イラスト入り
作品に登場する屋敷の豪華さや主であるQの容貌こそ非現実的であるものの、メインであるSMシーンはけっして現実味を欠いているわけではない、バランスのとれた所がこのシリーズの魅力の1つかなと思います。冷た過ぎず、甘過ぎずな調教は宗司もQも非常に上手い。攻めがSとしての矜持を持っていることがしっかり感じられる、こういう作品はなかなかないんじゃないでしょうか。唯一ハマれなかったのはQが潤音を預かっていた間、彼に女装させていたこと。女装があまり得意でない私は、納得できる理由がないと萌えられませんでした。宗司が迎えに来た時でさえ間抜けな女装姿だったのは残念。ただ、宗司と潤音のお互いを一心に想い合う気持ちの描写は素晴らしかったです。
大好きな調教は媚酒の香りの続編。
本編「調教は淫酒に濡れて」
ショートで「女王の独白」「公開調教」の2本が入っております。
しかし、あらすじを読むとなんだか不穏な雰囲気(*⁰▿⁰*)
ワイン事業で思わぬ事態に直面した宗司。力を貸すと申し出た知人が潤音を差し出せと言い出して…だと!?
この人が居れば全て大丈夫と思わせる、気高くも愛に溢れた宗司が変わっていたらどうしよう、自分を捨てないと信じられるSの側にやっと居られる様になった潤音が不憫過ぎる……。
戸惑いながらも読み始めたのですが、結論から申しまして、全くの杞憂(*´꒳`*)
最高に良かったーー!
好きなシーンのお話を。
SMにはセーフワードという、Sの責めが行き過ぎた場合ストップをかける言葉を決めておくそうで。もちろん2人にもセーフワードがあるのですが、前作調教は媚酒の香りで潤音はそれを一度も使う事がありませんでした。そんな潤音が今作では、フィスト・ファックの準備をする宗司を見て体が竦み、震えるんです。
ちなみに私も震え上がり(笑)、潤音ー!もう頑張らないでー!セーフワード言ってー( ; ; )と、1人でハラハラドキドキ。
潤音もいよいよセーフワードを使うのかと思ったのですが…。
もうね、潤音の愛の深さと宗司に対する信頼に感無量でした。そのシーン5回は読み返しました(=^▽^)笑
あらすじの通り、今作では潤音は宗司の屋敷を出て2人が離れ離れになる描写が結構続くんですが、互いを思い合う2人の愛が終始溢れていて、なんか離れ離れだった気がしないんですよね。
なんだかんだありながらも、今作もハピエンなわけなんですが、これ以上無いくらいの幸せを詰め込んだハピエンでした(;_;)♡
求めていたのは潤音だけじゃ無かったんだね。宗司もずっと、こうなれる人を求めていたんだね。
おっと。最後になりましたが、肝心のSMシーンの話を。前作より一歩踏み込み、SM中級あたりまで来た感じでしょうか。
しかし、今作でも美しく愛ある描写のおかげで、楽しむ事ができました!
甘いお話なんですが、イチャイチャラブラブはありません。それでも最高に甘いんです。
刺激と甘さを欲している方にお勧めです♪
私にとっては、SMものへの扉を開いてくれた特別な思い入れのある作品です。
「調教は媚酒の香り」の三年後のふたりを描いた、愛に満ちた淫靡で甘いお話、ぜひ二冊セットで読んでほしい。
冒頭、いきなりフランス語のレッスンをしながらの調教シーン。
前作で恋人同士として結ばれたふたり、もうSMプレイはしないのかな? という心配は早々に吹き飛びます。
宗司は新しい事業に着手していますが、なかなか思うようにいっていない様子。彼に救いの手を差し伸べようとしたのは、前作にも登場した、SMサロン「アントレヌール」のオーナー、絶対的支配者のQです。
そんなQの出した条件は、新しいワインが完成するまでの間、潤音を自分のところに預けろ、というもの。
当然宗司は断りますが、潤音はそれが主のためになるのなら、と条件を飲みます。そして潤音は、Qのお屋敷で彼の調教を受けることに…。
そこからはじまる、Qによる調教がこのお話の肝になります。
あくまでもQは、「宗司の奴隷としての潤音」を見たかったんでしょうね。Sの女王様だから言葉はきつくて、なにを考えているのかわかりにくいけれど、主への忠誠心を試したかったのかも。
このシーン、相当ハラハラしたけれど、無理矢理犯されるというような鬼畜展開もなく、そういうのが苦手な私は、心底ホッとしました。なんだかんだ言って、Qは潤音を気に入っているし、優しいんじゃないかな…。
Qからの苦しい責めを耐え抜く潤音。主と離れている間の彼の様子はいじらしく、胸が締めつけられます。手紙を受け取ったシーンや、晩餐会に呼ばれた宗司との束の間の再会…寂しさをこらえ、一途に主を想う健気さに、なんども涙が出そうになりました。
