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小説
今回は写真館館長と知らぬ間に詐欺師になった青年のお話です。
詐欺一味に引き入れられた受様が彼らの手を逃れ、
攻様の営む写真館に居場所を得るまで。
受様は芸子の母と長屋で2人暮らしで育ちますが
労働力として尋常小学校にすら通えない子供が多い中、
受様は母の願いで高等小学校に通っていました。
受様は体が丈夫ではない母を助け
学校に行く前に新聞配達をして倹しい暮らしで
なんとか高等小学校を卒業すると
母が座敷に上がらなくてもいいように
新聞配達と仕出し屋なとで働きましたが
努力も虚しく母はあっさりと他界してしまいます。
受様は母の急死を受け入られず無気力に過ごしていましたが
穏やかな笑顔の紳士が焼香に来た際に
宝石類を売り歩く仕事の手伝いを請われます。
しかしながら男の売り物は二束三文の品で
受様は見目の良さに目を付けられて
詐欺師たちの手伝いをさせられていたのです。
正体を知った受様は彼らから逃げ出したものの
追手に既に詐欺集団の一味だとあざ笑われて
絶望に囚らわれかけますが
見知らぬ男に「追われているのか」と腕を掴まれ
走り出される事となります。
この受様の恩人こそが今回の攻様になるのですが
受様は攻様と走り出したものの転んで頭を打ち
気を失って攻様のテリトリーに運ばれていたのです。
目覚めたのは攻様が館長を務める活動写真館で
客の1人が受様が息子を演じて売った品を身に着けていて
受様は華族の息子を演じ続けたまま
攻様の写真館の手伝いをする事となります。
果たして受様は詐欺師達の手を逃れられるのか!?
若くして活動写真館の主となった攻様と
詐欺師の片棒を担いでいた青年の恋物語になります♪
大正時代は貴族階層の華やかさと
庶民との格差、下克上を成し遂げるしたたかさと力強さを
感じさせる変革の時代だと思います。
一山当てて写真館を手に入れたという攻様を筆頭に
なんの徳木もない受様を雇う事を厭う主任弁士、
帝大卒の弁士や彼を先生と慕う15才の弁士、
巨体ながらも無口な映写技師等、
写真館の面々は平穏な人生を歩いていませんが
明るい未来のために夢を抱いて精一杯に生きいています。
そんな彼らに関わった事で
受様も自分の生き方を見直し母の死を乗り越えます。
受様と関わりで攻様も生き方を変えていくのですが
受様は偽りの自分が受け入れられていく事に
徐々に耐えられなくなっていきます。
そうこうするうちなんと詐欺師が
受様の居場所を突き止めてハラハラMAX!!
攻様と受様が出会う前から引かれていた伏線が
最後の大どんでん返しとなっていて
とっても面白かったです。
いつも期待以上の面白い作品を書いて下さる海野幸先生、今回も活動写真館が舞台ということで楽しみにしておりました。
ただ今回は受けの久生が初心でとーっても鈍感だったのと、詐欺師たちに利用されてた過去から元男爵家の嫡男だと身分を偽っていたのでなかなかLOVEには発展してくれないのです。
その代わり活動写真館のお仕事BLとしてはかなり面白くて大満足でした。3人の個性的な弁士の面々のやり取りとか凄く掘り下げられていて、鷹成が彼等をどうやってスカウトして来たかが凄く興味深かったです。
その弁士たちのトラブルから鷹成の活動写真館の危機の為に奔走する久生の活躍も凄く良くて、詐欺師に利用されたのは母親を亡くした時の混乱故で彼の本質は真面目で誠実だという事が理解出来ました。
個人的には鷹成が浮き草のように根を張る事なく生きて来た理由が凄く気になりました。本人が公にしてる過去はちょっと弱くて拍子抜けしてしまったので、終盤に久生に語った例え話の方が正解のような気がしました。
それからあの久生を追っていた詐欺師たちですが、序盤に出て来てからなかなか登場しなかった理由に拍子抜けしました。どこで登場するかずっと待ってました。www
すんご〜く面白かったんですが、今回のお話に限って言えばBLじゃなくても良かったのではないかと思ってしまいました。
次はもう少し糖度の高い萌がある作品をお待ちしております。
はー、とってもおもしろかった!
