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表題作B.L.T (新装版)

大宮雄介
33歳,書店の店長
北澤眞人
19歳,アルバイトの大学生

その他の収録作品

  • ライン
  • dessert box
  • dessert box plus
  • あとがき

あらすじ

家から一番近いという理由だけで、書店のバイト面接に行った北澤眞人。そこで店長の大宮雄介と再会する。5年前の夏、出会って恋になる前に終わってしまった想い。その想い出が鮮やかに蘇るが・・・。
商業誌未収録作と新たに書き下ろしを加えてのファン待望の新装版登場!
(出版社より)

作品情報

作品名
B.L.T (新装版)
著者
木原音瀬 
イラスト
元ハルヒラ(元ハルコ) 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784862638861
4.1

(60)

(26)

萌々

(18)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
243
評価数
60
平均
4.1 / 5
神率
43.3%

レビュー投稿数12

何度、読み返してもいい!

幾度となく読み返しても、時間を忘れ、読み終わった後もそのストーリーの中から自分を引き抜いてこれず、やっぱりいい!と思ってしまう作品は【神】なのではということで、この評価になりました。

この話の何がいいって、まずは大宮ですよね。

他の方もレビューで言っておられるように、自分の欲望に負けて中学生に痴漢するは、中学生の眞人に脅されいいように使われているは、そのため仕事も棒にするし、中学生の眞人に手を出そうとするし、その後の話では二股かける優柔不断男だし、挙げればキリが無いのですが、そんな大宮が実に人間くさくていいのです。
人間くさいも人間くさい。
見栄も張れば理不尽な状況でもどうすることも出来ず流されたりする。
しかし彼なりに頑張り、仕事に励み、まわりの助けをかりながら良い方向へと進もうとする姿は、木原さん魅せるなあ~、と唸ってしまいました。

眞人の心理描写、成長も良かった~。
難しい思春期、両親の不仲、離婚に対する眞人の心の揺れが何とも読ませ、彼の人間形成に大きく影響していて、そんな眞人と大宮がする恋愛模様に私はこれ以上ないくらい魅せられてしまったのでした。

もう、あの情緒不安定な思春期に受けた影響ってすごく深くて重いものですよね。
何度離れても眞人は大宮を好きになるんだろうなあ。
後悔したくない、だから大宮を取り戻しに行くと決めた眞人は本当に男らしい。

大宮も何度も眞人に傷つけられてもやっぱり好きになってしまう、もう認めよう、って堪らないですよ!

コンドームの使い方を知りたいとする眞人に、他に好きな人が出来たんじゃないかと勘繰る大宮もよかった!
「君に振られたら、僕は間違いなくストーカーだ」
って、その執着大好きですよ~。

同人誌にあったこの話の後日談も読めて、すっごい満足でした。

7

B.L.Tと恋愛と

タイトルのB.L.Tは、ベーコン、レタス、トマト、マヨネーズ、パンというシンプルな材料で作られるサンドイッチのこと。ベーコンの質や焼き加減、レタスの種類、トマトの収穫時期、マヨネーズの美味しさ、パンの種類やトーストの有無等で、無限のバリエーションがあるのだそうです。
なんだか恋愛と似ているような…。恋愛は心と体と言葉があればできるシンプルな行為ですが、B.L.Tのように、ひとりひとりの恋愛観は実に様々な気がします。どんな恋愛が好きか、どんなセックスが好きか、どんな話をしたいか。タイトルの意味がすごく気になるたちなので、つい物語と結びつけて考えてしまいます。

