繊細な心理描写と会話劇で独時の世界観を創りだす歩田川和果、待望の最新作!

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表題作大きなサボテンの木の下で

本田巧
縫製手芸用品問屋アバイト 28歳
陽生
一部上場企業勤務 30歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

二股三股は当たり前、いろいろな相手と付き合っては別れるという日々を繰り返す元恋人の陽生。
そんな陽生を別れた後も想い続ける主人公・巧。
恋人ではなく、友人として――9年9ヶ月の間、二人はそんな関係を続けてきた。
食べられる側と食べる側――長い歴史の中、ガラパゴスで独自の進化を遂げ合うサボテンとイグアナのように、
10年近い歳月の中で新たな関係を模索しあう二人。果たしてその行き着く先は……。

作品情報

作品名
大きなサボテンの木の下で
著者
歩田川和果 
媒体
漫画(コミック)
出版社
廣済堂出版
レーベル
Hugコミックス
発売日
ISBN
9784331901120
3.8

(35)

(14)

萌々

(11)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
15
得点
128
評価数
35
平均
3.8 / 5
神率
40%

レビュー投稿数15

『サボテンステーキ』は不味かった事を唐突に思い出した

サボテンを食すイグアナはお好きですか?
ポイントはイグアナなのでとても大事なんです。
最初に地上の楽園・ガラパゴス諸島にいるイグアナのことについて、男が訥々と語るシーンが出てきます。
サボテンを食すイグアナとそのイグアナに食されないように進化し続けるサボテンの闘いの歴史。(ハイブリッドイグアナ!)
歩田川和果の繊細な絵と会話で話を徐々に盛りに盛り上げていき、最後ビシッと落とす。
関連性の上手さに唸った。
この本を読んだ感想を1文で簡単に表現しますと、

萌え萌えイグアナに萌え萌えを奪われてしまったーーーーーっ!!

です。
まるごと1冊楽しめました。
攻めがどんどんイグアナに似てくるから不思議。
愛らしくて愛らしくて受けじゃなくても攻めをギュッと抱きしめてあげたくなりました。
受けの浮気癖を許せるかどうかが萌えの分かれ道でしょう。

※サボテンは不味かったです。アロエ好きな人は好きかもしれない。

6

待つひと、と、受けいれるひと。

二股三股は当たり前な元恋人の陽生
そんな陽生を別れた後も想い続ける巧

恋人ではなく友人として、十年の間、二人はそんな関係を続けてきた。





 好きな人がいます 

 昔 恋人だった人で
 今は恋人ではないけれど
 付き合いは続いています

 一緒にいると楽しいです

 顔を見ると嬉しいです

 恋人ではないけれど





浮気されたことにショックを受けながらも、
それを受けいれる巧。


別れた後も、少しずつ巧の人生を絡め取っていく陽生。


陽生を受けいれつつ、諦めている巧。


身体の関係を続けながら、友人として、先輩として、そして元恋人として、
巧を特別扱いする陽生。





 別れる?

 俺は 別れたくないんだけど


 一生


 別れたくないんだけど





十年の歳月の中で、関係を模索しあうふたり
果たして、一番執念深いのは、

5

悟りました

この方の作品にお付き合いする事五冊目にして
評者はようやっと悟りました。
この方が描いてみたいのは男の可愛げなんじゃないかと。
で、それがなんて通じ難いかと言うと…毎度毎度の帯を
ポンと放り出されたんじゃいきなりは戸惑いますって。
この本の帯から話をスルッと見通せる人がいたら間違いなく
カミホトケでしょうね。
そうでなくとも『サボテン・イグアナ・ガラパゴス』の
三題話をどう解きゃいいんだとハラハラしつつ読んでる訳ですから。

でも、後味は悪くないです。
むしろ今までの作品の中では一番すっきりした味わいかも知れない。
残念ながら甘さに関しては保証しかねますが。

8

葡萄瓜

オリンピッコさん、初めまして。
歩田川さんの作品は何時も絶妙に何かがずらされているので
パターン分類が中々出来ませんね。
そしてそこが魅力なのですよね。

浮気しまくる男、は愛せますか?

