大人気作家・凪良ゆう先生の最新作!

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表題作365+1

紺宗之
人気スタイリストのアシスタント、24歳
綾野里久
実家の美容室の美容師、24歳

あらすじ

同級生だった紺と綾野。夢を語り、想いを分かち合って共に歩むはずだった。けれど紺は上京し、綾野は地元に残ることになり……。道を違えたことですれ違い始めるふたり。けれど互いを思う気持ちは持ち続けています。男同士だからこそ譲れないプライド、でも捨てきれない情の深さ――子供から大人になるカップルの成長が描かれています。

作品情報

作品名
365+1
著者
凪良ゆう 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
365+1
発売日
ISBN
9784829625774
3.9

(225)

(83)

萌々

(81)

(44)

中立

(8)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
30
得点
879
評価数
225
平均
3.9 / 5
神率
36.9%

レビュー投稿数30

夢を追いかける二人

高校の同級生が将来の夢を語り合い、専門学校に進んで恋人同士になり、就職する段になって片や上京し片や地元に残っての遠距離恋愛が始まり4年。
起こるべくして起こった問題といえばそうなのですが、とても丁寧に二人の気持ちやら背景やらが描かれて、それこそ手に取るように伝わってきて最後まで目が離せませんでした。
地元に残って母の美容院を継いだ綾野の優しさも焦りも鬱屈も分かるし、東京で道を見失って堂々巡りをしている紺の自分本位な面も見栄を張りたいことも劣等感も分かる。
どちらも痛い程伝わってくるので、二人のことをそれぞれに応援していました。
言葉が足りないから拗れるんだよ、と思いつつ、でも言えないよな、とも思ってしまう。そういうところが凪良先生はうまいなあと。
「薔薇色じゃない」とか「汝、星の如く」とかにも通じるところがありますが、両作より不穏度が低いので安心して読めますし、キャラクターに寄り添いやすいと私は感じました。
それは二人のベクトルが同じ方向を向いていて、折れるタイミングも前を向くタイミングもほぼ同じだから、というのもあるかもしれないです。個人的にモヤモヤは少なかったです。
紺をとりまく環境は確かに華やかだけど、「センス」という目に見えない物と向き合うのは大変だろうと思いました。改めてスタイリストというお仕事の難しさを確認したような気持ちです。
モデルの美山は毒を吐く我が儘なキャラだけど、的を射たことを言うときもあるし、なんだかんだ憎めないのがすごいなと。電気ガスの引き落としの手続きをしてあげたいですもん(笑)
紺の師匠の英も、人を育てる難しさについてぽろっと零したりして、人間らしさを感じたりしました。この人はこういう本音を零す相手が居るのでしょうか。大勢の人に持ち上げられているけど実はすごく孤独なんじゃないだろうかと邪推しました。

0

No Title

お互い好きで好きで未来は明るくて……みたいな所から数年後、状況は変わって東京で燻る紺、田舎で何も変わらない毎日を過ごしコンプレックスを抱く綾野。二人の会話は噛み合わずたまに帰ってきた紺が綾野とすることといえばやることだけ

2人の暮らす環境の違いとか、会話が減っていく中でどんどんすれ違っていく思いとか、噛み合わないままどうしようもない状態にまでなってしまったのがリアルで、切なかった。

二人の関係や仕事はどうなる……?となるのですが……お仕事ものとしてもとても読み応えあって面白かったなぁ。終盤胸が熱くなる展開まであった✊❤️‍

2

ハピエンですが

攻めざまぁからの元サヤです。

高校時代に出会い、同じ美容学校に通い、両片思いから両思いへ発展していった紺と綾野。共に就職のため状況しようとしていた矢先、母親が倒れたことで綾野は地元に残り、母の病院で共に働き、紺は東京で働くという遠距離になった2人。