表題作「B.L.T」のメインの登場人物は、書店の店長・大宮(ゲイ)と恋人の千博(ゲイ)、千博の前の恋人・高野(ゲイ)、大学生の北澤(ノンケ)。大宮は、5年前、中学生だった北澤に恋して、電車内で痴漢をしてしまい、それを盾に北澤に振り回され、挙句に失恋した過去がありました。
大宮は、ちょっとズルくて気が弱いけれど真面目。恋愛に関しては一途で、優しく触れ合うセックスが好き。
千博はプライドが高く我儘で自己中心的な美人。大切なのは容姿とセンスとセックスの上手さ。
高野はカフェを経営するスタイリッシュな40代。千博の良き理解者。昔は他人の恋人をとるのが好きだった。
北澤は中学生の時に親が離婚したため、セックスに忌避感があり。口が悪いけれど、明るく素直。
どう見ても相性がいいのは、大宮と北澤、千博と高野の組み合わせなのですが、ままなりません。北澤に振られた数年後、大宮は北澤の面影を千博に見て、同棲します。その恋愛にも疲れた頃、北澤と再会して、やがて再び北澤を好きになりますが、千博に阻まれて。4人の人柄と恋愛観の違いがとても興味深く、恋愛の甘く、切なく、時として苦く残酷な感情に、圧倒されました。

大宮が初めて北澤を求めるときの穏やかな言葉遣いと優しい行為に、彼の人柄が滲んでいて。そんな大宮だから、セックスに忌避感のあった北澤も体を預けることができたのでしょうね。回数を重ねるうちに、無邪気に素直に求めてくる北澤も可愛くて。大宮と北澤はセックスの前後も最中もよく喋るのですが、互いに心を開いている感じがして、その甘く楽しい雰囲気がいいなあと思いました。

対照的なのが、千博。乱暴なセックスが好きで浮気を繰り返していたくせに、大宮が別れたいと言うと、狂ったように大宮に執着し、自殺未遂を繰り返します。追いつめられた大宮は、北澤に別れ切れない恋人がいることを話せないまま、北澤と別れることを選んでしまいます。大宮が千博の恋人を演じ続ける虚しさを高野に吐露する場面が、この物語の一番の山場だと思いました。北澤との最初の出会いと再会を運命だと感じたこと、気持ちが壊れそうなほどの愛しさ、千博を殺したくなくて北澤と別れた自分の弱さ、北澤を失った辛さ…。不器用な男の涙に、胸が痛いほど、切なくなりました。

そんな大宮を助けたのが高野。大宮の辛い気持ちを聞いて心が動かされたのでしょう。北澤に大宮の事情を話し、自分が千博を引き受けるから待ってやってほしいと言い、そのおかげで北澤は大宮の元に帰ってきます。実は、高野のこのアシストに、本作品中で一番感動しました。いい男だなあと思いました。後日談の短編で、高野と千博が上手くいきそうな気配は、ずっと待っていた高野へのご褒美でしょうか。
B.L.T、自分で作って食べてみたのですが、人に食べさせるレベルに作るのは、結構難しいと感じました。材料がシンプルな料理なので、材料の扱いや仕上げにコツがいるのかもしれません。美味しいB.L.Tを作る高野は、きっと4人の中で一番人の気持ちに敏い人だった気がします。

一冊の作品の中に、大宮、北澤、千博、高野、それぞれの想いがあふれていて、胸がいっぱいになりました。

6

元彼・千博に助演男優賞!

この作品のテーマは ずばり!「人間の狡さ」のみ。
最後の最後で題名の『B.L.T』の意味が分かるというオチが付いてます。
木原音瀬しか書けない作品の醍醐味が思う存分味わえて本当に面白かったです。

私が思わずうまいなと唸った箇所は 元彼・千博が主人公の大宮(攻め)をめちゃくちゃに精神的に追い詰めるところです。「人間の狡さ」丸出しなのです。
心の闇を大宮にぶちまける千博を 心の底から憎いと思わせてしまう凄さ。
主人公の二人よりも千博は目立っていました。
脇役の持って行き方がずば抜けて素晴らしかったです。
木原先生は人間観察が飛びぬけて上手い作家だと改めて思いました。
助演男優賞は『千博』に決定です。

