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『キャッスルマンゴー』の十亀の高校生時代。
端的に言って素晴らしかったです。
主人公・十亀の高校生の頃からお話は始まります。
過酷な環境下、それでも必死になって生きようとする十亀と姉、幼い弟。過去、ホームレスも経験している十亀は他人の食べ残しすら「昼飯があってよかった」と思うほど、状況に慣れ切っていた。そもそも、大酒喰らいの父が作った借金が原因でそんな生活を強いられていたが、彼らは父を恨むでなく、懸命に、淡々と生きていた。そんな中でできた友達・二宮との触れ合いがやっとホッとできるシーンでした。だから、あんなことになるなんて、とかなり衝撃を受けました。主人公をこれほど叩きのめせるものか、と、ちょっと考え込みました。
が、読む手は止まりません。その後の「god bless you」は十亀が大人になってからのお話です。十亀の抑えた、というかどこかが死んでしまっているような冷静な感情描写が見事でした。十亀の人間性が少しずつ周囲の人間の信頼を獲得し、彼の仕事に対する情熱が認められてきた頃、やはり矮小な人間が彼の邪魔をしようとする。とにかく、このお仕事ターンが本当にカッコいい。そして彼のいる業界の描写がすごい。その場で見てメモを取っているかのような詳細な記述で、それにまず驚きました。木原さん、というかBL小説を初めて読んだのですが、これほど大きく感動させられるとは、と思いました。十亀の恋人・万(よろず)くんもかわいくて、彼のお話「キャッスルマンゴー」(※漫画)もぜひ読んでみたくなりました。
キャッスルマンゴーから読み出したのですが、原作が木原音瀬さんだけど、やはり原作なのでちょっと雰囲気が違うなって思ってました。
木原音瀬さんの世界観を二巻で表すのはやはりページが足りなかったのかもしれません。
ですが!
このリバーズエンドを読むとキチンとストーリーが繋がって、コミックスのあの十亀はこうやって出来上がったんだって思いました。二宮とはあんなことがあったんですね。そしてお金がない、貧乏というのと不幸せはイコールでは無い、そう思える十亀は家族に恵まれていたのでしょうね。
後半は、キャッスルマンゴーの後のお話です。
帰国した十亀と大学生になった万と。すれ違ったまま映画の撮影に出かけます。映画の撮影のいざこざは割愛しますが、引き込まれちゃいました。うまいです。
若手主役級の俳優が交通事故をマネージャに身代わりさせたってシーンがありましたが、思わず某俳優を思い出しちゃいました。時期的にはこの作品の方が先なので、業界ではよくある事なのかもなーって邪推しちゃいました。
最後の最後まで二人はなかなか思いを伝え合えなかったんですが、やっとこさ話をすることが出来て…万からは十亀を囲う宣言まで!
万がどうしても北海道に旅行に行きたかった理由も最後には分かりましたし、やはり肉体関係以外のコミュケーションは重要よ、十亀…
しかし、受けが攻めを囲うって言い出すのは他では知らない初めてのケースでした(苦笑)
この二人は攻め受けのあり方が大方のBLとはちょっとズレるのかなと思います。
(関係的には十亀が攻めには違いないんですが)前述の囲う宣言もですが、p287の挿絵なんかもそう。万が受けっぽく無いので、違和感がある方もおおいのかもしれません。こんな二人もきっと世の中にはあるよねって。そういやそこだけに注目するとケンジとシロさんとも似ているかも。
切ないけど、最後は口元が緩む、そんなお話でした。
これだから木原音瀬はやめられない!
コミックのキャッスルマンゴーは電子版で読めたのですが、小説リバーズエンドは電子版が無くて焦りました。
正規のルートで手に入れて読みたかったのですが、諦めて中古で購入しました。
中古でも、まだ購入でき読めて良かったです。
絶版になったりすると高値で売買されたりするので。
十亀の過去編である、リバーズエンド。
後半辛くてしんどくて、泣きながら読み終えました。
キャッスルマンゴーを読んだだけでは解らなかった十亀の内面、深掘りと言うか肉付けというか、人間性の厚みがグッと出ましたね。
god bless you
キャッスルマンゴーのその後。
2人とも不器用でラブラブ、いちゃいちゃなんて事にはならないんですね!
少しだけそんな場面もあったけど、特に十亀さんが不器用すぎて。
あんな過去があればしょうがないのか。
仕事だと器用に先回りが出来る男なのに。
万、様々ですよ。
映画作りの大変な裏側を少し知ることができました。
読み物として、凄く面白かった!
コミックスの「キャッスルマンゴー」と一緒に読むべきでしたが本作だけ読みました。
表題作「リバーズエンド」が十亀の生い立ちと高校時代、「god bless you」が今の十亀の仕事のお話。
時系列的には、真ん中に「キャッスルマンゴー」が入って万と十亀の出会いと恋が描かれている、という感じ。
この小説はあまりBL臭がないですね。「コノハラ節」も控えめ?
「リバーズエンド」
一言で言うと「貧困」。
十亀一家の貧困生活と、その突然の終わりについて。
今2020年、コロナ禍の中で、この貧困はすぐ隣にあるリアルだと感じた。
リアルさはさすがだけど、BLじゃない…かな。
「god bless you」
十亀のその後。AV監督になり、それが縁で万と出会い恋人になり…(←が「キャッスルマンゴー」で描かれている。)
そしてまたその後の、ある一般映画にメイキング撮影の仕事で参加するお話。
映画製作のアレコレと人間関係の難しさなどがつらつら語られるのが中心となっています。
これはフツーに面白いんだけど…これもBLとしてはどうかな。
ただ、十亀の「大人さ」や柔軟で懐の深い感じは魅力的。これは仕事仲間としてやりやすくて信頼を得るだろうし、女なら好意も持つだろうなぁ。
この話では、十亀と万は喧嘩をしています。
若い万は、十亀視点から見るとちょっと子供っぽく拗ねている。
でも「リバーズエンド」を経た十亀を知る読者は、十亀がどれほど万が大事か、同時に十亀が大切なものを失う事を骨の髄から「知ってる」ことがわかってる…
十亀の魅力一択の一編だったかな。
「木原音瀬」作品だから、とずっと後回しにして積んでたんだけど、怖くなくて読みやすかったです。
この作品はキャッスルマンゴーっていう作品のスピンオフ的なやつなんですね。知らずにこちらだけ読んでしまい、イマイチよくわかりませんでした笑
キャッスルマンゴー未読の私は正当な評価ができないのかもしれませんが、おそらくキャッスルマンゴーを読んでいたとしても、主人公たちのキャラが好みでなかったので、この評価だったかなと思います。
この作品はBLというよりは映画製作を舞台にした一般小説に近いです。キャッスルマンゴー未読の方は読んでからじゃないと楽しめないと思います。