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彼女の作品はどれも大好きなのですが今回は私が初めて月村さんを知った本であり、トラウマを持ったとことんマイナス思考な受に自分自身が大変萌えるのだと実感させられた作品を紹介したいと思います(笑)
お話は義兄に性的暴行を受け心に傷を持つ朔矢(受)と隣に住む自分とは正反対なクラスメイト二階堂(攻)とのセンシティブラブストーリー。
二人がくっつくまでの表題作と2人が付き合い始めてからの書き下ろしとお話は2部に分かれているのですが、私は書き下ろしの「anchor」の方が好きです。
トラウマを抱えながらも何かと面倒を見てくれる二階堂に惹かれ、やっとの思いで告白し彼にも気持ちを受け入れて貰えたにも拘わらず、付き合い始めてからも二階堂の気持ちが信じられず彼の言動に振り回されマイナス思考のドツボにハマっていく朔矢。いや、二階堂は至って普通なんです。ただ朔矢が自分に自信を持てず勝手に無粋な勘ぐりをして1人でギクシャク空回りしてる感じなんだけど…でも義兄にされた事や母親から受けた傷を思えば朔矢がネガティブになっていく気持ちも分からないでもない。私もどちらかというと表現下手な方なので素直になりたいのに傷付くのを恐れて余計な予防線を張りそれによって自分自身を傷付けてしまうという悪循環のシチュエーションには自分を重ねて何度も切なくなりました。
でも二階堂も言葉が少な過ぎる(笑)あれじゃ朔矢には伝わらないよ。まぁそれが彼の性格じゃ仕方ないけど読みながら私も二階堂の言動にはやきもきさせられました。一貫して二階堂はクールなイメージだったけど、でもたまに見せる笑顔や優しさ、「柄にもなく理性を失った」と言わしめた義兄に対する嫉妬にはその分大変萌えました。ギャップ萌(笑)
あと月村さんの作品で好きな所は彼女特有の台詞の言い回しでしょうか。独特のテンポがあるというか、場面に合った台詞をドンピシャで持ってこられるとホントに拍手喝采を送りたくなる(笑)
因みに今回の(私的)名言は2人がエロい事に突入した場面で二階堂の真意を疑った朔矢に対して彼が言った言葉
「好きでもない相手のこんなところに、こんな事ができるほど俺はイカレた男じゃない」です。
…どうも、スミマセン…>_<
エロよりもストーリー(特にヤキモキ系)を好まれる方に月村作品はお勧めかと思います^^是非!!
月村さんお得意のグルグル後ろ向き思考の受けですが、この子は表向きは明るくふるまっている分、根が深い感じ。攻めはツンデレというか、わりと普通の子でした。優等生だけど、考え方がフラット。
全体的に好きですが、人に勧めるのは難しい。
月村さんの最初の一冊には勧めません。
やや薄味。
月村さんらしい、マイナス思考たっぷりなお話でしたw
高校生同士の恋です。
主人公の受けは、友達が多くて明るい性格です。でも、心には大きなトラウマがある。義理の兄に性的虐待を受けており、それを誰にも言えずにいる。
攻めは同じクラスの優等生くん。
あるきっかけで、主人公は優等生くんに、トラウマのことを知られてしまう。誰にも言えなかった過去を始めてぶちまけることができて、主人公はホッとする。
それをきっかけに仲良くなり、交流していくうちに、いつしかお互いに惹かれていく。
優等生くんが、めちゃくちゃイイヤツでした。頭が良くて頼りになるし、何やらせてもソツなくこなすし、かっこいいし。
正直月村小説の主役受けのマイナス思考っぷりには、たまについてけなくなる時があります。この小説も、前半は良かったんですが、後半のマイナス思考のオンパレードにはちょっと食傷しました。
全体的には面白かったです。
実家はお金持ちで放任主義、3LDマンションに1暮らしの朔矢は、遊び友達も多く一見我が儘で軽い気楽な高校生に見えるのですが実は彼には再婚相手の連れ子である義兄勇一に性的悪戯をされていた過去があり、それを兄の父である義父が朔矢のせいだと誤解しこのマンションへと体よく隔離されているという状況。
