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表題作最悪

有堂京一
元恋人、実業家
橘英彦
エリートビジネスマン

その他の収録作品

  • 悪運
  • 運命

あらすじ

橘英彦は、同期の中でも異例のスピードで出世を果たしたエリートサラリーマン。その英彦が出張先で不本意ながらも再開してしまったのは、数年前に三くだり半を叩きつけた元恋人・有堂だった。傲岸不遜で厚かましくて無神経で、そしてどうしても忘れられない男ー。別れた時と全く変わっていない有堂に、英彦は再び振り回され⁈ 書き下ろし短編も収録‼︎

作品情報

作品名
最悪
著者
ひちわゆか 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344815810
4.3

(45)

(29)

萌々

(7)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
190
評価数
45
平均
4.3 / 5
神率
64.4%

レビュー投稿数15

最高でした

いやーーーーbl小説って、というかblっていいですね、と再確認させてくれた一冊でした。
めちゃくちゃ面白い。

理不尽なように見えて受けにゾッコンな男前(男臭い)攻め×クールに見えて同じく攻めにゾッコンな男前(美人系)受け
って感じで、最高でした。
相手のことをとことん愛してるだけじゃなくて、相手に対する憧れ、そこに付随するプライドのぶつかり合いなど、出来る男2人ならではの恋愛や葛藤が描かれていて兎に角面白かった。
特に攻めの有堂がいいですね。ダメなところもあるけど、兎に角人を惹きつけてやまない魅力溢れる男前。野生みまであって、とあるセリフで思わずカッコいい!と声が出てしまいました。
先生ならではの軽快で読みやすく、だけどどこか色っぽい文章とあいまって、ページを捲る手が止まりませんでした。
(紙だと90ページ弱となっていたけれど、電子だと200ページ以上ある体感でした。紙だと二段組になってるのだろうか?)

とにかくおすすめな一冊でした!

0

男としての矜持を懸けて

時々読み返している、お気に入りの作品のひとつ。
豪快でがさつな性格なのに、本気で受けに怒られると弱い俺様攻めと、強気でキレると何するかわからない、毒舌な美人受け。

ふたりの付き合いは大学生の時から。同棲までしてた恋人同士だったにも関わらず、一度は別れてしまう。その理由は、有堂のだらしなさと不遜さに英彦が愛想を尽かしたということだったが、当時必死で就職活動をしていた英彦は、学生起業家としてすでに活躍していた有堂に、ひそかに男としてコンプレックスを抱いており、それが苦しかったらしい。
そうして一方的に別れを告げた四年後、英彦は順調にキャリアアップし、ひょんなことから有堂と再会する。で、焼け木杭に火が点く、という展開に。

お互いにまだ相手に未練があるというのは自覚しつつも、気持ちがすれ違ってしまうふたり。
仕事で大変な想いをしたとしても、有堂はそれを英彦には言わない。そのせいで英彦を怒らせることになっても、惚れた男の前ではいつも、男としてカッコつけていたいというプライドの高さ。そうやって見栄を張るくせに、また英彦に捨てられたと思ったときには、本気で落ち込んでうなだれてるのが可哀想で可愛い。
このカップル、受けが一方的に振り回されるばかりではなく、ふたりがそれぞれのプライドを懸けてぶつかり合うっていう構図なのが、対等な男同士の愛という感じですごく好み。こんなにざっくりした性格なのに、英彦に出ていかれてからの四年間、有堂が誰とも肉体関係を持っていなくて、自分の右手だけが恋人だったというエピソードもキュンとした。
英彦目線で、英彦に感情移入して読んでいたはずなのに、最後の方は、もうあんまり有堂をいじめないでやってくれ、なんて思ってしまう。

書き下ろしの「運命」もいい。初めて会った時、受けがものを食べる姿を見て攻めはムラムラしてたけど、本編で受け目線でのその時の回想シーンがあるので、つまりは最初からお互いに一目惚れだったのかとわかる。
でもって、プライドの高いツン受けが嫉妬するのって、なんでこんなに萌えるのか。オチはいつものキッツイ英彦とだらしない有堂で、十年も経ってるのに喧嘩するほど仲がよくて、もう夫婦みたい。

2

腐れ縁

積み本をせっせと消化してて引き当てた作品。ひちわゆか先生、初めて読みました。こういうお話、好きだなぁ。一気読み!

