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表題作草食むイキモノ 肉喰うケモノ

関目将之,25歳,高専出の同期組立班長
牧野幸弥,20歳,中卒で働く備品室係

あらすじ

家族を失い叔父に引き取られるも、身の危険を感じ中卒で独り立ちした幸弥。同じ工場に勤める組立一課班長の関目は、頼れる兄貴分のように幸弥のことを気にかけてくれている。そんな幸弥の目下の悩みは工務部長・大谷のセクハラ。エスカレートするそれに気づいた関目は同僚の千林の協力のもと、幸弥の部屋に泊まり込むことに。幸弥の質素でつつましい暮らしぶりや小動物のようなたたずまいに、十代はヤンチャで鳴らした関目の庇護欲は次第に捕食欲とないまぜに⁉︎

(出版社より)

作品情報

作品名
草食むイキモノ 肉喰うケモノ
著者
今城けい 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
草食むイキモノ 肉喰うケモノ
発売日
ISBN
9784576121406
3.9

(66)

(23)

萌々

(25)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
14
得点
256
評価数
66
平均
3.9 / 5
神率
34.8%

レビュー投稿数14

まさにマイナスイオン

今城さんの作品は初読みです。
とても読みやすいですし、攻め受けの両視点でお互いの気持ちがわかりやすく面白いです。
梨さんの描かれるイラストも、良い意味で淡々としていて美しいのでオススメです。
梨さんのイラストのわたし個人のイメージは、大人の男という感じなんですが、特に今回受けが受け受けしいタイプなのでどうかな?と思っていましたが、すごーく可愛かったです。


受けは中卒で、工場の工具備品室に勤める牧野。
20歳で小柄、子供っぽい顔立ち。

攻めの関目は、牧野と同じ工場の組立一課で働く男らしい容姿の男。
20歳と15歳という違う年齢で入社していますが、同期です。


ふたりの出会いは入社式。
スーツも買うお金のない牧野が、中学の制服で出席しようとして(この辺もホロリ)入口で止められてしまった際に助けてくれたのが、関目でした。

この作品、受けの牧野がひじょーうに!可愛いんです。
BL界のお約束的な、受けの不幸過去。
牧野の場合は、家族を土砂崩れで一度に亡くしたために叔父の家へ引き取られ、しかもその叔父が博打や酒癖が悪く最悪。
そこから教師の力を借りて、逃げるように寮のついたこの職場に就職したというものです。
叔父にイタズラされそうになっただけでなく、この春からは上司の大谷からも性的な対象にされ、「不幸のミルフィーユやぁぁ!」という感じになっております。

そんな牧野は、そういうことを誰かに相談したりせず、大事な大事な宝物さえあればちゃんとやっていける(ここでもホロリ)と、念仏のように唱えひたすら耐えるんです。
小柄で可愛い系の受けはどうしても女子っぽくなったり、ウジウジが×10くらいになったりとするパターンが多い中、牧野にはそういうイライラさせられる要素は読んでいてもありませんでした。
ただ、攻めの関目は牧野がはっきり相談してこないことにイライラしているようですが(苦笑
関目は良いこと、悪いことの区別をキチンとつけられ、ひじょうに男前です。
とにかく牧野が可愛くて可愛くて仕方ないという様が、こちらまでニヤニヤさせられました。
えっちシーンも雄全開!で「きゃー、恥ずかしー」と久々に乙女になっちゃいましたよ(笑

関目の友人である千林もなかなか良いキャラ。
感じとしてはスピンオフある?と思わされるんですが、そうなると千林は受けなのかしらとか考えちゃいました。
個人的には丁寧語攻めが好きなんで、彼は攻めでいて欲しいですが(笑

レビュータイトルの『マイナスイオン』とは牧野に対しての千林の感想なんですが、あまりにピッタリで印象に残っていたんです。
こういう、ちょっとした言葉選びが『今城さんセンス良いなー』と、他の作品にも興味が出てきました。
書き下ろしのためか、ふたりの心の動きも丁寧に表現されていて良かった。

10

「可愛い」の言葉しかでない!

