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たくさんのカップルを登場させてきたこのシリーズを、全集としてどのように纏められるのかドキドキでしたが、最後を飾るに相応しい収録の数々だったと思います。高宮と蒼江が時折口にしていた史貴という男の生涯。高宮と2人3脚で耐え難い孤独の中を必死に生き抜き、高宮と蒼江を結び付け、今まで持ち得なかった関係を蒼江と築こうとしていた史貴。そんな彼に本当に予想外のところから呆気なく最期が訪れて。
高宮も蒼江も年齢以上に大人びて感じたのは、2人がこんな唐突過ぎる死を経験したからなのかなとも思いました。後悔するなと言われても、蒼江が後悔しない日などなかったでしょう。高宮も自らの半身を失うような思いをしたはずだけど、そんな蒼江を前にしてはその辛さをぶつけることもできなかったでしょうね。
そして、年月を経て、一足先に高宮が真っ直ぐに自分に向かってくる和泉に出会い、幸せを掴んだ彼に後押しされる形で、蒼江も自分を一心に慕う年の離れた直也を求められるようになった。2人が思いきれたのは過去の経験があってこそでしょうから、史貴の存在も今の幸せに生きているのだと思います。直也に大人げなく積極的に迫る蒼江を見て、萌えると同時にそこまで本気の恋ができるようになったことを嬉しくも感じたり。そんな蒼江の熱愛を受けて、色っぽく美しく成長していく直也からますます目が離せなくなりました。
最後に収録されていたのは『LOVE MODE』シリーズとは交わらない作品である『レシピ』。この作品の攻めであるカイヤの性格、攻め方がドンピシャで好みでした。単なるドS、腹黒ではなく、受けである洸にはあくまで穏やかな口調で、年上らしく諭すように接していながら、その実、裏では洸の方から己の手に堕ちてくるように周到に策を講じている男。腹黒攻めはたくさん見かけても、それを受けに気取らせない攻め、あえて自分の風評を落としたり受けを放置したりするところまで思い切れる攻めは案外少ないので、志水先生の美麗なタッチで読めて大歓喜してしまいました。もっと読みたいカップルです。
登場人物が過去に大恋愛をして、その恋が終わって今があるという設定は重々承知なのですが、夢見るBL読みとしては、そこの部分はあまり知りたくなかったりもします。
というわたしの主義主張は置いておいて、最終巻です。
【So long ーlast rainー】(5話) 神
知りたくないけど神なんです。
初読のときは直也にすっかり肩入れしていたので、史貴の存在を受け入れたくない自分との葛藤が激しかった…。本当になぜこんなに嫌なのかというくらい。
でも今回読み返したら、自分でも驚くほどすごく穏やかに読めたんです。
なぜかと言うと、おそらく初読のときは嫌で斜め読みした部分を全部拾えたからでしょうか。
そうすると見えてきたのが、兄への贖罪と自由への憧れと羨望、それに罪悪感でした。
史貴という人物をよく見てみると、黙っていればいい男、性格は奔放でいい加減。だけど10年以上前に亡くなった義兄(高宮の父)への想いをまだ断ち切れないでいて、だんだん義兄に似てくる高宮に家族の情以上を求めるような弱さもある。
そんな弱さが葵一の脆さと重なって、自分ならその弱さを埋めることが出来ると思うようになっていったんだな、と。
そういう気持ちが芽生えたところに売り言葉に買い言葉で、「好きだと言わせる」なんて賭けをしたことで、自分の気持ちが兄への贖罪だけでないことに気付く。
それまでに会ったことのない奇想天外な史貴と高宮との生活は、傲慢な父親に抗うためだけに生きていたような日本での生活とも、目的もなく渡り歩いた他の国での生活とも違って、新鮮で自由で楽しくて。
その日々の終わりを告げる知らせから絶望感の中にいた怜二に、また希望をくれた史貴を死なせてしまったこと。
ただ失ったのではなくて、自分がもっと気をつけてあげていたら救えたはずだった、という後悔と罪悪感。この2つって本当に厄介で、何をしても拭えないんですよね…。
そうして以前よりももっと殺伐とした生活を送る怜二の前に現れた直也。
女性と付き合っても真剣に向き合うことなく、浮気現場を目撃しても平然としていた怜二が、たったひとり、どうしても失えない存在とまた出会えたこと。
史貴を失った記憶を蘇らせるだけだった雨の日に、空に向かって「幸せになったぞ」と報告できたこと。
全部が必然だったんだなと。
あのシーンは本当にいつまでも胸に残る名シーンですね。
エピローグは史貴らしい登場で、ああ、終わったんだなと…。
史貴が好きだったカーペンターズの曲を予想してタイトルに入れてみました。
雨のイメージに引っ張られすぎ?