昨日、歩田川さんの既刊本「チョークの橋」を読んで、
うわ、すごい好き!!と思って、
勢いで新刊も買ってみましたが…コチラの本はどうにもダメでした…(/_;)

歩田川さんの絵が好きかどうか、
そして、
読者に、浮気男を愛する包容力があるかどうか、
それがこの本を楽しめるかの鍵になるように思います。


10年前に1ヶ月だけ、大学時代に付き合ったことのある間柄のふたり。
純朴な攻め(イグアナ似w)と、2歳年上の性に自由奔放な受け。
そのお付き合いした1ヶ月で、攻めは童貞を卒業。
でもその1ヶ月の間に、
三股をかけられて、受けが他の男とセックスをしている真っ最中の姿も見てしまう。
すごく傷ついて、純朴な攻めはそれがトラウマに…

10年後、ふたりは友達関係に落ち着いている。
友達として、ときどきセックスもする。
相変らず受けは奔放で、いつも誰かと付き合っては別れて~の繰り返し。
浮気も二股三股も当たり前。
でも攻めは、そんな受けのとこが、まだ、好き…

年下の攻めの一途な想いが、本からひしひしと伝わってきます。
静かに静かに心を揺らしながら、受けを想って、
想い人が他の男に抱かれていることに傷つきながらも、
笑顔で「好き」の気持ちを大事にしている。

そんな攻めに、その想い人の受けが、
「好きなのはおまえだけだ、もう一度付き合いたい」と告げる。
でも、浮気はする、と。
「浮気は浮気だ、本気じゃない」と…。


独特な絵と、
イグアナとサボテンの攻防を絡めて、ふたりの関係性が変化していく様子の描き方は、
一作品としてとても素晴らしいと思いました。
ですが個人的には、
読み終わって同時に強く感じたのは、とても不快な気持ちでもありました。


自分を受け入れて好きでいてくれる、揺るぎない場所として、
受けも攻めがとても大事で「誰よりも好き」の言葉に嘘はないのでしょう。
でも、
好きって、自分も相手のために努力することじゃないのかな?
他の男に抱かれた体で戻って来て、
攻めの寝ているベッドに潜り込む…それが誠意、とはちょっと思えなかったな。

きっとお互いの気持ちを確認した分、
今までより幸せで、楽になった部分もあるのだろうけど、
それでも攻めの子が最後に言った言葉に、
やっぱり内心はそうなんだよな……と心が痛みました。

受けもそのうち変わるのかもしれないけれど、
それは攻めの子がどれだけ笑顔で闘って、傷ついた後のことなんだろう……

8

とても必要で大切な10年間

イグアナとサボテンとガラパゴス諸島かぁ、昔そんな番組見たなぁ。
なんて思いながら読みました。
内容も、ガラパゴス話も、彼等の会話のキャッチボールも非常に面白いです!


あらすじは。

10年前、同じバイト先で知り合った同じ大学の先輩(陽生)と後輩(巧)の二人。
一ヵ月だけ付き合い、陽生の三股浮気がバレた末、別れた二人。
巧にとって陽生は、はじめての恋人だった。
浮気が当たり前で悪びれない陽生と。
浮気?え?何?と「?」だらけのピュアな巧。

あれからもうすぐ10年。
相変わらず、常に複数と付き合う陽生と。
何故か職場に恵まれず恋愛どころではない巧。
陽生と巧は元恋人だった友達として、何となく月に一度は会っている。
巧に恋人がいない時には、たまにHもする。
そんな不思議な関係が続いている。

五年前にゲイバーで知り合って、巧をずっと口説き続ける浅井。
巧と浅井も、友達のような関係が続いている。
浅井と陽生は昔なじみで、巧の行動は二人の間で筒抜けだったりする。
あるゲイパーティーで、浅井は陽生に対して「巧の男は俺が選ぶ」と言って聞かず…。


陽生の思考回路がとても面白い!
何でイグアナとサボテン好き?
あ、そうか…!
と色々府に落ちる瞬間がありました。
巧は可愛いね!
オヤジキラーなのも頷ける。
そしてその吸収力と消化力が素晴らしい!
まあ、10年かかりましたが。
陽生の方も色々と10年必要だったのでしょうから。
二人には無くてはならない、大切な10年でした。

男が浮気するのは、百歩譲って仕方ないとして。
でも、浮気しているところ等を見せるのはルール違反、と私は思うのです。
街中やパーティーでの巧がツラい。
浅井から聞かされる情報、これもツラい☆
大変な人、好きになってしまったんやね。
心の中で「頑張れ巧!」と応援。

その一方で、陽生にも色々と応援したい気持ちでいっぱいでした。
陽生は怖がりでさみしがり屋なんでしょうね。
実は自信がないのでは?とも思います。
だから、彼にとって浮気は、いろんな意味での確認作業なのでは?と。
巧がまたやきもちを妬いてくれるかな、とか。
やっぱり巧が一番だな、とか。
気持ちは完全に巧だけに向けられているけれど。
もしも巧にフラレた時の、逃げ場確保でもあるのかな?
とも感じました。
個人的には、巧よりも陽生にかなり感情移入してしまいました。

二人の気持ちがお互いに、そして読者に、少しずつ解き放たれていく様子が素晴らしかったな!!
とても緩やかで、面白いお話でした。

6

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