新装版なので改稿されている部分もあるのかと思いますが、読者を引き込む物語の構成が上手いと思うし、書き下ろしの攻め視点で二人が出会った頃を知ることができたのも満足です。

学生時代に付き合っていた有堂と橘。有堂は学生起業家で成功を収めるほどの手腕と器を持つ豪放磊落なタイプで、橘は真面目でコツコツと努力を積み重ねていく几帳面なタイプ。二人は一時同棲していたけれども、潔癖症気味で綺麗好きの橘にとって、有堂のフリーダムさ加減には我慢の限界が…。食べたら食べっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなし、風呂は長風呂で床もマットもびっちゃびちゃ、愛煙家で灰皿は常に山盛り、所々焼け焦げを作り、風呂でもタバコを吸う始末。玄関の扉を開けたら廊下に裏返しののまま放置された靴下が目に入る毎日にブチっときた橘は、ついに有堂との別れを決める。そして数年後。

二人は追ったり追われたりという関係ではなく、縁あって何度も再会してしまうんですね。そのきっかけをもたらしてくれるのが毎度「仕事絡み」なのが男らしいっていうか。

橘は有堂に憧れと嫉妬心を抱いていて、惚れている男と自分を比べて卑下してしまう悔しい気持ちなんかあいつにわかるわけない、ムキーッ!って逃げるんです。でも有堂は有堂で、彼なりに橘のことを思っていて、ずーっと彼を待ってたりして…。橘が追いつけないと思っていた相手は、橘の前でしか虚勢を張れなかっただなんて…ごちそうさまです。

恋仲にある男同士らしい関係性を楽しみたいならオススメしたい。キングサイズ、いや規格外の男を乗りこなせるのは、エロ可愛いくって忍耐強い、世話女房でしたとさ。あ、下ネタではないですよ?(笑)

4

男×男の世界観に惚れ惚れ

エリートサラリーマンの英彦(受け)と、大学時代からの腐れ縁で実業家の有堂(攻め)とのめくるめくガチンコ対決を描いたコメディタッチの作品。
コミカルなだけでなく社会人ものとしてのリアルさもあり、上質な恋愛ドラマに仕上がっています。

タイトルの「最悪」とは、攻めの有堂京一のこと。
毎回連絡もなしに英彦の家に上がり込んでは服を脱ぎ散らかし、平然と手料理を要求し、強引に身体を求めてくる…
そんな傲慢極まりない男ですが、自身の才覚を活かし実業家として活躍する大物でもあり、英彦は学生時代から彼にコンプレックスを抱いています。

エリートコースに乗った人生を歩む英彦ですが、所詮一介の雇われ社員であり、有堂のように身一つで未知の業界に飛び込んでいくような度胸はなく。
セレブ育ちで何かと環境にも恵まれている有堂へのやっかみや、有堂自身の傲慢な性格に対する反発心もあり、有堂を毛嫌いしています。

こんな二人ですが、英彦に執着する有堂のことをなんだかんだ英彦も無下にできず、仕事のことでも何かとフォローしてもらい、毎回何となくいい雰囲気に…という展開。
有堂に黙って引越したり、夜逃げしたりと金にモノを言わせたダイナミックな嫌がらせを仕掛ける英彦ですが、それで有堂が傷ついた反応を見せると結局罪悪感を抱いてしまうあたり人が良いと思います。

有堂は有堂で、英彦に黙って姿を消したかと思えば気まぐれに戻って来たりと、かなり自由奔放。

有堂のキャラクターがあまりに傍若無人すぎて、ともすると英彦が世話女房のような役どころになってしまいそうですが、そうなっていないのが本書の面白いところ。
前述のように、英彦は英彦で有堂にイタズラするし、自身の仕事に対しては真摯に頑張っているし、時にはヤケになって暴走して有堂にフォローされたりもするしで、ただ有堂に振り回されるだけの美人受けになっていないところが良いバランスです。

