お前は罪を購わねがならない――鬼と人、五百年越しの淫縁。

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表題作隠り世の姦獄

緋角隠也,教誨師(鬼)
萱野納,死刑宣告を受けた一級建築士,31歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「隠し神の輿入れ」スピンオフ
「どちらがいい?他の人間が喰われるのと、その身を犯されるのと」
冤罪で死刑宣告を受けた建築士の萱野(かやの)は、刑務所で虚ろに過ごす中、個人教誨を受けることになる。現れた僧侶は端正な美丈夫。だが、彼は「罪を贖え」と不思議な力を使い萱野を組み敷き蹂躙した。彼の正体は、赤い髪と瞳を持つ鬼だった。
以来、訪れのたびに嬲り者にされ絶望を深くする萱野だったがー。

作品情報

作品名
隠り世の姦獄
著者
沙野風結子 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
隠し神の輿入れ
発売日
ISBN
9784796406116
3.7

(44)

(9)

萌々

(22)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
162
評価数
44
平均
3.7 / 5
神率
20.5%

レビュー投稿数5

エロのチャレンジャーなのに相変わらず格調高い

電子書籍で読了。挿絵有り。笠井画伯、サイコー!

これぞ沙野風結子ワールド!
スピンオフというより「隠し神の輿入れ」の続編だと思います。

「前作の穏やかさはどうした」と言いたくなるほど、初っ端から理不尽。
この、登場人物を突き放した様な文体に振り回されて「人間なんて運命に翻弄されるだけなんだなぁ」なんて思い知らされて、萱野と一緒にどんどん不安になって、目眩がして、血を流して、犯られて、痛くって、でも何故か痛いのは体より心で「なんで?なんで?」って思っていうちに、少しずつ霧が晴れてきて、涙と共に謎が解ける。

堪能いたしました。

あとね「エロのチャレンジャー」としての面目も躍如しています。
必ずなんかのチャレンジをぶっこんでくれるもんなぁ。
いつも「今回はどんなのを」って楽しみにしているんですが、凄かった……
書いてることはとんでもないのに、いつも下品にならない所がステキです。

実に沙野先生らしいお話でした。満腹です。

2

やっぱお参りに行こう!

前作の続きだ ということに、読み始めてから気が付くありさま。
表紙が着物姿なので、てっきり歴史ものかと。。。。。
全く違いました、めっちゃ現代。東京。小菅だし。
そしてなんだか中途半端な気がしていた前作に、きっちり カタつけてました。
読み終わってめっちゃすっきり。前作萌にしてしまった分、
こっちのと合わせて、神に近い萌2.
当作だけでも読めなくないが、前作読んでた方がすっきり感倍増。
人外姦、ショタチックなとこ、4P?など地雷的要素があるので
そのあたり苦手な方はよくお考えになってからどうぞ。

今回、笠井先生のあとがきは無し。カラー口絵もなし。淋しい・・・
前作の攻め あいじょめ~ はりりしい猫姿+依冶に抱っこされた姿で登場♡
それが一番の神絵~
他は可愛い鬼っ子双子ちゃんが出てきますが、滴っている絵がやや多め。

前作攻め、受け+当作攻め、受け+受けさんの弁護士、白蛇ちゃん、
鬼っ子双子ちゃん、いぶし銀みたいな鬼、前作にも出てきた大学教授、
その弟、弟のペアとなる神などなど。
人間は5人。さあどれが人間でしょう といいうぐらいキャラ多しです。
しかも、どいつもこいつもスピンオフ書けそうな印象。
最初からペア的に覚えられたからかな、あんた誰はなかったです。

前作より断然 私は切なかった。
当作の受けさんを想う攻めさんの気持ちや、大学教授弟の気持ちや
弁護士さんや白蛇ちゃんの気持ち。
どの気持ちもとても切なく、愛しかった。
なんか一番悪いのは人間じゃん。。。という気持ちが強くて
やっぱちゃんとお参りしよう と思いました。

最後の方の丸のみ白蛇ちゃんには笑えましたが、
やっぱこの子もいつまでも元気で幸せでいてほしいなあ と思います。
前作合わせて、1作だと思います。いいお話でした!