『……あー、これやばい なんか美味そう』
 この帯の言葉の通りだと思うほど、受けさんの幸弥はとても可愛らしかったです。
あらすじを読むと「セクハラ関係絡んでるのか…」という事が分かり「うっ」と自分の中できたのですが、表紙の絵がとてもツボでツボで…購入させて貰いました。
製造工場の話と言う事で、分からない部分があるんじゃないかなと構えていましたが、とても分かりやすい表現で自分の中にすんなり入ってきたので安心しました。

 セクハラ関係が絡んでいる作品は、セクハラをする男性が私の中でとても嫌な人として入ってきて地味に気分悪くなることもあるので、極力避けていました。
 今回のお話もセクハラをしてくる上司には「うえっ」となってしまったのですが、その気分を全て取りはらってくれるように、後半、攻めさんの関目がかっこよすぎました。
 関目の最初は守ろうとかそういう庇護欲だったのが、捕食欲と変わっていく様も見ていてにやにやとしてしまいました。
(あらすじに書いてある捕食欲というのが一番しっくりきてるかと^^)

 全体的なまとめとして、この作品はとても可愛らしい作品でした。
幸弥の過去などは暗いものでしたが、”重いもの”としてこなかったのは幸弥の優しさと関目の包み込むような温かさのおかげなのかな、なんておもったり。
(幸弥を見ていて心にグッときたり、頑張れ、なんて思っちゃったりしました^^;)
前半というか、セクハラ関係のお話は「うええ」っと思って仕方ないのですが、幸弥に関わる人達が優しく、そんな人たちとの関わりがほんわかとしていて嫌な気分が中和されるようです。もちろん関目の効果も大きいのですが、(笑)
 ひと段落してもすんなりいかないそんな二人にもだもだする気持ちになり、最後にはとっても幸せな気持ちでいっぱいになりました。行為中の幸弥の大胆さには驚くばかりです…(笑)

 方言(ですかね?)が「これってどういう意味だろう」と一回止まって意味を考えたりする所が多かったですが、それもまた楽しかったなと。

 この作品は、この内容でもとてもよかったのですが、私としては幸弥と関目のラブラブな所がもっと見たかったなあと思います。
それと、千林に対してもちょっと疑問が残ります。疑問と言うか、彼はどういう人なんだろう…っていう事ですが。(千林の腹黒さはクセになりそうです…。)
幸弥と関目のラブラブな所もありながら千林がメインのお話とか出ないかなあとぼんやり思っちゃいます*
 私が思い描くのとは違う話でも、久々に続編が見たくなったお話でした。
関目は幸弥にメロメロで振り回されていくんですかね、とても可愛らしいです…ッ

 最後に絵柄に関してですが、この作品にぴったりな絵柄じゃないかと思います。
表紙のデザインも私好みで、この人の絵柄がもっと見たいなと思いました。
作業服から出る色気が…とても素晴らしかった…!

 甘い話や、製造工場などで働く、働く男!って人の話が好きな方、大胆な受けさんが好きな方にオススメしたいなあと思います。

 野性的でかっこよく、ウサギにメロメロな黒ヒョウと可愛く健気で癒し系な白ウサギのお話はきっとあなたも気にいるのではないかと思います^^*

 作者様のブログのweb拍手に、幸弥の宝物に関しての内容があるので、そちらも是非^^
 あとあとがきの幸弥と関目のちょっとしたセリフにも心がもってかれました…

 軽くBL離れしていた私の心を戻してくれた作品です(笑)
本当に買ってよかったです!可愛すぎる^o^!
書いててあれも!これも!となってしまってまとまりがない文になってしまって申し訳ありません・・・そして購入者特典があったことを知らなかったのでちょっと泣きそうになってます…

5

兇悪に純朴

「やおいはファンタジー」が信条なので、あまりリアリティーは求めない方だけど、舞台をリアルに描くからこそ埋め込まれたファンタジーが際立つと思わされた。製造業の工場が舞台といえば、烏城あきらさんの『許可証をください』シリーズがまず思い浮かぶが、あれに比べるともう少しファンタジーな部分が前面に出ている分、甘味が強い。
牧野は家庭の事情から中卒で働いているが、一生懸命で真面目でひとりで頑張ろうとする。人ズレしていなくて、兇悪に純朴。そんな牧野を、千林をはじめ西脇や田辺といった職場の面々が温かく見守っている。
何となく小学校で飼育していたウサギを思い出してしまった。みんなでかわいがってたな~、って…。
まさに「ホワホワ」な牧野にお世話野獣系の関目がヤラれてしまうのは無理もない。腹黒千林は、小動物系を愛でつつ、関目のヤラれっぷりを、時々関目をいじりつつ楽しむのだろう。