5

そのままベーコン・レタス・トマトサンド

タイトルだけ見るとどんな感じなのか分かりませんでしたが、歳の差ラブのステキな話でした。
攻めの大宮と受けの北澤は14歳差で、大宮が中学生の北澤に痴漢をしたのが二人の出会いです。時にドロドロでいて微笑ましいラブが「ライン」から「dessert box plus」の4編に渡り描かれています。
中学生に振り回される大宮と、不安定な中学生からいい感じの大人になっていく北澤と、美形なのに酷い役回りの千博と、マスター。登場人物全員に私は萌えました。
これまで、攻めは年下のが好みでしたが改めてオーソドックス(?)な年上もいい、と再認識。
大宮と千博のエッチシーンはたまりません!「君は僕以外、一生知らなくていい」とか、コンドーム初体験の酸っぱい北澤とか、とても心にきました。
木原先生の作品の中では、あまり知られていないのかもしれませんが、大好きな一冊になりましたよ。
そして、「BLT」とはそのまんまの意味、ベーコン・レタス・トマトサンドでした。

2

歳の差も運命も破滅的な恋も

「僕はあの子以外の誰にもそんな、気持ちを壊されそうになるほど強い感情を持ったことはない。あの子だったら、あの子とだったら……もうどうなってもいいと……」
「わがままばかりで、いい加減で、口が悪い乱暴者で、人を脅すような性悪で……それでも君を愛してる。大事な仕事を放り出しても、首になっても、何を引き換えにしても欲しいと思うほど……」

歳の差のお話だと、年若い方がおぼこかったり、美しくてそっけなかったり、歳上が翻弄されたりするのがやはり典型的な面白い部分だと思いますが、この作品はそれ以上に運命的で特別でその人しか考えられない夢中さがひたすら甘くて可愛かったです。

歳下の北澤は中学生の時に痴漢に会い、犯人の大宮を突き止めます。お金をせびり、大宮の好意を利用して塾通いをサボる際の居場所を確保します。まず痴漢をしてしまった大宮には強い嫌悪感を抱く(「箱の中」を先に読めば、特に)のですが、それでもこの北澤の悪どいせびりはやり過ぎ感否めません。
そして北澤を嫌な奴と判断しそうなところで、親が離婚し自分が要らない存在なのだと聞かされ、彼に少し同情的になるのです。親に必要とされない寂しい心を埋める大宮の存在を、自分の好きなようにあしらいつつ(生臭いのは嫌いだからキスだけ)、好きなように愛を確認し、手離せない中学生の北澤が可愛かった。

大宮は堅実で地味な印象な男ですが、北澤に振り回され職を無くし宮崎まで車で走らされ、結局振られて(と思った)、5年後に突然再会し思いが通じればとにかく夢中で突っ走ります。コンビニであからさまなお泊りセットを店員の目も憚らず買い、彼のアパートに走るのがとにかく可愛い。その様がとにかく羨ましいくらいで。
この作品はとにかく台詞がどれも素晴らしいのですが、上記の台詞にあるように自分を破滅させる程の恋の相手に出会うって、なんだか久々に羨ましく感じちゃいました。

この作品では登場人物が一人として完璧な可哀想で同情を買う存在にならないよう、多少の残酷さも含めて配慮されています。
大宮と同棲していた千博は浮気性で奔放、高慢な男で、大宮が北澤と再会し別れる気でいると知ると自暴自棄になり、脅迫を繰り返し自殺まで図ります。もし彼がここまで激しい存在にならなければ、付き合っている人が運命の恋に出逢ってしまい別れなければいけない可哀想な存在になると思います。しかし千博にもセーフティネット(というとひどいですが)高野が張られていて良かった。
私はデザイナーも書店員もほんの少し関わったことがあるので、デザイナーの孤独で誇りある仕事も、書店員の社会性ある仕事どちらも理解できます。なので千博が大宮の仕事を馬鹿にするのは一番許せなかったです。大宮がレジでカバー掛けるのを心の中で面倒臭いと思っているのはあるあるで笑いました(笑)

小話は本当に甘々でいくらでも読みたかったです。恋人がいることや行為に慣れない北澤も可愛いし、丁寧で美しい挿絵の体格差も最高でした。
今まで読んできた木原さんの作品で一番甘かったです。また何度も何度も読み返し妄想したくなる、すごく好きな作品です。

2

この作品が収納されている本棚

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