高校時代、寮で同室だった圭と聖人はつきあっていたが、圭の裏切りで決別した。その後、互いに教師として母校で再会し…?

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表題作君は僕の初恋の人

棚橋圭
高校時代のルームメイト,社会科教師,27歳
朝倉聖人
帰国子女の高校生,数学教師,27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

名門私立男子校に入学し、寮で同室となった圭と聖人。恋に落ちて体まで許したのに、圭の裏切りに聖人は深く傷つけられ決別した。それから月日は経ち、互いに教師として母校で再会して…?

作品情報

作品名
君は僕の初恋の人
著者
高遠琉加 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
壁の中の嘘と秘密
発売日
ISBN
9784796405591
3.4

(71)

(12)

萌々

(27)

(18)

中立

(6)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
16
得点
228
評価数
71
平均
3.4 / 5
神率
16.9%

レビュー投稿数16

蓼食う虫も・・な話

「神様も知らない」三巻を読んで、心に刺さる作品を描く人だなーと思って、
他の作品を読んでみました。

この作品は、圭視点、聖人視点と、視点主が変わる書き方で、ちょっと疲れる。

舞台は、全寮制の進学校。「壁の中の嘘と秘密」と同じ、主人公は別の人。
殆どの生徒は、親族が卒業生で、各地の優等生。
何方かというと、この作品のほうが「壁の中の嘘と秘密」といった内容だった。

棚橋 圭:
愛されて不自由なく育つ。容姿も頭脳にも恵まれ、如才なく常に笑顔。
父親が、学校理事、校医。堅実な運営の地元医院経営者。
優秀な兄姉が病院を後継予定。末っ子の圭は自由。
大卒後、大手旅行会社に就職。退職して、母校の社会科教師に転職。

朝倉聖人:
帰国子女、日本語がぎこちない。三白眼、人見知り、人間関係不得手。
父が卒業生。高卒後、紅茶の貿易会社経営。 父に紅茶を教えた年上女房の母。
母の死後、学校裏の桜の樹の下に、母の遺灰の一部を父が埋めた。
ルームメイトの圭に恋をするが、圭の隠ぺいを赦せず、拒絶。
卒業を待たず、英国へ留学。 帰国して、母校の数学教師として勤務。

新見:女優の息子。聖人を虐め、罠に嵌める。

田丸:人懐こい大阪出身の同級生。圭と聖人の友人。
篠塚:主席で入学した同級生。圭と聖人の友人。 察する男で、まとめ上手。

聖人はコミュ障、圭の気持ちを理解しようとせず、ずっと圭を赦せない。
忙しい父、母の病死、親族の反対・・色々有ったせいで、聖人の人格形成は不完全。
もうちょっと大人の視点を持ってもいいんじゃないかと思う、生徒の指導なんてできない視野狭窄な教師だと思う。

人気者の圭が、初めて欲しいと思ったが聖人。初恋だった。
サイコパスとは違う。
これをサイコパスというなら、恋する人は、みんなサイコパス。

圭は、ただ聖人に見て欲しくて、守りかった。
不器用で純な猛愛。気持ちがずっと変わらない一途な圭。
聖人のどこが可愛いのか理解できない
ひょっとしたら、圭の執着は、桜の木が聖人の為にかけた母心の「魔法」なのかも。

1

情景の全てが目の前に浮かんでくる

なんかとてもすごく小説していた……情景の全てが目の前に浮かんでくるって小説では当たり前のことなんだっけ?BL小説を続けて読むと、そうでないものに慣れて麻痺してくる。おかげでただの描写にもものすごく感動した。

ストーリーやメインキャラは好きなタイプでもないし、萌えツボにもはまらない。でも読み応えとサブキャラの魅力が抜群で、読後の満足度は最高。これってちるちる評価的には何が正解なんだろう?知らんけど★4てことで萌え×2。

高校でルームメイトになった、要領の良い金持ち次男坊と人付き合いが下手な帰国子女のお話。二人の関係性に変化が訪れるのは、聖人に泥棒疑惑がかけられてから。当然聖人はやっていないが、この事件の真相の半端さがとてもたちの悪いものに感じた。

それまで散々独占欲を見せてきた圭が、これを機に聖人を手中に収める。自分が直接手を下して聖人を孤立させたわけでなく、他人の後ろめたさに付け込み利用して、窮地に陥る聖人を興奮しながら見守っている。
自らの手を汚していないところが狡猾で、冷静さを失うほどに病んでいないのがとても厄介。それでもまだ男子高校生で、若さ故の暴走として、前半の圭視点は失恋という結末に納得して面白く読めた。

社会人になり、圭のストーカー行為からの再会後、聖人視点から見る圭はめちゃくちゃ怖い。笑顔を「へらへら」と表現されているのも聖人の憎しみが伝わってきて、圭の好感度が上がらない。

これでどう決着をつけるのかと思っていたら、登場時から個人的に推しキャラとなっていた篠塚が登場し、電話一本でまあいいか、と思わせてくれた。正直メインカプより断然篠塚に魅力を感じる。寮での振る舞いも際立ってカッコ良かった。

話を戻して聖人の件。危機からの吊り橋効果的ショック療法で、聖人は圭を受け入れる。好きだったあのときの気持ちが戻ってきて……という描写なので不自然じゃないが、もう少し圭に変化が見られてからの方が良かったかなあと思う。まあこれはただの読み手としての感情だけど。

前半は黒い思惑丸出しの圭視点で、サイコパス傾向のある自己中気味な性格のブレなさが素晴らしく、小説として面白かった。
別作品のスピンオフらしい、知らずに読んだが問題なし。スピン元も読んでみようかな。

