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表題作恋する若頭

伊吹龍之介,強面でヘタレなハードボイルド作家,28
眞田史弘,玩具メーカーの営業マン,33歳

その他の収録作品

  • 愛と旅情の若頭
  • あとがき

あらすじ

ヒット作《若頭シリーズ》の著者・伊吹は硬派な容貌と作風に反してヘタレな男。一目惚れした相手になぜか部屋に連れ込まれてしまい?

作品情報

作品名
恋する若頭
著者
野原滋 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344833425
3.7

(25)

(8)

萌々

(5)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
91
評価数
25
平均
3.7 / 5
神率
32%

レビュー投稿数7

あー、自分もフニちゃんグッズが欲しいかも(笑)

2015年刊。
ちなみにタイトルにある"若頭"とは、主人公・伊吹の代表作にちなんで付けられた愛称だったりする。
コメディ好きな人ならば「え~、ヤクザ攻めじゃないんだ~、ちぇっ…」となっても気を取り直して楽しめると思う。
小説ではあまり見かけない攻め視点で、おまけにヘタレときたもんだ。
普段なら、兄弟や好きな男の子をモデルにして自作のヒロインに仕立てたりとか、片想いの人を影で追っている…それってストーカーですからっっ!!って奴にはドン引きするのだが、今回の伊吹に関しては不思議と嫌悪感は湧かなかった。
あー、何となく自分もフニちゃんグッズが欲しいかも(笑)

そんなヘタレな伊吹は一目惚れした年上の眞田になかなかアタックできないでいたのに、眞田の大いなる勘違いによって一気に打ち解けていく。
短期間で食事、お泊り数泊、デートにまで発展するのだから恐るべし…
口下手な伊吹と上手く噛み合っている。

途中で眞田は勘違いに気付き、自らの誤爆のような気恥ずかしさから一旦気まずい雰囲気になるものの、立ち直るのも早かった。
恋愛面のリードは眞田が上手いけれど、ベッドでは体格差の都合上、伊吹が頑張りましたとさ。

話全体のドタバタ度は控え目に感じ、少し物足りなかったかな。
個人的には伊吹が内心終わらせたくて仕方がない自身の大ヒット作『若頭シリーズ』並みにはっちゃけてもらっても大歓迎だったのだが。
まぁそれはさすがに編集者・佐田が作風で駄目押しし続ける無茶振り通りになるか…
佐田だけは、この話で唯一苦手なキャラだったんだよなぁ。
気弱な伊吹が渋々要求を飲んで執筆を続けるのを承知のうえで、一方的に意見をゴリ押しするばかりで好きになれなかった(-""-)

1

いつどこを好きになったの?

既出の設定と既出のエピソードを組み合わせて上手くまとめたような一作。特色の無さが惜しい。
キャラ萌えもなし、受けの眞田は毒のないほわほわイイコちゃんでまさにBLキャラ、攻めの伊吹は強面なはずなのに挿絵は腑抜けた面で拍子抜け。
口下手というのはこのタイプの話の進行において非常に便利に使える設定だな、と思った。

内気強面男が頑張っていたが、一目惚れシーンがエピソードとして弱く、ストーキングまでする気持ちに共感できない。初恋童貞設定が余計に、なぜこれだけで眞田に初恋?とモヤモヤする。
キャラ萌えがない状態だと、中盤の気持ちの動きの少ないエピソードは退屈でしかなく、デート場面は飛ばしたくなりながら読んだ。とてものんびり進行なお話。

しかし告白後は急転直下、なぜか思いが通じ合う。眞田が伊吹に惚れる決定打と思われるものはなく、徐々に惹かれていくにしてもこちらには伊吹の魅力が伝わってこないため、どこを好きになったの?と疑問が。
相手を天然タラシ扱いするBLお決まりの流れも、伊吹のどこが?と違和感アリアリ。
そして当然のように受け入れる準備を始める眞田にまた呆然。もうそういう世界の話として受け入れるしかないが、それまでのほのぼの展開から一転してノリノリ受け状態になられても……。
ここまで来るのがかなりゆっくりだったこともあり、作品のスピード感が変わったようで戸惑った。妖艶とは程遠い挿絵も白ける一因。
作者は眞田を男前と評していたため、感性が合わないんだろうと思った。

文章は読みやすい。だが語尾で「~な伊吹なのだった」「~な伊吹だった」という書き方を多用していたのが気になった。とぼけた口調で言われるアニメのナレーションのようで鳥肌が立つ。ポップな空気感を出せる表現だが、オタク臭が酷く萎える。

キレイなハッピーエンドを迎えるため、読後感は良い。心に引っかかるものはなかった、一度通り過ぎるには良い作品。

1

強面ヘタレ攻めがおもしろい!

見た目が◯◯なのに実際は……というやつ、本人からすると苦労の種でしかないんだけど、BL的にはギャップ萌えが期待できる王道ですよね。

この作品の攻め・伊吹もヤクザな見た目に反して、ヘタレでシャイゆえに童貞というギャップの塊。
そしてオモチャ会社の営業マン・眞田に一目惚れしてしまって、彼の営業先であるファンシーショップの柱の影から、眞田が働く様子をこっそり見つめている……というめっちゃ美味しいキャラ。

伊吹が書いたベストセラー小説の主人公に因んで「若頭」と呼ばれているだけなんだけど、眞田がチンピラに絡まれているのをヤクザのフリしてして助けたら、何故か足を洗いたがっているヤクザだと勘違いされてしまって真実を打ち明けられず………というラブコメで、テンポが良くて面白かった〜。
受けの思い込みの激しさというか、知り合って間もないヤクザ(伊吹のこと)を匿うとか非現実的なんだけどいいの、ラブコメだから!