流行の最先端でえる東京で働きながらも自分を見失い、くすぶり続ける紺と、地元に残ったことで紺に遅れを取っている、共に同じ夢を追っていたはずの紺に置いていかれると感じるようになる綾野。お互いに相手にいい所しか見せようとしないから言葉も足りず、どんどんすれ違う2人。紺は東京で満たされない自意識、プライドを無意識のうちに帰省した際に綾野にぶつけることで解消しようとし、綾野もモヤモヤが募っていて、ついに別れを切り出すことに…。でも紺はなぜ別れることになったのはを全く理解出来ずにいて…。

そこに出てくる口と性格が悪い美山靫彦(トップモデル)がいい役割を果たしてくれるんです。もうホントにここで綾野と一緒にモヤっていた読者はスッキリするんです✨

正直、無意識に変化のない(ように見える)綾野を安心材料にしている紺には嫌気がさすのですが、男同士ってこんなんかも…とか、こんな男いるよね…って思える妙なリアルさがあるのかな…と思っています。

結果的には元サヤに収まるんだけど、きちんとお互いを見つめ、理解し、足りないことはしっかり言葉で補えるような関係になってのでとてもいい終わり方だったのかなと思っています。

1

攻め視点がしっかりあるのが嬉しい

先に読んだ「愛しのいばら姫」のスピンオフ元作品でした。
美山の友人カップル、紺と綾野の出会いから一緒に住むようになるまでのお話ですが、2人が遠距離恋愛をしているところから始まっています。

田舎のご近所さん御用達の美容室で働く綾野と、方や東京の第一線スタイリストのアシスタントである紺がすれ違っていくのは必然と言えば必然で…。
お互いが大好きなのに、自分の事でいっぱいいっぱいになってしまうと相手の気持ちを気遣えなくなる、そんなリアルに満ちた描写は胸が痛かったです。
綾野視点では紺の身勝手に少しムカムカしましたが、紺視点の章では相手にカッコいい自分しか見せたくないカッコつけな1人の男の苦悩が垣間見られて、切なくなりました。

そんな2人の間に最強の当て馬居るしさぁ。
当て馬としての美山はかなり嫌なヤツでしたw
確信を突いてくる物言いは気持ちいいんだけどね。

いばら姫を先に読んでいたので、綾野と紺がこんな色々なことを乗り越えて安定を得たんだなぁと感慨深いものがありました。

1

「愛しのいばら姫」を先に読むと印象が変わる内容

凪良先生の描写表現は、読んでいて違和感なく心に落ちてしまう。
不思議な文章を書く作家だと思う。
ストンと心に落ちるので、読後、他の本も読んでみようかと思う。
これも次いでに選んだ本。

「365+1」のスピンオフが「愛しのいばら姫」
「365+1」は、紺x綾野 
「愛しのいばら姫」は、久保田x美山

私は、逆順で読んだので、この作品で登場する主人公二人より、
美山が、不器用で口下手だけど、紺と綾野を繋ごうと頑張る健気さを感じてジンときた。

後書によると、この物語のテーマは、
 長い交際期間
 遠恋
 すれ違い
・・と有ったけど、「愛しのいばら姫」を先に読むと、
美山の苦しい初恋が語られるこの本は「茨姫」前段に感じて、
ちょっとだけの登場の美山がとても印象強く残ってしまう。

風変りな母親に愛情を注がれない環境で、ほぼネグレクトされて育った美山は、
愛情の示し方や愛し方を知らない。そして愛されている自覚も薄い。

そんな美山が、初恋の男と似ているドンくさい紺にお節介をやく。
同級生だった紺と綾野のすれ違いを、折々に修正する言動。
 紺に「見下し感」を指摘したり、
 綾野の前で、誤解を修正したり、
 モデルのピンチヒッターを引き受けたり、
 綾野の提案を受けて、髪を切り、初恋の思い出を捨てる
・・不器用な方法しかとれない、とても心が温かい人。

がむしゃらに頑張っている時ほど、掛買いない存在を当たり前だと勘違いしがちで、親孝行も同じ、
失いかけたときや、失った時に、当たり前に「ずっと居ると思っていた支えてくれている人」から受けた愛に気付く

紺も、綾瀬も、ぎりぎりで気付けて良かった。

2

この作品が収納されている本棚

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