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下巻もおもしろかったです。
ソードとセンそれぞれ本物の愛だからこそ、一緒にいたい、センを陽の目の当たる場所に帰してやりたいなど相手を思いやる気持ちが交差する。
そこへ加えてセンの事件の真相がわかったり、ムトーが悪役で絡んできたり、もっさりしていたワルターがかっこいいFBIだったり、息をつかせない展開でずっとドキドキしながら読みました。
不憫な役どころだったノーマンとワルターの話もよかったです。ノーマンが本当に愛されて生まれてきてよかったと思えて報われて。でもそうなると一緒にいられないことがより一層苦しくなるのもわかります。罪を犯したものの宿命ですね。
ラストは本当かフェイクか…どちらにも取れますね。どちらにしろ2人にとっては一緒に太陽が見られてハッピーだったのではないかと思えました。
栗本薫先生(若い頃、何作か読みました)の解説もうれしかったです。
下巻。
男だけの刑務所。
だから勘違いして愛を誓ったのかも。
自由な世界に帰ったらそれでも愛があるのか?
それを証明するために脱獄しよう。
…というのが、この下巻。
ところで、新しい所長が赴任してくる。
この所長は日系人。センとより深く関わるけれど。
あまりネタバレできないので詳しくは書きません。が、この所長がキーパーソンではあります。
脱獄をめぐる策略。
それはソードがセンを愛しているからなのか、それとも秘密の薬物取引に関連して「愛」を利用しているのか。
愛なのか欺瞞なのか、クルクルと変化する敵対関係が読み手を翻弄する!
そこが、味方なのか敵なのか、裏切りが蔓延する刑務所という非日常的な設定を楽しむツボですね。
続けざまの暴力や、お決まりのレイプ。裏切り。密通。
嫉妬に独占欲、そして嘘。
何が本当で、何がフェイクなのか。
翻弄される体験を読む。そこを楽しむ。それが「UGH」の読み方。
さて、囚人の中に新しい顔ぶれ。
ソードのお手つきのノーマンや、一見穏健な一般人・ワルター。
彼らのアレコレも含みながらの「UGH」の結末は…驚き‼︎
死ネタ⁇
または証人保護プログラム的な⁇
ここで終わるの⁉︎という驚き。
今から読む私たちにはこの後続編があるわけだけど、発表当時はここで終わりだったわけでその衝撃度は大きかっただろうなぁ…
下巻です。
かなりボリュームがあり、内容もめちゃくちゃ濃いしで読了後は「はぁ〜」と長いため息がでました。
のめり込んで読んだもので。
上巻のラスト辺りは愛で溢れていた2人の関係なのですが、下巻ではソードの独占欲や当て馬の存在、センの出所の可能性などもあり、愛憎うごめく展開です。
骨太なアウトロー作品ですが、モノローグが詩的で繊細でドラマチックです。
地下深くに居る2人の光はお互いの存在だけ…みたいなのホントに好き。
2人で太陽の下に出たい!という願いは叶うのか、そんな事が許されるのか、非常にドキドキさせられました。
作者さまのあとがきでは、結末は読者の想像に委ねるという風に書かれていますね。
2人がいる世界は実際の世界なのか、文字通り天国なのか…どちらにしても幸せな読後感でした。
上巻には萌2をつけましたが、上下巻まとめた評価は神!です。
雨降って地固まるかと思いきや、所長・武藤のせいで疑心暗鬼になる2人から始まります。とにかく潜を誰にも触れさせたくないソードと、彼にお姫様のように守ってもらいたいわけではなく、あくまで対等に愛し合いたい潜。ただ相手への一途な気持ちを信じて欲しいだけなのに、周りの思惑によってお互いを信じられなくて。刑務所の中で愛を育むことがいかに困難か、改めて突き付けられました。でも、2人がそこに立ち向かうからこそ読み応えもあるし、再び相手を信用した時、今までの何倍も萌えるのだなぁとも。
ヨリを戻したかと思えば、また少しの考えのズレですれ違って、喧嘩して。ストーリーが進むごとに、喧嘩の内容はどんどん規模の大きいものになっていく。ただ、どんなに口論しても、また愛が深まったからだと思うと不安は感じない、そんな下巻でした。そして、結末に関して。あとがきにはどちらともとれるように書いてありましたね。私は正直、あれがトリックでもリアルでもどちらでも満足度は変わらないかもな、と思っています。リアルだったんだろうな、という気持ちの割合の方が大きいけれど。でも、2人の魂は互いの肉体がどこにいても、一緒になれるだろうと思うから。
ソードも潜も、相手を手放したくない、相手と1つになりたいという熱量は同じだけ持っていたはず。自分と離れることになろうが、とにかく相手を生かしてあげたい、不自由ない生活をさせてあげたいという気持ちも確かに愛だと思います。そういう選択をする作品の方がずっと多いし、ソードも直前までそう考えていた。でも、離れてしまうくらいなら、二度と分かたれぬよう一緒に堕ちる、相手を永遠に自分のものにしてしまう、という選択も、相手にも同等の好意と覚悟があるのなら、同じくらい崇高な愛だと思うんです。私は自分の欲求に素直なそういう愛し方も大好きです。何よりも重い決断を、相手のためならできる、ということだと思うので。若くして太陽から隔絶された2人が、光の当たらない場所で太陽に引けを取らないほどの光を見つけた。僅かな間でも、愛する人と濃い日々を共に過ごした彼らの人生には、たくさんのエネルギーをもらった気がします。
定広美香先生が描く刑務所は、日の光から隔絶された地下にある「合衆国刑務所」、レベル3の凶悪犯たちの吹き溜まりでの生活を楽しめるヤツだけが「アンダーグランドホテル」と呼ぶ・・・。
刑務所の閉ざされたシチュエーションで展開される、一筋縄ではいかない物語ですね。フィッシュとセンの愛は刑務所で育まれた純愛だと思います。
下巻になると、シュッとした切れ者の刑務所長ムトーや、センは親友だと思っていたノーマンに新顔のワルターが絡んできて複雑に、時にダークな話となっていきます。
そんな中にあって仄暗く輝く、センとフィッシュのラブ。
センは留学生で、教授のダンナさんを射殺した殺人罪でUGHの囚人になりましたが、実は殺してはいず、それを知ったフィッシュは命懸けで思い切った行動に出る、というのが大筋の流れと言っていいでしょうか。
「俺たちの愛がUGHの中だけの魔法じゃないって事を証明したい」、二人で太陽の光の下を歩きたい。
まあ、考えればフィッシュの方はマジものの犯罪者ですから、何をムシのいいことをとも思いますが、下巻に来るまでにはフィッシュにめろめろになっていた私は、ハッピーエンドしか望みませんでしたね、
フィッシュはギャングのボスで、外でもUGHの中でも結構なワルなんだけど憎めない。特にほのぼのエピソードはないのに憎めないのです。
二人の命懸けの顛末は・・・、私はこれは素直にあのままに受け止めたいですね。
裸がサイコーだね、お二人さん。と言ってあげたい。
それから、この下巻では続編で主人公になるらしいエリーがチラッと登場します。
さりげなく、クール。
ノーマンはワルターとハッピーエンドになりましたが、どうやら続編では悲しいことになってるようですね。
まだ、続編を手に入れてないのですが是非読んでみたいと思います。
こんなへっぽこレビューですが、アンダーグランドホテルは刑務所ものの傑作です。