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すべてが澱んだ景色の中、アンタだけがクリアだった
わー、すごいお話を読んでしまった…!
という気持ちにさせてくれる短篇集でした。
どのお話も吸引力のあるストーリーで、余韻が本当にすごい…。
表題作である『カナさん』から続くバンドマンたちのお話は、
刹那的でもあり永久でもあるような途方もなさがあって揺さぶられまくり。
ヒロセがカナさんと過ごした日々の中に
特別な感情はまだ芽生えていなかったかもしれないけれど、
たしかに心のやり取りはあったことがわかるヒロセの言葉たちにグッときて
短くても濃密な時間を過ごしたことがわかります。
彼の死を受け入れるでも抗うでもない姿から愛もたしかに感じられて、それが悲しくてすごく美しかったです。
カナさんがいなくなってしまってもみんなの時間が止まらずに動き続けているのもリアルだったな、と。
自分の時間を生きて前に進みながらも心には変わらぬモノを持ち続けている、そんなそれぞれの思いが言葉としては語られなくても伝わるのも素敵でした。
その他のお話も独特の世界観があって、読み応えのある一冊でした。
レビュータイトルは一番好きなシーン。
居酒屋バイトのヒロセくんがカナさんと出会って、あっという間にカナさんはいなくなってしまう。それからのお話。
カナさんの置いていったテレキャスを弾きたくてカナさんのバンドメンバーに教えてもらう。
バンドマンになってヒロセが変わっていくわけでもなく、淡々とした日々で、そんなお話の最後の落書き。
こういうのってトジツキさんにしか描けない気がする。
同時収録も一言感想を
「たべものではありません」
たしかに美味しそうw
「月翳」
レベル高い。文豪の翻案作品と言われても納得しそう。
「外道」
これもレベル高いw
贅沢を言えばカラーで見たかった。
総評はトジツキワールド全開な1冊。
中古で購入。お布施したいので電子化待ってます!
表題作の「カナさん」シリーズ。
バンドマンのカナさんと居酒屋のアルバイト・ヒロセが出逢い、運命が一瞬くっついたようにほんの短期間での(おそらく恋愛未満の)関係が切ない。
ヒロセはカナさんを「大事な人」とちゃんと認識しているけれど、カナさんはヒロセへの想いを表出する前にスルッと消えるように亡くなってしまう。
ヒロセに愛用のギターを遺してカナさんはこの世を去り、そのギターを持ってバンドメンバーに教えを乞うヒロセ。
カナさんはそこかしこで生きている側の人間に影響を与え続けています。
カナさんの存在が意識に上る度に喪失感もあるけれど、月日を経てその痛みを抱えながらも一歩ずつ前へと進んでいく生きている側の姿がフラットな目線で描かれていて読了後は温かな気持ちになりました。
過剰に演出されていない哀しみや、前を向く確かな力強さがこの作品を安易な「泣ける作品」から遠ざけているように思います。
表題作はバンドの持つ魅力やメンバー内の人間関係がシリアスではなくコミカルにも描かれているので、その辺りも読んでいて楽しい!
「たべものではありません」
「月翳」
「外道」
と他3編も各々持ち味が違って堪能しました。
そのなかでも「月翳」
月翳を読むうちに体に馴染んだものをそっと呼び起こされる感覚に陥り、懐しさといった類いの感情を揺さぶられたので、作品の時代背景がそう感じさせるのかな?と。
けれど、レビューで書いていらした方のお陰で気付きました。
私はJUNEの血脈を感じたから懐しさを覚えたのだと。
私がローティーンの頃に血肉となった物語の数々を呼び起こされました。本当に久々にこうした味わいの漫画を読んだ気がします。
読了後の余韻は静かに広がる波紋のように長く続き、胸に響き続けます。
短編集だと丸ごと「神!」と思えることがあまりないのですが、こちらは一冊通して神評価。
素敵な作品に出会えてとても幸せです。
トジツキさん作品の中でもだいっっすきな本です。
BL、死別、バンドものだけどパンクもしくはメロコア(多分)、プロレスだけど新日本プロレスじゃなくて大日本プロレス(多分)、文学、刺青…最高か!!!awesome !!!
物語が違えどセリフ、ナレがどれも秀逸です。小説のような詩のような。
求心力ある言葉の紡ぎ方。
トジツキさんの描く人物からは60kg、70kg?その体型なりの体重がキチンと感じられて好きです。
そしてその重みがおりなす絡みは…クソ萌える!
「ギシッ」に重力がつまってるんだ!
私の心のち◯こ完勃、精神の前立腺が震える。
表題作シリーズもっと読みたかった。
いやいや、もっと伸ばせるし掘り下げられるし広げられるしここからだし!
巻末の「外道」がホントにねぇ、ホント大好き要素満載。
ラブラブゲイカップル最高。
宇陀児くん可愛すぎ格好良すぎでしょうに。
絡み中の刺青エピソードが…鼻血ものです。
ここまで熱く語りましたが、ニッチすぎて萌えながらもいろいろ心配になります。
いや、いいと思います、こんな素敵な作品になって、ひと1人アホほど魅了してるんだから。
トジツキさんにはBL云々抜きで好きなものを好きなだけ詰め込んだモノを描いていって欲しい。
でももうそろそろBLも振り返って欲しい…待ってます!!!
表題作と短編が三作収録されています。まずカバーから目を惹きつけられずにはいられません。あまり見掛けない鮮やかなブルーグリーン。描かれている男性は、表題作のカナさんです。
「カナさん」は居酒屋でバイトしていたヒロセが、バンドの打ち上げで御用達の常連、カナさんとトイレで出会うところからお話が始まります。カナさんはアマチュアバンドのギターボーカル。彼の存在がバンドそのものの在り方と、ヒロセの人生に静かに影響を及ぼしていく。
バンドもののコミックスは何作か読みましたが、トジツキハジメさんの描くこの作品の雰囲気が自分には一番しっくりきました。(SHOOWAさんの作品もツボだったけど。)アーティスト特有のピリピリ感もなく、破天荒さもなく、バンドを取り巻く環境もなんだか穏やか。だけれど、メンバー内の関係性がやりすぎ感なくきちんと描かれています。サポートで入って来たキヨがカワイイ。ゆーしくんとのやりとりでキヨがネコにデフォルメされちゃうシーンが可愛すぎです。
落ち着いたテンションなのにコミカルな部分もありつつ、テーマは切なくてしっとりと表現されている。で、読者をおいてけぼりにもしない。こういった作風はどストライク。同時収録されている「たべものではありません」はプロレスラーをモチーフにした『注文の多い料理店』のようなシュールなお話で、「月翳」は戦後直後の死者と生者の境界線に佇む男の幻想的なお話。ツボすぎです。あとがきによると、作家さまは最初、小説を書いていらっしゃったということで、どんだけ才能に恵まれてるんだと思いました。
最後に収録されている「外道」は見習い彫り師と歴代師匠が彫った墨を入れた恋人の、エッチシーンのひとコマ。わたしは完全に攻め視点で楽しませていただきました。コワモテの刺青男性が受けって最高です!「カナさん」を読もうか迷っていたところに、このお話関連でオススメいただき、背中を押していただきました。作家さまの萌えの集大成、しかも自分の萌えと全被りということで、出会えて本当に良かった一冊でした。
