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前編『艶情 王者の呼び声』と合わせてのレビューです。
英国の人狼一族が子供が産まれなくなったことから日本にいる『イブ』(男ながら種の存続の危機を回避するため体を変化させ出産することができる)を攫ってきて子供を産ませようと、17年前にさらい損ねた双子の母親に目をつけた。
が、双子出産後イブの能力を失っていることがわかったとき、その息子である双子の一人がイブの能力を引き継いでいることがわかりターゲットを変更し…。
一族存続のためだからといって少年を拉致し軟禁した挙句用が済んだら殺す計画はどうも納得できませんでした。
前後編2冊に渡って、ある日突然消え失せた子供を必死で探し死ぬほど心配したであろう親兄弟親戚一同が納得してさあどうぞと差し出し幸せにね、というのは都合が良すぎ。
一族が滅ぶ危機だからしょうがなかった、番だから仕方ない、これまでの遺恨は忘れて仲良くしていこうというのはどうかと思う。
息子の方も、さらった相手にほだされ強強引な行為もだんだん良くなってきていつしか愛情が芽生え、子供産んであげたいという感情の変化が簡単すぎるように思いました。
体から絆され、同情すべき事情や大事にされていい感情を持つようになっていくのは飽きるほど読んだ気がします。
古典的なアラブものとかセレブのもので細かいところはどうでもいいと思えるテンポの速い作品ならそういったところは気にせず楽しむのがお約束ですが、もう少し説得力ある描写とか感情の変化を納得させられる展開があるとよかったと思います。
2巻もあったのにあっけないお話でに感じました。
二作揃って評価しました。このシリーズが結構好きですね。小説とイラストはぴったり合っています。主人公たちのキャラクターも魅力的なのが多く、退屈をまったくしません。今回も双子の成長ぶりをわくわくしながら読みました。英国の人狼一族・ゴスフォード家は長老を失い、アーサーが後を継ぎます。血族を残す為、神宮寺一族の双子の片割れ(峻仁)を連れ去りました。レイプから始まる関係でお互いに運命の相手だと気付くまでの心境の変化を感じて、とても感情移入しやすい本でした。
このシリーズ全部読破してる自分としては、この続きを書いて貰えて、本当に嬉しい・・!
こんだけゴージャスな設定且つ、無理やりで、やりたい放題なんだけど、結局一途溺愛しちゃうコイツらが、大好きです・・!!
もうここまでくると、ファンとしては、ファミリーの行く末を暖かく見守る域ですねv
ちゃんと最後は丸く納めてくれると信じてるから、安心して読める良作。
『発情』が面白く読めた人なら、文句なしで一族の繁栄を楽しめると思います。
文章の読みやすさは、折り紙付き。
しかも貴重な『種付け妊娠ネタ』BL。
ただ、獣カンではないので、お間違えなくv(私はむしろあっても良かったけど)
前作の時にも少し触れましたが【つがい】という絶対の設定があるので例えば敵同士だろうがなんだろうが少々無理があってもうまくいく流れではあるんですよね。
予定調和という枠です。
主役たちが【つがい】である限り、どうなるのか?という先の読めなさ感よりどういう道筋で着地させるか?がこのシリーズの面白さかな~と思います。
今巻ではアーサーのタカへの心情や狩りのエピソードが相手に引き寄せられる、引き寄せられずにはいられない『うねり』のようなエネルギーだけでない『恋』の部分を支えています。
アーサーとの日々に一喜一憂する自分に戸惑うタカとお家事情だけでなく男としてタカを必要としていることを自覚したアーサーの心の揺れがやわらかくあまやかに描かれています。
年の差カップルの大人の躊躇は色っぽいですね…タカのいじらしさと無意識の媚態も艶かしい~。
最悪だった出逢いから狼としての本能を揺さぶられたことで憧れに傾き次第に好意に変わっていくタカの恋の始まりだけでなく庇護されたり保護されるだけでない【つがい】の相手として、ひとりの男としてアーサーの傍らにあり続けたいというタカの大人(狼)としての目覚めを織り混ぜたことで瑞々しい成長記として話は展開します。
そんななか、タカが妊娠しないことからゴスフォード内に不穏な空気が流れ始めます。
前巻からヒール風味ガッツリのウルフガングと中立位置にいたエドガーがアーサーのαとしての資質を責めタカを奪おうとします。
彼らは17年前の襲撃に際し兄弟を喪っていることもあり『神宮寺』を忌み嫌っているため、タカに対してはあくまでも『種付けの道具』としか見ていません。
アーサーもタカへの恋情はあれど一族存続の責任があります。
