ボタンを押すと即立ち読みできます!
αばかりのクラスにΩがひとり転校してくるお話。
そしてこのΩ、過去のとある事件から体質が変わり、αを誘引させてしまうのだ。
クラスのαたちも例に漏れず誘惑され、パートナーがあっても唯一のΩを手に入れたくなる衝動に駆られるが、クラスのリーダー的存在オウギがあれこれ画策して、Ωをなんとか護ろうとする。
だが、、、
とにかく波乱に波乱を重ねた展開でした。
今となってはオメガバースという設定自体なんらもの珍しいものではないし、亜種的な設定もバラエティ豊かに見られる昨今です。
けれど、最後までハラハラドキドキ感を読者に与えてくれる面白い作品でした。
というか、ひどいことばかりだった受けちゃんの一途な純愛…攻めが生きる希望だったっていうのがとてもよかったです。
発売当初に購入して読み、続巻を読むために数年振りに再読。
あれ、このお話こんなにも面白かった…?
と、改めて痛感。
というのも、あの頃はオメガバが出始めで目新しさがあって、でも第二の性差別や強制的に発情してしまう質が少し怖くてずっと本棚の隅にそっと閉まっていました。
かくいうこの本もΩやαである高校生が苦しみ、もがいて運命の番を見つけていくお話で、受けが過去にトラウマを背負っています。
これまでに結構な量の色んなオメガバを読んできたので耐性がついた今、改めてこの本の良さに気がつきます。
やっぱり構成だったり絵が抜群に上手くて…。
それ故に、入り込んでしまうんですよね…。
あとタイトルも秀逸!
数年経っても覚えているくらい、すごくいい、天才だ。
受けの抱える問題、攻めの抱える問題が続巻で解明してくと思ったら次巻が楽しみであり、やっぱり辛くなるのが分かっているから少し手が遠のきそうになったりしながらも…読んでしまいたくなる、そんなお話です。
本当に素敵。
登場人物一人一人の心理描写が緻密に描かれていて、丁寧に感情移入してしまいます。
それぞれのカプの苦悩とか相手を思いやる気持ちとか、それでいて本能が恋心に襲いかかってくる感じとか息をするのも忘れて読んでしまいます。
行為の描写も、この方向に感情が動いたからこの行為になる。という感じで、普段読んでいるBLとまた違った文学のような感覚が味わえる作品だと思います。
個人的にはオマケページのβの先生のスピンオフ作品が読みたいなぁと小さな希望をここに記させて頂いて、レビューを締めさせて頂きます。
世の中にはいろんなオメガバースがある。
オメガバースの初めてにこれを選んだなら、やめとけ。悪いことは言わない。手を引くんだ。
ロマンティックなオメガバもあるし、初心者に優しい読みやすいオメガバもある。
これは、重すぎる。
どシリアスな作品が好きなら止めないけど。
「オメガバースってあれでしょ!?運命の番がいて、Ωとαがどっきんこどっきんこするときめきがあるんでしょ?!」
そういうやつは回れ右しろ。
人間の汚い部分を目の前にたたきつけられる。
読み初めは飛ばしてくるから、ついていくの大変。途中で、何度挫折しかけたことか。
これは、確実に人を選ぶ。神としゅみじゃないが二極化するくらいには。実際、二極化してないけど。でも、そんくらいの勢いで人選ぶ。
ストーリーラインは、古い文化の田舎、一人のΩが転校してきたところからスタートする。
クラスメイトは7人すべてαで、Ω・宮内かなえを見た瞬間全員が彼に運命を感じる。
オメガバース作品での共通主題とでもいうべき「運命の番とはなにか」について、オメガバ誕生初期早々に切り込んだ作品のひとつだ。
評価は神にしたが、裏を返せばしゅみじゃない評価にもなる。
この重苦しさを称賛しての神評価だ。私はこの手の重さを纏った物語が好きではない。
バース性に振り回されるαとΩをここまで哲学的、また文学的に描き出した作品も珍しいのではないか。
とにかく、雰囲気がマジ独特。
オメガバって、狼社会の云々を表したジャンルなんて言われてるけど、これはαの中でもリーダーがいたり、狩りでもするみたいにΩを追い詰めたり、そういった点でまさしくオメガバースそのものなんだよなぁ…。
読後色々考えさせられた。
読むなら覚悟して読めってことだ。
それにしてもほんと重い。
オメバガでひとつの歴史生んだと思う。