0

再会物語

 再会物語。
 今の私の大好物です。

 棚橋は地元でそこそこに名前の知れた病院の末っ子次男坊で、愛想もよく、何でもそれなりにこなして生きてきた。
 そんな棚橋と高校の寮で同室になったのは、三白眼で無愛想な朝倉。
 棚橋は自分にだけ心を開き、笑顔を見せる朝倉に徐々に惹かれていく。
 しかし、棚橋は朝倉に対して、裏切りともいえるような行為を行っていることがわかり、朝倉は棚橋を拒絶する。

 それから数年が経ち、母校で数学教師を勤める朝倉の元に、棚橋が社会科教師としてやってくる。

 という話でした。
 穏やかで。
 誰も何も言わないですが、棚橋の朝倉への執着に脅威を覚える話。
 でもまあ、再会物ってどちらかが執着しないと偶然でもない限り、再会しないですよね。
 必要悪♡

 ちょっと別の作品の登場人物が出てくるので、そこの詳細がないのだけモヤモヤするかと思いますが、適度な厚みで読みやすいので。
 本と再会物がお好きな方にはオススメします。

0

初恋という名の狂気


終始、どうにも攻めが自分本位なサイコパスに感じてしまって話に入り込めませんでした……。

途中で受けが盗難事件の犯人扱いされてしまうんだけど、それを利用して受けを囲い込んでいくんですね。

「男子校の学生寮という閉ざされた狭い世界で、盗人扱いされながら過ごす羽目になった受け」「攻めのせいで高校生活の思い出が黒歴史そのものになってしまった受け」というのを想像してみると、もうなんか受けが気の毒すぎて……。
受けをそんな目にあわせてでも手に入れたかったというところが狂気じみてるというか、ヤンデレとしか思えない。

で、大人になってから再び、受けの前に登場する攻め。
どんなに邪険にされてもへらへら〜と笑ってへこたれないし、そもそもどのツラ下げて!!って感じなところが、これまた怖い。

BLを読んでるときの私は、「好きだから」というのが結構免罪符になってるところがあって、「好きだからレイプ」もOKだし(リアル世界ではもちろんアウトですよ)、「好きだからガチストーカー」も全然OKなんだけど、この攻めに限っては「好きだから」が通用しませんでした……。

そして、なんだかんだいって受けも好きならしゃーねーな……みたいな無力感に囚われてしまったというか……。

だけど最後のほうで、受けが思うんですね
「初恋なんて、狂気の沙汰だ」と。

タイトルや表紙の雰囲気から、もうちょい切なくて甘酸っぱい初恋ものを想像してのに全然違った……と思っていた自分にとっては、この「狂気の沙汰」というが妙にしっくりきて納得できました。
「きらきら〜とした甘酸っぱい初恋」ではなく、「理由も理性もない、箍の外れた熱病の季節」に永遠に囚われてしまった二人というのを作家さんは描きたかったんだなと思ったら納得できたので、中立から萌評価にアップです。

そういうのを読みたい!!って方には、最適だと思います。

2

男子寮にはロマンがいっぱい

キュンキュンする男子寮ものを読みたい! と思っていろいろ探していたところ、素敵なタイトルに惹かれました。ムク先生の表紙も、ほんわかしていていい!

内容は、タイトルどおり、初恋の人と再会してやり直すという話。
前半は攻めの圭視点で、高校時代のエピソード。
圭は家柄にも容姿にも恵まれ、性格的にも誰とでも打ち解けやすく、生まれながらになんでも持ってるような子。受けの聖人に出会うまでは、他人に対して熱くなったりすることがなく、独占欲や執着心を抱いたりすることもなかった。
それなのに帰国子女でなかなか馴染めず、周りから浮いていた聖人の、自分だけに向けられた笑顔を見たその時から、彼をひとりじめしたい、という欲望にとらわれてしまう。
ある日、寮で盗難騒ぎがあり、聖人が濡れ衣を着せられてしまうという事件が起きる。だが、それは圭にとっては彼を自分だけのものにする絶好の機会だった。
思惑通り、聖人は手の中に落ちてきて、ふたりは蜜月のような甘い時間を過ごすようになる。だが、やがて事件の真相が明らかになった時、無情にも終わりが来てしまう…。

ここで前半のお話が終わり、後半、27歳になった聖人の視点のお話が綴られるのだけど、この構成がなかなかニクい! 
高校時代の聖人の心理は、あくまで圭の推察でしかなかったため、聖人が圭をどんな風に思っていたか、あの事件でどれだけ傷ついたかということがようやく詳細に語られる。
大人になった聖人は、圭は自分を裏切ったと思ったまま、ずっと彼を憎んでいた。「世界で一番嫌いな男」だと言ったり、冷たい態度を取り続ける。
どちらの気持もよくわかるので、受け攻めどちらにも感情移入してしまい、胸が痛い…。あまりにも聖人がツンツンしてるし、圭がまた、聖人可愛さに構いすぎてしょっちゅう怒らせるのでハラハラした。
でもどこか、ケンカップルみたいないちゃつきにも見えたのは気のせい? 嫌いだ!ってあんまり向きになって言うと、逆の意味に聞こえるよ…。

読み終わってからこの作品がスピンオフだったのを知ったのだけど、読んでいて引っかかるところはなかった。後半に登場した生徒二人の話ということで、そちらもぜひ読んでみたい! 
やはり男子寮っていくつになってもときめく、萌えと煩悩の塊だと思う。

0

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