江名
「犬と欠け月」の過去話、
タイトル通り、岳がプロデビューに向けて髪の毛を切るというお話です。
この同人誌自体は、切ない感じで終わるのですが、
庭では「髪を切る日・そのあと」というペーパーが配布されて、
合わせて読むとあたたかな読後感を味わえる仕様です。
デビュー戦と言われても、
「でも俺まだ…経験も少ねぇし…」と最初は消極的な反応の岳ですが、
一弥が喜んでくれるなら…とプロデビューすることを決めます。
(一弥に長めの髪の毛をわしわしっとされて、
控えめに恥ずかしがっている岳がすごく可愛いです。)
ボクシングジムの先輩達から、
短い方が男らしくて強く見えるからと、髪を切るよう勧められますが、
子供の頃にDVを受けて腫れあがった目元をバカにされてから、
ずっと前髪で目を隠してきたので、短くすることに抵抗がある岳。
だけど一弥は、岳が髪を切るのを躊躇している理由を知ると、
「俺はお前のその目が好きなんだ
うざい髪の下に隠れてたんじゃ、勿体ねぇぞ?」と。
そして、いきなり岳の前髪を手でかき上げて、
至近距離で目を合わせてくる、一弥。
あまりに一弥の顔がクリアに見えて、
そしてきっと、
一弥への秘めた想いも晒してしまっているようで恥ずかしくて、
真っ赤になって目を逸らす、岳。
(その様子と表情が妙に色っぽくて、ドキドキ。)
結局、一弥の言葉に押されて、岳は金髪の短髪に。
岳自身も、頭の上の重りが取れて、
代わりに金色の羽が生えたみたいに感じて、
照れた顔をしながらも、とても気に入った様子。
でも、一弥に髪型を見てもらいたくて、
「なんて言うだろう」なんて考えながら一弥の店に行くと…
女性と親しげ話してる一弥を、
少し離れたところから見つめる岳が、唇をきつく結んで、
一瞬ちょっと泣きそうにも見える表情なのが、とても切ない…。
ラスト、「…強くなろう…(続く)」
そう決意する岳が健気でいじらしくて、胸がキリリと少し痛みます。
これは、続きのペーパーはもちろんですが、
コミックやCDでふたりの甘い場面を確認したくなりますね、
早く通販が始まって、欠け月ファン皆の手元にも届きますように…
本編の前のお話です。
デビュー戦の前、岳は髪を切ることになります。
いきなり1ページ目から長い前髪の岳が登場!
うおっ、かわええ!
一弥を前に、一弥の言葉に照れている岳も、またカワイイです。
しかも両手で髪の毛をクシャクシャされる……とか!
その表情。 岳、反則!(笑)
一弥は「髪を切る日」は特別な日だと言います。
しかし岳は、前髪を切りたくはありませんでした。
半分一重になってしまった瞼の傷のトラウマが消えていなかったのです。
ここは胸が痛くなる回想シーンでした。
本編で言葉でしか描かれていなかった過去は、
そういうことだったのか、と認識させられました。
そして前髪を切るにあたり、
一弥に恥じらいながらもそのことを宣言します。
「その目が好きだ そろそろ顔を上げろ」と一弥に言われる岳。
一弥に顎クイされる岳。カワイイっ☆
でも美容院で「ナメられないようにして下さい」と注文する岳は
男らしかったです。
そして、あのヒヨコ頭に。
ド金髪になったということは、前は何色だったんだろ?
気になります。
「金色の羽が生えたみたいだ」と表現する岳。
一弥にその姿を見せに行こうとしますが、一弥は
女の子とちょっとだけイチャイチャ(?)。
踵を返してしまう岳でした。
「強くなろう」と自分に言い聞かす岳は、一歩進んだ気がしました。
あとがきで岳が「ドM」と表現されているのには笑いました。
そうだったのか!(笑)
報われない感じの切ない話でしたが、
これがあったからこそ、本編はあんなにも
光り輝いたのだと思いました。
心に響く1冊でした。