絡みの描写は長めのものもあれば端的にサラッと流されているものもあり、後者の方が想像力を掻き立てられ色っぽく感じました。

巻末の有堂視点の番外編では、有堂も英彦に結構振り回されていることが分かり、意外な包容力に萌。
有堂の視点を通して英彦の可愛さも伝わってきました。

評価とは関係ありませんが、一つ残念だったのは、電子書籍の仕様なのか一つ一つの場面やエピソードの区切りが分かり辛い点。
話の内容自体は良いだけに、ぶつ切り感が残念でした。

甘さには欠けますが、男同士ならではの一触即発っぽい雰囲気に独特の色気や緊張感があり、かなり好みな一冊。
男前×男前カプがお好きな方にオススメしたい作品です。

1

Krovopizza

snowblackさま、こんにちは。
コメありがとうございます!

『最悪』、名作ですよね。
ひちわゆかさんの作品の中でも特に好きな一冊です。
そして、こうしたカップルや世界観の作品に石原理さんの挿絵は最高にハマりますね。
残念ながらRenta!では挿絵がありませんでしたが(;^ω^)

収録作は「最悪」「悪運」「運命(文庫版書き下ろし)」の三つで、電子書籍のオマケは特にありませんでした。

手に入らなかった方達も是非!と、私からもオススメしたいです☆

snowblack

Krovopizzaさま、こんにちは。
ひちわゆかさんと石原理さんという、ゴールデンコンビ(個人的には)の名作ですね。
古い作品ですが、是非こういうカップルや世界観がお好きな方には手に取って頂きたい作品なので、レビューを拝見して嬉しくなって書き込ませて頂きます。
私は紙本で読みましたが、電子書籍になっているということですので(何か、オマケもありますか?)、手に入らなかった方達も是非!

買って損しなかった再録本

今更ですけど、レビュー載せ忘れてたもので…(^_^;)

思わぬ場所で再会…から始まる、英彦と有堂の関係は、石原イラスト効果もあって、
微かに黒鵙をも思わせる 巻き込まれ型クールビューティーの話、とでも云うか・・・
軽妙なコメディタッチの等身大社会人描写が、身近なリアリティでストーリーを支えていて、かつHシーンの色っぽさも際立たせてると思うお話です。

はた迷惑な豪快男・有堂は、理想的な攻め様ではないでしょうが、
素直で育ちの良い英彦が、ある意味憧れて止まない男性像であり、一種のカリスマ性を持ったキャラクターです。

二人のセリフが、どこまでも小気味よく、性別不明(というかBL的女体化・お子さま化)に陥ってないのが、何より好みです。
再会の後、疲れて眠りかけほろ酔いの英彦が有堂に問いかけるシーン、象徴的ですね。

 「……おまえ、そんなにおれが好きか?」
 「さあな。云いたくねえな。どうせ目ぇ覚ましたら覚えてないんだろ」
 「云え」
  ベッドに腰かけた有堂は舌打ちし、英彦の上にがばっと覆い被さると、囁いた。
  羽根布団を口もとまで引き上げて、英彦は満足そうにうっとり、笑った。
 「ザマみろだ……」

ひちわ作品では個人的に一押し!で、
初版のノベルズ版は、膨大なBL蔵書の中でも(笑)長年上位ランクしている話でしたので、文庫化では、書下ろしを楽しみに購入し、現在も手近な本棚にラインナップ中。
初の攻め視点で二人の出逢いを披露され大満足! 買った甲斐ある1冊でした。

著者にも思い入れある作品で短編のエピソードを絞るのに苦心されたらしいコメントがあったので、是非是非っもっと書いて下さい!!と、今でもお願いしたい。
ここに来て出してきた新キャラ・崔も気になるクセ者で続編への期待は十分です。

3

痛快、トムとジェリーのような2人

主人公カップル2人のからみがユーモラスで痛快で、何回も読み返すお気に入りの話になりました。

マイペースで超ずうずうしい有堂(攻)と、がみがみ嫁タイプの英彦(受)。
2人とも周りが引くほど極端な言動で、トムとジェリーのような、互いに替わりはないという破れ鍋綴じ蓋のお似合いコンビ。

第1話の最後では、有堂が英彦(受)『嫁にこい』というようなことを言っていますが、第2話以降では(受け)が、嫁なんか行かず、甘々にもならず、現会社のままで着実に出世をし、何ともしたたかに強くなっていくのが好みです。

正反対の性質で、対等にケンケンゴウゴウやっているのが楽しい。
そして心底惚れあっている!

