空汰
大人になったら別れる……という約束で付き合い出す……。
何とも岩ちゃんが選びそうな選択だなと思いました。
ずっと不幸にはしたくない。けれど、、、この一時だけなら許されたい。
全て及川が大事だからこそ出てくる思考回路。
そして及川もそれが分かっているから、条件を呑んだ。
呑んだ……はずなのに、呑みきれなかった。
お互いが大切で大切すぎて不幸にしたくないのに幸せにしてあげたいのに。
そんな岩ちゃんの葛藤を全部理解した上で及川が出す結論が、ツンと心に突き刺さって涙が溢れます。
最高の一冊です。
薄い本の中で世界で1番好きです。2人の会話だけを切り取った本当に短い本なのですが、愛しさが爆発します。男同士という悩みに負けて、逃げて、でも離れられなくて。数ページなのに映画を見ているような気分になります。
最高に好きな台詞があるのですが未読の方にレビューを見て読んで欲しいのでネタバレなしのレビューにしました。
ぐさり先生のハイキュー本。
二人とも成人済みです。及川さんはプロバレー選手になっています。
話は岩ちゃん視点。
及川さんに告白された時、「大人になったら別れる」と告げた岩ちゃん。約束どおり別れたもののズルズル一緒に暮らしてしまっています。
そんな二人の大晦日。紅白をラジオで聞きながら、高速道路を走っています。岩ちゃんは、このままでは及川さんを不幸にしてしまうと考えるのですが…
とにかくラストです!とてつもなくロマンチックだし、言葉一つ一つがじんわりきました…!「ずっと一緒に居たい」がなんだか切なくて。お互いがお互いを好きな証拠ですね…
岩ちゃん視点で話が進んでいくのも新鮮で、モノローグも欲望そのもの。本当に幸せになってほしいです。
まだ再録本には載っているので読んでいない方は是非。
とても良い素敵なクオリティの満足度も高い作品でした。同人界でもトップを走り続けることができるのも納得できる一品。ただ、いつも目に引っかかるのが日本語。若い子の言葉の使い方なのかもしれませんが、この単語の使い方おかしくないか?とか、ん?と思うことが多いです。商業は編集通ってるからかそこまででもないけど、同人誌は特に多い。誤字ではなくなんかおかしい言葉が割と多い気がします。
ぐさりさんが描かれる阿吽ちゃんは、
甘さと切なさのバランスが絶妙だ。
それはまるで、ぴたりと合ったふたりの”阿吽の呼吸”に似ている。
今作の阿吽ちゃんは前作同様、成人済みの設定で
高校生の頃及川さんの方から『付き合って』と告白をして
”大人になったら別れるなら”という条件付きで
岩ちゃんはそれを受け入れる。
4年経って、及川さんが全日本の選手に選ばれた年、
条件通り実際に別れたふたり。
けれど別れた後も一緒に暮らす生活は続いていた。
別れてもなお一緒にいる、日常生活のふたりのやりとりの
阿吽の呼吸っぷりがものすごく愛おしい。
そして、及川さんの痛々しいほどに危うい繊細さを、
これでもかというくらい甘やかして大切にしている岩ちゃんの包容力は、
底を知らないかのように男前。
これはぐさりさんが描かれる特徴的な岩及のスタイルで、
今のところ第一作目から変わらずこの関係性が貫かれている。
大晦日の夜、里帰り途中のサービスエリアでお蕎麦を食べ後、
岩ちゃんは及川さんに、隠し事を告白させる。
移籍と引っ越しを考えていること、
岩ちゃんに一緒についてきてほしいこと...
及川さんの幸せを一番に考えたいけれど
その反面、めちゃめちゃに不幸にしたいとも思う岩ちゃんのジレンマ。
そんなジレンマを越えて、
地球の誕生から死までの理論を持ち出し
”もうほんのちょっと”=”死ぬまで”一緒にいようと訴える及川さん。
及川さんの狂気のような愛情に対し、
岩ちゃんがキスで応えるラストがふたりらしくて良い。
今作で個人的に一番感動したのは
及川さんの全日本男子・代表選手としての活躍が描かれていること。
青城ブルーを主将として背負っていた及川さんが
日の丸を背負い、赤の日本代表のユニフォームを着ることは
阿吽好き、青城クラスタの夢と言っても過言ではないと思う。
その意味でも十分読み応えを感じる一冊だった。
萌というよりも、愛と尊さで満ちていて、どうしようもなく胸が詰まる。
甘くて切なくて、そしてやっぱり甘い。
地獄であれどこであれ、阿吽ちゃんフォーエバー!
*原作17巻の巻末描き下ろしを読んだ後、今作を再読したのだけど、
原作も二次創作も、どちらも素晴らしすぎることを実感。
阿吽ちゃんって本当にすごい。好きになって、心から良かった...