蛇足ですが一個、珍しく志水先生がやってしまっている点があって、怜二の誕生日は8月7日で、史貴は6月20日なんですよね。
怜二の誕生日を祝って、夏が来て、秋が来て、史貴の誕生日を祝って、冬が来てました。
史貴は11月生まれっぽいなあと思いながら、巻末のprofileを見て「あれ?」。
この壮大なストーリーにおいては瑣末なことですね。
あまりにもいろいろ考えすぎて、【レシピ】について語る文字数が…。
でも正直、同時収録はどれも「おっと…」というものばかりなので、『LOVE MODE』パートで読み終えた方が、しあわせな読後感に浸れるかと思います。
金字塔の名に相応しい大作。
未読の方はぜひに。
今迄LOVE MODEを所々しか読んでなかったんですが、先日友人から全巻プレゼントされやっと読めました\(^o^)/
面白かったー!
全巻まとめてのレビューです。
複数のCPが出てきますが、一番好きなのが蒼江×直也。
直也も相当キツイ過去でしたが、蒼江も切ない過去を抱えてました。
そして高宮と史貴の出会いは、現在の蒼江の幸せにも繋がってるのかな…と。
死ぬまで蒼江を振りまわした蒼江父には憤り感じちゃいますが(-_-;)
その蒼江父×錦や、天雷×一星、また嵐×いずみのその後とか、まだまだ読みたかったです。
登場人物多いから仕方ないっちゃあ仕方ないんですけとね…。
でも単行本未収録だった『LOVERS MODE』『LOVE UNLIMITED』に凄く萌えました(〃ω〃)
最終巻には『レシピ』も収録されてるんですが、久々読んだけどやっぱエロい!
『死んでもいい』以外は中学生相手…。
中学生にハードですね…志水先生…( ̄▽ ̄;)
初期は絵柄が古いんですが、どんどん現在の絵柄に近づいていくのも興味深かったです。
分厚くて読み応えたっぷりでしたが、今後もたくさん読み返すだろう素敵な作品でした。
全巻読んでの感想です。
同じ作者様の作品「是」を先に読んで思うことは、「是」は全キャラの話を見事に拾い上げましたが、「LOVE MODE」はそうではなかったので心残りがあります。
作者様も新装版書き下ろしのプロフィールで言われてましたが、天雷が葵一に片思いしたままなのもちょっと不憫ですし、蒼江将伍(蒼江父)と久世錦の話はぜひ読みたかったです!
飛行機事故で死んだようなんですが、墜落までの数分間、将伍と錦がどんな会話をしたのかが気になります。作者様の頭の中にはあるのでしょうけれど…ああー、どこかで二人の話を描いてほしいものです!
その代わり、蒼江玲二と白河直也、高宮桂と坂下和泉、の2CPの関係は、史貴の登場により完全になったものだと思います。素敵な作品でした。
大好きで、何度も読み返してる作品です。絵は古いけど、お話が素晴らしくて、帯にある「BL界の金字塔」の言葉に偽りなしと実感する『LOVE MODE』の、とうとう最終巻になります。
今回は、蒼江の過去の切ない恋と別れになります。
志水さんのコメントで「蒼江と史貴のベッドシーンはあまり描いてはいけない気がして」とあるけど、辛い経験があったからこそ、直也と奇跡のような出会いをして幸せになった今を大切にできるのだと思います。
ここまで蒼江と直也の切なくて熱い想いを見てきたから、蒼江の「幸せになったぞ」の言葉の重みに胸が温かくなります。
イギリスに4人で久しぶりに帰省した時の、史貴との不思議な出会いにも、史貴が4人を祝福しているようでジ~ンと感動します。
おまけに、和泉と高宮はイギリスで一緒に暮らすようになるし、蒼江からは初めて愛の告白が聞けるし、蒼江たちはお揃いの指輪をしてるしで、大・大・大満足な最終巻です。
何年経っても、何度読んでも、BLの素晴らしさを教えてくれる大好きなシリーズです。