美味しい恋を召し上がれ☆

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表題作背中で恋を語るな

九曜数馬・悠紀が紹介されたレストランのシェフ
小谷悠紀・ある事情から転職したギャルソン

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

学生時代の先輩から紹介されたレストランで働き始めた小谷悠紀。オーナーやギャルソン仲間はみんな親切でとても居心地がいいが、ただ一人、シェフの九曜数馬は常に不機嫌な態度でこたにに対する苛つきを隠そうともしない。だが、優しく親切な人々が簡単に豹変するのを目の当たりにした小谷には、最初から自分に好意的でない人間の方が気が楽だった。相手が距離を置くなら自分からも近づかない、近づかなければ傷つくこともない……そう思っていたのだが、アパートの火災によって住むところを失い、なぜか九曜の部屋に間借りすることになり……。

作品情報

作品名
背中で恋を語るな
著者
火崎勇 
イラスト
砂河深紅 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
背中で恋を語るな
発売日
ISBN
9784778115531
3.4

(35)

(4)

萌々

(16)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
116
評価数
35
平均
3.4 / 5
神率
11.4%

レビュー投稿数7

恐怖体験を癒すのは、背中で語る男。(言葉足らずともいう)

2013年発表作品。

視点は、主人公の一人称。
そして、彼の語り口から彼の過去に不穏な「何か」があったことが匂わされて、読み手としてはなにかサスペンス的な空気感を感じます。

主人公は、レストランに勤務する事になったギャルソンの小谷。
勤務先のレストランはおおむね居心地は良いのだが、シェフの九曜だけが無愛想で自分を嫌っているようで。
しかし、嫌ってくれているのなら逆に安心できる…

ここだけでもう小谷が過去に何があったのかなんとな〜くわかっちゃいますね…
しかし、その真相が分かりかけるのは中盤以降。
前半で、小谷はアパートが火事になって焼け出されます。
当然レストランの同僚は心配して色々してくれるんだけど、本人は周囲の好意に懐疑的だったり思う事を言えなかったり。
そんな小谷の振る舞いの陰に何があったのかが後半にどっと出てきます。

これは…
小谷が可哀想で。
やっぱり怖い目に遭って周囲も信じられなかったらこうなりますかね…
周囲に助けを求められず、自分が悪いからと思ったり。
そんな彼を助けてくれるレストランの同僚たちは頼もしくてまぶしい。
小谷にはほんとに良かったね、なんだけど。

なんともラストに向けての展開は都合が良すぎるというか…
ちょっと「あれよあれよ」過ぎたような気がしました。
ノンケが男にストーキングされて男性不信になってるのに、助けてくれたからって「受け」としてのHまでも受け入れられますか?……
とか。
いきさつを知った先輩が、全員ゲイのレストランに勤めるように紹介しますか?…
とか。

総合「萌」で。

1

萌え2には至らないが心に残るやり取りがある

火崎さんの文章は読んでてすぐに分かります
『~で。』でよく終わる、改行多め、独白多めで密度が薄い
紙よりネット向きの文体だと思います
初めて読んだときは違和感の塊でした 今は慣れてきましたが…
元々そういう作風なのか、
多作な方なので一作に掛ける時間が短いのか、いまだに分かりません
ヘビーなネタだと逆に薄っぺらくみえてしまう文体なので
コメディテイストだったり
事件も悲劇も起こらない恋愛メインの方がハマると個人的に思ってます
今回は受けにサイコパスなストーカー男が纏わりついていて
受けがそれによってトラウマを抱え、追い詰められている設定なので
もうちょっと丁寧に描いてほしかった、というのが本音
でも火崎さんのお話はそういう時でもふっと心に残るようなやり取りがあり
読んで失敗したなって思うことは少ないです
また火崎さんの別のお話を読みたいなと思いました

2

愛されたがりの寂しんぼが出会う楽園の仲間たち

一生懸命なのにいろんなことがうまくいかない小谷。
仲間だと思っていた同僚たちに信じてもらえず辞めるしかなかった前の職場での辛い出来事がトラウマとなって、対人関係に臆病になったいた。
けれど、次の職場で事件に巻き込まれそうになったとき信じて助けてくれた同僚や癒してくれた仲間の存在に救われるというストーリーでした。

同僚の中で、シェフの九曜だけはいつも感じ悪く近寄りがたい空気で話しかけると舌打ちをするという訳もわからず絶対嫌われてると思われる態度に萎縮してしまいます。
けれどそれは九曜が一目で惹かれたノンケの小谷を好きにならないように近寄らないようにしていたとか、理由が分かればなんとも大人げないです。
結構優しくて親身になってくれるんですがなかなかその心情を理解するまで時間がかかります。
九曜のほうにも同性を愛することで家族間にわだかまっている感情があり臆病になる気持ちもわからないではありませんが不器用過ぎです。