けれど、結果的に離れていたこの時間は、ふたりの絆をさらに強固なものにしたことは間違いありません。
それにしても、宗司が持つ主としての愛情はスケールが大きく、今回も読者の予想を超えてきます。
前作で、彼は潤音に居場所と仕事を与えましたが、今回はそれを上回ったのでは…。
物語終盤、ようやく完成した純国産ワインを飲ませてもらう潤音。そのラベルに隠された、自分へのメッセージ。愛する人に祝ってもらう、初めての誕生日、そして…。
いやあもう、Sなのに、こんなに甘くていいのかな?っていうくらい、宗司は甘いです。
彼は溢れる愛情を、言葉じゃなく行動で表せる人。ちょっと、スーパー攻め様すぎやしませんかね。文句のつけどころがないんですけど。
さらに、前作のレビューで宗司はムッツリだと書いたのですが、やっぱり今回もそのムッツリぶりは健在。
どんなにクールぶってても、やっぱり潤音のことが心配でたまらなかったっていうのが伝わって、萌えて萌えてしょうがなかったです。
言葉の端々にQへの嫉妬が見え見えだし、「指一本入れられてないし、射精もしてない」とわかった後は……もう、このムッツリが!と言いたくなるがっつき具合でした。
潤音は本当に、いいご主人様に巡りあえてよかったなあ、と思います。いつまでもお幸せに。
巻末にSSが二編。
「女王の独白」は謎めいたQの生い立ちに触れた一編。
「公開調教」はサロンで潤音のお披露目をします。M奴隷として、とっても優秀な潤音です。
調教は媚酒の香りの続編です。
一作目のお話しで、ラブラブに結ばれた一鷹と潤音。
お互いがSMのマスター(主人)とボトム(奴隷)の関係でありながら、恋人同士。
前の方々のレビューでSM調教の様子は書かれているので、あえてお話しに重点を置いて、レビュー書きます。
容姿、地位、経済力、愛情と完璧な主人の一鷹に愛され、幸せに蜜月を過ごす潤音ですが、一鷹に仕事上の事で危機が訪れます。
その危機に手をかしてくれると名乗りをあげたのが、前作で登場した会員制SMクラブの女王様Q。
このQはただの女王様じゃなくて、すごいセレブで経済界などにも顔のきく人物。
一鷹の事業に手をかす条件が、愛奴潤音の貸し出しです。
当然、一鷹は断りますが、一鷹に今までの恩を返して力になりたい潤音は一鷹に嘘をついてまで、Qのもとへ行く事を決意し、一鷹を説得します。
愛しあう夫婦に割り込み、お金を条件に妻を借りる富豪、そんな設定の映画があったけど、まんまですね。
その映画は最後に夫婦はギクシャクして別れたような結末だったけど、一鷹と潤音はお互いを信じきっていてQの妨害にも負けません!
安心して読めるというか、妨害にあってもお互いの信頼の気持ちや行動で、乗り越えていく様子に読みながら萌えまくりです。
最後は無国籍だった潤音に誕生日を与えて、籍を同じにして(マリアージュ)、まさにシンデレララブストーリー展開に、最後まで萌えまくりです。
潤音は生い立ちが大変だったけど、純粋で一途で可愛い良い子だし、一鷹もスパダリなのに愛情溢れてて一途で頼れる攻めって感じ。
2人のキャラが良いので、応援して純粋に楽しめる作品です。
そのお話しにQのお屋敷の「人間家具」や調教、食事会、など本格的SMの濃い世界観が加わって、王道ラブストーリーですが、飽きさせないのが流石です。
Qのお屋敷は、ルイス・キャロルの不思議の国のアリスの、不思議の国に迷い込んだようでした。
女王の独白
SMは歯止めがきかないと恐ろしいことになるなと思いました。
Mを殺してしまったSのお母様が、精神的に病んでいくのが、リアルで悲しいです。
公開調教
潤音のマスター当て、ブラインドテイスティング。
読んでて潤音の一鷹への思いが溢れていて、萌えました。
前作が良かったので続編出て嬉しいなって思って読みました。宗司さんと潤音くん、あれから幸せになったのかなあ?って思っていたけど、SM関係のまま幸せな生活を送ってくれてて良かったな、と笑)
さて今回はそんな二人の関係に危機(?)が訪れるんですけど。
まあ危機ってほどの危機ではなく、最終的にはハッピーエンドでしょうってわかりきってる感じのストーリー展開なんですが、それでも引きこまれるこの不思議さ。潤音くんのマスターに対する純粋な気持ちが、読んでいてきゅんとなりました。
読み切りショートの2つも良かったです。SMなのに幸せな読後感を味わえる、ほんとに不思議な作品、大好きです。また続編読みたいです。
あと、私としてはQがすっごく気になるんですけど…。Qの話とかでないのかな?ぜひ出てほしいですね。
小山田あみさんの挿絵も、前より艶っぽくなってる気がしてゾクゾクしますっ!