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表題作百年の初恋 犬と花冠

壱ノ護、夏生が大切に育てて共に旅する妖犬
夏生、壱ノ護を供に放浪の旅をする半妖

その他の収録作品

  • たとえば幸福 あるいは愛しさ
  • あとがき

あらすじ

美しい容姿を持つ半妖の夏生は妖犬の壱ノ護を供に放浪の旅を続けていた。人間に迫害されながらも人間への憧れを捨てきれない夏生だったが、壱ノ護はそれを許さず束縛しようとする。やがて妖力を増して人のかたちに変化できるようになった壱ノ護に夏生は身体を奪われてしまう。壱ノ護に惹かれつつ飼い主としての矜持から素直になれない夏生は…!?

作品情報

作品名
百年の初恋 犬と花冠
著者
野原滋 
イラスト
榊空也 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344834958
3.9

(59)

(19)

萌々

(21)

(16)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
228
評価数
59
平均
3.9 / 5
神率
32.2%

レビュー投稿数11

ケモ萌えナンバーワン!

異種間ゆえの切なさ、感情面での齟齬、すれ違い。
ワンコ特有の健気さ、一途さ、執着、そして独占欲。
それら全てがうまく融合していて、最高のケモ作品だと思いました。

あらすじに「人のかたちに変化できるようになった壱ノ護に夏生は身体を奪われてしまう」とありますが、前半のエッチは獣のままでした。つまり獣姦。
獣姦は実は苦手だったのですが、この前半の獣姦は激しく萌えました。
組み敷かれている受け(半妖)の憤りや虚しさ、複雑な感情が伝わってきて、切なくてたまらなかったです。

それと同時に、攻め(妖犬)の束縛と強引さにも悶えた。
ワンコだからこそ、その束縛と強引さも「自分勝手さ」と感じることなく、純粋に萌えられた気がしました。

攻めと受けがすれ違いもまた切なくて。
この先どうなるのか、どう落ち着くのかが予想できないのもよかったです。最後の最後まで、ハラハラしながら読めました。
途中、人間たちに対して本気で殺意が芽生えましたが(笑)、ラストも読後感も悪くなく、幸せな気持ちで読み終えました。

世界観、文体、キャラクター、萌え要素、全てが完璧だったと思います!

3

不器用な百年分の想いにキュンキュンします

野原さんの初ファンタジーものです。人間の父と大樹の化身の母を持つ半妖の夏生と、夏生に拾われて命を救われてから夏生だけを守ってきた妖犬・壱ノ護の、夏生が自分の居場所を探すまでのお話です。
とにかく、壱ノ護の一途さと百年分の想いにキュンキュンしたし、夏生が好き過ぎてわけが分からなくなるほどのワンコぶりに萌えたしで、面白かったです。
ただ、夏生の母親が人間に殺されたり、夏生も人間の都合によって捕らえられたり、人間の身勝手さが目立つ場面ではイライラして胸が苦しくなりました。

夏生は、母親の死から、人間不信になっています。夏生自身も半妖のせいか全然年を取らないので1ヵ所にはとどまれなくて、父親亡き後は壱ノ護と共に放浪の旅を続けてきました。でも、安心できる自分の居場所や、人間との共存に人一倍憧れていて。
そんな時、川で妖に憑りつかれて溺れかけている青年を助けます。その青年は、今までの人間と違って自分を恐れないのが嬉しくて、急速に仲良くなります。
でも、壱ノ護は、夏生が人間と仲良くなるのを反対して。だから、その青年とコッソリと会うようになります。

そんなある日、壱ノ護が留守の間に、弟を助けてほしいと言われます。人間の里に行くのは危険だと思いながらも、初めて頼られたことが嬉しくてついていってしまいます。
そこで、待ち構えていた村人達が、夏生を神と崇めようと呪詛を用いて捕まえるのです。壱ノ護に助けを呼ぼうにも、護符の力でさえぎられて…。