ユーモラスで、ときどきうるっとくるところもあって、美味しいお話でした。

2

殿さま旦那と苦労性世話女房

大事件がおくるのでもなくあて馬がでてくるわけでもないのですが
とてつもなく面白いです。

有堂の強気な姿勢と強引さで好き放題されていた英彦が意趣返しにうってでたのは
買い物にいってくるといったっきり有堂のもとから去ること。
英彦も本当苦労性というかなんというか・・・・素直じゃないけどけなげです。
有堂なしじゃいられない体になりながらも有堂の男としての魅力や行動力に尊敬の念をいだきながらも自分との違いにコンプレックスをかかえ最終的に離れる決意をする。

がしかし、数年後仕事のトラブルから有堂と再会してあったり元さや~とはいきません(笑)
英彦は本当素直じゃない。有堂がどうしてもっていうなら・・・とか思いつつも絶対に自分から求めないし相手から謝ってくるのをひたすらまつ(笑)
長い長い痴話げんかのお話です。

男同志の恋愛って感じで読みごたえがありました。
仕事の面では有堂に対してコンプレックスがあるせいかプライベートになると
ときどき仕返しをするのですがとてつもなく有堂を傷つけるので怖いです。
有堂がお風呂にはいってるすきに家具全部持ち出してまた家出ポーズとったり
その反応がどうなのかこっそりと見ていたりと結構悪趣味(笑)

書き下ろしの二人の馴れ初めはかなり萌えましたー。
仕返しの鬼英彦にも可愛い~時代があって可愛い時代に有堂に仕込まれていたんですねぇ~。
萌えた。英彦はやっぱり可愛い♪

1

男同士ならでは、の関係がいい!

軽妙な語り口に安定の文章力、印象的で生き生きと動くキャラクター。面白かったー!!
ご本人のあとがきが、そのまま的確な作品紹介だったのでちょっと抜粋。

***
こんな男とだけは、暮らしたくない。
そんなサイアクなやつが、もしも周りに一人、いたとしたら。
好き、だけど、顔を合わせればついつい文句ばかり。
くたばれ!と唸りつつ、なんだか憎めない。

有堂のような男に振り回されるのはまっぴらですが、
対岸の火事なら見物も気楽にできようというもの。
強引、頑丈、無神経。三拍子揃った男を愛し、
愛されてしまったエリートサラリーマンのまさに「最悪」な日々。
***

有堂は「最低な男」ではなくて「最悪な男」なところがミソ。
ろくでなしやダメ男ではなく、むしろ男としては非常に優秀でデキるやつ。
すごく性格が悪いというわけでもない。むしろ気のいい男。

けれど一緒にいると時に気が狂いそうになる、ブチ切れてしまう…
そんな英彦の気持ちはすごくよくわかる。
でも結局見放せないし惹かれてしまう…
そんな英彦の気持ちも、すごくよくわかる。

なんだかズルいなあ悔しいなあと思いながら、やっぱり有堂が愛しいし可愛いし、
がんばれ英彦、どうかそいつを見捨てないでやって…と願ってしまう。

プライドがあったり、譲れないものがあったり、男同士ならではのエピソードが良かったです。
軽妙でコミカルなテイストですが、決してそれだけではない。
心理描写や日常のやりとりが丁寧に描かれているわりに、
内容はボリュームがあり、きっちり読み応えを感じる不思議。