その重圧はタカもよくわかっているのだけどアーサーの本心がわからないだけに『イヴ=胎(はら)』としか見られていないと思うと切なく1度は行為を拒否しますが、それでもアーサーの家族の話や彼のαとしての苦悩を聞けば受け入れてしまいます。
アーサーとの子どもが欲しいと思い始めている罪悪感と恋情に惑うタカ。
アーサーがタカのお腹に耳をあてる挿絵の表情がすごく好きです。
アーサーがタカに甘える子どもに見えます。
大人と子どもが逆転してるような…アーサーの支配者としての鎧が外れる瞬間です。
ストイックな男が剥がれていくのはいいですねぇ。
口には出さないふたりの恋情と孤独が寄り添い絆を結ぶ姿は愛おしさすら漂います。
現実味をおび始めた危機から護るためアーサーはタカを日本へ返す決意をしますが、それは同胞たちとの決別を意味します。
タカを護るための死闘の果て、アーサーは隻眼となり同胞を失います。
負傷しαとしての罪悪感に悩むアーサーに「あんたと離れたくない」とタカが初めて口に出して自分の想いを伝える場面があります。
アーサーの重荷になるまいと口に出さずにいた想い。
自分を律することを得意としていたこれまでの自分を越える強い想い。
神宮寺の一族を裏切ってでも生涯ひとりの相手と離れたくないと伝えたタカにアーサーもやっと本心を打ち明けます。
18年前の賀門と迅人を思い出します。
ゴスフォード一族の存続という枷から解き放たれたように結びつくふたりに今度は日本からもうひとつの一族:神宮寺の家族が迎えに来ます。
タカ視点で読んでいた前作はどのページも心休まる事がなくツラい印象がありましたが、今作では大切な家族との決別という別の意味でのツラさが用意されていました。
はたから見れば拉致されて『過酷』な状況であっても本人がそう思っていなければ救出はハッキリ言っていらぬ手助けです。
実際、キヅは冗談めかして言っています。
タカの幸せが何かはタカ自身が決めること。
例え家族であっても、それが【つがい】としての運命では激情を止めることはできない。
【つがい】…それはまるで神様からの贈りもののような出逢いです。
叔父の峻王も両親である賀門と迅人もそのギフトの甘い衝撃を身に刻んだ過去があるからこそタカの選択を認めます。
でも、まだ体験していないキヅは…もっと暴れるかと思ったのに聞き分けのよい彼が本当に切ないです。
タカの抱える窮屈さを知っていたうえに、いつも冷静なタカがアーサーのこととなるとクールに振る舞えない…明らかにこれまでと違う一面を見てしまったならキヅも最終的に納得せざるを得ないとはいえ…胸が軋みます。
神評価をつけられないとしたら、やはり本人がいくらそれで良いと判断しても子どもの域を出ていない年齢で拉致という特殊な環境下での恋ということ。
また受胎しなければ一族が滅ぶ…という不妊の重圧を背負わせるには若すぎる…という部分でしょうか。
いわゆる一般の基準とこのシリーズが持つ基準を照らし合わせるのはナンセンスだと理屈ではわかっていても頷けないところもある、ってことです(笑)
キヅのように「タカが幸せならいい」といいきれない部分ですね。
そして私は何よりキヅが心配なのです。
今後、彼が素敵な相手と出逢えたら神評価に変えるかも(笑)
キヅのタカを思えばこそのものわかりのよさが続編への引っ張りだとしたら土下座してでも続編は是非、キヅに幸せを!!と叫びたい。
最後はアーサーとタカがチビもふを散歩させる幸せに満ちた場面で〆られます。
妊娠しようとしてセックスするのではなく互いを欲しがる気持ちが自然に重なって授かる…ということでしょうか。
タカとアーサーのチビもふ子育て日記も読みたいし、ひ孫と対面する月夜ジイジも見たいです。
みちるくんにユージン、今は行方不明のエドガー…脇役はどっさりいますから(笑)スピンオフ三昧を楽しみにしています。
後編!まってました!凄いワクワクしながら読ませていただきました!
攻め様と受け様はつがい同士だから
お互いが求め合うのもわかるし、つがいうんぬん言う前に
惹かれ合うものがあるから・・・ハッピーエンドとは分かるものの
どうなるの!? どうなるの!??とやきもきしながら読みました!
受け様はまあ攻め様に惹かれている自分とイブとしての自分の立場に悩まされ
攻め様は一族の長としての立場と自分個人としての想いに苦しんでいました
そんな2人に義務のように降りかかる子供を作るという種付け問題で
お互いがそれに縛られ、どうにもならない感じになっています
中盤に攻め様目線が書かれているのですが、それがまた切ないです
受け様に惹かれていくさまが読めるのですが切ないです!
お互いの気持ちが近付いてくシーンでも
狼の姿で大地をかけたり狩りをしたりするシーンは
読んでいて穏やかな気持ちになれて、とても素敵なシーンでした
そして最後の最後、家族のシーンは感動!
続編楽しみですねwww