壱ノ護が犬だったせいか、夏生と意思の疎通が上手くいかなくて、2人のすれ違いが切なかったです。夏生は、壱ノ護が自分の傍にいるのは父親の命令のせいだと思ってるし。一方の壱ノ護は、夏生が怒る理由や自分から離れようとする理由が分からないし。
だから、夏生が捕まった後に無事に再会できてからの、2人の気持ちが通じ合ったのに嬉しくてキュンとなりました。
言葉もたくさん覚えて夏生に甘いセリフを言う様子や、プレゼントをしたがる壱ノ護の溺愛ぶりにニヤニヤします。夏生も、壱ノ護と初めて離れたことで大切さを実感して、自分の居場所は壱ノ護の傍だと気付けたのが良かったです。
番外編で、安住の地を見付けて、2人で幸せそうに暮らしてる様子に胸が温かくなったし、夏生と母親のエピソードもホッコリして好きでした。
ちなみに、最初の方の2人のエッチは壱ノ護が犬のままで、エッチで壱ノ護の妖力をもらうという設定も萌えました。

10

萌えに悶える

驚愕の面白さです。
お話を作るのに大変苦労されたとのことでしたが、いつも通りよどみのない文章で、安心して物語の世界に入り込んで行くことができました。
上橋菜穂子先生の『狐笛のかなた』を彷彿とさせるような、どこか懐かしく牧歌的な雰囲気です。
迷いの多い難しいキャラと評された夏生ですが、取り込まれるばかりで取り込むことができないという性質にも、半妖という存在ゆえの孤立にも、壱ノ護とじゃれあう(本人は遊んであげているつもり?)場面でみせる蕩けるような愛情の発露にも、全てに萌えました。言わずもがな壱ノ護にも終始萌え、ふたりの関係性にも激しく萌え、ちるちるレビューにある「萌×2」評価はまさにこの作品のためにあるんじゃないかと思うほど萌えました。
これからも野原先生の作品に注目し続けていきたいと思います。

4

めでたし、めでたし

BL小説としての萌えや切なさもありつつ、昔ばなしを読んだような不思議な読後感の作品でした。

半妖の夏生は半妖ゆえに人間離れした美しい容姿を持つ青年です。しかし、人間とは異なる時の流れに生きる彼は孤独で、唯一こころを許せるのは長年一緒に旅をしている妖犬の壱ノ護だけ。人間への愛憎や半妖として生きる運命への哀しさに疲弊する夏生を守り、癒そうと、壱ノ護は全身全霊をかけて愛情表現します…ワンコなりに。ある日、二人を引き裂く出来事が起こってしまい――…というお話です。

夏生は存在感がどうにも儚く、長い年月を生きていく彼を思うととても切ないのですが、壱ノ護が変わったように夏生も精神的に強くなったようで嬉しかったです。

二人、いや一匹と一人の初エッチはなかなか衝撃的でしたが、壱ノ護の過剰な愛情が伝わってきたので嫌な感じはしませんでした。

途中で辛い展開はありますが「いつまでも仲良くくらしましたとさ。めでたし、めでたし」と締めくくりたくなるような作品でした。

4

人間が悲しすぎて、神評価にできなかったー

なんでこの本が手元にあるか、毎度のごとく わからず。
犬好き なんで、まいっか と思い、何の予備知識もなく読み始め。

なんだろう。攻めさん(妖犬)のしっぽの名演技により
わんわんサーカスなみにかわいく、
また 言葉たらずというか
言葉が正しく使えてなくてめっちゃ可愛いんですけど
それより、せつなさ、憤り、悲しさの方が勝ってしまった。
人間の身勝手さに対して。

ちょっと信じかけた「人間」に裏切られるようなことをされて
妖の部分が反応して、封じ込められてしまうハーフ妖の受けさん。

私も凡人なんで、きっと登場する人間たちと同じように
「自分と異なるもの」を排除しようとするんだろうなあ と思ったら
悲しくて悲しくて。

裏切った人間さん兄弟が改心して、少ない食料から差し入れたり
するんだけど、最初の裏切られたところが悲しすぎて
ダメだったー復活できなかった。
作者が伝えたかった主テーマではないはずなのに、
変なところに反応しちゃった。
それでどうしても神にできず 萌2.

受け攻めは確かにハピエン になったんだろうけど
なんだろう、もうちょっと人間との関わりの部分で
救いを多めに見せてほしかったなあ という気がする。

せつないのが大丈夫で、犬好きな人なら読んでもいいかも。
王道だと思うけど、全体的に せつないトーンてんこ盛り な印象です。



3

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