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この本を読み終わって、表紙カバーの絵を改めて見ると、「ああー、そうなんだよ!」
主人公たちの関係がすごく良くわかります。
司郎のシャツの後ろを掴んでいる零。
なんて心憎い表紙なんだろう。
物語は二段組で一瞬怯みますが、過去の回想もあるとはいえ、5日間の出来事。
キャラクターが魅力的であっという間に引き込まれ、二段組も気にならない。
もっともっと、と手が止まらない。
純粋で単純な萌えという評価ではなくて、物語の出来としての評価であります。
ある事情で借金を抱えながら新橋で鉄板焼きの店を営む元ボクサーの司郎が、
ヤクザで借金の回収元である飴屋から依頼された、とある結婚を控えた新郎のボディガード。
相手は”犬飼仁”と名乗るが、確かに半年前、怪我をしているところを拾い面倒を見、そして忽然と消えていった青(常連のキャバ嬢が名前がないと不便だからと青タンができていたことから青と名付けるw)
挙式まで、5日間。
その中で、司郎と青の出会いのエピソード、司郎の借金をおった事情、このボディガードの仕事と結婚の本当の理由、そんなものを見せながら、司郎と青が近づく様が描写されていきました。
青というのは仮の名前ですから、青が自分で名乗った零を彼の名前としましょう(それも仮の名前ですがw)
この話の中にはっきりとした恋愛の姿はありません。
気持ちは語られていなくても、零の行動で、言葉で、零がどうしようもなく司郎を慕っているのがわかります。
題名が「狼と狐」~零が狐だとは思いますが(イカサマや詐欺のような事をしているらしい)最初野良猫かな?とも思ったのですが、やはり狐ですね。野生のキタキツネ!
司郎のどこが狼なんだろう?とも思いますが犬というには一匹狼なところもありましたし、やはり狼なのかな?とwww
司郎に優しくされて、拒絶したいのに恐る恐る様子を見ながら、離れなくちゃと思いながら離れがたく思い、そしてボディガードという形での再開はきっと零が望んだものでしょう。
そんな気になる人との接触が大胆なようで、臆病な零にとても惹きつけられます。
惹きつけられるといえば、ヤクザの飴屋もとても魅力的なヤクザです。
なんでもない風を装いながら、実は情があるんじゃないか?って。
この仕事の依頼も元はそれでありましたし(多少利害関係もあったにせよ)
ヨネダさんのイラストもまさに作中に描写される飴屋そのものでしたが、この人、カタギには優しいんじゃないかって思いました。
新橋の司郎の周囲の人々も、下町の人情というのではないですが、なんかあったかい繋がりがあって、とても雰囲気がいいです。
司郎の離婚した元妻・夏子も、関係が好ましいものでした。
司郎と夏子につながる、和樹という存在。
ひょっとして、司郎は和樹が?という妄想もできなくもないwww(本人気がついてないだけで)
犬飼の婚約者についたボディガードのジュンタもなかなか興味深いキャラで、彼は「たぬき」って感じでした(イラストほしかったな~♪)
司郎が情の人だっただけに、周囲も「情」の元で動き展開するおはなしだったと思います。
恋愛ものというと、愛だの恋だの、二人の関係の好きだ嫌いだ惚れたはれたがクローズアップされる中、情は読者にも訴え掛けるものが大きいと思います!
零には謎が多いです、まだ本当の名前を明かしてません。
また飴屋との関係も気になります。
まさか、よもや、の続篇が・・・のようです。
ここで・・・高遠さん!この続篇もいいのですが「世界の果てで待っていて」の続きはどうなってるんでしょうね?
是非、そちらの続きを先にお願いしますよ!!(笑)
新橋の路地裏で、カウンターだけの小さな鉄板焼屋を営む桐島司郎。
彼は元ボクサーで、店の二階で一人暮らし、
ヤクザのフロント企業である街金に、自分が作った訳ではないらしい借金がある。
ある日、街金の社長のヤクザ・飴屋が現れ、アルバイトの話を持ち込む。
元カノにストーカーされている結婚間際の男を、結婚式までガードするというものだ。
飴屋の持ってくる話なんて、ロクなもんじゃないに決まってると思いながら、
破格の謝礼に釣られて、5日間の仕事を引き受けた司郎だったが、
成田に迎えに行って引き合わされた対象者は、かつて曰くのあった男だった…
「犬飼仁」として現れた、手品師のような手さばきでカードを扱う男・零。
彼は何者なのか?そして彼と司郎との関係は?司郎の借金とは?彼の妻との関係は?
5日間の事件の進行の合間に回想が挟まり、
それらが一つ一つ明らかになる物語に惹き付けられ、一気に最後まで読んでしまう。
事件は収まるところに収まり、二人の関係も進展があったと言えばあり、
一応話としてはまとまりはついて終わりになったのだが、
ええっ?零に関しては分からないままですか?これ、続編を待てってことですか〜〜っ?