1

見方で見え方が変化する面白さ

前作が面白く、そのスピンオフということで手に取りました。前作のキャラたちが登場し始める112ページ以降のお話の動きが面白かったです。
前半部分は、前世の記憶もなく混乱と絶望に沈んだ萱野視点なので、鬱々としているしお話もどう転がっていくのかが見えなくて、読むのが少し辛いくらいでした。スピンオフなのに関連ワードが全く出てこないし、と不安になってきたところでの依冶登場。そして怒涛の展開とカプ増殖が非常に楽しかったです。

まだ続いている神と禍神の戦いに萱野と鬼の存在が均衡を崩します。と同時に萱野の絶望にも光がさし、また前世の記憶も戻り始めます。そのおかげで冒頭いきなり萱野を強引に押し倒し、凌辱していた緋角の見え方も変わってきて、愛しくなってきます。
前作カプも嫁入りしたとはいえ、戦いに明け暮れていては藍染の消耗が心配だったので、元気そうで何より。仲間も増えたみたいです。

何より登場人物が増えたことによるあれやこれやが面白くて、もっと読みたい!と思ってしまいました。
特に、白鳥と寧近の関係。もっと掘り下げて読みたかったよー!ほかの禍神に抱かせているときの白鳥の気持ちが知りたかった。傷だらけになった寧近をどう思ってるんだろう?とか。敵役ではあるんですが、この二人にも優しい絆がありそうで、どうして歪んじゃったのかと思うと切ない。番外編でいいので寧近と見守る白鳥のお話が読みたいと思いました。

あと、白蛇×弁護士。想い人がいるのに凌辱されて、そのうちに愛が芽生えるって驚きましたが、もしこれが主人公カプのお話だったらよくある展開と言えなくもない。トゲが気になりますけれど。人の姿だと小学生くらいなカガチちゃんなので、Hのときはいつも蛇姿なのかな。それとも人型でショタ攻め?と、こちらも妄想を刺激してくれます。

お話とは別に面白いなと思ったのが、見方を変えることでの面白さ。今作初登場時の藍染は、敵か味方かわからないようなホラーな存在として見えており、それは何も知らない萱野視点からすれば当然のこと。そして、緋角も最初は不思議な力でいきなり凌辱してきた謎の鬼。萱野自身も、前世でもまるで罪びとであったかのよう。
それが、だんだんと状況が見えるようになってくることで見え方が違ってくるのです。
萱野は冤罪で投獄されていて、「冤罪」は一方的な見方から引き起こされます。そういった部分がちゃんとリンクさせてあり、うなりました。BL小説なので、そういう部分はあまり評価の対象にはならなさそうなのに。でも、そういう物書きとしてのこだわりのようなものが垣間見えて、好感を持ちました。

4

異種間ラブストーリー

沙野先生のお話は、いつもストーリーがとてもしっかり作られているのでエロが多いお話でもただエロいだけで終わらず、ちゃんと主人公たちの物語を楽しませてもらえるので安心して手に取ることができます。

今回のお話では主人公の緋角(赤鬼)と萱野(人間で建築士)のエロエロシーンがたっぷり楽しめますが、他にも双子の赤鬼兄弟、東雲と灰桜のシックスナインや真壁(萱野を担当する弁護士)とカガチ(白蛇の禍津日神)の異種間ラブと充実した内容になっています!