誤解やすれ違いもありがちな予定調和ではなく、本気で先が読めないのではらはらします。
予想がつかない二人の、思いがけない反応に、思わず涙が出てしまう場面も。

有堂の振る舞いがなかなか強烈なので、人によっては好き嫌い別れるかも?
私も冒頭はウッ…と思いましたが、でも気がついたら可愛くてたまらなくなってました。
振り回される英彦も可愛くて、でも肝心なところはしっかり男らしいのがいい。


新装版書き下ろし「運命」は、念願の有堂視点!可愛かった…っ
本編から数年後の二人と、二人の出会いの回想です。
35ページくらいの短編ですが、読みたかったものが詰め込まれてて嬉しかった~~!!
有堂の目には英彦はこう見えてるのね…っていうのが見えて、うわーうわー、とニヤニヤ。

レビューのために書き下ろしを読み返したら、結局本編も読みたくなって再読。笑
改めて、この二人ほんと好きだなあ…と実感しました。
キャラが生き生きした小説はやっぱり良いですね。
ちょっと時間を置くとまたなんとなく読み返したくなる。読み返す度にまた好きになる。
大好きな本です。

6

コンプレックス!

 橘英彦は、三十代にして課長という同期の中でも異例のスピード出世を果たしたエリートサラリーマンだった。
 そんな彼が出張先で、不本意ながらも再会してしまったのは、数年前に三行半を叩き付けた同棲していた元恋人・有堂だった。
 彼は、傲岸不遜で厚かましく、部屋の片付けもしない、それどころか服は脱ぎっぱなし、ビールでさえも自分で取らず、英彦のことを顎で使う。
 そんな無神経な男だったけれど、英彦はどうしても彼のことを忘れられずにいた。

 有堂は、学生の頃にすでに起業していて雑誌にも載る成功者。
 そんな有堂の存在が、親からの仕送りで生活し、汗まみれで就職活動を続ける英彦のコンプレックスを刺激した。

 ところが、再会した有堂はかつてとまったく変わっていなくて、英彦は再び振り回されることになる。
 けれど、それでもどうしても決して有堂のことは嫌いになれなくて……

 という話でした。

 有堂は家事能力はまったくないけれど、情に厚い上に、冷静な判断もできるので、仕事はすこぶる順調。
 おまけに、飽きたからと言って、結局軌道に乗っている仕事を簡単にあっさり投げ出してしまう。
 それが、異例のスピード出世とはいえ、所詮サラリーマンにしかなれなかった英彦のコンプレックスを刺激する――。
 けど、どれだけイライラさせられても、結局のところ好きだから許してしまう……という感じの話でした。

 むちゃくちゃ男に振り回される真面目で潔癖な受け。
 かわいそうだけど、ちょっと萌えました。
 わが身だと、嫌ですけど、他人事だったら楽しいですよね。

1

意地の張り合いもここまでくると天晴れ!

大人気ないにもほどがある(笑)
喧嘩の内容はまるっきりガキ!
「絶対こっちから連絡なんてしてやるもんか!」な意地の張り方もガキ丸出しなんだけど、何せ奴らは経済力のある大人なので、キレてやることには金がかかってるんですよね。
いきなり引っ越したりとか夜逃げしたりとかね。
けどもやっぱり、ガキの癇癪にしか見えないんだなぁ…(笑)

そもそも「仕返ししてやる」って発想が、既に小学生っ!
さらに面白いのは、これでお互いにどうしようもなく惚れてるってことなんですよね~。
惚れてるし、惚れられてるってのもちゃんと分かってて、けどもそれとはまったく別次元で、「先に折れてなるものかっ!」って思ってるんですよね(笑)

基本的にカッカしてるのは主に受けで、攻めはどっちかって言うと「あ?なにを怒ってんだ?」って感じで飄々としていて、それがまたさらに受けのイラッと感を煽るという堂々巡り…。
この2人の、1ミクロンも噛み合わない会話が、もうめっちゃ面白かったです!!!

