触れられるのがうれしいなんて
春田さんの2ndコミックス!
今作は、表題作の中編と短編2編、描き下ろしが収録されていて、
前作よりもBL色が濃くなっている上で
持ち前のスタイリッシュさは失われておらず、
読み手には嬉しい一冊となっております。
○気まぐれと甘噛み
人気モデルのミケくん(攻め)と、
彼を見出したファッション誌副編集長くみちゃん(受け)の
正反対の性格のふたりが惹かれ合う恋の物語。
ミケくんは人との距離感が近く、好奇心旺盛のやんちゃな男の子。
若さゆえの不真面目ささえ、彼の愛嬌から許されることも少なくない。
そんな彼を叱咤しながらも、モデルとして大切に育てているのが
クールな編集者のくみちゃん。
不意に触れたとき、真っ赤になったくみちゃんの姿に
好奇心を持ったミケくんは、すぐにこれが恋だと気づき告白するけど、
くみちゃんの返事は―
人とコミュニケーションを取るのは嫌いじゃないけれど
パーソナルスペースが広いというくみちゃんのことを、
はじめは面白可愛いと思って読んでいたのですが
そこに隠れていた、くみちゃんの本音がわかると
俄然物語に深みが増したように思いました。
辛い過去の恋、これまで本当の自分を隠してきたこと、
だからこそ募るミケくんへの想い―
交錯した末に本当のことを口にしたくみちゃんが
愛しくてたまりませんでした。
前作では見られなかったベッドシーンも
今回はちゃんと用意されていて、
それもどこか瑞々しさが感じられ、とても魅力的でした。
ラストのミケくんのモノローグと、くみちゃんの忘れ物の描写には
ふわっと甘噛みされたような心地になりました。
○いちについて
勇気がなくて伝えられなかったけれど
偶然両想いだということが分かり
じゃんけんで好きな人を告白する賭けに出るという
可愛い部活男子(陸上部)の話。
最後、賭けではなく、きちんと位置についた彼らが
初々しくて素敵でした。(春田さんは男子高生もイケるという発見♡)
○夜とうらはら
クリーニング屋さんとお店の通い客さんの話。
大人の甘い罠、駆け引き、巧いなあ。
こちらも面白かったです!
前作よりぐんとBL色も強まり
ますます期待できる作家さんへと邁進されている春田さん。
次回作もとても楽しみなのですが、
描き下ろしの庄司くんと佐伯くん(ミケくんのモデル仲間)のお話、
期待して待っていて良いですよね?!(切望!)