これだけエロシーンが入っているとストーリー部分が薄くなってしまいそうですが、そんなことはなく前作からの禍津日神との戦いに萱野と緋角も巻き込まれていき、人と神の関係、人間の業と向き合っていくことになります。

萱野は、緋角と初めて出会った500年前宮大工として神の牢獄を作っていました。その神の牢獄には禍津日神となった存在を封印して村への厄災を抑えていたのです。
そのため、禍津日神にとっては自分たちを封じ込める力のある神の牢獄をつくる萱野の存在は邪魔なものでした。

ただ、萱野の作る社は禍津日神だけを閉じ込めるものではなく、神霊や鬼でも閉じ込めることができるものだったため、萱野を利用して藍染(山神)たちを閉じ込める社を作らせようと白鳥たち禍津日神に萱野がさらわれてしまいます。

ここまでは、禍津日神たち、萱野の作った社に封印されていて白鳥たちによって封印から解き放たれら緋角(赤鬼たち)、禍津日神たちと敵対する藍染(山神)や依冶たちが三つ巴のように敵対していきます。

萱野はそれぞれに触れて、その考えや意見を聞き、自分はどうしたいのかを考えていきます。禍津日神である白鳥やその依代となって禍津日神たちを統べている寧近のやり方は間違っていても、その思いまでは否定できないところかもしれないと思いました。

前作では人間嫌いだった藍染が今では人との共存共栄を目指していたところに胸がほっこりしました。この2人の相変わらずのラブラブが見れて良かったです。どこか偉そうで子供っぽい藍染かわいかった~!

萱野と緋角は強姦という形で始まり、緋角は萱野を責めながら前世でのことを思い出せと何度も無理やりな関係を結んできます。そして、禍津日神たちとの戦いに巻き込まれ、いろんなことが起こる中で前世の記憶の欠片を思い出しながら緋角への強い愛情を感じていくのです。

緋角はただずっと、萱野と一緒にいたかった、一途な思いでずっとずっと萱野を思い続けていたその深い愛情が物語のあちこちで感じられて、胸がジンジンしていました。その切実さや思いの強さが緋角をとても魅力的にみせていました。

ストーリーは、強姦から始まって禍津日神たちとの戦いがあったりとドキドキな展開が続きますが、その中で熱いラブストーリーもあってダブルでドキドキしながら楽しめました!また読みたいな

5

エロエロ異種姦ファンタジー

「隠し神の輿入れ」のスピンオフ。
あれから2年後の話だそうです。
敵サイドとの闘いは前作からの流れなので
前作は読んでいた方が分かりやすいかと思います。


一級建築士の萱野(受)は、自分の建物に放火し人を殺したという身に覚えのない罪で、死刑を宣告されています。
教誨師としてやって来た僧侶・緋角(攻)は
いきなり萱野を強姦。
実は緋角は鬼で、萱野に前世で恋人だった頃の記憶を
思い出してほしいらしく…。


前提知識として、
人々が神を信じなくなったため各地の神々が力を失い
邪悪な存在と化していること。
それを利用し犯罪を起こす勢力を、前作カプ(後に萱野たちと合流)が食い止めようとしていること。
このへんは頭に入れておいた方が分かりやすいかと思います。


獄中モノかと思いきや、緋角の力を使って
外の世界に一時的にワープ。
そして真面目に戦うのかと思いきや、エロいことばかりしていますw

萱野が、双子の鬼カプにフェラされたり
萱野の弁護士が、敵の白蛇に犯されたり…。
(一応「傷を治すため」「力を得るため」という口実はありますw)

この白蛇×人間が、エロエロな本作品の中でも最も強烈でした。
蛇のブツはそんなにトゲトゲしているんですね…。
沙野さんの作品を読むと動物についての知識が微増しますw
痛がりつつも快感に悶える弁護士さんがエロい。
その後、なんか愛が芽生えちゃってるし…先生それでいいの??w


白蛇カプや双子、敵カプなど濃いキャラが多いため
肝心のメインカプがちょっと霞んでいるような…。

無理やりな絡みが多く
前世でラブラブだったエピソードも特にないので
二人の結びつきと言われてもあまりピンとこないのが
ちょっと残念な感じでした。

評価は迷った末の萌。
白蛇のインパクトの勝利です。

9

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