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「聞こえない声」「見えない星」の続き。
いやあ、よかったです。いやあー、なんてことだ。巻が進むごとに尻上がりに魅力が増してゆき、本作はシリーズの完結巻なのですが、エンドマークとともに拍手したくなりました。
時制としては前作「見えない星」が終わったあと、今井3年生・引田2年生の2月バレンタインから始まります。
その頃もう今井は進学先の大学の野球部の練習に参加していて、どうやら野球部の寮にもう住んでいる?(学籍はまだ高校だと思うのですがそのようなことが出来るのかは分かりません) そして今井たち3年生の卒業、ホワイトデー、4月になって引田が3年生になって、高校野球夏の大会、と進んでいきます。
この言葉を使うのに些かの抵抗がありますが、非常にエモかった。
たった1つしか歳が離れていないのに、二人を隔つ大学/高校の壁、ともに忙しくて会えない、でも会いたいという切々とした恋情。今井は会うたびに男っぽくかっこよくなっていくのに対し、自分は全然足りていないと、男らしくなりたいし選手としてもっと野球をがんばりたいと願う引田。
また、引田はかっこよくなりたいと思う一方で今井から可愛いと言われれば嬉しく思ってしまい、自分はどうなりたいのか混乱するという面も描かれて、それがすごく良かったです。
十代の頃は特に、理想とする自分と現実の自分の落差に悩み、相当浮き沈みもしますし理想像も定まらなかったりして、不安定になりがちと思うのですが、もうそのやわらかい心の動きが全部濃縮されてここに投影されていると感じました。
今井だって大学では一年生で、なにもかも思う通りに出来ているわけではないし、引田の気持ちを尊重して会うのを控えたりしつつも、それでもやっぱり心配で、内緒で高校まで様子を見に行ったりして、そういう二人の不器用な恋心を十分に味わえました。
巻末書き下ろしで、引田の成人式後に二人で居酒屋デートする様子が描かれているのですが、相変わらずの様子に安堵しました。いつまでも可愛いですね。最後まで読んでよかったです。
開けるの勿体ないぐらいのラッピングに対抗して買ってくるのが枯れないガラスの花っていうのが今井さんよ、なかなか夢みがちだなって感じで。ひょうひょうとしている彼の愛らしさを垣間見た気がする。ひょうひょうとって言っても引田には全力だし、全力の美しさにも目覚めてるのよね。目覚めさせたのは引田の全力なんだけど。
引田の「オカマになってしまったのか」って物凄いアプローチです。あーそうか、そうだよね、そういう葛藤の方向性だって全然あり得るわ。BL漫画の読みすぎで肝心なところを見失っていた気分。
そこから全力で野球に取り組んで、腐ったりせず、それでも練習試合1打席無安打の引田…今井はもちろん知ってるし、岡田さんも引田の魅力に気づいてしまったんだろうな。自分と同じ教室にいた一人一人に、実はこういう一面があったのかもしれないと思いを馳せてみたり。
最終ページでガンバレと言われるのが今井くんなのが面白いです。ハイスペック男のはずなんだけど、それでもやっぱりこの2人の関係性で応援されるべきは今井くんなのよ。
「すのーふれーくす」に、母校で先生をする引田くんが出てきます。今井ともまだ仲良くしてるかな。
大学生になった今井と、高校最後の年を迎えた引田。定期的に今井が引田に会いにきてくれるので、思ったより距離的にすれ違うことはなくて。でも、野球部員として憧れだった同性の先輩と付き合ったことで、引田は様々な感情を抱きます。どんどん逞しくなっていく今井の背中を見て、自分も追いつきたい、男らしくなりたいという気持ち。その一方で、今井に甘えたい、包まれたい、女の子みたいになれればいいのにという気持ちもある。同級生の女子と少しいい雰囲気になるけれど、引田には悲しいほど自信がなくて、彼女に対して男らしく接しようと思っても中途半端になってしまうし、女子の華やかさを持つ彼女に嫉妬もしてしまう。