いつもの様に遊び仲間と別れて自宅マンションへと帰った朔也はそこで、クラスの中でも苦手な部類の二階堂と会ってしまいます。
それまで気付かなかっただけでお隣さん同士だったのですね、実は。
二階堂は「音が五月蠅い、やかましい」と冷ややか気味ですが、彼の母親は朔也に対して好意的で食事に誘ってくれ、実際その後暫くしてその手料理を二階堂の家でご馳走になります。
二階堂の母親も弟も外出中で、2人きりでの夕食なのに自分の傍に誰かが居る安心感に朔也は不覚にもちょっとだけ涙ぐむんですよね。
外で明るく振る舞っていても孤独に1人で頑張ってるんだよなーって分かるいいシーンです、もっとも彼は見ていたテレビのせいと主張しますがそこもいい。
そしてついに義兄勇一が朔也のマンションへと押し掛けてきます。
かなり精神的に不安定にな勇一は、新しい家庭と母の幸せを考えて理不尽な義父の誤解にも言い訳もせず耐えたのに、それを自分を好きだから庇ってくれたと勝手に思い込み朔也を強姦しようとしますが、物音を聞きつけた二階堂が駆け付け助けてくれます。
そこで朔也は事情を話し、そして二階堂はそれに対して理不尽だとまっとうな指摘をするも朔也側の心情も聞いた上で拠り所を作れ、と告げいつでもうちに来いと言い残して帰って行きます。
部屋の中では何かしらテレビや音楽を流していないと不安になる朔也は、眠れない夜に二階堂の言葉通りダイニングの壁をコツンと叩いてみます、ややあって同じく小さな音が隣部屋の壁から伝わってきて、もう一度叩けばあちらからも返ってくる、このシーン凄く好き。
その後二階堂から電話がかかってくるんだけど、壁コツンだけのシーンだけでもここは良かったんじゃないかなって位に好きシーンです。
二階堂という心の拠り所を持ち、一旦浮上したかに見えますが彼が誰にでも優しい事や彼女と噂される相手が居る事等が積み重なって、朔也はどんどん不安になり拠り所を見失いかけます。
そんな朔也の手を引いて立たせてくれたのはやはり二階堂でした。
義父はもっとざまァでも良かった気もしますが、最後まで何もしらない母親と妹さんには幸せでいて欲しいのであの位でいいんでしょうね。
一見明るい八方美人でいて中は脆さをもった寂しがりやの朔也はもろ好みでしたー、二階堂もいちいちかっちょよくて良かった!
当時好きだった漫画家、佐久間さんの挿絵目当てで買ったものの、10年以上積読状態に置いてあった小説。
ようやく読んだのはいいが、中身は私が内心苦手なセンシティブ物だった。
高校生同士の恋愛に微笑ましさを感じるよりも、朔矢の家庭環境からくる精神的な不安定さが気になってしまった。
義兄の仕打ちを我慢したまま一方的に義父に家を追い出され、実母は自分の子供よりも義父の言うことしか聞かないって状況に思いっきり
「うわ~(;´Д`)」と暗い気持ちが湧いた。
相当深刻なトラウマを抱えた朔矢の心境が一冊の中で至るところに散りばめられているので、重い・暗い・痛々しいって気分でもうお腹いっぱいになる。
一方、同級生でたまたま隣に住んでいる二階堂は、そんな朔矢とは真逆の誰からも信頼の厚い頼り甲斐のある優等生。
せっかく朔矢が想いを打ち明けても考え方が暗いのが駄目って解る故に、二階堂のつっけんどんさや突き放しにはハラハラした。
でも高校生だからなぁ、変に世話をやくよりもこれが自然なのかも…とも思える。
大人のように包容力があるなんてのも逆に不自然だろうし。
朔矢になかなか笑顔が出てこないし、前向きに成長しそうにない展開に最後まで気になってしまったが、最後の数ページでやっとその姿が読めてほっとした。
甘くときめくBL成分は相当薄いが、十代の頃に感じた心の不安定さというのは良く出ている気はする。