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表題作毎日、きみに恋をする

青澤かなた・花屋・23
吉崎幸平・美大予備校講師・33

その他の収録作品

  • Prologue(描き下ろし)

あらすじ

花屋で働く青澤かなたは美大予備校の講師である吉崎幸平と付き合っている。
しかしある夜、倒木事故に遭った幸平は脳に重度の記憶障害を負ってしまい――それから三年、二人は一緒に暮らしているが、事故による後遺症から一日以上の記憶を脳に留めておけない幸平から、朝になるとかなたは「見知らぬ他人」扱いされてしまう毎日。
それでも激しく身体を重ねれば心は昔に近づいていく・・・そんな日々を繰り返しながら、いつか治ることを願っていた二人だが――!?

作品情報

作品名
毎日、きみに恋をする
著者
かつらぎ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス・リンクスコレクション
発売日
ISBN
9784344841604
3.8

(16)

(3)

萌々

(8)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
62
評価数
16
平均
3.8 / 5
神率
18.8%

レビュー投稿数3

読めば分かる素敵な作品

とってもよかったです。
事故の後遺症で1日しか記憶のもたない幸平と付き合っているかなた。
事故が起きて3年もの間、ずっと幸平を支えています。
かなたが献身的で一途な健気攻め。
どんなに冷たくされても、毎日が初めましてでも諦めない姿に胸がつまりました。

そして、幸平が記憶を思い出さないのは、忘れたい過去があるから。
辛くて苦しい記憶を無意識に封印していた幸平が、過去を思い出しながら、かなたを愛した理由を知っていく。
再び愛していく。この過程がとても良いのです。

とても切ないけど、かなたが幸平を想う気持ちが本当に優しくて涙が出ます。
幸平が自分のアイデンティティである絵を描く事よりも、かなたを大切にしていくというラストも素敵でした。

0

脳というものは、本当に不思議

昔から小説や漫画などの創作の世界でテーマになってきた記憶喪失。
悲劇的な演出を生みやすいこのテーマは、読者にとっては結構重い。
忘れた方と忘れられた方、2倍の苦しみを受け取ることになるからです。

2004年製作、日本公開は2005年だったドリュー・バリモアの映画は、記憶喪失からさらに一歩進んだ高次脳機能障害を扱っていました。
日本でも長澤まさみ主演でリメイクが製作されたので、記憶に新しい方もいらっしゃるかと。
「1日しか記憶が持たない」という記憶障害を持った相手に毎日恋をする。
その日、うまく恋に落ちることができても、次の日になればまた出会いからの繰り返し。
大好きなThe Cureの”Friday, I’m in love”をバックに流れるエンドロールでは、何とか結ばれて、子供も持った2人が楽しそうに暮らす様子が映し出されていましたが…。

重いんです。
だってずっと続くんだもん、そういう毎日が。

前置きが長くなりましたが、こちらのかつらぎさんの作品も記憶障害がテーマでした。
付き合って3年になる花屋勤務のかなたと画家の吉崎。
ある暴風雨の日に、車の中でいちゃいちゃしていたところ、倒木が車を直撃して…。
というのが、吉崎が脳に障害を負った経緯でした。
車で取り返しのつかないトラブルというと、『ガープの世界』を彷彿とさせます。
「1日しか記憶が持たない」+「20歳の頃に退行」が起こった吉崎は、30才で知り合ったかなたのことを一切覚えていません。
その上、毎日、昨日あった出来事が脳からリセットされてしまうので、23才という若さのかなたには相当重い相手です。

だけど諦めない。
吉崎の幼馴染で画商(?)の葛西に「まだ若いんだし…」と何度言われても、離れない。
そんな日々の中で、吉崎の中にわだかまる1人の男の存在が明かされるわけです。

トラウマ、憎い相手、恨んでも恨み足りない存在。
同級生で、吉崎が類稀な才能を感じて惹かれた新見という男。
一度乗り越えたはずのこの男との出会いから別れまでをもう一度思い出すことに何の意味があるのか、というくらい、ひどい話です。
そんなひどい体験は覚えていても、自分のことは覚えていない吉崎の隣に居続けるかなたの気持ちがつらい。
自分にとってはかけがえのない存在だけど、相手にとっては違ったのかもしれないとか、いろいろ考えてしまって、とにかくつらい。
でもこれがこの物語には必然だったりするわけです。

仕組みが解明されていないからこそ、どのようにも結末をつけられる記憶障害。
この作品ではラストに向けて、一番望ましい形に進みます。
「今隣にいるひとの存在の大きさ」に気付くために起こった退行。
でも3年間もしあわせに過ごしてきたのに、そんな試練、本当に必要だったのかなと思わないでもなく。
そう思ってしまうと元も子もないのですが。

かなたの件は綺麗にまとまるものの、新見の件は…。
最後まで嫉妬や執着しか見えなかった関係を再確認することで、今あるしあわせを噛みしめるという流れは、この作品から受ける読者の心の負担に対してちょっと安直に見えてしまいました。

ただものすごく心に刺さったので、評価は「萌2」にさせていただきます。

0

明日には忘れてしまう記憶障害

この3年間。かなた(攻)は、事故に遭ってから記憶障害になってしまった恋人の幸平(受)を世話しています。朝になると「見知らぬ他人」扱いをされてしまう―という話です。

作者に非はないのですが、安芸まくら先生の小説「明日も愛してる」がつい浮かんでしまい、なかなか作中の世界観に入っていくのが難しかったです。ただ、Episode2で友人の葛西が登場してきてからは「動いた」感があってストーリーをたどれました。

記憶障害があった頃の日記の日によって違う温度差や、中学生のエロ日記か!と幸平が悶えるEpilogue。カバー下にあった付き合いたての二人の一コマも楽しかったです。

愛はすり減るものだと思っていた幸平に、満ちてゆくものだと教えるかなた。
献身的な年下攻めがお好きな方にオススメだと思いました。

0

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