出てくる人物が、脇役を含めて個人的にはかなり好み。
謎の男零は勿論、司郎もカッコいいし、元妻の夏子もいい。
零の仕事仲間らしいジュンタも、面白いな。
これは高遠さん初のヤクザものらしいが、このヤクザの飴屋もいい味を出しているし、
(筆者が是非にと望んだ、P.177の挿絵カッコいいです!)
回想場面に出てくる和樹は、腐女子の心をくすぐる。
指詰めや暴力シーンもある話ではあるが、どこか軽やかな印象もあるので
もともとの仮題の「狼と狐のロンド」というタイトルも、悪くなかったかも?
ヨネダコウさんの表紙や挿絵も雰囲気があり、全体にかなり好きな作品だったが
あの〜、高遠せんせ、お待ちする作品がまた一つ増えてしまいましたよ?
*後書きに書いてあった「ある映画へのオマージュ」というのが、何の映画か?
お分かりになる方がいらっしゃいましたら、教えて下さいませ。
ヒッチコック劇場の「指」(南から来た男)でしょうか?
指、映画(テレビ映画)、オムニバスっていうだけしか共通点はないので、違うかな…。
私も知りたいです。
薄めの本ですが、二段組です。
最近立て続けに読んでいます、高遠さんの作品。
攻め視点です。
攻めは元ボクサーで、現在は細々と鉄板焼き屋を営む司郎。
街金に借金があり、それを毎月綱渡りで返済しています。
受けの零は、過去に司郎が拾ったことのある、本名も年齢も何もかもが不詳の青年。
「バカじゃねえの」が口癖。
微々たる返済しか出来ない司郎へ割の良いバイトと称し話を持ち込んできた、街金の飴屋。
司郎は胡散臭いと思いながらも、その高額な金額に引き受けざる得なくなります。
内容は元カノに狙われた、もうすぐ式を挙げる新郎のボディガード。
しかし、その相手は…という出だしです。
とにかく、司郎のキャラが良い。
別れた奥さんの借金を返すために黙々と働くところも、弱ったものを放っておけないところも。
男くさくて最高です。
司郎視点なので、何も知らない司郎が事件に巻き込まるのと一緒に、こちらまでグイグイ引き込まる感じでした。
零も、心の中のよどみに突然降ってきてかき乱された司郎に、戸惑いながらも手を差し伸べているのが狐の仮面の下に透けて見えるようで健気でした。
あ、でも、健気というのはちょっと違うでしょうかね。
意地というか、自分の境遇に司郎を引き入れたくないという気持ちと、安心して息をつける場所を見つけてしまって困惑しているような。
表紙がひじょうに零の戸惑いを表していますね。
今回の事件は決着したものの、まだまだ零については謎が残っていますし、ぜひぜひ続きを書いて頂きたいです。
はっきりしたこうだっ!て言うような終わり方ではないので、最後まで謎を残しつつ
でも、すっきりするような後味がある作品で、気になる事はあるのに、満足感も覚え
次につながるような期待も感じさせてくれるお話なんです。
多様な人間が出て来るのにチグハグな感じが一切しないし、主役キャラ以外の個性的な
キャラや、人間味ある脇役が、主張しつつも出しゃばらない感じで凄くまとまりがある。
攻め様が5日間受け様のボディーガードを引き受ける事になってのお話で、
その五日間がなんて濃い日々なんだろうと思えるのです。
スリルもあり、謎アリ、格闘アリ、文字数にしたらかなり読みごたえがあるのですが、
次から次へとテンポがよく進むので最後まで楽しませてくれます。
続編が出るのであれば、今度こそ二人の恋バナも読んで見たいと思えるお話です。
しっかり恋愛もあったし濡れ場もあったのにBLを読んだ感じがしない…
攻め視点で、攻めが受けに恋い焦がれてる感じがあんまりしなかったから?
なんだか一般小説ぽい雰囲気でした
BLとしての展開よりも事件の行き先の方が気になってページをめくりました
(終盤あたりはBLとして楽しみましたが)
なので読後感は一般小説を読んだ時のそれでした
攻めが受けを可愛く思う気持ちや、懐に入れて守ってやりたいと思う気持ちとか
受けが攻めにどうしようもなく惹かれているのに素直に縋りつけない、
離れようとしてしまうところは萌えでした
そして受けの指遣い!濡れ場でもそうじゃない所でも描写にエロスを感じました
ここの描写は手淫でもカードさばきでも何でもいいから延々読みたいくらい好みでした
てっきりシリーズものだと思ってたので単品だということにびっくりです
二巻以降も読んでみたかったです
あとメインの受け攻めではない脇役のやくざ飴屋がしたたかで冷たくて
腹が読めない魅力的なやくざだったのでスピンオフもあったらよかったです
挿絵のドスを咥えてる飴屋えろかったー
エロスも萌えも感じませんでしたが、甘いもの好きのぽっちゃりな脇役もマスコットみたいで良かったですw