで柳と藍の顔が近くてキスしそうな距離だったコマはありましたが、したわけではなかったし、そういう関係だった描写はなくて、同じサークルのカメラマンと演者としての関係性しか見せられていないのに、再会後流れるように寝ていたことに取り残されてしまいました。
ゲイとかバイとかそれらしい情報も特にないので、余計に男同士で流れるように寝るということに違和感を感じてしまって。

逃避としてのセックス…男女ならそういうこともあるかもと思うんですが、男同士となるとノーマルではそんな逃避の仕方は選ばないし浮かばない気がする。
柳は『青葉杜の幽霊』の時の顔の距離の詰め方があったのと傷心で慰めがほしいのかもしれないという点でまだ分かる…のだけど、藍は?
『青葉杜の幽霊』は人物(柳)を魅力的に撮れていたけど、その後は人間に興味がないのが伝わってくる映像しか撮れなくなっているらしいことから、藍が柳に興味があったというのは分かる。
でもそれで=好きとは私は汲み取れなかったです。

柳いわく、周りと協調せず一匹狼的な藍が柳を見る時は瞳が揺らぐらしく、それを見て「俺は行ける」と確信していたみたいなんですが、もう少し説明以外の部分でそれらを感じ取りたかったなぁと思います。
あと、この場合の「俺は行ける」って、押せば藍のことを落とせるという意味か、自分に魅力があると思わせてもらえて役者として行けると思えたという意味かどちらで取ればいいんだろう?

最後の方までこんな感想でもやもやしていたんですが、最後の最後に柳が撮った藍の映像が出てきて、そこにいる藍の表情からは藍の気持ちが伝わってきました。
そして、柳もその顔に唆られるのだとあります。
ということは学生時代から互いに密かに気があったということかと、ピースが繋がっていきはしたのですが…。
あの映像にインパクトを残すために気持ちの描写はあえてラストまで触れない構成にされたのかもしれないんですが(もしくは「カメラの前では嘘はつけない」というあの台詞を生かしたかったのかもしれない…)、読みながら状況に取り残されてしまい気持ちよく読めなかったもやもやは残ってしまい。
前半中盤は情報足らずだったというのが私の感想です。

あと気になってしまったのは映像といいながら写真用カメラに見える物を構えているところ。
最初は写真を撮っているのかと勘違いしてしまいました。
私が無知なだけだったら申し訳ないんですが、こんなカメラにしか見えないビデオカメラがあるの???ともやもや…。
動画撮影できるデジカメもありますが、コンクールに出したり遺作として残すような作品を撮るには簡易的すぎる気がするし。

余談ですが、緒川先生は長年大好きな先生だったのですが前作『vs.LOVE』が全く合わず、次回作で考えようと不安に思う気持ちがありましたが、ひとまず前作より好きでした。
でも萌えたかというと…中立に近いかも。
前作より上の評価にしたかったので萌としました。
また緒川先生との点と線が合致する日がくるといいな…。

アニメイト特典リーフレット→蚊の話
紙修正→局部の線は片側だけや下方だけなど部分的に描写してある感じ。

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