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同窓会で再会して関係が始まっていく、
その部分だけ見るとよくあるストーリーかな?
という感じですが。
片喰と初鹿野を繋ぐ過去のエピソードは
かなり苦しくて、
さらに片喰の初鹿野に対する想いも
思っていた以上に重たかったので
単なる再会モノとして片付けられないほどに
濃密な展開だったなと思います。
そして。
片喰の人物像をどう捉えるかによっても
だいぶ印象が違うお話になるな、と。
初鹿野視点での片喰は
ストーカー気質なところや
引っ込み思案で後ろ向きなところが目立ち
イメージが負の方向に偏っていましたが
初鹿野フィルターを外すと
違う表情が見えてきたのが面白かったです。
きっと初鹿野もそういう部分を知っていくことで
片喰に惹かれていったのかなと思いました。
それぞれの境遇もわりと重たかったですが
あえてさらっと流してくれていたので
その重たさに引っ張られることなく
"現在"のふたりの気持ちをしっかりと感じながら
読むことができました。
読み終えてみて、よく分かったような分からないような。
萌えたのか萌えなかったのかも曖昧なままだというのに、なぜか先が気になって読んでしまう不思議な作品でした。
一言で言うのなら、同級生の再会ものです。
ただちょっと、それだけではないんですよね。
同窓会で再会したけれど、名前も顔も見知らぬ「夏目」という男。自分は相手を知らないのに、相手は自分のことをとても良く知っている。
初鹿野からすれば、夏目という謎の男は「数多くの同級生の中にもしかしたら居たかもしれない」レベルの人間の内の1人なのかもくらいの認識でいたものの、学生時代の同級生が覚えているエピソードにしては昨日見たことのように詳細を語ってくるわけです。これは怖い。
お前は一体誰なんだ?となるのも無理はない。
と、ミステリアスな始まりにわくわくしながら読み進めると、今作はそういうお話ではなかった。
勝手に期待をしてしまった私が悪いのですが、再会もの+攻めの長年の片想いに絆され、癒されてしまった受けのお話といった印象でした。
「夏目」ではなく「あの片喰」だった男。
ずっと初鹿野に憧れ、好意を抱いていた彼の盲目的とも言える一途な執着愛が見事です。
片喰いわくクラスの中でも光った存在だった初鹿野も、社会人になった今ではどこにでもいそうな凡庸なサラリーマン。
いわゆる人気者だった昔と現在のギャップと、心の中にまだあるちっぽけな自尊心の狭間で揺れる初鹿野を全肯定してくれる片喰の存在が彼をどんどん人間くさくしていきます。
無意識に自分よりも下だと思っていた相手から無条件にちやほやされ、ストーカーじみているのは気持ち悪いけれどちょっと気分が良かったり、初鹿野の人間くさいいやーな部分がこれでもかと描かれているんですね。
そして、後半でこれが逆転していくのかすごく面白かったんです。
下に思っていた相手が自分よりもハードな人生を送っていて、自分よりも成功をしている存在だと知り、勝手に自滅していく主人公・初鹿野。
でも別に片喰は何にも変わっていなくて、初鹿野日記をつけているいつものちょっと気持ち悪い片喰のままなんですよ。
萌えた萌えないで言うとあまり萌えはなかったのですけれど、勝手にぐるぐると転げ回っている初鹿野の心理描写が生々しくて面白かったです。
しかしながら、片喰の設定が盛り盛りだったのがちょっと気になったかなあと思ったり。
もちろんフィクションのお話なのですが、一穂先生作品って表現がところどころリアルに感じられる分、片喰の実は…設定が出てくる度に現実味の3文字がパッと消えていって萎えてしまった部分がありました。
好みとは異なりリズム良くは読めませんでしたが、ページを捲りたくなる力がある作品だったと思います。
冒頭は、高校の同窓会。
上司に言われて渋々出席した初鹿野。
初鹿野は、見た目も振舞も綺麗で、いつも中心に居る存在。
でも、人と関わりたがらない。
「点と線」にあったような瞬間に、対岸の壁に寄りかかっていたお洒落な装いの男と目が合う。
近づくと、手書きの名札に「夏目」と書いている。
初鹿野が知らない夏目は、初鹿野を良く知っていた。
二次会に行かず、夏目と「椿」という店に行き、初鹿野は泥酔、
気付いたら夏目にお持ち帰りされて抱かれた後だった。
夏目は仮名で、実は「片喰」・・初鹿野が会いたくない奴だった。
片喰から「ずっと好きだった」と告白される。
連絡先を確認して、朝帰りから直勤する初鹿野。
・・・と、ミステリアスな冒頭。
片喰は、何故偽名で近づいてきたのか、謎。
一穂さんの丁寧で焦れる、遅い展開テンポと相性が良ければ、
きっと面白く感じる作品だと思う。
片思い執着愛のヘタレ粘着男xトラウマ持ち美男。
パターンは、「美しい彼」に似ていると思う。
参考:片喰/「かがみぐさ」「すいば」「しょっぱぐさ/
酸性の植物。銅鏡の曇り止めで、鏡を磨く必需品でした。
いやぁ、設定というか、こんなうっかりは無いでしょ。と思いつつ読み始めたら、初鹿野の気持ちの動きが自然で、なかなかそんなすぐに好きになれるわけもなく、でも自分をずっと想ってくれていた相手に嫌悪感ではなく情を感じつつあって。
高校の同級生だった初鹿野と片喰は、同窓会で再会し、関係を持つことになってしまった。
普通なら、そこで無かったことにして終わりなのに、初鹿野は何か思うところがあったんでしょうね。片喰のイジイジしつつ、初鹿野への想いだけはきっぱり主張出来る。
なんだか彼らを見ていると、こっちも「片喰、頑張れ」と思っちゃうし、初鹿野には「早いとこ気持ちを認めて楽になれ」とエールを送りたくなるような、そんなお話でした。
しかし…3億稼げるとは凄いな、単行本5巻で?!コミックスだと増版されてるとそういうのもあり得るか〜。でも、続きがないのはツライね。
末永く何とかずっと一緒にいられることを祈りたい二人でした。
キュンキュンしましたー!
ヘタレ×器用なリーマンもの。
ずーーーっと受けの子が好きで一途。受けの子はそれを受け入れる。キュンキュンポイントです。
しかも受けの子が積極的な作品でエロシーンがお気に入りです。恋愛上手だな。怖い怖いと思いながら。受けの子、いろいろ上手なんです。
良いものを読んだ。
読んだ後にほっこりする素敵な作品でした。
一穂先生の田舎の描写が好きなのですけど、今回も景色を想像して楽しめました。
電子で買ってしまったので挿し絵がなかったのだけは失敗しました。