ほぼ初めてであろう恋愛関係をいきなり同性と持ったわけですから、引田がいろんな感情の狭間で揺れ動くのも無理はないでしょう。そんな彼の繊細な心情が最後まで丁寧に描き出されていて、共感したり切なくなったり微笑ましかったり。誰よりも野球を練習したけれど、彼は今井のように華々しく有終の美を飾ることはできませんでした。けれど、限界まで練習したことに対して後悔はないはず。それって実は誰でも簡単になしうることじゃないと思います。練習に打ち込む引田はかっこよかった。花の美しさは見た目の綺麗さだけじゃない。太陽に向かって伸びゆく姿勢だったり、日陰でも萎れない逞しさだったり、いろいろある。その今井の言葉に、引田は引田でいてくれるだけで唯一無二の存在なんだよって、引田が少しでも自信を持てるようになれれば嬉しいですね。野球部の青春も色濃く描かれた、良質な青春BLでした。
今井がず〜っと引田ラブでブレないのがいいですね。理想の攻めだわ。
花についての今井のセリフがいい。
ヤキモチやら、引田が悩んでいそうなことを考えたり、引田が野球に打ち込むのを邪魔しちゃいけない、でも会いたい…と今井は落ち込んでいたんですかね。それを遠巻きに見守るチームメイトがおもしろかったです。
しつこく合コンに誘う奴に今井が「殺ス」と返信したのもw
沖縄キャンプから帰ってきた今井が引田んちに行って、玄関でちゅうしてしっかり抱き合うとこすごくいい。
更にいいのが、今井が急に引田に会いに来て、引田が今井の「男クサさに興奮を覚えていた」からの「今井さんの体の首や 背中」の大ゴマがめちゃくちゃ色っぽい!
その後の流れも!
京山先生のこういう描写がほんとに好きだと再確認しました。
あとは、引田が岡田さんと付き合うことになったと電話て聞いた時の今井のどデカイ「ハァア?!」ww そりゃそうなりますよね。
引田が電話で本気でレギュラー目指すと言った時の今井の応援するぜとその表情も好き。しっかりずっと岡田さんにヤキモチやくとこも。それをそのまま引田に伝えるとこも。
今井が高校に顔を出した時「そりゃ おまえに会いに来たに決まってるだろ」もいい。よほど会いたかったんだなと思うし、ストレートに言うところがいいんだな。
やっぱりというか、結局のところ、引田のかわいらしさに気づく今井、引田を好きでしょうがない今井がいい。相手を好きすぎる描写が萌えでしかないんですよ(これは京山先生に限らずBL全般においてですが)
それは引田にも言えることで、悩みながらも今井に惚れているからがんばれるし、一緒にいる時の2人の雰囲気がたまらない。
引田がわかりやすくて目がいきますが、今井も引田を好きでいることで成長しているんですよね。引田を尊重してあげるやさしさと包容力がある。
野球部の先輩後輩モノって、めっちゃそそるんだけどどうなるんだろう?しかも京山先生、と思っていたのですが、見事に先生の世界で表現されていてとても好きな作品になりました。
高校生、野球部の男くささなどがBLと融合していました。
すごい作品ですね。野球部ピュアラブストーリー3巻のうちのシリーズ最終巻。
受けの引田はブサかわ受けというか本当に見た目はよろしくない。でも性格はひたむきでいつも一生懸命生きていて、エッチの時はなぜかとても色っぽい。攻めとの体格差があって一歳違いの高校生なのにショタっぽさ半端ない。でも決して美少年ではない。
攻めの今井はそんな引田にベタ惚れなので、先天的ゲイなんだろうな。しかしこの子が見た目も中身もカッコよすぎて「こんなカッコいい野球選手なんている?!」と久々に攻め萌えしてしまいました。恋愛では最初はモダモダしてたけど野球に対しては迷いがないんだよね。大学に入るとますます男前度がアップしていきました。
しかし最初からゲイというわけでもなかった引田は「オレはかっこよくも可愛くもない」と真剣に悩むんですね。男臭い今井に憧れるし自分もそうなりたいって思うけど今井には可愛いって思われたい。でも自分に花は似合わない。その葛藤がこれでもかというくらい繊細に描かれています。その悩みに対して今井が出した答えが泣ける。ぜひ読んで最後に感動して下さい。
引田が頑張って頑張ってそれでもレギュラーになれなかったのは想像はできたけど泣いた。BLじゃなく青春ものとして泣いてしまった。良くある事だけどどうしようもないもんね。でも努力してる姿はカッコよかったのであの同級生女子は本当に引田を好きだったんだと思うよ。あの子はいい子だったので幸せになってほしいな。
その女子の作品に対する今井の大人げない態度も…好き!攻めとして100点満点よ。あの女子がいい子だっただけに本気でヤバいと思ったんだよね。