伊吹がほんとヘタレで、小説家だから妄想力があって自分と眞田のラブストーリーを妄想するも、ネガティブだからいつも死ネタ(自分が死ぬ)で終わってしまうというところ、吹いた。

野原先生の小説、数えてみたら8冊読んでいるのだけど、いずれも不憫健気受けなどの切ない話ばかりでラブコメはお初でしたが、「冥土の土産レベルの思い出」とか「ぬいぐるみ好きのスナイパー」などなど言葉のチョイスが絶妙で、何度も吹きました。

ただし恋の成就の気配がなかったのに、いきなり眞田もOKしちゃったのには、え?と思ったのと、エッチシーンに違和感が。
伊吹の脱童貞の様子に注目したかったのだけど、それよりも眞田がエッチにノリノリで、眞田さん………あなたノンケだとばかり思ってたのにゲイだったんですか?しかもやたらこなれてません?というか、そんなキャラだったんですか??みたいな混乱が起きてしまい、伊吹の脱童貞なんかどーでも良くなってしまった……。

でも楽しく読めたので読後感はいいです。

0

ヤクザものではない、可愛いお話

強面のハードボイルド作家×歳上好青年の営業マンのカップリングで、ほのぼのと読みやすい作品。

個人的に、ちるちるでわざわざ童貞攻めで検索するくらい、童貞攻めを求めてるんだけど、高校生とかじゃなく大人な童貞攻めって非常に少ない(作家さん、出版社さん、供給お願いします…)。
で、検索で出てきた貴重なこの作品、童貞設定に無理がなく、ちゃんと必然性があるのがいい。

伊吹は身長も190センチと大柄で、顔も怖いらしく、人の集まる場所でも、自分の周りに人がいなくなってしまう現象が起こるくらい。そんななので、28歳の今迄、当然誰ともお付き合いしたことがない。

対して受けの眞田は、明るくて、よくキャッチに引っかかったり道を訊かれたりと、自然と人が集まるタイプ。そんな眞田は、持ち前のお人好しの性格と人懐っこさで、攻めをヤクザと勘違いしたまま、攻めを助けるつもりで自分の家に住まわせる。
攻めはなんども自分の正体を話そうとするけれど、大好きな受けと過ごせる時間を失いたくないがゆえに、なかなか切り出せない。
そして読者の予想どおりに、真実が発覚した時、受けは騙されたことに傷ついて、ふたりの同居生活は終わりを告げてしまう…。

ここから切ないすれ違いがもっと長く続くのかと思いきや、わりとあっさり仲直り。覚悟を決めた攻めの、熱烈な愛の告白がよかったし、受けに優しくリードされての初エッチも萌えた!
担当編集の佐田や攻めのお父さんなど、脇役も光っていたし、攻めも受けも好感を持てるキャラで、そこはすごくよかった。…のだけど、それだけに、ストーリーにもうひとひねりあってもよかった気がする。こうなるだろうと思った通りにしか展開しないので、特にラストはもっとじっくり、ふたりのイチャつきぶりを見たかった!
エッチも一回だけなので、童貞の、童貞らしさを発揮する場面が少なくて、ちょっとだけ不満が残りました。

0

とっても楽しい作品

とっても楽しい作品でした!書店でなんとなく手に取って積んだままになっていた作品で…もっと早く読めば良かったです。

主人公(攻)は190cmの長身に強面の青年・伊吹。彼の本当の職業は小説家で、テレビドラマ化もされている人気作品「若頭シリーズ」の作者でもあります。見た目に反してヘタレで、寡黙ではなく単に口下手、しかも思考回路はちょっと乙女…という伊吹は、ある日、可憐な風貌に優しい雰囲気の会社員・眞田に一目惚れします。ふとした切欠で眞田と知り合いになった伊吹は、明るい性格で常に周囲を和ませる彼に対して更に恋心を募らせていくのですが、眞田の早とちりと伊吹の臆病な性格が複雑に絡み合って、眞田は「伊吹はヤクザから足を洗おうと苦悩している若頭である」と思い込んでしまいます。本当のことを言い出せない罪悪感と、眞田と一緒に居られる多幸感の狭間で揺れ動く伊吹。それなのに、二人の距離はどんどん近づいていき…――というお話です。

眞田はおっちょこちょいで天然ボケなところはあるのですが、自分のことをよく分かっているし、伊吹が結果的に嘘を吐いてしまったのは自分にも一因があると冷静に振り返ることのできる大人で、非常に好ましいキャラクターでした。また、伊吹と担当編集者である佐田との掛け合いがもう最高に可笑しくて、若頭シリーズを是非読んでみたいと思いました笑 伊吹は無口で押しに弱いところはあるものの、ツッコミが的確なので気持ちよかったです。

二人の(特に眞田の)セクシュアリティがよく分からず、二人ともストレートだとすればこんなに簡単に肉体関係になるかしら~という点が気になったので評価は「萌x2」にしましたが、続編があればぜひ読みたいと思える作品でした。

1

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