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表題作ユレカ

ステファン(ステフ),吸血鬼の半魔
シュクレイ(シュク),吸血鬼の亜種

その他の収録作品

  • ユレカ【月の色】(描き下ろし)
  • あとがき(描き下ろし)
  • カバー下:イラスト&漫画(描き下ろし)

あらすじ

吸血鬼のステフとシュクは、共に旅をする。贖罪のために死ねないステフと、復讐のために生きるシュク。旅の末に見つけたものは──?

作品情報

作品名
ユレカ
著者
黒沢要 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829685662
3.9

(45)

(14)

萌々

(16)

(12)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
173
評価数
45
平均
3.9 / 5
神率
31.1%

レビュー投稿数8

狭間

ずっと静かに物語が進みます。
大事なことは言葉にしつつ気持ちの全てを言葉にするのではなく、間や空気感などで心理描写が散りばめられている気がします。
言葉や考えの端と端の狭間というか…その描写が丁寧な作品だと思いました。
精巧なオルゴールのような繊細な作り、という印象です。


個人的にシュクのお母さんはステファンが帰ってこないことをわかっていたような気がします。
それでも「もしかしたら…」と淡い期待をしていたのかな、なんて思いました。


バッドでもメリーバッドでもないエンドけれど、物語全体を見るとなんだかハッピーエンドというには少しきゅっとなる話だな…と思いました。
綺麗に、というよりは余韻のある終わり方。

個人的にこういう作品大好きです。
まだ謎が残っていたり物語の続きを見たい気持ちがあるので、続編や番外編ないかなあ…なんて思います。

0

ユレカ=見つけた。

黒沢要先生、水の春以来〜2冊目だけど、イー話書くなぁ、大好きです。。。
ステフの風貌が、ドラキュラらしいドラキュラでカッコよかった。
やっぱり、吸血鬼はこうでなくちゃね。

トーンは白黒調だけど、とても静かな雰囲気で温かい救いのあるストーリーだった。

ステフが人間の家族との交流や、シュクを解放する為に、自らを差し出すシーンを見ると人柄が窺える。
たった一度の誤ちだったんだろな。
優越感の為に親友コレットを突き放した事で起こる惨事。
贖罪に一生を捧げた男が見つけた、シュクと生きる道。
んんんん、ここら辺は堪らなかった。

一方、純血と亜種の間に産まれた亜種のシュク。
父親を探して、ステフと旅に出て再会を果たす。

この人物、シュクの父がとても興味深かった。
何者でもない。何者なのか?
是非、スピンオフを!

そして、長い眠りについたステフ。
ここ辺りが、描かれていないのよ・・・
どれだけ眠っていたのか?
どこで、純血になったのか?
シュクは、亜種のまま?
この辺りは、想像におまかせだね。

太陽の光を二度と見ることは出来ないが、それでも2人が見つけたのは幸せだったな。

0

暗転を好転へ

 関係性や過去の経緯が込み合っていて若干解釈に戸惑うところもあったのですが、世界観、雰囲気にはとても引き込まれました。吸血鬼が登場しますが、吸血シーンも少ないし、吸血によって快楽を感じるようなBL的に美味しい要素はほぼありません。これはもっと深い、人と人との繋がりによる運命を描いた物語。人間同士だった頃の、あるいは異種間ならではの行き違いを抱えて、今を生きる登場人物達。贖罪のために生きているステファンの生き様がもの哀しくて、そんな彼がシュクレイに出会ったことで別の目的のために生きることができるようになったのが嬉しい。過去とどう折り合いをつけてこれからを生きていくか、それぞれに答えを出したキャラクターに愛着が湧きます。

0

ネタバレ注意

発売から日が経ってますし、一読ではやや詳細が掴みにくいかと思いネタバレを残しておきます。ご注意ください。解釈が誤っている可能性が十二分にあるのでご容赦いただきたく。