好きなタイプの海野先生作品でした。
まるまる1冊を使った大恋愛的なお話をお求めなのであれば、それとは少々異なるかなと思います。
ですが、ちょっぴりひねりの効いた人情味があるお話や、じわじわとおもしろくなっていく作品や、あまり見かけない設定をお求めの方にはピンとくるものがあるかもしれません。
大正時代の活動写真館という舞台も新鮮でしたし、写真館を切り盛りをする面々も個性豊か。
作中に「活動写真はまるで他人の人生を覗き見ているよう」なんて言葉がありましたが、主人公の久生の視点でページをめくっていく度に、鷹成の写真館に集う彼らの人生の側面が少しずつ見えてくるんですね。
これが先述の通りひねりの効いたもので、他人を傷つけないために思わず自身の出身を偽ってしまった久生とリンクするのだからおもしろい。
謎めいた鷹成の過去を想像しては、きっとこうなのかなとわくわくしていたものですから、あれっ!そっちじゃないのか!と目の前でひらりとかわされたようでそこも楽しんで読めました。
あっと驚く派手さはないのだけれど、活動写真館が次第に心の拠りどころになっていくといいますか…
久生を含め、訳ありな彼らの居場所に変化していく小気味の良さと人情味のある話運びが好ましかったです。
そして、伊東七つ生さんの挿画がすごく良くて。
活動写真に触れた久生の、ときめきにも似たきらきらとした気持ちが伝わってきて素敵。
序盤はお仕事ものとして楽しめ、途中からほんのり甘さを帯びた恋の香りがしてくるのも作品の雰囲気を壊さない塩梅で合っていたかなと思います。
終始楽しんで読めた1冊でした。
作家様買い。
母を亡くして気力を失っていた久生。
そんな久生の元に芝原という男が訪ねてきて
久生は芝原にまんまと騙されてしまい、知らないうちに詐欺に加担してしまいます。
そのことを知った久生が、芝原の元から逃げ出すのですが
その際に鷹成に助けてもらって、鷹成が館長を務めている写真館で働くことになりー…。
芝原と久生の件は、芝原が最初に出てきてから出てこなかったので、
あわよくばこのまま平和に…と思ったのですがそうはいきませんでした…。
芝原は救いようのない人間で、久生はどうなってしまうんだろうと不安にもなったのですが
また鷹成が助けてくれて良かったです…!!!!
活動写真の事や、仕事の人間関係が沢山書かれており
活動写真を通して鷹成と久生の心の距離が縮まっていく様子が見れるので
じっくりと恋愛を楽しみたい方には良いと思いました。
私はもっと甘々なものを期待してしまっていたので、
少し物足りなさを感じてしまいました。
作家買いです。
大正時代の、活動写真を上映する一団が舞台です。
受の久生は、母を亡くし落ち込んでいたところをある詐欺グループに目をつけられて騙されて詐欺の片棒を担いでしまう。元華族の石渡家の息子を名乗り、宝石を売り歩く手伝いをしていたのだ。そこから逃げ出していたところを攻の鷹成に助けられ、鷹成が館長を務める活動写真の常設館で住み込みで働くことに。ただし、石渡家の息子ではないという事を言えないまま…。
活動写真を映す人、台本を手に解説する人、天然色の特別な活動写真…活動写真を巡って個性豊かなメンバーや小道具が出てきて楽しい!
偽りがテーマかな?レトロな世界観が好きな人にはヒットするかなーと思いました!
久生が一生懸命で可愛くて、鷹成も仕事に一生懸命。ちょっと恋愛面が薄かった印象です。
面白かったのですが、BL的には萌ひとつで!