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『マークスの山』に続く 合田刑事第2幕 「こんな人生、もう嫌なの」 その瞳が、2人の男を狂わせる。
迷っています。人生に。「マークスの山」では元気いっぱいに仲間と手柄を取り合ってましたが、今回も捜査のために自分のポケットマネーを何百万も使って賭場に出入りし(現行犯なら即免職)ヤクザの組長泰野さんにめちゃくちゃ気に入られて執着されています。新宿で会った時も手首を掴まれたりポロシャツの襟を撫でられたりなんかエロくて狙われてる感満載でした。その後の3PとかSM発言も完全に性的な目で雄一郎を見ている!と思いました。
野田や佐野美保子との三角関係も色々と考察する所があります。雄一郎は離婚後6年で精神的にも肉体的にも寂しくて仕方なかった。必死に働いて出世しても家族もいないのに何のために?とか考え出しちゃってたのかも。雄一郎は家庭を守ってくれるような平凡な女性じゃなく、美人だけど破滅に向かっていくような過激な女性にばかり惹かれるタイプ。でも一目惚れした相手にエッチな事する目的で映画館に誘われたのに「ゴジラ」をチョイスしてしまう雄一郎。「僕がTVで見た頃はモノクロでした…」とかそんな事言ってる場合じゃないでしょう(笑)案の定「私あなたとは合わないわ」とフラれちゃうし。雄一郎は元妻以外と女性経験ないんじゃないか?と疑ってしまいます。イケメンなのに。
元義兄の加納祐介に関しては「女より面倒な…」と2回もモノローグで言っています。可哀想。どうやら祐介から自分への何やら特別な感情を既に読みとっている様子。でもそう思いつつ雄一郎も楽しい兄弟ごっこをやめられないのよね。警察関係者同士話も合う、心地良い男同士の魂の交流を。
小説のラストは傷心の雄一郎から祐介へのまた甘えた感じの手紙と、祐介からの返事で終わっています。祐介から雄一郎への手紙は優しさと愛情しか感じられません。だからますます元義兄弟の絆は深まってしまう。
祐介さんは今作では雄一郎の家へはいない時に来てちょっと片付けて手紙を置いていくだけの関係ですが、次作のレディ・ジョーカーでは手料理を振るまって一緒に食べたりして本気で胃袋を掴みにかかってきます。
高村さんの合田雄一郎シリーズは硬質な文章とストーリーの中に、元義兄弟萌えを所々ぶっ込んでくるのと硬質なのに内容が甘い会話とか手紙とかに萌え転がされます。普段はシャープでクールな刑事・雄一郎が元義兄の前でだけ見せる柔らかさとか無防備さにいつもやられています。祐介と共に。この私がエロのない匂い系にここまで萌えさせられるとは。高村薫恐るべし。
合田シリーズ第二弾の下巻。
これもまたBL面からレビューするのは難しく、しかも合田の行いがあまりよろしくないため賛否両論ありそう。物語がスピード感を持って進み始めるのは、終盤の四章。面白く確かな読み応えはあるが、重く暗く、リアルな知り合いには薦めにくい内容。
始まりから「堕落」と評されているように、合田が一人の女に一目惚れして奔走し、不正にまで手を染める。
上巻同様合田視点・達夫視点が織り交ぜられ、どちらも欝々と悩み続ける心理描写が続く。延々と流れる否定を示す接続詞。時に醜悪な人の深淵を覗くのは、ただただしんどく萌えている場合じゃない。
物語の転換点は、思わぬ方向からやってくる。そこから急展開が続き、合田の中にあったモヤモヤも、少しずつ形になっていく。最後に合田が達夫にかけた言葉は衝撃だった。あれは合田自身への言葉でもあったんだろう。
今作の萌えポイントは添える程度に。作中で元義兄の存在感は淡い。ただやはり合田が弱音を吐露する相手はこの元義兄ただ一人なんだと、ラストで分かる。それも手紙のやりとりという形で、言語化された心理は今までと打って変わってあからさまな言葉で綴られていて驚く。それに対する返信には、優しさとちょっとしたユーモアが含まれていて良かった。
