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表紙の装丁が小説の表紙みたいで、夜の風景と灯にぼんやり浮かぶ背景が何と言っても素敵です!!
カバーを取ると本体は黄色の無地、開くと銀色、カラー口絵は何故か後ろに。
同人作品やwebのものを収録した1冊なのだそうですが、一つはオカルトもの、一つは大正時代の学生モノと、時代は違うのに作品のカラーがしっくりとなじむのです。
どのお話も、まだ読みたいと思わせるほどに魅力的で、ほんとうに小説を読んでる感じにさせるし、完成度が高いのでは?と思わせるものがあるのです。(自分的)
大学のオカルトサークルを舞台にした2カプの不思議なお話。
【しっかり者の後輩・三島×本当は怖がりの部長・森】
夜の部室で、ブレーカーが落ちてしまった為にそれを上げに行くことになった後輩の三島と部長の森。
霊感のある夏目が気をつけるようにと言った渡り廊下で彼等がそこにまつわる学生の失踪話しを思い出しパニックに陥るのだが。
森に特別な感情を元々持っていたと思われる三島と、三島を特別な後輩と感じている森に起きるオカルトというほんのちょっとのきっかけが、見事に吊橋効果を発揮する展開なのだが、そのオカルトとほのかな恋という部分の融合具合が絶妙なバランスなのです。
もちろん、オチはその失踪の噂話しは・・・?というものがあり、締めくくりは笑いがあって、実に味わい深いのです。
【見える男・夏目×憑依体質の川端】
この二人は関係を持っている設定なのですが、それは川端が憑依体質でその為に本人が知らない間に…ということがあるらしいです。前の話しの時にもネコに憑依されてエッチな流れになってましたし。
今回は事故現場を通った川端が霊に入り込まれた衝撃で、自分が本体からはじきとばされてしまうという出来事が。
夏目はそれに気が付くのですが、本体と霊体の川端はヒモで繋がっていてそれが切れたら川端はこの世からいなくなってしまう。
お気楽に霊体を楽しんでいたのだが、ひっ迫した状態になってしまい~
いつも、当たり前のようにつるんでいた二人が、この出来事を通して大事な互いなんだよ、と実感する話です。
この2カプ4人、突出したキャラというわけでもなく、ごくごく普通の思考の普通の人達。
オカルトが”世にも奇妙な”雰囲気をかもしながらも、それを基盤にちゃんと人間の気持ちが変化・進展する要素として使われてそれが出張ってメインになってない。
オカルトも恋も両立して楽しめる素敵な作品。
もうちょっと、彼等の姿が見てみたいな~
『バンカラ君と書生君』
大正時代のデモクラシー運動に明け暮れ金をせびりにくるバンカラ学生と、金を取られる真面目な学生の話し。
これってjuneっぽいです。
バンカラはいわゆるイデオロギーを理由に自分を正当化しているどうしようもないヤツだと思うのだが、この時代のこの学生の気質を表している。
最初は真面目な学生への嫌がらせで金を無心に来るバンカラは、本気でなくてからかいで借金は身体で返すと押し倒したりしてみて。
突っぱねる真面目学生だけど、嫌な奴でも気になる奴になる。
はっきりした恋愛というわけではなく、何となく反発がシンパシーに変化していく姿に訪れる一夜と、そのラストが、当時の青春を感じさせるのです。
袴・ガクラン・高下駄。書生服・丸眼鏡・下宿と火鉢と猫。
雰囲気もノスタルジックで、素敵です。
本の構成からして不思議っちゃア不思議のこの一冊。
普通の本なら初っ端に来る筈のカラー口絵が一番最後に
しれっと来てるんですからね。
本文がアレで構成がコレなんですから狐につままれた
気持ちになるのもそりゃあ道理だなと。
この本はカバー及び帯と本文を別物と考えてそれぞれ
愉しんだ方が良いんじゃないかと言う気が殊更にします。
なんかこう着流しに羽織袴を着せてる感じがしてチョイと
居心地が悪い。
カバーと帯の仕事が一寸ばかし懇切丁寧過ぎるんですね。
美味しいだしは本文のあちこちに潜んでますんで、
ゆっくり浸りながら身にしみこませて読むと丁度良い
感じがします。
表題作シリーズも併録作シリーズも、鍵になるのは
さりげない情。
飴玉みたいに転がし味わうのもまた良しかと。
同人誌や、ツイッターからの再録ということで、
この、唐突に始まって、いきなり終わる感じが、
書きたいところから書いて、描きたいことだけ描いたらおしまいっていう、放置プレイ感が、
良くも悪くも商業出版物にはない味わいだなと、
ちゃんと商業誌で連載されていた作品なら、この本に掲載されているお話が核になるとしても、前後にそれなりのなにがしかが付いて、読み手をもうちょっと心安らかにしてくれるような何かがあったりもするけど、
まあ、無理にまとめにかかんなくても、これはこれで、すごくお買い得な同人誌再録集だと思うと、とってもいい本だった。
同人誌再録ですが、とっても面白かった!
