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みつお(黒/市川光央)が狂ってると見せかけてミツオ(白/壱河光夫)が狂ってることを見せる第一話。結局はどっちも狂ってるんだけど。狂気と狂気がぶつかり合う話は最高に面白いからね!
数年ぶりに読み返したら、中村先生の作品のラストシーンを忘れていることが何度かありまして。こちらだと桃のくだりはとてもよく覚えている。あのビデオを見ながら桃を食うシーンの濃厚さといったら。そこが強烈に焼き付きすぎたのか。
そういえば中村先生の代表作も主役の名前が光とrichtだけど、こちらもダブル光。同じように高校で出会ってこうもまぁ違ってしまう四つの光。
ebookで買いましたが、短編と描き下ろしの本編その後が収録されていないそうで。頼むからそういう売り方をやめていただきたい。
相手に対して物凄く強い感情を抱いてる二人っていいですよね……愛なのか憎しみなのか執着なのか……ハッキリこれ!とは言いきれない関係で……でもお互いがなくてはならない存在、まさに2人でひとつなんだと思いました。
相手のためなら人殺しでもなんでも出来る光夫と大事だから自分から切り離そうとした光央……
光央の問に対して光夫が泣きながら返事をするシーンは感動しました……ずっと聞きたかった言葉を聞けて良かったね……やっと通じ会えた
「温室の果実」の方も面白かったです。
あと明日美子先生のあとがきも好きだなぁ……名前にはその人魂が宿っているというのはわかる気がします。自分自身を表しているものというか……やっぱり名前って特別なものですよね
中村明日美子先生が同級生とはガラリと雰囲気の違う、ダークな作品を描きあげていることに驚いた。
耽美なイラストは上手く雰囲気に溶け込んでいて、より作品を彩っていたように感じた。
予想できない展開ばかりでハラハラドキドキした。ダークな世界で2人とも汚いことをしているにも関わらず根底にあるのは純愛であるように感じた。
他には類を見ない作品で内容も充実していて、凄く面白かった。中村明日美子先生の作品が好きな人やダークな世界観が好きな人には是非読んでほしい。
◆ダブルミンツ(表題作)
漢字が違うけれど同姓同名で出会ったミツオとみつお。ミツオの方は出会った頃から既に、みつおに並々ならぬ執着を抱き始めていたようです。勝手に覚えた親近感が、彼の中で際限なく膨らんだ感じなのかな。もちろんみつおの深い黒の瞳が、彼を惹き付けて離さなかったというのもあるでしょうけど、それはきっと同姓同名だから余計にそう感じたんだと思います。大人になってから突然みつおから電話をもらい彼と再会したミツオは、ヤバいことをいろいろ共有しながら、学生時代同様みつおの犬に甘んじるようになります。
みつおは都合の良い時だけミツオを利用し続けるんですが、きっと彼にとってもそれはミツオでなければならなかったんでしょうね。みつおは無意識の内に、ミツオだから何もかもを晒け出してしまっている。2人は最早一心同体。ミツオはそれを早い段階から意識していたのに対し、みつおは認めずに最後まで相手を拒絶しようとした。でも、元々1つだったものが分かれて生きることはできない。そして最後にようやく、みつおはミツオを受け入れ、2人で1つになるんです。当然これはあくまで2人の感覚の問題でしかないのだけど、2人がそれでしっくりきているならそれがあるべき形なんでしょう。同姓同名と出会った運命が、明日美子先生独特の視点から描かれている、興味深い作品でした。
◆温室の果実
萌えたかどうかでいうと、表題作よりはこっちの方が萌えました。政治家秘書の壱吾は密かに主人に恋をしています。既に枯れてしまっている主人に命じられ、自慰から始まり、今や男に犯されているところまで見せるようになった壱吾。視姦されながら恥じらいつつ喘ぐ彼が、とってもいやらしかったです。彼を抱いていたデリヘルのハスミは、主人が亡くなってから壱吾に益々アピールするようになり、壱吾もそんなハスミを受け入れるようになります。が、壱吾の中では主人への恋慕の気持ちは永遠になくなることはない。一途に主人を想い続けながら他の男に抱かれる壱吾の、健気さと罪深さが印象的でした。
「ダブルミンツ」
痛いんだけど、市川光央と壱河光夫の関係を過去を交えながら淡々と描いてるのが凄いな~と。
最初はただの虐められっこ?な感じだったけど、「わん」と言ったその日から始まった二人の強い結びつきというか不思議な関係にぐいぐい引き込まれていきました。
余韻たっぷりの読後感でした。
「温室の果実」
おじいちゃん政治家先生との関係がなんとも言えない雰囲気を醸し出してて素敵な作品でした。
美味しそうな名前の「いちご」の響き、童謡 ぞうさんと膝枕。なんだかすっごくせつなくってキュンってなりました。
膝枕のコマ大好きです。
デリヘルのハスミの存在感もあり、重くるしくなくって良かったです♪