それで、面白いだけのギャグかといえば全然そうではなく、エロだけがガツガツしているわけでもなく、ちゃんとキュンもあるんですよね。
私は、暗い部屋にペタンと攻めが座り込んでたあのシーンで、いきなり心臓がバックンバックンしました。
キュ~ンってよりも、「わぁ…」って絶句しちゃった感じに近いかな。
惚れるわこれは。もうしょうがないわ。

なんかこの2人、ホントにガチンコ勝負なんですよね~。
なによりイイのは、よくある恋愛関係みたいに、「相手がいればいい」とか「相手のために何が出来るか」とか、そういう感覚が思考の中心にならないことです。
もちろん助けたいとか思うんだけど、だからって自分の能力以上の手を差し伸べたり、感情論で「頼ってくれ」と泣きついたり、しないところが逆に勇ましい。
それよりもともかく、お互いが自分の人生に一生懸命。
その上で、アイツが傍に居た方が自分の人生が倍楽しい!だから傍に居られるときは勝手に近くに行く!って感じが、すっごいカッコよかったです。

最後がまたすごい!
タクシーの運ちゃんとの有馬記念の会話あたりで、「なるほどね~」となんとなくオチが読めたと思ってたんですが、実際のオチは想像の遥か100万フィート上空を行ってました(笑)


4

男のプライドにかけて

いや~!自分的にこのコンビ大好き♪
徹底的に自分のペースで不遜で自分勝手で、でも本当はヘタレな男前攻め。
堪忍袋の緒も切れる、負けてないクールビューティーの受け。
これぞ本物のガチンコ!
愛だの恋だの、甘ったるさは一切含まず、一人で勝手に進んでいく攻め・有藤に負けたくなくて頑張る、男前な受け・英彦。
でも、寝技にもつれ込み堤防が決壊したときだけは・・・な二人の関係がつかず離れず、「男同士」そのもので気持ちがいい!
ただ、これは好き嫌いがはっきり分かれそうかも?

あまりの不遜さに家を出て、それ以来音信不通だった英彦と有藤が、出張先で偶然に出会ったのをきっかけに、英彦の仕事に関係しては再会する。
有藤の生活のだらしなさはそのままだけど、でも実行力やフットワークの軽さや男としての魅力は衰えず、またまた目が惹かれてします英彦。

一か所に定着しない有藤だけど、ふらっと英彦の元に行くけれど、決して英彦が「港のオンナ」になってないところがいいな~♪
こういう自分勝手で強引は時には嫌だけど、すごくあこがれます!
英彦も振り回されながらも、何故か放っておけなくて、何も買い物もしないくせに、英彦が出て行った時に歯ブラシを買って待ってた、って、ただそれだけのエピソードの為に再び気持ちが傾くというのが、どんなに有藤が英彦に頼り切っていたか、思っていたかっていうのがわかりますよね。

以前家を出て行った時みたいに、有藤がシャワーを浴びている最中にこっそり家財道具一式運び出し、家の中を空っぽにして有藤を落ち込ませる英彦の報復と、それを怒らずに組み敷く有藤。
有藤が仕事で負債を抱えた時に、投資をするんだと、ポンと1500万もの通帳とカードを渡す英彦の男前さ。
この関係に、もっともっとこの二人が好きになります。

これぞ自分の理想とする男同士の関係~最悪だけど最高なコンビなんですよね☆
不遜な有藤が、”人工芝を張り付けたような緑色のポロシャツ”とか”ゴルフが下手なのに川奈の会員権を持っている”とか、そんな部分が彼の隙だな~と微笑ましいです。

6

最悪だけど最高のコンビ

丁々発止なやり取りがとても楽しく、キャラ良しテンポ良しストーリー良しの、個人的にはひちわさんの中で3本の指に入るお気に入り本です。

傲岸不遜を絵に描いたような「最悪」な男・有堂×堅物なクールビューティー・英彦の、言ってしまえば数年越しの派手な痴話喧嘩。笑
しかしこれ、ただの痴話喧嘩じゃない。
どうしようもない「男のプライド」が立ちはだかる、これぞ男同士ならではの痴話喧嘩!