ラブストーリーがメインの作品ではないのですが、ものすごくラブを感じました。
二作品収録されており、一本はオカルトもので、二本目は大正ロマンスです。
表題作
オカルト研究会のメンバー4人、2CPの話。
少しゾクッとする霊的要素がありますが、怖くはないです。
〝好き〟なんて言葉は出なくても、それぞれが思い合っているのがわかる作りになっています。
2話で終わってしまうので、少し物足りない。
もっと読んでみたいと思いました。これで一冊いけると思う。
同時収録
バンカラ攻めと文学青年受けの凸凹カップル。
カップルと言えるほど恋愛っぽくはないのですし、こちらも〝好き〟なんて言葉は出てこない。
文化や時代の移り変わりを感じさせてくれる作品です。
学生運動が摘発され始めた時代の過渡期。
この二人はまた出会えるのだろうか?と思わせるラスト。
決してハッピーエンドではないし、この時代に同性愛なんて許されなかったはず。
だから、きっと二人は永遠には結ばれないんだろうな。
そう思うと切なくなるけど、これはこれで素敵な作品だったと思います。
やっぱり表題作より同時収録が好き。
【ぼくらの不思議な恋事情】(2話) 萌
大学のオカルトサークルに所属する4人が、超常現象に遭うことで自分の気持ち素直になるという話。
1話目は某(幽霊)は信じない部長の森と、幽霊が見える1年の三島。
2話目は絶対霊感のある夏目と、憑依体質なのにぽやぽやしている川端。
命の危険を感じたとき、人は伝えたい思いを失いたくない相手に言っておきたくなるものだよね、という流れでした。
案内人として猫の某が登場して、「ひえー!怖い!」という怖さはないので、ご安心を。
【バンカラ君と書生君】【バンカラ君がとおる】【バンカラ君の煩悶】【バンカラ君がゆく】 萌2
学生運動活動家の関口(バンカラ君)と、田舎から上京して学問一筋の小嶌(書生君)。
最初は小嶌をいいように財布扱いする関口に、ムカムカ。
理想と詭弁ばかりで、自分が目指す社会の実現のためなら、他者を利用するのは当然、協力して当たり前という活動家気質に、「好きにやればいいけど、小嶌を巻き込むんじゃないよ」と思いながら読み進めると…。
最後に大きな切なさ爆弾が用意されていました。
この展開、やるせないし、つらい…。
余韻が半端ないので、読み終わった後、2人のその後を妄想せざるを得ません。
ハッピーエンド好きな方はそのように。
悲恋好きの方は、最も悲しい結末を。
紆余曲折好きの方は、数十年後に思いを馳せるのもありというラストでした。
余韻残されると、作者さんなりのエンディングを読みたくて仕方なくなります。
そもそもがTwitterでの殴り書きから始まったというバンカラ君。
その当時だったら、もしかしてここに収録されていないエピソードも読めたのでしょうか。
7年分スクロールするのは厳しいので、妄想で心を落ち着けたいと思います。