九曜に嫌われていると思った時すごく傷ついて悲しそうにしていた小谷。
お互いひと目で惹かれてしまったんですね。だから嫌われて悲しくて親切にされてうれしくて…
お互い不器用でかわいらしい恋愛です。

人間関係がうまくいかなくて考えすぎてぐるぐるしてしまうところや、人にやさしくするのは自分が嫌われないために人の気持ちを探っている自分の偽善的なところを嫌悪している小谷に共感できました。
いくら努力しても報われないのに、何の努力もなしに周りが気を使って好かれているようにみえる九曜が憎らしく思う八つ当たり気味な本音や、そう考える自分を嫌う小谷に、あるよねそういうことってと言ってあげたくなりました。

このレストランのみなさん実は見栄え抜群のゲイなんですよね。
だとしたら他の方々の恋バナなんかもありそうだななんて思ったらあるんですね『見つめ合って恋を語れ』で派手目なイケメン宮崎さんの登場です。

6

不器用すぎだろうw

本の裏にあるあらすじを見て何気なく手に取ったのですが…

予想以上に受け様が酷い目にあってたなんて!!
最初にそんな感じの雰囲気は出てたけど・・・やっぱり吐いちゃったよね(;´Д`)
精神的に追い込まれちゃって可愛そうだったけど
武等派の攻め様の不器用すぎる愛情とお店のみんなのおかげで立ち直れるのでよかったです!

それにしても攻め様・・・昔やんちゃしてたのもあるけど
不器用すぎるw 不器用すぎて可愛素すぎるし
「可愛過ぎて近寄れない」と言った時の攻め様の顔がみたい!!!

そして周りホモまみれ・・・続編ですか!?(*´∀`*)

4

ハピエンは良いのですが…

久しぶりに火崎さんを読ませていただきました。
火崎さんは結構な数の作品を書いていらして、
いくつか読ませていただいていたのですが
結構あっさりめで終わってしまうイメージが定着してしまって…;
しかし今回はシェフとギャルソンという
色んな意味で美味しそうなシチュエーションに飛びつきました☆

初対面が良くない印象同士って萌えるんですが
本当にシェフの九曜の態度が悪くて、若干ムッとしましたw
舌打ちされるってすごく気分悪いですもん!w
(それは小谷に対しての事じゃないと後から判明しますけども)

小谷は普通の常識人という感じで
他人との距離をそれなりに測れるタイプなんですが
九曜とだけなかなかうまくいかない。
という時に、小谷のアパートが火事に…。
それこそ同居せざるを得ないパターンでも
こういうお約束めいた事は結構好きですw

九曜に対して苦手意識が抜けなかった小谷ですが、
ぶっきらぼうな態度の中に裏表もなく、
自分を好きだと思わない分、逆に安心出来て
思いのほか居心地が良くなってしまいます。

自分を好きだと言い続け、断る言葉も全く聞かない
前に働いていた店の常連の男・木暮。
客だからという他に、将来社長になるであろう地位の為、
無下に出来なかった小谷。
それが裏目に出て、木暮を増長させてしまい、
結局前の店を辞めなければならなくなったのです。

今の職場は皆思いやりがあって辞めたくない。
でも木暮が再び姿を現して危うい状態に…。
で、九曜がナイトのような役目になるわけです!
言葉だけで誤魔化すでもなく、
きっちり守ってくれて不器用な態度が素敵!


しかしですね、どうもスルスルうまくいきすぎなような…。
店の皆はいい人で
ストーカーの事も協力してやっつけてくれる。
小谷が、一度男に言い寄られるのがダメになったら
それが覆ることって簡単に無いような気が私はしてしまいました。
いくら同僚がゲイとカムアウトしても、
いい人だからってだけで納得してしまえるかなぁ…って。
九曜も実はゲイで、最初から小谷が好みで
つい素っ気ない態度をとってしまったとか鉄板ではありますが、
守ってくれて安心できる存在でも、
たぶん無意識にでも拒否しちゃうんじゃないかなーと。
ご都合主義っぽく思えてしまって…すみません!
(そうでなくちゃ結ばれないでしょうけれど)
何年も付きあいのある幼馴染とか親友なら
そんなに不自然じゃないかもなぁ、というか。

ラストでお店のみんなが実は…というのも
「そんなお店、あるかーい!」とついツッコんでしまいました;

九曜が普段の様子では考えられないくらい
好きな相手には自分の欲望をぶつけなるようなことはせず
ひたすら我慢して小谷を大事にするのはとても良かったのですが
やっぱりノンケで怖い思いをしたら
男に触られるのは無理なんじゃないかな…というのが抜け切れませんでした…。

火崎さんは文章にクセがなくて
やっぱりスルスルと読めるのですが
印象深い作品だったか?と自分に問うてみても
「…んー…」になってしまうのでした…。
(すみません!!)

10

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