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表題作メメント・モリ

エディ・アッシャー
34歳,元軍人のアメリカ人
アキフミ・サクライ
18歳,麻薬カルテル幹部の息子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

日本人のアキは麻薬カルテルの幹部に養育され、暗殺の仕事をしていた。追っ手から逃げる途中、アメリカの元軍人に助けられ…!?

作品情報

作品名
メメント・モリ
著者
英田サキ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
発売日
ISBN
9784592851295
4

(78)

(33)

萌々

(26)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
11
得点
305
評価数
78
平均
4 / 5
神率
42.3%

レビュー投稿数11

メキシカンノワール

ノワール系BLの名手・英田先生の描く濃密なラブストーリーにyoco先生のイラストという贅沢な1冊、内容も最高でした。期待以上に面白かったです。ハードボイルド系耽美です。LOVEだけではなくメキシコの麻薬カルテルの抗争、陰謀や復讐などのダイナミックなドラマも楽しめて読み応えがありました。洋画や海外小説がお好きな方にはハマると思います。

元グリーンベレーのエディ(攻)はある目的のために、麻薬カルテルが支配するメキシコのとある街に潜入し、そこでアキという少年と出会うのですが、彼はそのカルテルの幹部を養父にもつ暗殺者だった、、という、運命的な出会いから情熱的な恋が始まる展開。出会いの場面は結構淡々としてるんですよ。が、後から考察するとめちゃくちゃ化学反応起きてたやん!ってわかるようになっていて、2人が恋に落ちたことがすごく自然な流れに見えるんですよね。

状況が2人に未来を許さないから、激しく求めあっちゃうスケベ、めっちゃエロエロかと問われれば、そうでもないのですが、キスだけでも火花が散っているような官能みにあふれていて、かなりしっぽりしました。あと、“額を額に押し付けてぐりぐりする”みたいな愛情表現が!!とってもアメリカンな感じがして(偏見です)、元軍人のガタイのいい攻が可愛い受さんにメロメロな雰囲気にニヤケが止まりませんでした。

もう、この展開でどういうオチになるの~!?とわりとハラハラし通しでした。養父とエディとの間で苦しむアキが不憫で切なくなります。養父で麻薬カルテルのNo.2であるリカルドもいい男なんですよね(BLキャラ的に)。まぁ、どっちもSで(リカルドはどS)、アキがM…。最終的にリカルドには彼を慕う部下との別展開もアリかもと思えるくらい、メイン以外の登場人物たちもとても魅力的でした。

攻受ともに、“人を殺す”ということを生業としていて、親族を失っていた喪失感とあわせて、魂レベルで引き寄せあう諸々の要素が、一気に沸点まで達するような関係に至ったと徐々に理解できます。リカルドを裏切れないというアキに、“それでも俺は誰よりもお前が好きだ”と伝え、常にアキが大切!を示すエディのアメリカンなわかりやすい態度(偏見です)に萌え転げました。

至るところに物語が含まれているような印象があったので、これ上中下巻くらいの長編で、もっとそれぞれの事情を深堀りして読みたいかもって気持ちもあったので、神寄りの萌2とさせていただきました。

3

とても不思議な読み心地

メキシコを舞台にした麻薬カルテル絡みのお話。といっても残酷シーンに詳細な描写はなくさらっと。日本に馴染みが無さそうな事柄には丁寧な補足説明があるため、読みやすい。読者に過保護なラノベの中にこの世界観を落とし込んだのはすごいと思う。

メインカプは、組織で育ち暗殺に手を染める18歳の日本人アキと、元軍人のアメリカ人エディ。二人は一回寝たらお互いころっと恋に落ちた感じ。それまでに土台は出来上がっていたので自然な流れなのかな。
アキはあの状況で出会って助けられて優しくされて、気持ちが傾いてしまうのは必然だろうと思う。エディは惚れるのは早くて軽く見えるが、自分の気持ちを受け入れてからのハマりっぷりがとても良かった。

親代わりのリカルドとエディの間で揺れるアキは、エディの暗殺を命じられる。どうしてもやらなければならない辛い事情があるわけでなく、シンプルにどちらを選ぶかなので分かりやすい。メインはBLだったと思い出す。
個人的にはもう少し真に迫るような究極の選択にしてくれた方が、舞台設定に合っていて好みだった。全体的に、麻薬カルテルを題材にしてもBLだとここまでが限界ってのを見せられているように感じた。リアルが凄惨なだけに微妙な気持ちに。

モヤモヤしてしまうのが、エディが仕事を辞め相当な覚悟でメキシコまで来た件の決着の一つ。アキに「こいつらが犯人」と男三人引き渡されて「分かった、じゃあ殺す」バンバンバン!……え?っていう。ただの実行犯とはいえ、そんなあっさり……自分で確認したり、確信を持つ描写とかがないと、いいのかそれで?と目がテンになる。
そこからラストまでは駆け足気味。胸熱展開からの綺麗なまとまり方で、晴れやかに感じた。

メインカプ二人も良かったし、アキに選ばれなかった二人のその後もとても好き。

読み心地がとても不思議な作品だった。言い回しはところどころ英文風だがキャラの価値観は日本のもの。翻訳小説の直後に読んでしまったため、戸惑う点も結構あった。
挿絵が素晴らしかったので萌え度アップ。

2

title通り、重い

冒頭から、木に吊るされた死体についての描写。
死と隣り合わせの主人公。殺し屋だから当たり前か。
title通り、重いお話でした。メメントモリ、この小説の場合の解釈は、「死、明日は我が身」という意味が近いかも。

アメリカ生まれ、アメリカ国籍。日本人の母/日系の父を持つアキは、黒髪アーモンドアイ、母のマリコ似の華奢な体躯の美少年。
仕事をするときは、女装。女装すると、蠱惑的な美女になる。
★表紙の絵は、前面の金髪ショートは、アキではないでしょう?背後の人物がアキなら、金髪の人物は、エディ?変装したアキ?