また、(この下巻だったかは忘れてしまったのだが)合田はもしかして……?と思う一文がある。腐女子目線で深読みしながら読むと、また別の感想が出てくるかも。すごく曖昧だし、たった一言だけなので、確信は持てない。合田自身に何らかの自覚があるのかも分からない。
この作者は「隠微」という単語を頻出させるが、合田の深いところはまさにそういう描き方になっていると思う。
これを機に合田は所轄署に転属となる。今作が読めない場合、シリーズ次作に向けて押さえておくべき最低限の情報はここかな。
匂い系を期待するなら、ぜひ次の「レディ・ジョーカー」も読んで欲しいと思う。納得の萌えがあり、小説としても最高に面白いので。
萌え×2評価だが、単に★4てことで。
1994年発行のハードカバーの物を読みましたが、こちらにレビューします。
なかなかの厚みで、これは振り回したら鈍器になり得る…。
他のレビュアーさんのレビューにあるセリフに見覚えの無いものがありましたので、文庫版は加筆修正がされているのかもしれませんね。
ただひたすら重い、陰鬱な雰囲気漂う作品でした。
前作も救いが無いままのエンドでしたが、本作もさらにそれを上回る救いの無さでした。
合田雄一郎の幼なじみ、達夫が本作のもう1人の主人公なのですが、達夫の仕事っぷりが完全な社畜で、慢性疲労、頭痛、部下への苛立ちなどの描写はひたすらキツい。上司と部下との板挟み。加えて過酷な勤務環境…これは病む。
雄一郎は雄一郎でまた非常に危うい状態。
事件の関係者である女性に一目惚れ、達夫と関係している女だと知り嫉妬心を燃やす様にはドロドロとした人間臭さを感じました。
サラッとナンパ出来ない真面目さの反面、職権濫用したりして実に危うい!
賭博で大金すっちゃったりして、どうしちゃったのって感じ。
雄一郎って孤独なんだよな…。
プライベートでも職場でも。
自分が影響を与えてもらっても、相手には返すことをしない、ドアの無い家の窓から相手を見ているだけだ、みたいな描写は雄一郎の性分を的確に表現していますよね。
義兄の祐介に会っても、相手が清廉な存在だけに自分の奥底までは曝け出せないのかな、と何となく思う。
でも今回の件をきっかけに、少しでも心のうちを話せるようになるといいな。
ラストの義兄に送った手紙には"珍しい乱筆ぶり"が見られ、雄一郎の外側にある殻にひび割れを感じました。
陰鬱な雰囲気の中で、祐介との関わりが唯一の癒しと感じる本作でした。
次作はもう少し萌えがあると、私的にはありがたいな。
はじめまして。甘食と申します。大好きなシリーズのレビューが嬉しくてコメントさせて頂きます。ももよたん様はハードカバーで読まれたのですね。高村薫さんは掲載→単行本→文庫で加筆修正がとても多い作家さんでそれぞれの味があるようです。私は文庫で読みましたが今単行本版も読み直していて(合田シリーズ全部)、「文庫もいいけど単行本のこのセリフも素敵ー!」と悶えています。主に元義兄弟の部分中心ですが。
ももよたん様のレビューにもあるように雄一郎って終始危うい人ですよね。エリートなのに。加納さんにとってはそんな所も庇護欲を煽って魅力的なのかな?と日々妄想しています。次作「レディ・ジョーカー」はストーリーも萌えも素晴らしい作品だと思うので、いつか読んでいただけたらまたレビュー拝見したいです。
では長々と失礼いたしました。
ももよたん
甘食様
コメントありがとうございます!
いつも甘食様のレビュー参考にさせていただき、楽しみに読ませていただいてます。
文庫本に加え、単行本も!合田シリーズにハマりこまれてますね。
何なんでしょう、このシリーズの魅力。
やはり合田の刑事としての優秀さの中にある危うさ…が魅力なのでしょうね。
私もシリーズ辿るのがやめられません。
加筆修正がかなり多めのこと。
私もシリーズ読破したら文庫も読みたいです。
レディージョーカーも読み始めたところです♪
元義兄弟の関係も変化があるのか…期待しかありません。