表題作色あせた世界の真ん中で

金崎英明
25歳,ヤクザ
久世暁人
30歳,ショットバー経営者で逃し屋

あらすじ

ただ逃げ回るだけじゃなくて、生きるために出来ることをしろ。
そうすれば必ずおまえの前に道が出来る――。

新宿である男が殺された。
その男の仇を討った金崎英明は、関東で大きな勢力を持つ暴力団関東一誠会から追われることになる。
縮まる関東一誠会の包囲網。
どこへも逃げられなくなった金崎は、大久保の外れにあるとあるバーへと向かった。
そこは裏社会でも腕利きと名が通っている逃し屋、久世暁人が経営している小さなバーだった――。
裏社会に蠢く男たちのシリーズ『無限荒野』へと続くスピンオフ的物語。

作品情報

作品名
色あせた世界の真ん中で
著者
井上ハルヲ(オハル) 
媒体
小説
サークル
堕落天使<サークル>
ジャンル
オリジナル
発売日
3.6

(5)

(2)

萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
17
評価数
5
平均
3.6 / 5
神率
40%

レビュー投稿数2

すぐに消えてしまう一瞬の幸せ

「無限荒野」シリーズのスピンオフらしいが、未読状態で本書を読んだ。これ一冊でまとまっているお話で、知らなくても読めるが、あとがきでその後の二人を知り衝撃を受ける。ラストで予想できる展開だが、はっきり言葉にされるとやっぱり辛い。
たぶん「無限荒野」を知っているか否かで全体の印象が変わってくるんじゃないかな。

他に「哂う月の夜」ともつながっており、こちらは既読だったため、あの時期の出来事かな、と思える楽しみがあった。同人誌とはいえ、多数のキャラが絡んできても、時系列や過去回想に矛盾が無く、信用できる作家さん。

本作は、福島が本名を捨てて福島として生きることになる、終わりと始まりの物語。ヤクザのイメージに反しない福島の短気かつ横暴な振る舞いにイライラしつつ、対峙しながら動じない久世とのやりとりに徐々にハマっていく感じ。

当たり前のようにあちこちでヤクザの報復合戦が行われている世界で、福島も一つの復讐を遂げる。その背景はとても切なく、自暴自棄になってもおかしくないような状況で、久世に出会えたのは本当に良かった。それは福島にとってやっと得られた安寧なんじゃないかと思う。だからこそこの最後は……。

元になる物語を知らないけど、福島の人格を形成する重要点がここなんじゃないかと思える。すぐに消えてしまう、一瞬の幸せを見せてもらえた気がした。

0

痛い

血生臭いヤクザ物語



金崎 英明 (= 福島 ):関東一誠会 構成員 会長付ボディガード  
久世 暁人 :catwalk のバーテンダー 逃がし屋

黒川 征二 :稲村組若頭
池澤 忠行 :稲村組若頭側近  弘竜会会長

後藤 秀治:稲村組二次団体 後藤組 組長

国広 賢三: 関東一誠会 会長
国広 秀和: 国広賢三の 弟

洪 正永:新宿の違法カジノ経営者

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