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まるごと一冊シニア・シルバーBL
おじさんものは嫌いじゃないけど、さらにご年配の初老男性・おじいちゃん達の恋には少々ハードルの高さを感じていました。シワシワ&タルタルの裸体での絡みは見たくないなぁとか、おじいちゃんたちの性欲を目の当たりにしたくないなぁとか。
しかし、読んで良かったです!泣いた、思わず泣きましたよ。
作品の登場人物が言うセリフ「年くったって俺もおめぇと同じ人間なんだよ!」そっかぁ、そーよね。
そして初老カプだけの描写だったらちょっと感覚的に遠いといいますか感情移入が難しかったと思うのですが、若い頃の二人の様子も織り交ぜて描かれているので、彼らにも若い頃があって今に至っているんだという非常に当たり前のことを思い出させてくれたのです。
この作品には幼馴染同士・初老男性×フケ専の青年・50年連れ添ったカプ という三組が登場しますが、ダントツで好きなのは【こころ晴れたらもういちど】【夏がくれば思い出す】50年連れ添った同性カプを描いたお話です。
50年連れ添っているにも関わらず、自分と一緒にいる事を選んだためにツレが色々手放したものが多いことに心痛めており、ツレに「後悔していないか?」と聞くのですが、その返しが良くて、涙腺を刺激されてしまいました。
答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
今はキラキラ青春しているあのカプも、あのリーマンカプも、あのワンコ&美人カプも、ハッピーエンドで良かった良かった!二人とも末長くお幸せに!と思ったその先にあるのがこの人たちかと。
【こころ晴れたらもういちど】を読んで、今まで読んできた数多のBLカプたちの将来もこうでありますように…こういう余生を過ごせますように…と思いを馳せました。教えてくださり本当にありがとうございました。
もう、ボーイズ、の域を突破している作品。
ただ彼らもBoysであった頃を持っているわけで。
今、色んなBL小説やコミックスを読んでいますが、彼らの最後はこういう感じで添い遂げてるといいな、と思わせられるものでした。
(若かりし頃は勢いであんなことや、そんなことが色々有るわけですが。刑事だったり詐欺師だったり料理人だったり売り専だったり…)
ハッピーエンドのその先、な感じでしょうか。
かつらぎさん初読みです。
答姐の「熟年夫婦のようなカップルの話」に上がっていて、
へえ?と興味を持って手に取りました。
全部で3つカップルの話が収録されているが、
表題作は50代なのでそれでもオヤジといえるかも?だけれど
他の二つはシニアというかおじいさんが主役の話。
表題作は50年以上親友だった二人の物語。
互いに片思いだと思っていた恋が実る話で、
子どもの頃や学生時代の姿が挟まるのも微笑ましく
年は喰っても初々しく瑞々しい恋。
一方でお互いを本当に理解している二人の
阿吽の呼吸のやりとりもいい。
こういう関係ってツボ!!
Hシーンの「60近いオヤジの貴重な1回」というセリフに爆笑。
うん、大切に頑張って下さい。
二つ目は、フケ専青年に愛されるじいさんの話。
一途な青年に絆されていていくじいさんが、可愛い。
最後は、半世紀の付き合いになる年金暮らしのカップル。
戦争の時代の青春、そして今。
苦難を乗り越えて、ずっとお互いの手を離さなかった二人の
今や平凡な日々の幸せ。
リアルに70歳のカップル(♂×♂)の図を考えると、
微笑ましいだけの感想ではないのかもしれないが、
絵が適度に可愛いのもあって、人としての可愛さや
愛おしさがにじみ出る、タイトル通りひだまりのような作品だった。
追記:
PC画面の端に、佐条と草壁がいるせいか、
ふと彼らの50年後を思い浮かべて、ジーンとしてしまったのでした。
今日は。佐条と草壁のところまで読み、ほっこり同意しました。(思わずにやけてしまいました。)優しいレビュー、ありがとうございます。シニア物デビューのきっかけとなるかもです。
”シルバーラブ”紺野キタさんの作品の中に、国枝彩香さんの作品の中に、それを見たことはありますが、何と!!
この本まるまる1冊シルバーラブでした。この驚きと、感動と(?)