タイトル
ユレカ=eureka=ギリシャ語の感嘆詞「見つけた」「分かった」

ザンナ
吸血鬼に噛まれ15歳で加齢が止まった亜種。
村では、吸血鬼が2人の人間を殺し、その吸血鬼(ステファン)とザンナの間に生まれた子がシュクレイであると伝わっていたがそれは事実ではなかった。

シュクレイの父
吸血鬼でも人でもない何か。名前もなかった為、ザンナに名を聞かれた際に咄嗟に見かけた文字を伝えステファンと名乗る。彼の血を飲むと強く思う願望を叶えることができる。

シュクレイ
1話で吸血鬼の亜種と名乗ったが、どうやらステファンと同じ吸血鬼でも人でもない何か(銀の玉で撃たれても死ななかった)。ザンナの願いが血の力で叶ったことで生まれた(ザンナの願いは正確には不明。また父は生殖的に父なのか謎)。父と同じ血の力がある。

ステフ(ステファン)
友人だったはずのコレットに対する"優越感"を得るために、コレットを傷つける。死んだ彼への贖罪の為に純血のルートガーに願い半魔となり、「色んなところを旅しながらずっと生きる」というコレットの望みを、彼の代わりに叶える旅をする。
シュクレイの血によって"コレットへの贖罪を終え死ぬ願い"を叶えると思われたが、シュクレイを残して逝くことが出来ず、純血の吸血鬼となる(「太陽が見られなくなった」のセリフから)。

萌2〜神

1

そして彼らの旅は続く

BLと呼んでいいのか悩みます。
もっと深い、人間愛とでも言うべき作品です。

母がずっと待っていた吸血鬼。
ステファンという名だけを頼りに、そのひとが現れるのを待ち続けたシュクレイ。
ステファンの登場で、やっと待ち人が現れたと思ったシュクレイだったが…。

ステフは待ち望んだ相手ではなくて、シュクレイは父親探しをするべくステフと一緒に旅に出ます。
この作品は本当に読んで、皆さまそれぞれの感性で感じる何かを大切にしてほしいので多くを語りたくはないのですが、そうするとレビューにならないんだよな…。

まず設定として吸血鬼は、不老不死で日光に弱い「純血」、日光の耐性はあるものの寿命は500年ほどの「半魔」、半魔の洗脳で血の供給源となる短命の「亜種」の3種類に分かれていて、亜種は普段は血を吸わないけれど、生涯に一度だけ吸うことが出来て、そのときは相手も自分も死んでしまいます。
ステフは過去のある出来事から、純血のルートガーによって吸血鬼にしてもらった半魔。
シュクレイの母は亜種で、35才のときに15才の姿のまま亡くなっていて、シュクレイも亜種だと言われています。
さらに吸血鬼にはそれぞれ能力があって、その能力は受け継がれていくようです。

もはやこれ以上、ネタバレがもったいなくて言えることがない…。
ステフが吸血鬼になるきっかけとなった過去の回想は、あまりにも悲しくやるせないものだし、シュクレイが村の人たちから聞いていた母親の話と、父から聞いた事実の食い違いも悲しいし、母親の望みも悲しい。
悲しいことが多いけれど、だからこそそれぞれに孤独を抱えていた2人が出会い、共に旅をしていく中で深まる絆が尊いのです。

一個だけネタバレしてもいいですか?
途中で出会った孤児の言う「もう帰る場所がないのは知ってたんだ」という台詞。
ステフもシュクレイも帰る場所のない2人だけど、この孤児に「帰れる場所」を作ってあげるんです。
このシーンが切なくて美しくて、何とも言えません。
帰る場所がなくても、見つけてくれる人々がいる。
帰る場所がなくても、見つけてくれる人々がいなくても、一緒にいたい人がいればそれでいいじゃないかと思えるエピソードでした。

とにかく素晴らしく壮大なロードムービーを観たかのような読後感。
ぜひ体感してください。

1

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