男としても実業家としての素質もピカ一、しかもずば抜けた強運の持ち主。でも中身はどうしようもない無神経の塊。
英彦の言葉を借りるなら「図々しくて自信家でズボラで下品でちっとも人の話を聞かなくて、ヘビースモーカーで巨人ファン」な「最悪」な男・有堂。

そんな男に振り回された恋人としての過去を、汚点のように苦々しく思う英彦は、眼鏡がよく似合うクールな商社マンで、異例の早さで出世街道を突き進む超エリート。
これぞ俺様×ツンデレですが、俺様の俺様たるゆえん、ツンデレのツンデレたるゆえんが発揮されています。

何が良いって、いかに恋人であれど…いや恋人であるからこそ刺激されてしまうプライドと劣等感のありようが、紛れもなく男×男。
天才型と努力型、ズボラと神経質、容姿も素質も何もかも対極にある二人ですが、傍から見れば、実に好一対という組み合わせがとても痛快です。
最早どっちが振り回してどっちが振り回されているのか…とゆうか、どっちもどっち。笑

クールでつれない口も態度も悪い英彦が、セックスの時には乱れてしまう落差や、自信家の代名詞のような有堂がヘタレる瞬間が、これまた美味しい。
石原さんのイラストも、心底ぴったりなコンビなんです。

せっかくなので書き下ろしの「運命」について。
友人を交えての、英彦(海外赴任だった)の帰国祝いの日の様子と、学生時代の出会いを振り返るという内容で、かねてより読んでみたかった有堂視点。
英彦への惚れっぷりが、過去と現在に渡って大暴露されていて、もうニンマリです。
三十路になっても相変わらずくだらない事で喧嘩してる二人に、大いに楽しまさせて頂きました。オチも最高!

5

BLは男同士でなくっちゃ(笑)

ストーリーの要点を二行で端的に表現しますと、
コイツ男としてムカつくんだよっっ (英彦)
そこに惚れてるんだろうが・・・ (有堂) てなことになっとります。

BLの醍醐味はやっぱり男と男のガチなぶつかり合いですよね~!

英彦と有堂。
タイプは違うけど、どっちも骨があるというか、本当に大事なものだけはきちんとわきまえているというか。

有堂は学生の頃に消費者ローン会社を起業して、学生社長になるくらい、商才もあり、人望もあり、自分の足で立っている男。
だらしがなくて、ふてぶてしくて、図々しくて自信満々で、人の話をちっとも聞かなくて、英彦が楽しみにとっといた鰻だって黙って食べちまうし、おまけに巨人ファン(笑)

でも、いざというときには誰よりも頼りになって、追いついたと思っても、いつも先へ先へと走っていて、憎ったらしいくらい雄っぽい男前で、強靭な肉体に、歯を立ててみたくなるような硬い筋肉。(ココ重要!)

英彦は男としての有堂の骨太さと大きさと器にどうしても嫉妬せずにはいられないんですね。
女なら素直に「すてき~~~❤」で済むところが、英彦だって男です。
有堂のように自分の力で事業を次々と成功させるなんてことはできないし。
汗水たらして就活して、どうしても生真面目で神経質で、同期の中では出世頭だけど、しょせんはサラリーマンで・・・
整いすぎた顔立ちが災いして、愛想笑いをすると子供が泣きだす(笑)

そんな自分と有堂をどうしても比べて、劣等感を味わい続けるのに耐えきれず、一度自分から出ていく。逃げたんですね。これは。

でも、英彦は小さな仕事もおろそかにしないし、目の前の仕事に全力を尽くすことが、思いのほかいろんな人の、喜びや悲しみにつながっていることをちゃんと知っている。
それに有堂が自分に夢中なこともホントはちゃんと知っている。