かつらぎさんは、最初の頃小椋ムクさんに絵が似ていて、ワンコ攻めなんかを描いた時にはムクさんなのか?と思ったほどでしたが、冊数を重ねるにしたがって作者さんの独自のカラーが見え始めて、何と今回は雲田はるこさん風味も!?
そんな変化や進化が見られるいい作家さんですね(今回のチャレンジも♪)
表題は定年も間近い年代の小さい頃から幼馴染でずっと一緒で、たがいに結婚もしないできた男二人。
出版社の営業をしている親友の中小路が突然「結婚してくれー!」と作家の汐見の元を訪れる。
お見合いを勧める親に断る為に、汐見を恋人だと紹介したいのだと言う。
見合いを断る口実だと思っていたのだが、ほんとうは二人は互いに片想いしていたのです。
一穂さんの小説で、40代で気持ちを通じ合わせるカプの話があった時に、それもやはり小さい頃から持ち続けた気持ちを封じてそして、、という展開だったのですが、
そこに、数十年も持ち続けた気持ちだけに妙に青臭い初恋なのだと書いた覚えがあるのですが、これもそうだと思いました。
相手の小説を売り込みたいから出版の営業になった片方、
彼が喜んで読んでくれるから小説を書いていた片方。
長年秘めてきただけに、もう腐れ縁めいて、何気にシリアスなのに、コミカルな風体をしているのが、とてもとてもかわいらしいのです。
勢いで行動したかと思えば、突然ヘタレる中小路に、しっかりものめいた汐見。
老年にさしかかった壮年の男性同士だけに、とても居心地のいいカプなのでした。
『野良犬のジンクス』はおじいちゃんコンプレックスをこじらせて、フケ専(!?)になった大学生に好かれて懐かれてしまった、口の悪い意地っ張りのおじいさん。
あまりの年齢差に、ここに現実を感じて見てしまうと興ざめしてしまいます。
あくまでも作品で、ファンタジーです。
本当に愛なの?恋なの?なんて考えるより、べらんめぇのじいさんが若者にキュンして戸惑う様がかわいいと思う、このほっこり感のほうが大きいです。
『こころ晴れたらもういちど』は正真正銘の老人カプのお話です!
彼等は大学時代に恋人になり、戦争を迎え出征し、そして再び再会して一緒になったという、長い長い歴史を男夫婦として苦楽を共にしてきたカップルなのです。
こういう組み合わせは、ほんとうに涙腺を刺激してしまってね!
これはBLの理想のナレノハテです!!
彼等の若い頃の話もあったりします。
相手を思いやるからこそのその姿に、彼等の苦難を想像させます。
きっと積み上げてきた歴史が長いから、きっともっともっと色々な話があるでしょうが、これだけでも充分です。
あったかいけど切ない。
仕方ないですね、老人ゆえの・・・でも、死ネタはありませんから安心してください!
それぞれにバラエティがあり、うまくまとめられていると思います。
カバー下、本体にもショート漫画がついてるのでお忘れなく♪
帯に、シルバーラブはお好きですか?との一文が。
もちろん!!! そういう世界を常々欲しております。アラ還上等、白寿までまっしぐらで構いません。同じ墓に入る伴侶とともにつつましく日々を暮らす、皺が増えて目が見えづらくなって足腰も弱ってゆくなかで、たったひとりの相手を傍に、生きていく。そんなシルバーラブをいつでも欲しております。
ですので、こちらの一冊にはとても満足いたしました。お話自体に「もっと…もっと読みたい!」という物足りなさはありましたが、ニッチ市場だと思いますので拝読できるだけでも十分です。
三作品収められています。
ひとつはお相手が大学生ではありますが、シルバー街道まっしぐらでした。
その他ふたつはしっかり おじさん×おじさん と おじいちゃん×おじいちゃん です。
それぞれの作品に、描き下ろしの後日談(これまたなかなかのページ数ですので、嬉しいです)が添えられています。各話のその後が見られることも、満足しているひとつの要因です。
【願いごとはひだまりで】
幼馴染同士の おじさん×おじさん ストーリーでした。
60近くにもなって身を固めていなければ、必ず付いて回るであろう見合い話に関する一悶着です。
結果的には長らくの間、お互いがお互いに片思いをしていた…ということなのですが、これを確かめるのは相当気合と勇気が要ることだと思います。汐見先生の対応はなにひとつ間違っちゃいないんです。今更、ですよね。ここまできて。
この今更が許されるのは中小路のお茶目でハチャメチャな性格があってこそであり、だからこそようやくふたりが繋がりを持てることになりました。
中小路のお母さんに見合い話を断りに行く際、「僕は彼じゃないとおったたんのです!」とのたまいましたがこれは真実なのでしょう。もしかして、若かりし頃は汐見先生で自分を慰めていたのだろうか…と読者側も思いを巡らせてしまいます(笑) ぜひそうであってほしい!
