『マークスの山』に続く 合田刑事第2幕 「こんな人生、もう嫌なの」 その瞳が、2人の男を狂わせる。

照柿(下)

照柿(下)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×21
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
7
評価数
2
平均
3.5 / 5
神率
0%
著者
高村薫 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
講談社文庫
発売日
ISBN
9784062752596

あらすじ

難航するホステス殺害事件で、合田雄一郎は一線を越えた捜査を進める。平凡な人生を17年送ってきた野田達夫だったが、容疑者として警察に追われる美保子を匿いつつ、不眠のまま熱処理工場で働き続ける。そして殺人は起こった。暑すぎた夏に、2人の男が辿り着く場所とは――。現代の「罪と罰」を全面改稿。
(出版社より)

表題作照柿(下)

レビュー投稿数1

重く暗く陰鬱、読み応えあり

合田シリーズ第二弾の下巻。
これもまたBL面からレビューするのは難しく、しかも合田の行いがあまりよろしくないため賛否両論ありそう。物語がスピード感を持って進み始めるのは、終盤の四章。面白く確かな読み応えはあるが、重く暗く、リアルな知り合いには薦めにくい内容。

始まりから「堕落」と評されているように、合田が一人の女に一目惚れして奔走し、不正にまで手を染める。
上巻同様合田視点・達夫視点が織り交ぜられ、どちらも欝々と悩み続ける心理描写が続く。延々と流れる否定を示す接続詞。時に醜悪な人の深淵を覗くのは、ただただしんどく萌えている場合じゃない。

物語の転換点は、思わぬ方向からやってくる。そこから急展開が続き、合田の中にあったモヤモヤも、少しずつ形になっていく。最後に合田が達夫にかけた言葉は衝撃だった。あれは合田自身への言葉でもあったんだろう。

今作の萌えポイントは添える程度に。作中で元義兄の存在感は淡い。ただやはり合田が弱音を吐露する相手はこの元義兄ただ一人なんだと、ラストで分かる。それも手紙のやりとりという形で、言語化された心理は今までと打って変わってあからさまな言葉で綴られていて驚く。それに対する返信には、優しさとちょっとしたユーモアが含まれていて良かった。

また、(この下巻だったかは忘れてしまったのだが)合田はもしかして……?と思う一文がある。腐女子目線で深読みしながら読むと、また別の感想が出てくるかも。すごく曖昧だし、たった一言だけなので、確信は持てない。合田自身に何らかの自覚があるのかも分からない。
この作者は「隠微」という単語を頻出させるが、合田の深いところはまさにそういう描き方になっていると思う。

これを機に合田は所轄署に転属となる。今作が読めない場合、シリーズ次作に向けて押さえておくべき最低限の情報はここかな。
匂い系を期待するなら、ぜひ次の「レディ・ジョーカー」も読んで欲しいと思う。納得の萌えがあり、小説としても最高に面白いので。

萌え×2評価だが、単に★4てことで。

1

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