有堂が窮地に陥ったときには、黙って預金通帳とキャッシュカードを差し出す。

根本のところで似た者同士なんじゃん!
とハタからツッコミ入れたくなります。

とにかく2人のドツキ漫才が最高だし、イイところで浪花節。
何度読んでも面白い。大好きな作品です。

4

ひちわゆかさんのヘタレ攻め

ひちわゆかさんの描く色んなタイプのヘタレ攻めに、もう私メロメロです。
「13階のハーフボイルド」のキング・オブ・ヘタレ攻め、「今夜、雲の上の~」の毒舌不器用なヘタレ攻め、「12時の鐘が~」の勘違いヘタレ攻め。
この小説のヘタレ攻めも、美味しいヘタレ攻めでした。豪快で無神経で自信家、いちばん「実はヘタレだと分からないタイプ」だと思います。
毒舌メガネ受けとの相性は抜群で、二人が会話してるだけでニヤニヤ笑いが止まらない。ひちわゆかさんは毒舌のさじ加減が上手いなァ。
主人公ふたりは昔の恋人同士です。再会するところから物語は始まります。別れたときの事実はゆっくりと明らかになりますが…二人ともバカですw

7

むつこ

>>羊さん
世界の損失ww
いーや、宇宙の損失です!

(↑被せときました)

羊さんも、ひちわ作品のナンバーワンが『13階のハーフボイルド』って聞いて、嬉しいです。
この超名作のレビュー、まだ私しかしてなくて、「あんまし人気ないのかな…」と微妙に悲しい思いをしてたんですよ…w

むつこさま
「13階のハーフボイルド」、羊も心から続編をお待ちしているんですの。
世界の損失ですわ!
ひちわさんの作品で一番好きなくらいなのに・・・
是非是非書いていただきたいですね!

むつこ

>>羊さん
こんにちはー(^^)
羊さんがレビューで「ドツキ漫才」って書いていましたが、まさにソレダ!と思いました。
私もひちわゆかさんには、脱帽しまくってます♪ヘタレ攻めが大好きになるきっかけとなった作家さんなんです。ただ、遅筆な作家さんなので、待つのがつらい日々ですが…
ひちわゆかさんでいちばん好きな作品は『13階のハーフボイルド』なんですが、続きが気になって仕方ないむつこです。

むつこさま、こんばんわ(*^▽^*)
2人の会話だけでもうお釣りがきますよね!
歯ブラシやら、うなぎやら・・・まさに犬も食わない。
バカなのになぜか萌えちゃう、ひちわさんの筆力に脱帽です。

どっちもどっちだけど

間違いなく男同士だ!受けがヘタレていない!もうそれだけで神です。

ワイルドな社長・有堂(作者曰く、強引・頑丈・無神経)と大学時代からの腐れ縁、総合商社課長・橘のお話。
大学時代に起業して、金融業を営む有堂と、大学時代は恋人同士として暮らしていたものの愛想を尽かし彼の元から去った橘が、思わぬ災害で再会し・・・

どっちもどっちなくらいお互いに惚れこんでいる二人なので、これからどうなる?といったハラハラドキドキはないのですが、有堂のワイルドすぎる性格と、抱えているコンプレックスが大きすぎるからか、彼に振り回されいちいちひがみ、イラつきながらも放っておけない橘の言動で読ませてくれる作品です。

お話の主軸は橘の会社の仕事がらみなのですが、橘が活躍するのではなく有堂が輝いちゃうわけです。
で、そのたび橘は惚れ直し、ほだされて、前のことなど帳消しにしてもいいと思っちゃうくらいなのに・・・また有堂は同じことの繰り返し・・・
「悪運」の方では報復を企てるのですが・・・

とにかくお約束のように橘を振り回してくれる有堂なのですが、最初に出て行かれてから再会するまで、ショックで不能になっていたといういきさつがあるので、橘もすぐに許しちゃうんだろうなと思います。
ホンっと割れ鍋に綴じ蓋カップルです。
橘が有堂との関係を「なにがお察ししますだ」と心中ぼやくところがありますが、有堂だからこそ惹かれてしまったのだということが痛いほど分かりました。

今回の書き下ろしで、大学時代の馴れ初めが語られ、さらにちょっと心を入れ替えた有堂を垣間見ることができましたが、最後の落ちは・・・

やっぱりそうですよね。そうじゃなくっちゃ。

実はビブロス版を持っているはずなのですが未読のままマグマの方へ・・・
先日CD発売になったので、先に聴いちゃったらハイテンションな台詞回しに大感激。
これは読まないとと思って、これも積読だったのを引っ張り出してきた次第です。

5

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