少年の心といたいけな無邪気さを失わずに傍にいた中小路、そしてそれに振り回されながらも中小路から嗅ぎ取るひだまりの匂いが愛おしくて離れることができず今に至った汐見。
自分に嘘をつかず、60手前までふたりがふたりの関係性を損なわず生きていて、良かったな…と思いました。
描き下ろしでふたりのベッドシーンを見られたことも満足です。
貴重な一回。その一回ずつを重ねながら、ふたり共に年をとっていくのかなぁと考えると嬉しくなりました。
汐見先生は、いつでも中小路の ひだまりの匂い が愛おしいのですね。
【野良犬のジンクス】
おじいちゃん大好きな大学生と、なぜか懐かれてしまっているおじいちゃんの話。
同世代と睦みあうほうがよっぽどよかろうに、大学生・さとる君は片桐さんにゾッコンです。
大きな年の差があると、これからのことを考えてしまいます。片桐さんがお墓に入るとき、さとる君はちゃんと前を向いて歩いていけるのだろうか…とか。
ただ今はとても幸せそうなふたりですから、この様子を見る限りはほのぼのとします。
いかんせん、さとる君がなぜ片桐さんに惚れてしまったのか、そこが理解しきれませんでした。片桐さんに魅力があるならば、とっくに伴侶がいてもいいだろうとも思いますし。さとる君自身の おじいちゃん大好き な嗜好以外の理由を求めてしまいます。
ですが、さとる君が現れたことにより、片桐さんが前向きに丸くなったのではないか、と考えるとホッとしました。
きっとさとる君は、片桐さんのマイナス面をふたりでプラスに変えてくれることでしょう。
描き下ろしで犬を飼うことになり、またふたりで過ごし、ふたりの思い出が増えるのではないでしょうか。ほんとうにさとる君、良い子です。
【こころ晴れたらもう一度】
一冊のなかで、こちらの作品が一番好きです。
学生の頃からのお付き合いを続ける おじいちゃん×おじいちゃん の話。
学徒動員などのくだりもあることから、本編ではおそらく80手前なのではないでしょうか。(描き下ろしはそこから更に年をとっているように見えます。80歳を超えている…かな)
20そこそこの時に言われた「(眼鏡を)一生付けてなさいよ」を今もなお続けているのか…!と思うとたまりません。当時から近眼なのだから他にどうする術があるのかと言われて答えることはできませんが、そこに愛の深さを覚えます。
また同窓会会場に園田ひとりで乗りこんだこともそうです。
小宮の覚悟に対し、あの当時はまだ弱い感情でしかなかった園田は今もまだ悔いているのですよね。そしてそれを覆したい。小宮に対して、報いたい。
園田の語り口調には寂しさと侘しさが時折含まれますが、ふたりの間に流れる空気はとても満たされているように見てとれます。小宮には後悔なんてひとつもないし、園田じゃなくちゃ駄目だったと言わんばかりの。先生とも和解できて、本当に良かったです。
描き下ろしではまさか…! と強張ってしまいました(笑)
アイスを食べたいなんて言っているうちは大丈夫ですね。…愛している、と言って、逝くんでしょうか。
シルバーラブを堪能できる一冊でした。強欲にも、もっと!もっと!とつい思ってしまいます。
設定の年齢が年齢だから…と想定していたよりも甘いお話たちばかり。薄毛だっていいのです!