ボタンを押すと即立ち読みできます!
冒頭だけでなく、作品から眩しさを感じます。表紙で印象付けられた緑が、白黒の本編でも想起されて、まばゆい煌めきが伝わる。ライアテアの意味を知らずともそう感じたということは、岡田屋鉄蔵先生の筆力によるとしか言えない。圧巻
◾︎ゾム(ノゾム・ヘイウチ カメラマン)×マニ(神経生物学 研究員)
マニが美しいです。年齢を重ね、この世の憂きを知り、すれてしまったとしてもゾムがマニを"美しい"というわけは、ゾムを通してマニを見ている読者には伝わります。
海を渡る描写がとても好きです。駆け出すゾム、笑うマニ。ここまでためてためて、声を上げて笑うマニに胸が熱くなります。ゾムへ微笑むマニ。この微笑みを向けられたら、最早この恋から目をそらすわけにはいかない。
涙を流すゾムと同じタイミングで、こちらも感極まりました。素晴らしい作品でした。
まるで美術館で見るような絵画的で南国風な表紙にどんなお話なんだろう!と興味がわきました。パラパラめくると現代風でますます読みたくなりました。
なかなか登場シーンと回想シーンの人物が同じだとすぐにはわからず混乱しました。
しかしマニの登場シーンには衝撃を受けました!
堂々と全裸で馬に跨がる姿が!
マニは島を離れて父親に連れ出され辛い目にあってきて島の誇りの刺青を恥じて本当に気の毒でした。
そりゃあゾムにどれだけ説得されても島に戻る気になれませんよね。
ゾムが13歳の時にマニと島で出会い忘れられない美しい姿と青い目に生涯とらわれて結婚もうまくいきませんでしたね。ゾムはマニしか見てなかったし、視力を失うならまずは真っ先にマニを撮りたいんだから。
ゾムの最後の手紙でマニも島へ戻る覚悟ができます。
そして一度捨てた島に受け入れられるか泳いで渡ることに。
無事に島に泳ぎつきますが途中からは自然に島へ渡れたようで、ゾムが待っていることがマニにとってどれだけの強い気持ちを持てたかわかりますね。
島に渡ってからはマニはまるで別人で。こちらが本当のマニなのでしょう。誇り高く堂々として美しく。
そして二人は結ばれて。
二人の人生がまた重なりましたね。そしてこれからも一緒に生きていくようで。
ゾムの強い想いがマニを動かして、運命的な再会と伴侶になれて良かったです。
自分の拘りや生き方を守り抜いたり、長年夢を追求し続けたりする頑固な男2人の物語。最後はもちろんBL展開になるのだけど、それまでの2人の歩み方も格好良くて、男じゃなくてもこんな風に生きたい、こんな風に生きられることを忘れたくないと思わせてくれるような、人間の美しさと可能性の描かれた作品でもあったように感じます。南国の暖かい島ならではの開放感も、多分に作品を盛り上げる要素になっていましたね。同じストーリーでもマニの故郷が雪国だったら、まったく違う空気になっていたと思います。
ライアテアという言葉、最初は色の名前かと思っていたんですが、実在する島の名前なんですね。その素敵な故郷で原始的な生活を送っていたマニは、島を出て研究者になったのだけど、差別と偏見からどんどん心は閉じてしまっていて。一方、昔島で会った彼を忘れられないゾムも、幼い頃両親の死を肌で感じた経験から、ずっと心が満たされないままで。そんな欠けた者同士が再会し、楽園のように記憶されているあの島へ行くことで、もう一度再生する。その頃にはお互い、十分に相手への情も湧いていて。これほどオープンで野生的なセックスが、かつてBL漫画であったでしょうか。でも、儀式的な意味も兼ねているから、獣のそれとはまた一味違う。共に心が満たされ合った2人の、これまでとは見違える表情が眩しく美しいなぁと感じました。
神に限りなく近い萌x2です。
しかし独創的だなぁ。
この島の元ネタってあるのかな?
似たような島があるのかな?
でもそんな事はいいや、本当に良作でした。
ただ、近年の私は
「BLったってねー、エロ書きゃウケると思うなよ、いくら急所をバンバンと出されたってコチトラ、ピクリともしねーや。最近の若いもんはどうも誤解してやしねーか?」
と常々思ってたんですが、本作は違った。
もっともっと、島に辿り着く物理的な距離、心の距離と同じくらいエロじゃないな、交合シーンをねっとりと長ーいページ数が欲しかったなぁ。
結局はマニのあんな姿やこんな姿、そして感じちゃってる姿がみたいだけだけど。
だってあんなガチムチマニが色っぽく見えて見えて。
そりゃもっと見たいよ。
書き下ろしかなんかでエロくれよ。
うん、やっぱりあれだな、私はやっぱりエロ好きだ。
岡田屋さんの絵は大好きで、こちらの作品も本当に男の身体が美しく描かれています。輝く肉体が魅力的です。
南国の情景がエキゾチックで高評価が多いのも納得できるところではあるのですが、ほんの少し「エキゾチックな南の島」の捉え方が「都会の人にとって、こうあって欲しい夢のような場所」として描かれすぎているような気がするところがありました。それは、自分自身がいわゆる「観光地」として捉えらている土地に産まれ、自分の意識だの「観光地」として産業を振興させるために求められるものとギャップなどを意識する機会が多いからではありますが。
そういうちょっとややこしい思いを抜きにすると、男たちの葛藤や気持も美しく描写されている作品でした。だけど、岡田屋作品は、和物の方がより好きかな。