アキが、恋人;エディと育ての親;リカルド、どちらを選ぶのか心配しながら読みました。ひょっとしたら、どちらも選ばず自死するかもしれない・・・

リカルドは、漢。ボスにふさわしい人格と頭脳を備えている。
マリコを愛していたリカルドは、実の息子のようにアキを愛していた。

メキシコの報道でよく見る、凌辱と裏切りの報復、の場面が日常のように書かれていて、アキ自身も、いずれは自分も消える日が来ると覚悟をして生きている。でも無駄死にをしたくない、大事な人を犠牲にすることだけを恐れるアキ。

♥この物語はハピエン。最後にドン伝返しがあって、安堵。読んで良かった。とてもおもしろかった。
続篇は無いようなので、残念。未読の本を読み終えたら、英田サキさんの書籍を全部読むつもり。
この作品のような一寸先が読めない構成のサスペンスが、好きです。

スティーブ・ジョブズが、米スタンフォード大学の卒業式のスピーチのテーマだったことが有名。ゲーム「ペルソナ3」のテーマも、メメントモリ。ポンペイの遺跡の壁画にシャレコウベの絵あって、それに沿えた文が、メメントモリ。

--調べた物:
▶メメント・モリ(羅: memento mori)
直訳は「死を想え」/「死を憶(おも)え」 
意訳は「死生観」 Vive memori mortis. (死を心に置いて生きよ)

▶キリスト教や芸術作品などで広く扱われた宗教用語。キリスト教や芸術作品などで広く扱われた宗教的解釈で、終末観の高まった中世ヨーロッパで盛んに唱えられた
「人間どうせ死ぬんだから生に執着するな」
「人間どうせ死ぬんだから今の生を楽しめ」

▶逆に古代ローマで主に使われていた解釈は、あまり広く使われていなかった
「(自身にいつか必ず訪れる)死を忘れるな」
戦いに勝った将軍が凱旋パレードを行う際、「今日は良くても明日はどうなるか分からないから気を抜くな」と、後ろの使用人に「memento mori(死を忘れるな)」と言わせて、気を引き締めさせたと伝わっている。

2

最初から最後まで男くささムンムン

電子書籍で読了。なんと表紙絵も含めてイラストは一切なし(悲しい)。あとがきもなし。

男!
男がムンムン!
なんであたし、もっと早くこのお話を読まなかったんだろーっ?
『男の話』を書かせたら、英田さんはやっぱり超一級ですね。

殺される前に自分の名を呼んだミシェル……米国人のエディはある目的を果たすために軍を退役してメキシコにやってきました。麻薬カルテルの抗争によって殺戮と腐敗がはびこる街のバーで、エディは猫を思わせる日系人、アキに出会います。『悪魔』と呼ばれる組織の幹部を養い親に持つアキは、殺しも含む組織の仕事を行っています。でもそれは、養い親であるリカルドを盲目的に崇拝し、彼に認めて貰いたいため。リカルドに命じられた仕事を行った後、追われる女装をしたアキをエディは彼と気づかずに助けたことをきっかけに、親密な関係になっていきます。『愛される』ことを初めて知ったアキにリカルドはエディを殺す様、命令します。一方、目的を達成するため、エディは組織に潜入しようと……

司法など無いに等しい過酷な状況の中で、それぞれの登場人物が自分のやろうとすることを全うしようとしていることに加えて、エディ、アキ、リカルドが抱えている過去の因縁が複雑に絡み合って、大変読みごたえがあります。
また、それぞれが人生の中で何を大切にしているのか、して行くべきかが問われ、その選択が違っているのも面白い。そして、違った答えを出す理由が手に取る様に理解出来るのが素晴らしい!
「アメリカ映画の『軍隊もの』『警察もの』『政治陰謀もの』等がお好きな方は、絶対読んだ方がいい。もう、あの世界だから」と大声でお薦めしたいです。

難を言えば、事件の最終盤がちょっとバタバタと片付いてしまったことが、ちょっともったいなかったです。そういう展開を匂わせる伏線は張ってあったのですが、やっぱりちょっと駆け足かな?と。
それでも、お話のラストに漂う匂いは、すごく好みでした。
愛する人と引き替えにしても、守ろうとしたものが糞に変わっていく様をどのような想いで見ていたのか、それを考えると心の中に哀愁の風が吹くようです。

5

海外サスペンスもの

海外、サスペンス、アクションときて、英田さん作だと期待大で読み始めたからか、なんとなく乗り切れなかったかな。。

メキシコの闇組織をしきるドンの息子のように育てられた日系のアキと、元軍人のアメリカ人、エディのカップル。

妹を殺されたエディだが、結局自分もアキのために殺人を犯してしまうところに納得がいかなかった。
美少年のアキと、強面のエディというカプもそれほどはまらず。

ただ、ドンの手下達や、情報や、CIAなど脇を固める役キャラたちは魅力的でさすがです。

死んだと想われたドンが最後に思わせぶりに登場するあたり、映画のような設定でした。

2

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