4

守ってあげたい

実はこの本「地角の衆生」と同じ日に読みまして、期せずしてピュア受けの日になってしまいました。
「地角~」はファンタジーにファンタジーを重ねた究極のピュアな生き物受けでしたが、
こちら「草食むイキモノ」幸弥くんは、家族を一度に失ったり、伯父に虐待されたり、上司にセクハラされたりと、世俗の不幸を背負わされながらも、それでも魂の清らかさを失わない、実にピュアなイキモノでした。
こうやって、ちゃんと生きている子のことは、みんなもちゃんと見守ってくれているのよねって、ハッピーエンドでうれしい。

そして、無垢な無自覚って、超エロい。
関目も、幸弥も、無茶しすぎないでねって、ちょっと心配。

オマケ
あまり意識してなかったけど、梨とりこさんの挿絵の本って、けっこうアタリ引き当ててる気がする。

3

初々しい(∩´///`∩)

表紙に3人いると、3Pなのか・真ん中の子を取り合いする三角関係なのか。。。
と思ったのですが、全く違いました。
・天然無垢で一切スレたところがなく無自覚な恋心を持つ白ウサギちゃん
・ウサギが可愛くて可愛くて可愛くてガブーっと食べちゃいたいのを抑えてる黒ヒョウさん
・そんなウサギと黒ヒョウのホワワンとした恋をサポートし見守る飼育員さん
というような3人のお話でした(﹡´◡`﹡ )


草食むイキモノ・ウサギの牧野くん(受け)
不幸な過去があり、ひっそり巣穴で生きてるオットリした男の子。
マイナスイオンオーラ放ってます。毒気が抜かれますw
真面目に生きている姿は周りが放っておけず手助けしたくなる気持ちがわかる!

部長からの理不尽なセクハラは周りのアドバイスで頼るべき部分は助けてもらうのですが、ただ守られるだけの弱い子というわけでなく、仕事の場面では自分の考えを伝え動ける強さがあります。
仕事で立場の上下はあっても、仕事内容に上も下もなく。
重要な部署から見れば地味な仕事かもしれないけど、でも大切な歯車の一つとして働く姿がキチンと描かれていたのが良かったです。

そんで、無自覚から恋の目覚めを経て、性的な事へと移行するわけですが。
ウサギって性欲強いっていうよなぁ…と思いながら読み進めてたら、
この白ウサギちゃんもすごかったーーーーー(∩´///`∩)大・満・足
経験豊富な肉食獣の黒ヒョウさんが即K.Oですよ。
兇悪的な可愛さとエロさで煽る煽るw無自覚でやってるから尚タチが悪いw
中々侮れない草食むイキモノです(﹡´◡`﹡ )

肉喰うケモノ・黒ヒョウの関目さん。
受けのマイナスイオン効果ですっかり毒気が抜かれ牙のない黒ヒョウさんです。
オラオラしたケモノな見た目に反して接し方は優しく紳士的。
頼りがいのある素敵なお兄ちゃんです。
ウサギちゃんの無自覚な言葉に動揺してガーッと動いてしまったり、しょぼんとしてたり。
このケモノさんの可愛さは、受け並みかもしれない。。。

受けも攻めも恋に関しては鈍くて中々進まないのを見守り手助けするのは同僚の千林さん。
さしずめ異種間の恋を見守ってる飼育員さんのようですw

どう見ても両想いなのに受けも攻めも全く動かないので焦れ焦れしてたので、
やっと動きだした瞬間は"キターーー!"でニヤニヤMAXでした。
うまく行くかと思いきや、ちょっとした勘違いですれ違うし、でもすんごく甘いし。
恋が動きだしてからがジェットコースターのような速さで萌えっぱなし(∩´///`∩)
ウサギがまさかの兇悪エロさで思ってた以上にエロかったのは嬉しい誤算でしたw

受けの不幸な過去やセクハラ問題など話の軸は重めなんですが、ラブ面ではドロドロしたものがなく初心なやりとりばかりでキュンキュンさせてくれて。このコントラストがちょうど良く、とっても面白かったです♪

3

この作品が収納されている本棚

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